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空族祭SS usuki


No.25

■捏造祭り連続イベント「古代遺跡の真相(2)」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/12(月) 22:04

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カ「……今日集まってもらったのは他でもない、我等の目指すファントゥームについてでやんす」
バ「かつて、我等の文明より以前に、遥かに高度な科学技術を擁した古代文明が存在した……そういう解釈でしたね」
ス「ハッ、もったいぶるなよハカセ。一体何が言いたいんだい?」
ジ「今回、さまざまな遺跡や古代文明のかけらなんかを解析した結果、その解釈を改める必要が出てきたんだよね」
バ「ええ。古代文明の終焉は我等の求める『不死身のゴーレム』による文明破壊と考えられてきましたが――」

「――それ以前に、世界は既に滅亡していたのです!」

カ「な、なんでやんすとぉー!?」
ヨ「うるさいわよ団長。……ババヤガン、どういうこと?」
バ「フム。言うなれば、今我々が成立させた文明を『三巡目の世界』とでもしましょうかね」
バ「ファントゥームに眠る『不死身のゴーレム』による文明滅亡が起こったのが『二巡目の世界』」
ジ「……つまり、このファントゥームなる浮遊都市は、『不死身のゴーレム』による文明破壊、
 それ以前の『一巡目の世界』で作られた、ということでいいのかな?」
バ「その通り……もっとも、一巡目、とも限りませんがね」
ヨ「……まさか。この世界が、何度も何度もやり直されてるって言うの?」
カ「あ、頭がこんがらがってきたでやんす……」
ス「ヘイ、ヘイ、ハカセ。そいつはちょっと話がブッ飛びすぎじゃないのかい?」
バ「あなたの鳥頭ほどトンじゃいませんがね。ジオットに集めてもらった遺物も用意してきたのですが、
 まあそれは後ほどとして……とりあえず、こちらの石版をご覧下さい」
ヨ「ええと……空飛ぶ島が浮かんでる?」
カ「地面は竜巻、洪水になってるでやんすね。刻まれた古代文字は……」
ジ「『女神』『天変地異』……『方舟』……」
ス「それくらいオレでも知ってるぜ。方舟伝説、だろう?天にまします我等が父を讃える連中のよく唱える文句さ」
バ「それが、事実……『一巡目の世界』で起こった文明破壊の可能性があるとすれば?」
ス「……マジかよ?」
ヨ「なるほど。神話のベースとなった出来事があってもおかしくはない、と」
バ「そういうことです。文明破壊をその方舟――空中都市は遺産を乗せたまま生き延びた。
 しかし、何がしかの理由で、再びそこも遺棄され、遺跡と化した――」
ヨ「そして、『二巡目の世界』に至るわけね。で、また人間がその空中都市に足を踏み入れたと」
バ「……では、こちらの資料をご覧下さい」
ス「ヒューッ……こいつぁ、タマゲタぜ」
ジ「空に舞う要塞。戦闘機と、竜……それに対して、地上の……球体の異形の戦争?」
バ「これがおそらく『二巡目の世界』で起こった出来事。そのクライマックスが――」
ヨ「ゴーレムの出現……!」
バ「そういうことです。後は、数多ある伝承の通り、ゴーレムが世界を焼き払い……」
ジ「我々のいる『三巡目の世界』がやってきた、というわけだね」
バ「そして、これは推測になりますが――ゴーレムは『二巡目の世界』の兵器群を跡形も無く抹消したことになりますね」
ス「それがどうかしたのかよ?」
カ「……なるほど。文明を破壊できるほどの超兵器が、途端に現れるのも妙な話でやんすね」
バ「はい。おそらく、『ゴーレム』は何かの脅威に備え、空中都市にもとから封じられていたモノと考えられます」
ジ「つまり、ゴーレムは『一巡目の世界』の産物ってところなのかな?」
バ「……と考えるのが自然でしょう。まあ、一体何に備えてそんな超兵器を建造したのか――
 実に、興味深いところではありますが、ね」
ヨ(ゴーレムの力……世界を灰燼に帰すような力で対峙しなければならない『敵』って、一体――)

■設定補足
10裏の某ラスボスのセリフが元ネタの展開。
古代遺跡ファントゥームは竜族の産物でも、古代人の手になるものでもなく、
そのさらに以前から存在する、超々古代文明によるものであるらしい。





No.46

■捏造祭りイベント「星に願いを」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/16(金) 23:41

夜のファッティホエール号。
海上に停泊した我等が母船のデッキの上に、俺――クロエ・ユウは顔を出していた。
警備も兼ねて船内をぶらついていたわけなのだが……

「ん……明かりもつけずに、デッキの上に誰かいるぞ? あれは――」

見覚えのある人影。こんな変哲な場所で出会うヤツと言えば――

「なにやってんだ。夜風は身体に毒だぞ、エンゼル」

潮風に髪の房を揺らしながら、夜の帳を見上げていた少女が振り返る。
……あんまり驚いた風がないのは、耳がいいからか、それとも勘が鋭いからなのか。

「あ、クロエ? へへー、運が良いね」

俺を認めるなり、まんまるな笑みを浮かべたエンゼルが指で天上を指し示してくる。

「へ? なにがだ?」
「ほら、空見てごらんよ、空」
「?」

導かれるように見上げた夜天は、さしあたってどこも変わり映えなどないように見えたが――
ふいに、視界の端を掠めた柔らかな光に、目が吸い寄せられていた。

「――さぁさ、その眼で篤とご覧あれ!」
「……!」

並び立つエンゼルの喝采のもと。
闇に瞬く星々の間をすり抜けるように、夜天を滑る幾重もの光の文目。
切れ目無く絶え間なく、闇の彼方より降り注ぐその光の名は――

「……流星――か」
「うん。西の空、双子座の向こうから流星群が来るってね。いつか、その日取りを教わったような気がしてさ」
「凄いな。星読みの術まで心得てるのか」
「まあね。色々、英才教育で叩き込まれましたから……」

微妙に渋い顔でぼやくエンゼルは、そのままついと星空に視線を飛ばしてしまう。
なんだか突っ込むのも気が引けて、しばらく黙ったまま、俺も流れる星々の競演を眺めていた。
……二人の間に横たわる沈黙。けれど、それは決して気まずいこともなく。
むしろ、不思議と心地良い時間なのだった。

「さって、これだけ星が来てると、願い事し放題だねっ!」
「願い事?」
「あれ、やらないの?流星が流れるまでに三度願いを唱えられたら、それが叶うってヤツ」
「……いや、俺は初耳なんだが」

きょとん、とした表情でしばし見つめあってしまう。
むしろ、俺にとっては流れ星は死者の象徴とか、そっち系のイメージのほうが強いのであるが。
どうも、エンゼルにはまた違うファクターを示すもののようだ。

「? ……あっそうか、これは極東のほうのまじないだったっけか」
「へえ……そんな風習もあるんだ。ホント、エンゼルは物知りだな」
「そ、そお?えへへ……」
「んじゃ、オレもやって見るとするかな――」

……とりあえず、適当な願いを選定して、脳内で反復。
よし、ならばいざ――来た、星来たッ!

