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空族祭SS 文一郎


No.3

■空族時代投稿キャラ&都市 投稿者:文一郎 [URL] 投稿日:2012/03/01(木)
ベルネ登場イベント

① オルドルうろつき(クロエ・ユイ・アケチ・トウヒ)

【アブニール社・本社】

ユイ「お父さん、ただいま!」
アケ「ただいま帰りました。」
クロ「ただいま~、おじさん!」
トウ「おう、三人とも久しぶりやな。…どうや、そっちの方は?」
クロ「まだまだ手がかりを探してる最中…ですね。」
トウ「そうか…まあ、焦ったらあかんわ。相手は強く、強大で、狡賢い敵や。急いては事を仕損じるとも言うしな…腰を落ち着けてかからなあかんで。」
クロ「分かってますよ、おじさん。」
ユイ「そうそう。…お父さんは心配性なんだから、むしろもっと気楽にかからないと。」
アケ「…ユイさんはもっと落ち着いたほうがいいと思いますが。」
クロ「確かに。」
バキッ!ドゴッ!
アケ「はうっ!」
クロ「いてーっ!」
ユイ「何よ、まるで私が何も考えてないゴリラみたいじゃない!」
トウ「…そうやってすぐ手を出すところが何も考えてないっちゅうんや。」
ユイ「あっ…。」
トウ「まあええ。…そういえば、次にどこへ行くかは決まっとるんか?」
クロ「いえ、まだ特に予定はないんですけど…。」
トウ「そうか…それならちょっと頼んでええか?」
クロ「何をですか?」
トウ「実はな…こいつをリールまで運んでほしいんや。」
バッ!
クロ「…これを、ですか?」
ユイ「何かいつものエンジンとは形が違うんだけど?」
トウ「そもそも発注先が変なところやからな…。」
アケ「発注先はどこなんですかね?」
トウ「リヴィエラ=レイルウェイ=カンパニー。」
クロ「リヴィエラ鉄道?」
アケ「この地方でも有数の鉄道会社ですね。リールには確か本社があったはずです。」
ユイ「…明らかに飛行艇とは畑違いよね。」
トウ「試作車両用のエンジンを作ってほしい言われてな。船やと時間かかるし、試作用の一台だけやからファッティホエール号で運んだほうが早いんや。…頼んでええか?」
クロ「いいですよ。特に予定もないですし…。」
トウ「そうか、なら頼むわ。…ほい、これがリール港の入港許可証や。着いたら6番埠頭に行ってくれ。」
クロ「分かりました。」

リールに行けるようになりました。

② リール到着時(クロエ・ユイ・アケチ・ベルネ・保安隊員・車両工場主任)

【リール港・外港部】

クロ「着いたぞ、ここがリールか…。」
アケ「ブランシェとはまた違った雰囲気の大都市ですね。」
隊員「すみません、リール海上保安隊ですが…。」
クロ「あ、入港許可証です。」
隊員「どうも…アブニール社さんですね。分かりました。…102番埠頭に係留してください。」
クロ「102番…どこですか?」
隊員「あの橋の奥です。」
クロ「橋の奥!?」
ユイ「ちょっと、一回離水して橋を飛び越せっていうの!」
隊員「いえ、もう少しすれば可動橋が開くので…。」
クロ「可動橋?」
ブオーッ!シュッシュッシュッシュッ…
隊員「はい、今は列車が通過中なので閉じていますが、あの列車が通過すれば橋の左の方が開きますので、そこを通って入港してください。」
アケ「そういえば、以前リール港には開閉する鉄道橋があると聞きましたが…ファッティホエール号はかなり大型ですよ、大丈夫ですか?」
隊員「この大きさがほぼ限界ですが、一応まだ規定以下です。…必要ならタグボートを呼びますが、どうされますか?」
クロ「その前に、6番埠頭で荷物を降ろしたいんですが…。」
隊員「そうですか…分かりました。6番埠頭は右手前方の貨車がたくさん留置されている埠頭です。ただ、夕方には別の船が入ってくるので…それまでには済ませてくださいね。」
クロ「分かりました。」

【リール港・6番埠頭】

クロ「あれ?」
ユイ「どうしたの、ユウ?」
クロ「いや、埠頭にこの場の雰囲気にそぐわない人が…。」
アケ「なかなかの美人ですね。」
クロ「うん。」
ポカン!
クロ「痛っ!」
ユイ「無駄口叩かないでさっさと仕事済ませるの!」
クロ「はーい…。」
ベル「すみません、アブニール社の方ですか?」
クロ「はい。」
ベル「お待ちしておりました。申し訳ありませんが早速荷物の方を…。」
クロ「あの、すみませんが、お姉さんはどちらの方ですか?」
ベル「あ、申し遅れました。リヴィエラ鉄道で代表取締役を勤めております、ベルネ=バーメルンと申します。」
ユイ「代表取締役…って!」
アケ「要するに社長さんですね。」
ベル「はい、先日アブニール社の方から連絡を頂いてお待ちしておりました。」
クロ「あ、はい。じゃあ早速エンジンの方を…。」

【リヴィエラ鉄道・応接室】

ベル「…なるほど、貴方は空族の方なんですね。」
クロ「はい、まだ駆け出しなんですけどね。」
ベル「空族なんて危険なお仕事でしょう。…そのままアブニール社をお継ぎになった方が楽だったのではありませんか?」
クロ「その辺は、まあ…色々とありまして。」
ベル「ふふっ、ではその辺りの事情はまた今度ということで。」
クロ「ははは…。」
アケ「ところで、あのエンジンは何に使用するのですか?…見たところ、通常の飛行艇用エンジンには見えませんでしたが。」
ベル「ああ、あれは…気動車に積載する予定なんです。」
クロ「気動車?」
ベル「はい。空族の方に説明するのも難しいのですが…分かりやすく言うなら、一両で機関車と客車、両方の役をこなすことができる車両のことです。」
アケ「ほう、そんな車両を研究されているんですか。」
クロ「…アケチ、もうちょっと分かりやすく言ってくれないか?」
アケ「現在、ここリヴィエラ鉄道を始め、ほとんどの鉄道会社では機関車が客貨車を引っ張る方式が取られています。…もちろん、この方式にも利点はあるんですが、特に短編成の際には機関車の出力が過剰になってしまうという問題があるのです。」
クロ「要するに、ファッティホエール号で蟻を運ぶようなもんか?」
アケ「まあ、極端な例えをすればそういうことです。」
ベル「他にも、機関車に荷重が集中するため、軟弱地盤に弱いという問題もあるんですが…客車にその客車だけ動かせる程度のエンジンを積載すれば一両からでも運行できますし、一両当たりの重量も抑えられます。ただ、そのためには車両の床下に積載できるサイズのエンジンが必要で…エンジンの軽量化、小型化なら、飛行艇関連の会社が一番進んでいますからね。」
クロ「何となく分かったような…。」
アケ「しかし、申し訳ありませんが、リヴィエラ鉄道は大会社です。…そんな成功するか分からない研究に金を注ぎ込むのは、会社経営としては間違いなのではありませんか?」
ベル「それは…。」
ガチャッ
主任「社長、性能試験の方、終了しました。…正直予想以上です。」
ユイ「当たり前よ。何たって、我がアブニール社製のエンジンだもん!」
ベル「試験結果の方を。」
主任「はい。」
ペラ、ペラ…
ベル「…良さそうですね、このまま進めてください。」
主任「了解しました。では、失礼します。」
バタン
クロ「あの、そんなに良かったんですか?」
ベル「ええ、これなら十分実用化できます。ありがとうございました。」
アケ「いえいえ、私たちはただ運んだだけでして…。」
ユイ「そうそう、すごいのは我がアブニール社!」
アケ「…。」
クロ「確かにそうだな。」
ベル「ふふっ、その通りですね。…ちなみにアケチさん、先ほどの質問の答えですが。」
アケ「はい?」
ベル「当社は昔、リール海運組合に所属する一海運業者でした。…当社の鉄道事業参入は、社運を懸けた大博打だったと聞いています。」
クロ「…。」
ベル「確かにこの事業に失敗すれば、我が社は重大な損失を被るでしょう。…しかし、その損失を覚悟しなければ、気動車開発による利益も享受できません。」
ユイ「…。」
ベル「何かを得るためには時として多くの犠牲を強いられることがあります。金、時間、そして…時には人の命さえも。…何かを失う覚悟を、そして、何かを失った責任を取る覚悟を持った人間だけが何かを得ることができる。そして…社長とは、全社員の中で最も『何かを得る』ことに関して貪欲でなければならない。…それが、私の覚悟なのです。」
アケ「…分かりました、ありがとうございます。」
ベル「いえ、慣れてますので。…ところでクロエさん。」
クロ「はい?」
ベル「実は私、飛行艇事業に関しても大変興味がありまして…よろしければ、これからも時々お会いできないでしょうか?」
クロ「…俺に、ですか?」
ベル「はい。場合によっては何らかのお仕事をお願いするかもしれません。もちろん、その場合きちんと報酬はお支払いしますので…。」
クロ「あの…それだったら、俺以外にも優秀なパイロットはいくらでもいます。わざわざ俺に頼まなくても…。」
ベル「仮にこの気動車の開発が失敗しても、アブニール社とのコネクションを作っておくことは我が社にとって大きな利益があります。」
クロ「…それだけですか?」
ベル「いえ、それともう一つ。」
アケ「もう一つ?」
ベル「私、人を見る目はある方なんですよ。貴方自身と仲良くしておくことも、きっと我が社の、そして私自身のためになると思ったので。…もっとも、こちらはただの勘ですけどね。」
クロ「…ありがとうございます!」
ベル「ふふっ、ではまた後日お会いしましょう。」
クロ「はいっ!」
バタン
クロ「…。」
バキッ!
クロ「痛ってーっ!…何するんだよ、ユイ!」
ユイ「なーに鼻の下伸ばしてんのよ、この女ったらし!」
クロ「別にそんなことないだろ!」
ユイ「そうとしか見えまっせーん!」
アケ「…やれやれ。」







No.6

■空族時代投稿キャラ第三弾 投稿者:文一郎 [URL] 投稿日:2012/03/03(土) 23:51
イーベル登場イベント

①リール到着時(クロエ・ユイ・アケチ・イーベル・サーシャ・カニ怪人・船員)