「――って、うわ! ム、ムリだろこれ!?」
「そりゃそうさ。あんまり欲深いと、お星様に見放されるよ?」

唸る俺にニヤニヤと、エンゼルが笑みを零してくる。む……なんだか思考を見透かされた気がします。

「……つーか、それじゃ大したお願いもできないんじゃないか?」
「あはは。ま、そう思うよね。確かに至難の技なんだけど……
 難しいからこそ、本当にできたなら、願いがかなえてもらえそうじゃない?」
「……そういわれれば、まあそうなんだろうけど……よし、もう一回……!」

………
……


「くあーっ!全然ムリじゃねえかー!!」

夜空のバカヤロー!のノリで、絶叫をあげてみる。
試行錯誤を繰り返すものの、まるで上手く行きゃしないのである。

「……ムキになるもんでもないと思うけどなー」

苦笑しながら肩を竦めるエンゼルの所作も、もはや俺を煽る結果にしかなっていない。

「くっそー!」

我知らず熱くなっていたのか。思わず、デッキを蹴って夜空に向かって跳躍し――流星に向かって大きく手を伸ばしていた。
ほんの一瞬の無重力。精一杯伸ばしたその腕が、流れ行く輝きに重なり――けれどその手は何にも届くことなく、夜風をかいて。
掌をすりぬけた流星は、まるであかんべーをするように最後の煌きを見せて、無音の闇へと解けていった。

「……なにやってんのさ?手ぇブンブン振り回して」
「いやな。この手で逃げてく星をふん掴まえて、その間に願いを唱えるとかできないかなー、ってさ」

と、割合本気にぼやいてみれば。

「…………」

あんぐりと。エンゼルが、俺のことを見やっていた。
……俺、そんなにヘンな事しただろうか。

「……エンゼル?どうした?」
「……ああ、いやね。ヒトにはそういう発想もあるんだなー、って、関心してただけ」
「む。ガキっぽいとか思ってないか?」
「ううん。あたしには思いつかなかったからさ、ホント」

エンゼルの面差しに、食ってかかるような気勢も、いつの間にか削がれていた。
眉根を寄せて、うっすら苦笑い。その顔が――本当に悩んでいるような、そんな表情だったから。

「そうか?」
「うん………なんていうかさ。困るじゃない」
「困る?」
「そ。もしこの手を伸ばして、星に手が届いてしまったら――
 次からは、一体何に願いをかけたらいいんだろう、ってね」

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「エンゼル……」

……なんとなく、言いたいことはわかる。欲して届かないから宝物。
幻想は触れられないからこそ美しく、神秘たりえるモノ……
だから、決して触れてはいけないものだと。そう、エンゼルは思っているのだろう。
古風というか、信心深いというか。いや……そういう領域の話じゃないのかもしれない。
彼女に言わせれば、それは――

「つまるところ……ロマンがない、ってか?」
「! そう……そうだね。そんなカンジかな」

その刹那に、彼女の顔に去来した表情はなんだったのか。
すぐにいつもの笑顔に溶け込んでしまって、よくわからなかったけれど。
なぜだか、それが――ひどく、胸をざわつかせていた。

「心配しなくたって、星に手は届かないって。あの星たちだって、ホントは宇宙の彼方にあるんだし」
「………あらら。もうちょっとロマンチックなお答えを期待したんだけどなー」

……む、我ながら、確かにちと失敗だったかなと思う。
やりなおしー、と言わんばかりに、エンゼルが何かを思いついたようなイタズラっぽい表情を浮かべてきた。

「じゃあさ。その星はどうやって輝いてるか、知ってる?」
「う……そ、それは」
「ふふん。それじゃああたしが一つ、お話をしてあげましょう!」

くるり、と裾を翻し、流星雨の下でエンゼルが諸手を上げる。
決して届かないハズのその一条の光が、まるでその掌に吸い寄せられるように瞬き――

「こうやってさ。夜空にかけた無数の願いを、流星に運んでもらうんだ。遠く、天の果てにさ」

……思わず息を呑む。見開かれた瞳――細く薄い瞳孔を閃かせる、青き双眸が孕んだ魔力ゆえか。
語るその表情は透徹として穏やかで……それでいて、まるで知らぬ誰かの語りを聞いているようで。

「世界中の人たちの願いを、星は連れて夜天を翔ける。その願いが、また次の願いを連れていく」

釣られるように見上げた夜空のしじまに、瞬く無数の星たちの囁きを聴く。
――無論錯覚だ。だけど……今はそれも、全てが当たり前のように感じられた。
呑まれているのだろう。エンゼルの語る物語……彼女の生きる世界《ロマン》に。

「……だから、夜空はこんなにも美しい。沢山の誰かのした、輝くばかりの願い事で溢れかえってるんだから――」

ゆるやかな所作で、つい、とエンゼルが俺に視線を滑らせてくる。
はにかむように形作られた何時も通りの表情に。ふっと、その厳粛な雰囲気が霧散した――気がした。

「……なーんてね。どうかな?」
「……ああ、面白い解釈だな。なるほど、確かに――綺麗なわけだ」

……敵わない、そう思う。こと、この子の世界を見る目の澄んでいることといったら。
それこそもう、感嘆のため息しか出ないほどに。でも、そうであるのなら――

「なぁ、エンゼル」
「なーに?」
「おまえは……あの星に、何の願いを託したんだ?」

何気ない風を装った俺の問いに一瞬だけ、それとない間を置いて。

「…………家族……故郷のこと、かな。うん、そんなとこだね」

エンゼルは、なんて事もないように、そう返してきた。……その言葉に、多分偽りはないのだろう。
即ち――それが、彼女の届かない宝物。切実な、叶えられることのない想いの吐露。
それをどう受け取ったものかと思案するひとときの間に。

「……そろそろ、おしまいだね」
「ん……」

名残惜しむようなエンゼルの言葉に、流星群の終わりを悟る。
タイミングを逸した疑問は、ただ漠然と胸の内に溶かすにまかせておいた……いささかの、消化不良ではあったけれど。

言葉は交わさず、俺達はただ並び立って――夜天のショーの閉幕までのわずかな時間を、共に過ごしたのだった。





No.55
■捏造祭り連続イベント「古代遺跡の真相(4)」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/18(日) 19:45