【リール港・沖合】

クロ「もうすぐリールか…ん?」
ユイ「どうしたの、ユウ?」
クロ「あの貨物船…航空海賊に襲われてないか?」
ユイ「えっ…あ、本当だ!」
アケ「どうします、保安隊に通報しますか?」
クロ「いや、それじゃ間に合わないかもしれない…ユイ、フィデール号で出れるか?」
ユイ「もちろん!すぐに準備するわ!」

ブーン…ズダダダダン!
船員「ひ、ひぃ、航空海賊だ!」
船員「助けてくれーっ!」
カニ「カーニカニカニカニ、とっとと降伏するカニ!…ん、あれは?」
ブーン!
クロ「そこの航空海賊、この俺が相手だ!」
カニ「ふん、正義の味方カニか!貴様もこのレッドクラブ号の餌にしてくれるカニ!」

空戦 VSレッドクラブ号

ブ~ン!
カニ「助けてくれだカニ~。」
ブーン…バシャン!
クロ「逃げたか…。」
船員「すみません、ありがとうございました~。」
クロ「大丈夫ですか?」
船員「ええ、船も人員も最小限の被害で済みました。本当にありがとうございました!」
クロ「…それならまあ、良しとするか。」
バシャン!
ユイ「ユウ~、一旦回収するからこっちに来て~。」
クロ「はいはい、今行きますよ。」

??「…航空海賊に襲われてるようだったから来てみたが、無駄足だったみたいだな。」
??「あのパイロットさん、すごく上手だね~。…お母さんとどっちが上手いかな?」
??「さあな。少なくとも、敵として戦いたい相手じゃないことは確かだけど。」
??「だいじょうぶ、お母さんなら絶対勝て…お母さん、あそこ!」
??「!…サーシャ、防弾カバーを閉めろ!行くぞ!」

クロ「…搭載していないと別機体扱いだなんて、そんな規約あったのか?」
アケ「ユウ君がしっかり読んでいないだけですよ。…とにかく、ファッティホエール号に搭載しない限り入港許可証が二枚必要になるのは間違いありません。だから早くしてください。」
クロ「ちぇっ…ん、あれは…!」
ブーン!
ユイ「ちょっと、さっき逃げてった航空海賊じゃない!」
カニ「カーニカニカニカニ、諦めの悪さはネオ=ワルクロ団随一のカニ怪人様を甘く見たカニね!蜂の巣にしてやるカニ!」
クロ「しまった!…ユイ、早くクレーンを外してくれ!」
ユイ「無理よ、間に合わない!」
カニ「あの世で己の愚かさを呪うがいいカニー!」
ズダダダダン!
カニ「ギャニーッ!」
ユイ「…あれ?」
アケ「…敵機はどこへ行きました?」
クロ「…上空だ!」
カニ「よくもこのカニ怪人様を狙ったカニね!…しかし、せっかく上空の好位置から奇襲を仕掛けたにも関わらず、外すとはとんだ下手糞カニ!今すぐ引導を渡してやるから覚悟するカニ!」
ブーン!
??「…外しちゃったの、お母さん?」
??「いや、あそこで撃墜したら正面の飛行艇が危険だから、敢えて威嚇射撃に留めたんだ。…幸いにもこっちを狙ってくれるようだし、次で落とす!」
ブーン!
ユイ「すごい空中戦…両者互角かな?」
クロ「…いや、紫の機体の方が背後を獲った!」
ズダダダダン!
カニ「ギャ~ニ~!」
ザッバーン!
アケ「…墜落、ですか?」
クロ「一応不時着水、かな?…もう飛べそうにはないけど。」
ユイ「あ、紫の機体の方から発光信号だ。」
??「保・安・隊・ニ・通・報・シ・タ。間・モ・ナ・ク・巡・視・艇・ガ・到・着・ス・ル。」
クロ「あ、ありがとうございまーす!」
ユイ「すごかったですよー!」
アケ「篤く御礼申し上げまーす!」

??「手を振ってるよ、お母さん。」
??「意外と若いパイロットだな、驚いたよ。」
??「せっかくだから会ってみたいな。」
??「悪いが燃料の残りが少ない。このまま真っ直ぐリールに向かうぞ。」
??「ちぇっ…ばいばーい、お兄ちゃーん!また会おうねー!」

② リールうろつき(クロエ・ユイ・アケチ・イーベル・サーシャ)