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鋼鉄の翼――ギリュウによって空を翔ける力を得た青年は、
もう一つの願望をかなえる機会をも得ていました……かつて離れた、地上の様子を知ることです。
彼の『祖国』は、隣接していた巨大軍事国家『帝国』によって征服され、
青年自身は近海の同盟国に亡命する最中、海難事故にあったのでした――以来十数年。
地上の情報は、一切彼には届いていませんでした。

十数年の間に、地上では『帝国』が世界最大最強の統治国となっていました。
その統治法を見て、青年は慄然とします。併呑した属国を次々に植民地と化し、現地の民を奴隷の如く管理していたのです。
……当然。美しき彼の『祖国』も、帝国の蹂躙を免れませんでした。
自然は切り拓かれ、老若男女問わず、労働力として馬車馬のように使い殺されていました。

空中都市に戻った青年は、少女に懇願します。「仲間を救いたい」と。
最後まで難色を示していた少女でしたが、青年の再三の願いについに折れ、条件をつけて彼の願いに応えました。
青年はまず、民を取り戻す『力』を備えることにしました。
ギリュウを改装し幾許かの武器を設え、自律駆動する機体を建造。度々、地上にゲリラ的な攻撃を仕掛けてまわります。
こうして青年は、虐げられていた同胞を少しずつ天上の都市に招き入れ、空中都市の外縁部に住まわせるようになりました。
救世主として帰って来た智謀の青年……かつての王子を、民は畏敬の念を籠めて『王』と呼ぶようになったのです。

『王』は一部の民に自身と同じ《知恵》を授けます。
青年がかつて少女に受けたソレのように、身体に遺跡への接続ポイント――呪紋を刻み、
遺跡の膨大な知恵や技術を自由に検索することが出来るようになった人々……偉大なる古代の叡智を繰る『碩学』(せきがく)を生んでいきました。

『王』を中心とした、超古代文明の知恵を継承する空中都市国家・ファントゥーム。
その繁栄は凄まじく、成立から僅か十数年で、地上の文明を遥かに凌ぐ高度な科学技術を有するに至っていました。
彼を尊敬する沢山の人々に囲まれた『王』の傍らには変わらず、美しき『姫』の姿がありました。
二人は民に祝福され、楽園で仲睦まじく暮らしたということです――


エンゼル「めでたしめでたし……とまあ、さわりだけですが。こんなお話だったのさ。」
アケチ「ふむ。東洋のほうに伝わる、天女の伝説にも通じるところはありますね」
エ「あるいは竜宮城とかね。うん、あれも良い話だよねー」
クロエ「……難しい話はいいけどさ。それが、エンゼルの里に伝わってた伝承なんだ」
エ「あたしもお父さんに聞いた話だからね。代々、語り継がれて来たって話だけど……」
ク「レッドさんにか……」
ア「クロエくん、どうしました?」
ク「……ああいや。なんでもないよ。ありがとうエンゼル」
(なんだか、違和感があるな。
 ……レッドさんなら、何か知っているのかな?)


■ランダムイベント・語り部レッド

ク「レッドさん。釣れてますか?」
レ「おお、少年。外道ばっかりだけどな。……今日はどうした?オレの出番か?」
ク「ああ、いや。大した事じゃないんですけど……
 エンゼルから、レッドさんがしてくれたっていうファントゥームにまつわる御伽噺を聞いたんですよ」
レ「……ああ、アイツはあの話が大好きでね。今お前さんたちに同行してるのも、それが原因だろう」
ク「ええ、そりゃ熱心に語ってくれました。……で、ちょっと気になったんですよ」
レ「なんだ?」
ク「あのおはなし……あそこで終わってるんですか?」
レ「………どうして、そう思うんだ?」
ク「いや、なんというか。ロマンはありますけど、なんだかあっさり終わりすぎてるような感じがして」
レ「………鋭いな、少年。親心ってヤツかな。……ことに、アイツにはこの続きは聞かせたくはないんだ」
ク「……?というと?」
レ「御伽噺ってヤツはな。美しい幕引きはあっても――幸せには終わらない、ってことさ」
ク「! ……グリム童話とかみたいに、ですか?」
レ「ああ、そんなところだ。もともとが、何かの教訓を子供にも判りやすいように伝えるためのモンだから、当然っちゃあ当然なんだがな」
ク「教えてもらえませんか、その続きを。一つでも、手がかりが欲しいんです」
レ「……いいだろう。その話はな。こう続くのさ――」



……ですが。平穏は長くは続きませんでした。
発展した技術は、人の欲望をも肥大させるものです。
虐げられていた民の行き場のない憤怒は、一つの願いとなって結実します。

――かつて奪われた祖国を取り戻す。

空中都市の民達からそんな声が出てくるのも、当然の帰結でした。
……王は悩みます。姫は表情を曇らせています。戦いを望んでいないことなど明らかでした。
しかし……青年は、既に王だったのです。臣民の声を無下には出来ず、祖国を取り戻すための行動に打って出ました。

先ずは交渉。先進的な技術を武器に、帝国に割譲を迫る――
武力衝突をしないで済むならそれに越した事はない、という判断でしたが……帝国は、これを拒否。

頑なに開戦を拒み続ける姫に対する罪悪感に蓋をして――王はついに決断します。
ギリュウ飛行戦隊を旧祖国領に投入、大々的な奇襲攻撃を敢行したのです。
その戦果は絶大。瞬く間に祖国の主要都市のほぼ全ての奪回に成功しました。

ですが、帝国も無策で矛を交えた訳ではありませんでした。
地上の遺跡から発掘された機械人形……『システム』を、不完全ながらも運用していたのです!
ギリュウは空陸において優秀な兵器ではありましたが、こと陸戦においては、頑強なシステムに分がありました。
そしてなにより……配備された機体数に、大きな開きがあったのです。
結果、粘り強い陣地防衛戦、歩兵同士の会戦では、帝国側の優勢という事態も少なからず起こっていました。

いつしか、戦況は膠着していましたが……実の所は、両者ともに逼迫した状況にありました。
空中都市は資源に乏しく、生産力に問題を抱えており……
対する帝国側は、空中都市のさらなる超兵器に対する恐れを捨てきれませんでした。

均衡を破る切り札を、両者ともが模索する中――
王には、塞ぎ込んでいる少女を慮る余裕は既になくなっていました。
他の碩学達と共に、探索し尽くした蔵知を再び走査している時――今まで、遺跡内部で踏み込んだ事のない領域があることに気づきます。
それは遺跡中枢の一角……物理的、電子的、魔術的と三重に張り巡らされたプロテクトによって、外部からのアクセスを拒み続けた施設。
王は、その施設の解析に取り組みますが――その最中、えも言われぬ違和感に囚われます。
その施設に注ぎ込まれるエネルギー分配量や資材が、あからさまに過剰なのです。
まるで、その小さな一角の為に、この空中都市全て存在しているかのようだ――
そう王は訝り、より遺跡を知悉する姫に、その施設について問いかけます。
……返答は簡潔でした。

それに触れてはならない……「禁忌」である、と。

姫の鬼気迫る雰囲気に、さしもの王とて、その施設の解析を差し止めざるを得ません。

そんなある日。空中都市に、衝撃が走りました。祖国一帯が、帝国の放った秘密兵器によって壊滅したというのです!
調査に出たギリュウが捉えたのは、一面の荒漠たる大地。もうもうと降り注ぐ灰に、歪に枯れ果てた植物に奇形化した動物――
遺跡の蔵知が、その惨劇の元凶を王に教えます。

……反応弾。

それが祖国を焼き尽くし、向こう一世紀間、草一本生えない死の大地に変えた悪魔の兵器の正体でした――



■都市外縁プレート

都市の外側に位置した浮島。都市を囲うように配列していたらしい。
自然に満ち溢れ、無数の動植物が住まっている。下から移住してきた人間を受け容れた空間。
現在、伝わっている都市の伝説からは確認できない部分。





No.66
■捏造祭り連続イベント「古代遺跡の真相(5)」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/20(火) 20:48

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多くの碩学の分析の結果――
祖国を焼き払った反応弾は、火を吹きながら自発的に空を翔け、狙った所で爆発する。
そのような砲弾であることが明らかになりました。その意味するところに、民に動揺が走ります。
この高空にある空中都市すら、その兵器は射程に収めているのではないか……
そのような恐怖が、じわじわと民の間に広がっていきます。

民の帝国への恐怖が、王に救済を求める一方――それより何よりも、王の憤怒は激しかったのです。
王は力を欲し……その執念が、再びあの『禁忌』とされた施設の解析に向かいます。
憑かれたように試行錯誤を繰り返し――ついに、その鍵の開錠に成功したのです!

一人、遺跡の最深部に向かう王。それを、止めようとする者がいます。
姫でした。あの件から人が変わったような王を、必死に留めようとします。
「それは大いなる災いを呼ぶ」――と。
ですが……それも敵いませんでした。
王は完全に掌握下においた遺跡の機能を以って、姫を閉じ込めてしまいました。

やがてその施設に足を踏み入れた王は、目を見張りました。
真新しい一体の巨大な機械人形が、何かを待つように鎮座していたのです。
これこそが空中都市の本丸……人型封神兵器『ゴーレム』の威容でした。

操縦法も装備も何も解りません。ですが、王は直感します。
ゴーレムに手をかざし、念じました。「時は来た」――と。
すると――何かの繋がる感覚とともに、ゆっくりとゴーレムが目蓋を開きました。
王の憤怒と、憎悪に応えたゴーレムが、永き眠りから目覚めたのです!

……その起動と同時。
莫大なエネルギーがゴーレムに注ぎ込まれ、空中都市の大部分が機能を停止した事も――
その影響で多くの人々が暮らす外縁プレートがことごとく滑落した事も――
王の意識にはもう情報として入ってきてはいません。
機械を通し、王とゴーレムは一体化を果たしていたのです。その中枢に刻まれた、根源命令もそのままに。

《作戦:『最終戦争』。その大地もろともに、全ての『敵』を撃滅せよ――》

崩落する空中都市から虚空にその身を躍らせたゴーレムは、その全身から光とも稲妻ともつかないものを次々に奔らせました。
滑らかな弧を描き、その一つ一つが大地に降り注ぐたび――ひとつの国が滅びます。
まさに神が如き――あるいは、悪魔が如き力でした。
ゴーレムに導かれるまま、王は破壊を繰り返し――世界を、瞬く間に火の海に変えてしまいました。
滅び行く文明、燃え尽きる世界を見やっても、王になんの感慨もありません。
もはや王の意識はそこにありません。ゴーレムの核として取り込まれた彼は、ただの部品に過ぎないのです。

……そんな王=ゴーレムの前に、一つの影が立ち塞がります。空中都市から舞い降りた、一体の白い竜。
白雲を思わせるその美しい姿。怒っているような泣いているような、悲痛な咆哮が、天を震わせます。

眼前の全てを破壊しようとするゴーレムの動きが、明らかに鈍りました。
王=ゴーレムは識っているのです。彼女が――その竜が、一体誰なのかを。
ですが、ゴーレムは止まりません。その腕を振り上げ、稲妻を放ち、眼前の脅威を撃ち砕こうとします。
……その一瞬の躊躇いで十分でした。白い竜が、その顎でもって、王の収まったゴーレムの喉元に食らいつくには。

世界を塗りつぶすかのような、眩い光が走ります――

一刹那の後。至近距離で放たれた雷弧は、白竜の半身を焼き。
同時、王は、噛み千切られた部品と共に、ゴーレムから引き剥がされていました。

破られた逆鱗、血の涙を流しながら――もはや白竜は、飛ぶことも敵いません。
薄れ行く意識の中。彼女は、奪い返した彼を、やわらかく抱きしめました。
……ごめんね、と。ただ、それだけを思いながら。

彼にも、まだ意識はありました。ゴーレムに力を抜き取られ、もう、身体も満足に動かなかったけれど。
包み込むような熱を逃すまいと、能う限りの力で強く、その温もりを抱きしめました。
……すまなかった、と。ただ、それだけが伝わるように。

落ちる落ちる二人。永い永い一瞬の意志の疎通。
全てを包む空から追放されるように――深い海に、二人の姿は、消えて行きました。

……その様を、冷たい機械の双眸で見送って。
ゴーレムはそれ以上の行動を止め、遺跡へと帰っていきました。
その姿に何かを思ったのか――それとも、標的が無くなっただけなのか。それは誰にも、わかりません。

かくして世界は灰と還り……孤島は未だ空を舞い続けます。
これが、初めてのことだったのでしょうか。それとも……
それも誰にもわかりません。
けれども、その空中都市は、今でも空の何処かで、やがて訪れる誰かを待っているのです――