【リール市街地・日曜市】

クロ「ここがリールの日曜市か。」
アケ「さすがにブランシェほどの活気はありませんが…それでもリールはこの地方の中心都市ですから、色々と面白いものが見られるかもしれませんね。」
ユイ「私、焼きたてのソーセージが食べたいな。」
クロ「あとはトウヒのおじさんみたいに冷えたビールをグイッと…。」
ユイ「ちょっ~と、な~に言ってるのかな、ユウ君?」
アケ「アルコールの摂取はパイロットであるユウ君にはあまりお勧めできませんね。」
クロ「あはは、冗談だって…。」
サー「あっ、こないだのお兄ちゃんだ!」
クロ「ん?」
サー「お久しぶり~お兄ちゃん♪」
クロ「えっと…ごめん、どこで会ったんだっけ?」
サー「この前お兄ちゃんがカニの航空海賊に襲われた時だよ!」
クロ「この前…って、まさか、あの飛行艇操縦してたの、君なの!」
ポカッ!
クロ「痛っ!」
ユイ「いくらなんでもそんなわけないじゃない。…で、操縦してたのは誰、誰?」
アケ「それと、君のお名前も聞かせてくれませんか?」
サー「私の名前はサーシャ。…そして、操縦してたのは私のお母さん!」
ユイ「お母さん?」
イー「サーシャ、買い物が終わるまで待ってろと言っただろ。」
サー「あっ、お母さん!…見て見て、こないだのお兄ちゃんだよ!」
クロ「あ、どうも…クロエといいます。」
アケ「アケチと申します。」
ユイ「ユイです。…あの、こないだ私たちを助けてくれたのはお姉さんなんですか!」
イー「…さすがにもうお姉さんなんて年じゃないけどね。この辺りの空で仕事をさせてもらっているイーベルです。よろしく、クロエ君。」
アケ「イーベル?…もしかして、以前リール海上保安隊におられました?」
クロ「ん、何か知ってるのか、アケチ?」
アケ「いえ、以前聞いた話なんですが…リール海上保安隊に『紫竜』と呼ばれる凄腕のパイロットがいて、その名前が確か、イーベルと…。」
サー「大正解!お母さんこそがリール海上保安隊の『紫竜』にして世界一の凄腕パイロット、イーベル=アマンツでーす!」
イー「こら、止めなさい、サーシャ。」
ユイ「本当なんですか!」
イー「まあ、半分ぐらいは誇張が入ってるけどね。…凄腕のパイロットがいると聞けば航空海賊はリールに寄ってこないから。」
クロ「それでも凄いですよ。…すみません、もしよろしければ今度俺の操縦を見てもらえませんか?」
イー「あ、いや、それはさすがに…。」
サー「いいよ!」
イー「こ、こら、サーシャ!」
クロ「いいんですか!ありがとうございます!」
イー「…分かった。私の機は105番埠頭に係留してあるから、暇なときにおいで。…ただ、あまり役には立たないかもしれないよ。」
クロ「それでもいいです、ありがとうございました!」
ユイ「ありがとうございます!」
サー「よかったね、お兄ちゃん!」
イー「…。」

③ リールうろつき(クロエ・ユイ・アケチ・イーベル・サーシャ)

【リール港・沖合】

ブーン!
ブーン!
アケ「…やはり、上手いですね。」
ユイ「いつもは見惚れちゃうユウの操縦が、今日はなんだか霞んで見える気がする。」
サー「でも、お母さんも今日は本気みたいだよ。…ほら、今ももう少しで背後獲られるところだった!」
ユイ「おっ、前言撤回!…ユウもやっぱり凄いね。」
アケ「私にはよく分かりませんが…きっとレベルの高い訓練を繰り広げているんですね。」
ブーン!
ブーン!
サー「…ねえ、お姉ちゃん。」
ユイ「ん、なに?」
サー「お姉ちゃんたちは何で空族になったの?」
ユイ「…私たちはね、ユウのお父さんの仇を追ってるの。」
サー「お兄ちゃんのお父さん、死んじゃったの?」
ユイ「うん。…カメダっていう悪い男のせいでね。」
サー「そうなんだ。…ねえ、お姉ちゃんは寂しくないの?」
ユイ「えっ、何で?」
サー「だって、空族なんて一年中空の上でしょ…寂しくないの?」
ユイ「うーん…私はあんまり感じたことないなあ…アケチは?」
アケ「私もあまり。…時々、オルドルにいたときのことを懐かしんだりはしますが、あまり寂しくはありませんね。…ユウもいますし。」
ユイ「だよね。…サーシャは寂しいの?」
サー「…私のお父さんも、少し前に死んじゃったんだ。」
ユイ「!」
サー「お父さん死んでからお母さん、保安隊も辞めちゃって…お母さんのことが嫌いなわけじゃないんだよ。…ただ、時々一人で海を眺めているお母さんを見ると、何だか…苦しくって。」
ユイ「そっか…。」
アケ「…。」
ブーン…バシャン!バシャン!
クロ「ふう…ありがとうございました、イーベルさん!すごくいい練習になりました!」
イー「私も最近対人訓練はしていなかったから…君みたいな優秀なパイロット相手に訓練できたのは私自身にとっても有意義だったよ。」
クロ「また機会があればよろしくお願いします。」
イー「…また機会があれば、ね。…じゃあ、そろそろ港に戻ろうか。サーシャ、こっちに乗って。」
サー「…ねえ、お母さん。」
イー「ん、どうした、サーシャ?」
サー「…私たちもお兄ちゃんたちの仲間に入れてもらおうよ!」
ユイ「えっ!」
イー「…。」
クロ「確かに、イーベルさんみたいな人が仲間になってくれるのなら嬉しいけど…。」
イー「…申し訳ない、それに関しては私の方からお断りさせてもらう。」
サー「お母さん!」
イー「行くよ、サーシャ。…クロエ君。」
クロ「…何ですか?」
イー「…できればもう、訓練はこれっきりにしてほしい。」
サー「お母さん!」
クロ「…また機会があれば、お願いします。」
イー「…。」
ブーン!
アケ「…急に雰囲気が変わりましたね。」
ユイ「…どうしたのかな、イーベルさん。」
クロ「…。」