…………
………
……



レ「……っていう話だったのさ、本来はな。それを、オレがアレンジした」
ク「………哀しい、話ですね。エンゼルがこれ聞いたら、どう思うのか……」
レ「それは―――そこに隠れてるのに、直接聞いてみたほうが速いだろうさ」
エ「!…………」
ク「え、エンゼル?」
エ「……ごめん、クロエ。こそこそ出かけていったから、後をつけてったの」
レ「……いい機会だったろう、どら娘。おまえが目指すファントゥームってのは理想郷じゃない。
  もっと、剣呑ないわくのある場所なのさ」
エ「………でも、あたしは行くよ。ううん、なおさら行かなきゃなんなくなった」
レ「なぜだ?」
エ「そのゴーレムってヤツは放っておけないしね。それになにより――二人が、どういう関係だったのかわからないし!」
ク「二人って……王様と、竜が?」
エ「そ。もとから疑問だったのはそこなのさ。それを突き止めないことには、夜も眠れないしね」
レ「やれやれ……その妙なところをほじくり返すその好奇心はどこから湧いて出るのかね」
エ「さあねー?誰かに似ましたから。それじゃあね、父さん。 クロエ、帰ろう!」
ク「あ、ああ。って、待てよエンゼル!」
レ「――少年」
ク「はい?」
レ「うちのどら娘――エンゼルを、よろしく頼む」
ク「………はい! じゃあ、また!」
レ「おう、人手が必要ならまた来るといい――」
レ「…………」


レ「……… 二人……竜と人間が、同じ世界を分かち合うことができた楽園、か――」



・補足


■反応弾
『帝国』が発掘した最終兵器。
……ようするに弾道核ミサイル(ICBM)。
純粋水爆には程遠く、爆心から範囲数十キロは凄まじい放射能汚染に見舞われる。

■ギリュウ
地上……奪回した『祖国』にも前線基地が構築され、ギリュウやその他先進設備が設けられていた。
反応弾によって吹き飛ばされなかったものはそのまま残り、三巡目の世界の遺跡となった。


■なんで遺跡からシステムが出てこない?
システムはそもそも『ガンダー』が破壊しようとしていた組織のもの。
ゆえにサーチ&デストロイされてしまった。
ギリュウはガンダーからは一応友軍識別されていたため、広範囲攻撃の巻き添えをくらったもの以外は逃げ延びている。

■崩落する空中都市
地上から逃れてきた多数の人間が暮らしていた外縁プレートが、ガンダー起動の余波で崩落。
空中都市に残っていた人間は、崩落しなかった中心部――ファントゥームに残っていた碩学らのみとなった。
……もっとも、肝心要の中枢がほぼ機能停止していたのではあるが。

■呪紋
……ファントゥームにアクセスしその蔵知を探索するために、『王』が同胞に刻んだ紋様。
王亡き後はその技法は失われたが、女系遺伝をするものだということが発覚。
生き延びた碩学たちはその後地上に散り、今で言う『鍵を握るもの』となった。






No.73
■捏造祭りイベント「ヒーローは遅れてやってくる」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/21(水) 22:55

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レ「そうだな。おまえの妄念、おまえの憤怒は正しく――
 その苛烈さゆえに、己が身と世界を灼く。無関係の人々を巻き込んでな」
ジ「もとよりそれが望みだ。ボクの命ひとつで世界が変えられるなら、安い物さ」
レ「……変わらんさ」
ジ「なに?」
レ「長いこと生きていると、色々見えてくるものだ。人はどうしようもなく愚かしく、
  同じ事を何度も何度も繰り返す。とてもこの星の未来を担えるとは思えない」
レ「だけども、同じくらい人は美しい。流れ行く人波の中で、星屑の如く生まれては消える願いと夢、そして……愛を見てきた」
ジ「……ああ、同感だ。確かに人は美しい。だから、美しいままに終わるべきなんだ。
  つまらない拘泥をするから、世界は腐爛し、美しきものは皆、亡者と化してしまう」
レ「亡者とはおまえのことだ。今に干渉できるのは、今を生きる者のみ……死者は、引っ込んでいればいい」
ジ「面白いことを言うね。……だが、やめないよ。ボクが、この世界を終わらせてみせる……!」
レ「……だろうな。走り出した狂気は、止まることを知らぬゆえに狂気たりえる」
レ「然らば、腕づくで止めるしかあるまいな。あの少年にはいささか荷が重い。おまえの相手は――オレの役目だ」

レ「――変身」

ジ「!!」
?『この身に鎧うは血の紅――今なおオレを灼く、煉獄と罪の色』
ジ「真紅鱗の……竜人……!?」
?『ヒトから出でし悪鬼羅刹よ。その心がけは真に天晴れだが――残念だな。そこは、オレがもう五百年前に通った道だ』
ジ「まさかキミは……いや、あなたは……!」
?『そうとも。我は伝承に死せる大悪……あかがねの悪竜。かつて『魔王』と呼ばれた厄災――』
ジ「く、くく……いや、なんとも業の深い話だね。こんなところで『大先輩』と出逢うとはさ」
?『ああ、まったくだ……歯ぁ食い縛れや青二才。キッツイ灸を据えてやるよ……!』

■捕捉

・変身!

負担の大きい全身変化から、コンパクトにまとめ変身継続時間に重きを置いた、レッド独自の竜変化。
(……過去の一件から、彼自身が本物の竜変化を嫌っているフシもある)
彼曰く、ただの変装。ただし、体表面に纏う紅の竜鱗(スケイルアーマー)は紛れもなく本物で、
そのあまりの硬度は、現代兵器で貫くことを許さない鉄壁の守りを誇る。
マナを爆縮させ、エーテルの風に乗り軽やかに翔けるこの埒外の生物は、
このサイズの生命体としては異常なほどのパワーとスピードを以って、敵を蹂躙する。

・魔王

ジオットが昔妹に読んで聞かせた、この世界ではポピュラーな御伽噺に登場する『あかがねの悪竜』。
姫をさらって世界を征服しかけるが、やって来た勇者に討伐された、という筋書きのよくある話。
……そんな簡単に、竜が死ぬわけもないのではあるが。
古代遺跡の一件以降、竜種は基本的にヒトとの関わりを断つ事になるが、
例外的にこのような人類社会に対する義憤から人類種に牙を剥く竜種がいないわけではなかったようだ。





No.95

■捏造祭りイベント「ロマンは此処に」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/23(金) 23:53

1332514410366.jpg

(ファントゥーム最深部)

「だいぶ奥まで来たけど……ううん、方向感覚が狂っちゃって、よくわかんないなー……っと!」
(ズドン!)←殴打音
「鬱陶しいなあ、護衛ロボット……あーぁ。折角頑丈に作ったのに、薬箱、歪んじゃったじゃない」
(グラグラグラ……)
「……上は上で相当派手にやってるみたいだし。クロエたち、大丈夫かな……」
(ズドォン!!)
「きゃ……っととと!?危ない危ない……って、あれ?」
「崩れた壁の隙間に……部屋?ここは……なんだろ、銀行の巨大な扉みたいな?」

(ガコン……)