④ リールうろつき(クロエ・ユイ・アケチ・ベルネ)

【リヴィエラ鉄道・応接室】

ベル「…突然会いに来たと思ったら、保安隊の前の副長さんのお話でしたか。」
クロ「すみません、リールで頼れる人っていうとベルネさんしか思いつかなくって…。」
ベル「保安隊はリール海運組合の管轄なので、私は一市民としての情報しか持っていませんが…それでもよろしいですか?」
クロ「はい、お願いします。」
ベル「…リール海上保安隊に飛行艇部隊ができたのは比較的最近の話です。当時激増していた航空海賊への対策として設置されたのですが…その効果は我々の予想をはるかに超えていました。」
アケ「…。」
ベル「特に飛行艇隊の双璧…蒼竜と紫竜と呼ばれた二人は周辺の海域を荒らしまわっていた航空海賊を次々と打ち破り、近隣の航空海賊たちはその名を聞いただけで逃げ出すとさえ言われました。」
ユイ「ちょっと待ってください、紫竜はイーベルさんのことですよね。…蒼竜って、誰なんですか?」
ベル「蒼竜の名はロッシェル=アマンツ、紫竜イーベル=アマンツの夫です。…しかし、彼は今から三年前、航空海賊の襲撃に遭い…殉職なされました。」
クロ「!」
ベル「その晩のことは私もよく覚えています。その晩は濃霧で鉄道の方もトラブル続きでしたから。…その濃霧が災いして捜索は遅れ、結局、彼はその亡骸すら家族の元に帰せませんでした。」
ユイ「…お父さんが亡くなったって、そういうことだったんだ。」
アケ「そのときのショックが元で、イーベルさんは保安隊を退職なされたということですか。」
ベル「…おそらくは。」
クロ「そうだったんですか…。」
ベル「…クロエさん、貴方は彼女を仲間に引き入れようとお考えですか?」
クロ「…もちろん、サーシャがそう言ってくれたときは心から嬉しかったです。でも、今は…どうするべきか…分からなくて…。」
ベル「…正直なところ、難しいとは思いますよ。」
クロ「…。」
ユイ「…やっぱり、仲間にしようよ。」
クロ「!」
ユイ「やっぱりそんなの駄目だよ。サーシャも…イーベルさんもすっごく寂しそうだったもん!このままにしておいちゃ駄目だよ、絶対に!」
クロ「ユイ…。」
アケ「…私も、ユイの意見に賛同させていただきます。…それを為すべきなのが私たちなのかは分かりませんが、私たちにできるのなら何とかしてあげたいです!」
クロ「アケチ…。」
ベル「彼女を得るためにリスクを冒すのは貴方ですから、私は別に止めません。ただ…。」
クロ「何ですか、ベルネさん?」
ベル「…貴方なら、彼女たちを救うことでできそうな気がします。…貴方の、その真っ直ぐな瞳なら。」
クロ「…ベルネさん、ありがとうございました。行くぞ、ユイ、アケチ、何としてもイーベルさんとサーシャを…俺たちの仲間にするんだ!」
ユイ「了解!」
アケ「参りましょう、我々の新たな仲間の元へ!」






No.21


■イーベル登場イベント完全版 投稿者:文一郎 投稿日:2012/03/11(日) 22:36
④ リールうろつき/続き(クロエ・ユイ・アケチ・イーベル・サーシャ・カニ怪人・フグ怪人・制御員)

【リール港・105番埠頭】

サー「お母さん、何で駄目なの!…私、お兄ちゃんたちと一緒に冒険したいよ!」
イー「…言っただろ、サーシャ。お母さんはもう二度と誰かと組む気はない…いや、組むことはできないと。」
サー「そんなのお母さんが勝手に決めてるだけじゃない!…お父さんが死んだのはお母さんのせいじゃないよ!」
イー「違う。お父さんを殺したのは、間違いなくお母さんだ。」
サー「違うよ!…そんなの絶対に違うよ!」
イー「どうしてもお兄ちゃんたちのところに行きたいならサーシャ、お前が一人で行きなさい。大丈夫、あのお兄ちゃんたちはきっと信頼していい…。」
サー「嫌だよ、私、お母さんのこともお兄ちゃんのことも大好きだもん!」
イー「!」
サー「私、選べないよ。…お母さんのことも、お兄ちゃんのことも、私…大好きだもん。」
イー「サーシャ…。」
パァン!
イー「うぐっ!」
サー「お母さん!」
カニ「カーニカニカニカニ、天空では無敵の紫竜も地上ではただの河童だカニ。…今こそ先日の恨みを晴らさせてもらうカニ!」
フグ「その通りなのら~、観念するのら~。」
サー「お母さん、お母さん…しっかりして、お母さん!」
イー「くっ…。」
カニ「おーや、こっちは娘さんカニ~。大丈夫、一緒に可愛がってあげるカ…。」
ドゴッ!
カニ「ギャニィ!」
イー「サーシャには手を出すな!」
サー「お母さん!」
イー「お前は逃げろ、サーシャ!」
フグ「逃がさないのら~!」
ガシッ!
イー「言っただろ…サーシャには指一本触れさせん!」
フグ「放すのら~!」
サー「お母さん…。」
イー「行け!…お兄ちゃんのところまで逃げるんだ!」
サー「…すぐに助けに来るからね、お母さん!」
ダッ!
イー「サーシャ…。」
ドゴッ!
イー「ぐはぁっ!」
カニ「ちっ…逃げられたカニか。まあいいカニ、とっととこいつの飛行艇を奪って脱出するカニ。…脱出に成功したら、その後でゆっくりとお礼はさせてもらうカニ。」
フグ「それがいいのら~。」
イー「…。」