「……術式施錠? パスワード……んー……もしかして!」

《――ア・イ》

「……開いた!やっぱり……」
(まるで……竜の卵……方舟……揺籠みたい?)
「中に居るのは……男の子?」
「…………」
(生きてる……というか、甦ってる!?)
「…………眠い。うう、コールドスリープは身体に堪えるな……」
「竜……違う、人……でもない。まさか……」
「……姉ちゃんか、オレを起こしたの」
「あ、え、えっと。キミは……」
「ん?オレは……『ソウ』」
「ええと。ソウくん……は、なんでここで?」
「大きな戦がはじまるから……って、母さんに言われてさ。それからずっと、眠ってたんだけど……」
(……ってことは……あの伝承の時代から、ずっと冬眠してたっていうの!?)
「ところで姉ちゃん、ここに来るまでに、誰かと会わなかった?」
「!……もう、ここに……この都市に、ずっと、人は誰も居ないんだ」
「そっか……」
「ソウくん……」
「……わかってたさ。だからこそ、母さんはオレをこの『クレイドル』で永い眠りにつかせたんだから」
(ああ……なるほどね。これが……伝説にある、あらゆる災厄から逃れるためのシェルターなんだ……)
「あ、あのさ、ソウくん」
「ん?なんだよ?」
「キミのご両親って……」
「ああ。父さんは偉くて賢い王様なんだ。で、母さんは、優しくて大きな――白竜、だよ」
「…………!!……そっか! やっぱり……あははは!そうなんだ!」
「ね、姉ちゃん……どうしたの?」
「これが浮かれずにいられますかっての!ああ――そこにロマンは、あったんだ!」
「……意味わかんないんだけど」
「ああ、平気平気、こっちの話だから。ごめん、ちょっとテンション上がっちゃってさ」
「なんでもいいけどさ。……こっちに名乗らせといて、そっちは紹介もなしなのかよ?」
「あ、ごめんごめん。あたしは……竜族の末。天より舞い降りた白翼の天使竜――エンゼル」
「……竜族!じゃあ、母さんの仲間か!」
「ま、そんなところだねー……さって、知りたかったこともわかったことだし。
 後は――上で暴れてる、全ての元凶を片付けるだけかな……キミのためにも、ね」
「……よくわかんないけど。オレも行くよ。
 なんだか……今起こってることを見届けなくちゃいけない、そんな風に思うんだ」
「男の子はそうでなくっちゃね……さぁ、行こう!
 伝説を越える……新たなロマンを創るのも、悪くない!」

(――天使竜エンゼルが戦線に加わりました!)



No.96

■アルバム 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/23(金) 23:53

■エンゼルノーマルEND
条件:エンゼルの御伽噺イベントを進行させていない状態でクリア


人が空を制するようになり、また一つ、不思議(ロマン)は駆逐される。

獣を追い立て野山を切り拓き、夜の闇を制御された稲光が照らし、大洋に鋼殻を鎧う船を沈め……
広がり続ける筈だった世界が円を結び、電信が彼我の距離を喪失させた。
(ロマン)
 未知を次々と貪り尽くしたこの世界に、ヒトを奮い立たせる幻想などもう何処にもない、と。
そんな『現実』に疲れた大人たちはうそぶくのだ。

……本当にそうだろうか?
人の子よ、大空を見上げてみるがいい。

微かな煌きを残し、雲間に消えた、小さな影。
不可思議な軌跡を描き、蒼穹を翔け抜けた"それ"に、子どもたちは息を呑んだ。

「い、今の……」
「なにあれ?」
「すっげー!!」

感じるだろう。その胸の高鳴りを。その高らかなる息吹を……
最後の『夢』は、まだ生き続ける。



■エンゼルトゥルーEND
条件:ソウを発見し、クリア

エンゼルはしばらくしてファッティホエール号を降り、再び世界を巡る旅に出た。
今日も彼女は流れ行く人波に乗り、空を翔る風を切って、様々な人々の営みを見つめている。
……なんのために?

「んー、人の笑顔を見たいからかな?」

ケガをした子どもの手当てをしてあげる。病で困っている人に薬を出してあげる。
大したことじゃなく、ちょっと困っている人の手助けをする。そんなことが今の彼女の生きがいだ。
……かつて、彼女を育てた『誰か』の想いを汲むかのように、彼女は人とともに在り、人と共に笑うのだ。

「あたしの家族は、もう殆どいなくなっちゃったけど。
 ……でもね、ソウくんがちゃあんと教えてくれたよ」

かつて追いかけた伝承の、本当の意味。人と人ならざるモノが、共に歩み、同じ未来を目指した。
その奇跡を起こした源が何かを、彼女はもう知っているから。

「さって。久しぶりに、あの空族くんのところにでも顔を出そうかな?」

その胸の高鳴りが、いかなる感情から生じているのか……
今の彼女には、確かに言い切れるだろう。

「……言葉にするのは野暮だね。ま、そうだねえ……ロマン、とでも言っておこうか♪」



■レッド・アルバム
条件:最終決戦でレッドが変身した&エンゼルがソウを発見し、クリア

「……すっげー、すっげーよレッドおじさん!今の、もっかいやって!」
「いいだろう、よく見ておけよ――」

あのあと、何故だか竜族の新たな希望であるソウは、なぜだかレッドの手に預けられ、ともに世界を巡ることとなった。
本来はソウを見出したエンゼルの役目なのだろうが、「まだまだ若輩ですしー」とそれを固辞。
「もっと相応しい人がいるじゃないですか」との彼女の推挙で、彼の下にやってきたのだった。
……ようは、体のいいベビーシッターなのであった。まあ、本人は満更でもなさそうなのではあるが。

「オレもおじさんみたいに、強くてカッコイイ男になる!
 それで、いつかおじさんに挑戦するんだ!」

まっすぐなその眼差しを帽子で遮り、男はふっと息を吐く。
竜と人。そのどちらでもあり、どちらでもない眼前の少年は――
果たして、どのように育ち、彼らの種族の未来をどう変えてゆくのだろうか。

(やれやれ、責任重大じゃないか。まあ――あんなドラ娘を育てたオレに対する報いかね?)