【リール港・102番埠頭】

クロ「…ベルネさんの前ではああ言ったものの、実際にはどうすればいいんだろう。」
ユイ「うーん…駄目だ、先に私の脳みそがオーバーヒートしちゃう。」
アケ「むぬぬぬぬ…やはり書物に載っていないことは苦手です。」
クロ「それでも何かいい方法を考えないと…。」
サー「お兄ちゃん!」
クロ「!」
アケ「サーシャさん!」
ユイ「どうしたの、こんな夜遅くに?」
サー「お願い、お母さんを助けて!」
クロ「何があった?」
サー「こないだのカニ海賊が襲ってきたの!お母さん、銃で撃たれて…。」
クロ「分かった、今助ける!」
ユイ「私も行くわ!」
クロ「じゃあ、三人で…。」
アケ「…いえ、私は別に行くとhttp://admin.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=load&eno=43#こ





No.80
■ティオ登場イベント簡易版&イベントキャラ追加 投稿者:文一郎 投稿日:2012/03/22(木) 23:10

ティオ登場イベント

? リールうろつき(クロエ・ユイ・アケチ・ティオ・ベルネ・駅員)

【リール中央駅・改札口】

シュッ、シュッ、シュッ、シュッ…プシューッ!
駅員『リール中央、リール中央、終点です。お降りの際はお忘れ物の無いようご注意ください。』
ガシュン、ガシュン…
駅員『次のリエーシュ方面の列車は六番線からの発車になります。前より三両は座席が指定となっておりますので、ご乗車の際には座席指定券をお買い求めください。』
ピィッ、ピィッ、ピィッ!
駅員『間もなく一番線よりイースタンブルグ行、オーレント急行が発車いたします。ご乗車のお客様はお乗り遅れの無いようお急ぎください。』
ポォォォォッ!

クロ「…暇だったからちょっと来てみたけど、予想以上の活気だな。」
アケ「リール中央駅はリヴィエラ鉄道の基幹駅ですので発着本数が多いのは当然ですが…これほど多いとは思いませんでした。」
ユイ「本当にすっごーい!…ねえ、もうちょっと奥まで行ってみようよ!」
ティ「待って!」
クロ「えっ?」
ティ「あ、待ってじゃなかった、えっと…お客様、申し訳ありませんが改札内に入られる場合には、あちらで乗車券の方を…。」
クロ「すみません、俺たち列車に乗りにきたんじゃないので…あと、別に丁寧な言葉使いじゃなくてもいいですよ。」
ティ「そう…良かった、未だに慣れないんだ、この口調。…ただ、申し訳ないんだけど、乗車券持ってない人は改札内には入れない決まりなんだ。」
ユイ「えっ、そうなの!」
ティ「うん。見送りや出迎えの人にも入場券だけは買ってもらってるし…それに、混雑したホームは事故が起きやすいから、ただの見学の人はできれば遠慮してほしいな、って。」
クロ「そっか…ちょっと興味あったんだけどな。…お姉さんは鉄道会社の人?」
ティ「そう。君たちは…っていうか、どっからどう見ても空族の人だよね。」
クロ「まあね。…俺はユウ=クロエ、空族です。」
ティ「私はティオ=ヌックス、車掌をしています。…というわけで、これから私仕事なのでこの辺で失礼します。できれば次回は当鉄道をご利用くださいね!」
タッタッタッタッ…
アケ「可愛い人でしたね。」
クロ「そうだな。」
バキッ!ドゴッ!
アケ「はぅっ!」
クロ「痛っ!」
ユイ「もう、いつもそればっかり…いい加減止めなさいよ!」
クロ「いや、その…すみません。」
ベル「殿方はだいたいそんなものですよ、ユイさん。」
ユイ「あっ、ベルネさん!」
ベル「それぐらいのこと、広い心で許してあげないと殿方とのお付き合いなんて長くはもちませんよ。」
ユイ「べ、別に付き合ってなんか…。」
クロ「ん、何か顔赤くないか、ユイ?」
バキィッ!
クロ「はげぶっ!」
ユイ「ユウは黙ってなさい!」
ベル「別に、男女の仲という意味で言ったつもりではなかったのですがね…それよりクロエさん、本日は当社にどういったご用件でしょうか?」
クロ「あ、いえ、別にただ何となく来ただけで…もう帰りますから。」
ベル「…そうですか、それならちょっとお付き合い願えませんか?」