脳裏に浮かぶ能天気な笑顔に肩をすくめ、期待に目を輝かす少年の頭に、男はぽんと手を置いた。

「はは、そいつは楽しみだ……
 じゃあまずは、しっかりメシを食って、背を伸ばすところからだな!」
「でもおじさん、さっき『ぶしはくわねどたかようじ』とか言ってなかった?」
「…………」





No.103
■捏造祭りイベント『語る者無き英雄譚』 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/26(月) 20:33

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※ジオット裏切り、ゴーレム起動後――


(航空母艦・デスフライヤ艦橋)

*「ゴーレムが無差別攻撃を……第一、第三、第四航空隊、応答ありません!」
*「――ファントゥーム突入部隊からも定期連絡なし!」
コウサカ「ば、ババヤガン様、カメダ団長が!」
ババヤガン「落ち着いてくださいコウサカくん。……あーはいはい。じゃ、現時点の最高位官として指令を出しますよ。」
      これ以上の戦いは無意味です。連絡が取れる部隊から撤収させてください――
      といっても、既に逃げてる小賢しい連中もいるでしょうけどね」
コ「り、了解……!ババヤガン様、どちらに?」
バ「ああ、ここはお任せしますよコウサカくん。ちょっと、後始末に行ってきますから」
コ「りょうか――え、ちょ!?ば、ババヤガン様ー!?」

…………
………
……


?「……どこに行く?マッドサイエンティスト」
バ「おや、無事だったんですか、双炎のお二人」
赤「…………ッ!」
青「……落ち着け赤炎。暗殺に失敗したのは事実だ。俺達に反駁の余地もない」
バ「その謙虚な所は好きですよ。なあに、あなた方はまだ若い。機会など、これからいくらでもあるでしょう」
青「同情なぞいらん。それよりも、戻ってきて見れば……一体なんだ?このザマは」
バ「……いや全く。ジオットくんにしてやられましたかね」
赤「姿が見えないけれど……あの御飾り団長はどうしたのよ」
バ「一目散に逃げましたよ。……いやしかし、あんなお飾りでも、烏合の衆を束ねるのには必要な人材でした。
  おかげさまで、組織の屋台骨は完全にへし折られましたね。いやはや、終わるときは呆気ないものです」
青「あんたのご自慢の”夜鷹”の群れも、あっさり返り討たれたようだしな」
バ「これは手厳しい。後学のために、しっかり分析はしておきますよ」
赤「他の幹部の面々は?」
バ「ヨミチは負傷でベッドにくくりつけてありますよ。スカイは……いの一番に戦場に飛び込んでいきましたけど、多分死んでないでしょう。
  あなたがたも早いところ、身の振り方を考えたほうがいいですよ?」
青「あんたこそ、早いところケツまくって逃げたほうがいいんじゃないか?」
バ「御冗談を。逃げるわけないじゃないですか。これだけの大きな闘争なんです。
  自分の目で、肌で感じない道理はないでしょう――」

「あぁ……今日は、実に多くを学べそうだ――」

青「……アンタも、やはりイカれてるな。あのジオットって奴と同じくらい」
バ「あんなのと比べられるとは心外ですね。私のほうが、より健全ですよ」
赤「どっちが――むしろ、アンタのほうが数倍タチが悪いような気がするわ」
バ「ふん。しかし……あのゴーレムとやらがジオットくんの制御下にあるのは、些か具合が悪い。
  冗談抜きで伝承が再現されてしまいますねえ。アレは、世界を終わらすことしか考えていませんから」
赤「……止めるつもり?あの化け物を?」
バ「私に迎合しない世界に興味はありませんが、世界なくして私の探求もありえませんからね」
青「……並みの戦闘挺では、あのゴーレム相手には通用しないようだが?」
バ「ふふん、私を誰だと思っているんですか?こんなこともあろうかと、きちんと準備はしておいたのですよ」
青「なんだと……?」
バ「では御機嫌よう、復讐鬼のお二人。……いずれまた、見えるときを楽しみにしていますよ」

…………
………
……


(航空母艦・カタパルトデッキ内)

「……チャンション。残存部隊の指揮はいいのですか?」
「敗残の軍に統率も何もありはせん。私の役目は、もう終わったのだ」
「そうですか……しかし貴方も物好きですね。私が言うのもなんですが」
「なに、艇が一機余っているというのでな。どうせ身体も空いていることだ……貴殿に手を貸すのもやぶさかではないさ」
「まあ、感謝はしておきますよ。さて、操縦法はマニュアルの通りです。
 貴方なら問題ないでしょうが……何か質問はありますか?」
「一つだけ。ババヤガン……こいつは、本当に飛べるのだろうな?」
「……請け負いましょう。この新型動力の実験にて殉職した、数多の英霊に誓って」
「いいだろう。では、行くとしよう」
「ええ。人の叡智の結晶――ブラックヘイズ号の初陣ですね」

…………
………
……



(ファントゥーム近郊空域・離脱中のファッティホエール号)


ヘルガ《――カメダ軍団の旗艦が撤退を始めた。我々は残存戦力をかき集めて追撃に向かう!
    各機関に応援を要請しろ。絶好の機会だ、ここで一網打尽にしてやれ!》

ツチ「ってことらしいですが……どうします?」
ソネット「……我々の今の足回りの状態と、損耗した航空戦力では、どうにもなりませんね。
     追撃は、彼らに任せることになるでしょう。むろん、艦長がそれを良しとするかはわかりませんがね」
サーヤ「……やっと……終わったのね…………あれ?」
レン「どうしたの、サーヤ?」
サーヤ「……今、何かが、物凄いスピードで空へ飛んでいったような……?」
レン「え?でも、電探には何も……?」
ピン「おいおい、まぁたワイルドハントとやらじゃねえだろうな?」
ソネット「……それはないでしょう。……やもすれば、もっと厄介なシロモノだったかもわかりませんが」


…………
………
……



「……ファッティホエール号、射程圏外へ――いいのか?」
「ええ。別にもう廃れた組織に忠を尽くすつもりもありませんし。私の予測を越えたイレギュラー、実に興味深いですしね」
「……全く、度し難い。まあ――私としても、彼らの前途には期待をしているのだがな」
「おや。ドライなあなたらしくもないですね」
「ふん。しかし――この機体。もし実戦投入が速ければ、彼奴等などあっという間に殲滅できていただろうな。
 ……現に、今ならば確実に撃墜できた」
「策士たる貴方らしくもない。所詮は『機運』の問題ですよ……正面からかち合えば、勝負などどう転ぶかわかりません」
「それを差し引いても、だ。ジェットエンジンによる音速に迫る最高速度と、フルステルス構造による電探欺瞞……
 あらゆる面で現行の戦闘艇を遥かに上回る性能だ。まさに、あのホーンドオウル号の後継にふさわしい」
「ま、おかげでコストが半端じゃなくなりましたがね。一機で国の財政が傾きますよ」
「それでもコイツを欲しがる国などごまんとある。……まったく、恐ろしいものを作ってくれたものだ」



◆ブラックヘイズ号

ババヤガンが、持ち前の技術力と、カメダ軍団の予算と人員をフル活用(悉く使い潰して)完成させた超々高性能機。
水上艇ではなく、車輪を備えた陸上機。
曲面を中心としたデザイン、レーダー電波を撹乱する特殊材質を利用し、高いステルス性を持つ。
さらに、低非探知レーダーの実用化により、レーダーを使用しても逆探知されにくい特質を持つ。
さらに度重なる(人体)実験によって急ピッチで実用化されたジェットエンジンを二基搭載しており、最大速度はおそらく超音速に至る。
そのため、専用にあつらえた『対Gスーツ』の着用なしでは、操縦することもままならない。
まだこの世界には『空対空誘導ミサイル』が存在しないため、事実上この速力の戦闘機を捉えることは不可能に近い。
例外があるとすれば、フルスペックのギリュウや、サージュ号に搭載されたレーザー兵器くらいのものであろう。
ジェットエンジンの利点である高速性、そして高高度飛行能力は現行の水上艇を遥かに凌ぎ、
まさしく空の王者と言うに相応しいスペックを誇っている。
……ただし、生産コストは尋常なレベルではなく、二機を試作しただけで危うくカメダ軍団の資金繰りを頓挫させかけた。
(技術力の粋を駆使すれば、採算さえ無視できればなんでもできる、ってことらしいです)

武装:内装20mmガトリング砲×2、内装空対空ロケット、そして――



「ま、ここまでのオーバースペックでなくば、今こうして浮上中の遺跡を追いかけることはできなかったわけで。
 不幸中の幸い、とでもいったところでしょうかね」
「たしかに、レシプロ機ではこんな高空まで舞い上がることは不可能だっただろう。
 ……しかし、なぜこの期に及んでファントゥームを追う? まさか、遺跡の住人にでもなる気か?」
「まさか。……いやね。なぜ、あのゴーレムが『不死身』と冠されるか、気になりませんか?」
「伝承でのことだろう。神仏にも等しい力を持っているが故に不敗であると、そういう意味ではないのか?」
「それはそれでロマンがありますが……実の所、もっと現実的な路線かもしれません。
 とある筋から聞き入れた伝承が確かならば、あのマシンは――」
「……!! 視認した。そうか……そういうことか……!」
「ええ……『自律修復機能』とでも申しましょうか。原理はわかりようもありませんが……」
「……だが、あれは既に操縦座を破壊されていると聞いたが?」
「……自己修復する機械が、その程度で止まるわけがないでしょう。……ほぉら、動き出しましたよ!」
「ッ――なんて、非常識な!」
「……素晴らしい。たとえ操縦者を失っても――自律駆動で戦いを続ける。兵器としては最高の一品ですね」
「ふん?また随分と含みのある言い回しだな?」
「思うところがありましてね。あのゴーレムとやらは……なぜ自律駆動ができるのに、搭乗者を必要とするのでしょう?」
「……そうだな。言われてみれば、何故………ババヤガン、貴殿の意見は?」
「仮説ですがね。あんな巨大な機械を自律駆動させ、空に巨大な空中都市を浮かばす……
 そこまで進んだ科学力を擁した者達も、こう判断したと考えるのが自然でしょう――」

「――機械では人間に勝てない、と」

「ま、そりゃ当然ですよね。如何に高度に発展しようとも、所詮機械は機械。
 ……霊長を騙る人の『叡智』が、そんなものに遅れを取るわけにはいきません」
「…………ッ、フハハッ」
「どうしました?」
「いや……なんだ。貴殿は、随分と人類を買っているのだな」
「当たり前ですよ。無能で無知で自堕落な輩は大嫌いですが」
「……フ、なかなかに手厳しい。それで?標的はあからさまに、起動体制に入ってるみたいだが?」
「一回駆動すると、任務終了まで止まらないようになってるんでしょうね。くわばらくわばら」
「動きそのものは鈍っているようだな……やはり、搭乗者なしでは、フルスペックとはいかないわけか。
 さて――では、我等の『秘密兵器』の出番かな?」
「ええ。……自律誘導飛翔兵器『反応弾』スタンバイ。古代文明の遺産は、古代文明の遺産で片付けるとしましょう」
「……ゴーレムが飛翔を開始。遺跡から離れたぞ――だが、未だ半信半疑だな。
 この弾頭たった一発で、一国に大打撃を与えた、というのは」
「なぁに、団長が提示したスペック通りなら、ヤツを消し飛ばすくらいはなんとかなるでしょう」
「しかし、いいのか?あの機体も、貴殿にとっては貴重な情報の集積だろう?」
「全壊にしたってデータは取れます。さて、いささかガラではありませんが――」



「愛する我等が人類種でも、救ってみるとしますかね――」



(ズ……ドォ―――ン!)




■補足

・ガンダーゴーレム再起動

……ババヤガンの推論は半分正しく、半分間違っている。
ガンダーの『起動』には人の介入を必要とするが、『駆動』においてはその限りではない。
かの破壊兵器の炉心に火を入れるには、誰がしかの強烈な感情をくべ、火種としなくてはならない。
この兵器のある種の安全装置として働いているシステム。
一旦起動すれば、あとは自己修復を繰り返し、課せられた根源命令の完全遂行まで破壊を続行する。


・自律誘導飛翔兵器『反応弾』

……要するに高度なファイア・アンド・フォーゲット能力を持った空対空核ミサイル。
本来はガンダーの備えた迎撃機構や、物性バリアにより威力が減衰されるシロモノだったが、
超人な誰かさんや命知らずな誰かさんのおかげでバリア発振機や迎撃システムに支障を来たしていたため、
上手いこと撃墜に成功した模様。ちなみにこちらの弾頭は伝承のものと異なり、
純粋水爆に近いものでほとんど汚染は無かったようだ。



■ババヤガン・アルバム
条件:ナイトレイダーを撃退してクリア

その後、地下に潜った彼女は再び、表舞台へと舞い戻ることになる。
彼女が招聘されたのは、某超大国が主催した、かつて彼女自身が用いた『反応弾』についての研究計画。
それが後に、世界じゅうを巻き込んだ大戦に終止符を打つことになる『ある爆弾』の開発に結びつくことになる。

その実験の最中……原料物質に触れすぎた彼女自身も身体を蝕まれ、細胞の変質による不治の病を患ってしまう。
だが、それでも彼女はめげなかった。余命を宣告されながらなお、自らの身体を被験体とした、治療薬の研究に勤しみ……
最後の最後まで、その存在の全てを科学の発展に捧げた人生に、幕を引いた。

多くを殺し、多くを救い、そしてさらに多くの人に科学による利器と豊かさをもたらした鬼才。
その功罪は、果たして同じ人の身に計りきれるものではないのだろう。
……ちなみに。彼女がその技術開発で成した莫大な財は、
現在もなお、先進的な知見と技術を見出した科学者に報奨として贈られている――


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pwpkkmnriderdcd

Author:pwpkkmnriderdcd
パワポケスタジアムで行われた「パワポケ空族祭」の作品をまとめてあります。
管理人:BLUE

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