【リール中央駅・プラットホーム】

クロ「ベルネさん、あの、ここは…。」
ベル「見ての通り、リール中央駅のプラットホームです。」
アケ「い、いいんでしょうか、私たち入ってしまって…。」
ユイ「入場券、買ってないですよ。」
ベル「それなら機関区の方を案内しましょうか?…そちらなら入場券は関係ありませんよ。」
クロ「さすがにそれは遠慮いたします!」
ベル「…クロエさん、貴方はもっと自分の交友関係を利用するべきです。」
ユイ「…でも、すごい熱気ですね。」
ベル「お客様が多いですし、それに鉄道ではまだまだ蒸気機関が主力ですから…冬場だとちょうどいいんですけどね。」
クロ「ふーん…。」
ティ「あれ、君たちは…さっき改札の外で会った人、だよね?」
クロ「あ、君はさっきの…。」
ティ「なに、わざわざ入場券買って入ったの?…そんなに見たかった?」
クロ「いや、あの、その…。」
ベル「私の権限で招待しました。」
ティ「!…しゃ、社長!これは失礼しました!」
クロ「いや、失礼なんてそんな…。」
ベル「今回は構いませんが、不用意な言葉使いは慎みなさい、ティオ。…その口調を不愉快に思われる方もいらっしゃるのですから。」
ティ「はい…失礼しました。」
ベル「これから乗務ですか?」
ティ「はい、カナウスまで往復の乗務になります。」
ベル「それならもうすぐ到着ですね…頑張って。」
ティ「はい!…君たちもせっかく社長にエスコートしてもらえるんだから、しっかり楽しんでね!」
タッタッタッタッ…
クロ「…彼女は?」
ベル「当鉄道で車掌を勤めているティオ=ヌックスです。」
ユイ「お知り合いなんですか?」
ベル「ええ、個人的に少しだけ。」
アケ「どんな方なんですか?」
ベル「とても仕事熱心で…優秀な車掌ですよ。」
駅員『間もなく三番線にカナウス行、普通列車が参ります。危険ですのでホームの端から離れてお待ちください。』
ティ「申し訳ありませんが、危険ですので下がってお待ちくださーい!」
アケ「…まあ、優秀かどうかは分かりませんが。」
クロ「仕事熱心なのは間違いなさそ…!危ない!」
ティ「えっ!」
ドン!
ティ「きゃあっ!」
グラッ!
クロ「くっ!」
パシッ!
ギギギーッ!
ティ「…あれ?」
クロ「大丈夫だった?」
ティ「あ…うん、ありがとう。」
駅員「すみません、手荷物用のカートが勝手に…。」
ベル「カートは勝手に暴走しません。貴方の不手際です。」
駅員「しゃ、社長…。」
ベル「もしぶつかったのがお客様でも同じように言えますか。…カートから離れる際にはきちんと輪止めをしなさい!」
駅員「も、申し訳ありませんでした!」
ユイ「…こ、怖い。」
クロ「…。」
ティ「…あの。」
クロ「はい?」
ティ「…手、離してもらっていいかな?」
クロ「あ…ごめん。」


? リールうろつき

「リールで降ろす予定だった郵便物を一部降ろし忘れまして…申し訳ありませんが、取ってきていただけませんか?」

ベルネさんからの依頼で、ティオの乗務する郵便列車から誤配された郵便物を受け取ってくることになる。ティオは港まで郵便物を届けにきてくれるが、その間に停車中の郵便列車が突然爆発する。

? ブランシェうろつき

「確かに、本当の両親に会えたら嬉しいけど…ベルネさんたちも、やっぱり私の両親なんだよ。」

ブランシェで偶然ティオと再会、パラダイス・カフェでしばし談笑する。このとき彼女の生い立ちについて知る。

? リール到着時

「連結器さえ切れれば…最悪の事態は免れる!」

リールへ向かう途中、暴走する列車を発見。乗務中のティオと協力して列車を止める。

? リールうろつき

「貴女は…貴女のせいでお客様に死者が出たとき、責任が取れますか。」

ベルネさんから最近ティオの周囲で不審な事件が連続していることを聞かされ、ファッティホエール号で一時彼女の身柄を預かることになる。






No.105
■捏造祭延長戦「天の秤を正す者・序章」 投稿者:文一郎 投稿日:2012/04/14(土) 20:57

私が警察官になった理由ですか?

…アーサー王になりたかったんですよ、私。

子供の頃に憧れた正義の騎士になりたくて、警察官になったんです。

…もちろん分かってますよ、彼が本当は正義の騎士でないことぐらい。

リチャード王が侵略者で、劉玄徳が野心家であることも知っています。

…それでも、私は好きなんです。おとぎ話の中の正義の騎士が。



天の秤を正す者



<序章>

私の故郷、クインシティは霧の都と呼ばれる。陰鬱な気持ちを助長するその霧が嫌いだったのも、インターポールへの異動を願い出た理由の一つだった。
だが、まさかクインシティよりもずっと南にあるブランシェで、こんなにも陰鬱な霧に出会うとは…少しも予想していなかった。

「こんにちは、よい天気ですね。」

振り返ると、そこには褐色の肌をした女性が立っていた。地中海の太陽に照らされた銀髪が美しく輝いている。女性は、私と目が合うとにっこりと微笑んで話し始めた。

「失礼ですが、インターポールの方ですか?」
「はい。」
「ネグロの奴隷市場の捜査を担当していらっしゃる?」
「捜査本部は既に解散しました。」
「ほう、そうでしたか。」

彼女は驚いたふりをして見せた。…別に、彼女の演技が下手だったから芝居だと分かった訳ではない。
本当に知らなかったら、ブランシェでネグロの事件の捜査官を探す訳がないのだ。

「いったいなぜ解散したんです?」
「失礼ですが、あなたはどちらの社の方でしょうか?…公式な取材でしたら、広報部の方にお願いします。」
「おっと、申し遅れました。私、フリーのジャーナリストをしております、ミーナ=ウッドペッカーと申します。」

そう言って彼女は名刺を差し出した。私はチラッとだけ目を通すと話を続けた。

「捜査本部が解散したのは、事件が解決したからです。」
「解決、ですか?」
「ええ、子供の悪戯でした。」
「あんな大きな絵を…子供が、ですか?」
「はい。ネグロの公安の方に自首があったそうです。」
「ということは、インターポールの方で確認した訳ではないのですね?」

彼女、いや、ミーナは探るような目つきでそう問いかけてきた。

「司法権が国家に属する以上、当事国の同意なしにインターポールが捜査を続行することはできません。」
「その通りですね。」
「ええ。…もう、よろしいでしょうか。この後本部の方に報告に行かなければなりませんので。」

私は手早く話を切り上げようとした。だが、ミーナは歩き始めた私の後ろから、なおも質問を続けた。

「あなたは本当にこれが子供の悪戯だと思っているんですか?」
「捜査本部はそう判断しました。」
「捜査本部ではなくあなたの見解を聞きたいんです。」
「私も同意見です。」

そんな訳がない。捜査員の誰もがそんなことを思っていない。

「本当にただの悪戯だと思っているんですか?」
「ええ、その通りです。」

そんな訳がない。あんな精巧な地図を悪戯で書くはずがない。

「本当に犯人はただの子供だと思っているんですか?」
「ただの子供の仕業です!」

そんな訳がない。あの絵は…あの絵は…





あそこに奴隷として入った者が描いた絵だ!





あの絵に描かれていた部屋を入口から一つ一つたどっていけば分かる。
持ち物を、衣服を全て奪い取られ、体を隅々まで調べられ、檻に入れられ、焼印を押され、そして…売られる。
あの場所で人間としての尊厳を全て奪い去られた者にしか描けない絵だ。
ただの子供が描いた絵であるなんて…あの絵を描いた者に対する最大の冒涜だ!

「…ナージェン商会、です。」
「えっ?」

私は思わず振り返った。ミーナが突然発した言葉の意味が、全く分からなかった。

「捜査本部が解散する直前に、インターポールの上層部とナージェン商会の幹部が極秘裏に接触していました。おそらく、奴隷市場側の意向を受けてだと思われます。」

ミーナの顔は真剣そのものだった。まっすぐな瞳で、じっと私の瞳を見つめていた。

「…なぜ、そのことを私に?」

ようやく私の口から発せられた言葉、その言葉を聞いたミーナはすっと私に歩み寄り、ハンカチを差し出してこう言った。

「あなたの心の中に降る雨が、目から滴り落ちてますよ。」

―――

「ファッティホエール号は102番埠頭ですよ。」
「そうですか、ありがとうございます。」

捜査本部解散から一年、私は正規の仕事の合間を縫ってナージェン商会、そして奴隷市場に対する捜査を続けていた。
もちろん、正規の捜査の間に片手間で行う捜査が上手く進むはずがなかった。だが、あの絵を描いた絵師の存在が、折れそうになる私の心を支え続けた。
そんな折、一つ妙な噂を耳にした。最近、ナージェン商会の一人娘の友人がとある空族団に加入したらしい。
リール海上保安隊の紫竜と呼ばれた名パイロットが無名の空族団に参加…その陰にナージェン商会が、そして奴隷市場がいるなどというのは考えすぎかもしれない。
でも、もしそうだとしたら…突破口が開けるかもしれない。
私は僅かな望みに懸けてみることにした。

「よーし、そろそろ出発するぞー!」
「すみません、あなたがクロエさんですか?」
「えっ、そうですけど…あなたは?」
「ゴーランド商会のゲオルグ=ウズーレと申します。実は、ネグロまで急いで行かなくてはならない用事が出来まして…きちんと代価はお支払いしますから、乗せていっていただけませんか?」
「そうですか…ユイ、アケチ、別に乗せてもいいよな?」
「いいよ!」
「私も別に構いません。」
「了解。…すぐに出発しますんで、早く乗ってください。」
「ありがとうございます!」



ジョージ登場イベント

発生条件:イーベルが仲間にいる状態でリールから出発する

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パワポケスタジアムで行われた「パワポケ空族祭」の作品をまとめてあります。
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