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■小説・読み物(41-60)


No.60
■「追いかけてた背中」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/19(月) 22:01

決戦数日前、ユウはマダラにある一つの疑問を聞いた
「マダラさんは・・・ファントゥームまで付いてくるんですか・・?」
するとマダラは少し考え込むように
「そういえば・・・そんなことも言ってたのう・・・」
「ええ、けどマダラさんは傭兵です 無理して僕たちに付いてくる必要も無い」
「ああそうじゃな 確かにそこらへんはワシの自由じゃ」
「だからどうするかって聞いてるんですよ、マダラさんは僕たちに付いてきてくれるんですか・・・?」
「駄目じゃなぁ小僧 その言い方 心の奥底でまだどこか不安があるような言い方じゃ・・・」
「なっ・・・」
「ワシは決戦には付いていかんよ、これはお前たちの戦いじゃ、部外者のワシが立ち入れる話でもないわ」
「そうですか・・・」
「じゃが小僧 その前に教えておきたいことがある、付いて来い」
「へ・・・?」
そういうとマダラは船の外へと出て行った。


「どうしたんですかマダラさん・・・! もう皆船で休んでますよ・・・」
その言葉を遮りマダラは話を続ける。
「初めて会った時を思い出すのう小僧 あの時も依頼で来たワシと小僧の二人じゃった 結果はワシの圧勝じゃったがな」
「まったく、そんなことを今さらですか・・・?」
「そこでじゃ・・・小僧」
マダラはユウの足元に一本の剣を投げると。
「ワシと戦え、小僧」
「マ・・・マダラさん・・・?」
「今のお前さんは強い ワシと最初に会ったときより確実にのう」
「だからって・・・」
「はっはっは おじついたか? つまりおぬしはワシと最初に出会ったときから何も変わってないということじゃな?」
「な・・・なんだと・・・! そこまで言うならやってやるさ・・・」
そうしてユウは剣を手に取る、最初に出会ったときを振り返るように彼らの最後の戦いが始まった。


【ユウ一人でマダラとの戦闘イベント勝つか負けるかによってイベント分岐】


【負けの場合】

「うわああああああああああっ」
「甘いのう・・・甘いのう小僧・・・やっぱり何も成長しとらんかったのう・・・」
「くそ・・・」
「まだまだじゃな小僧、少しは成長してるようじゃが、ワシには届かなかったか」
「クソ・・・・クソ・・・」
「まあ・・・話ならお前たちが戻ってきたからいくらでも聞いてやる だからせいぜいがんばるんじゃな・・・」
そうしてマダラは背を向け立ち去っていく
「くそ・・・・くそっ・・・!!」
その背中をユウはずっと見つめていた。



【マダラビターアルバム:半人前】

決戦が終わった後も、ちょいちょいマダラさんは顔を見せては僕に稽古を付けていってくれる。
「ほらほら小僧、まだ素振りが終わってないぞ」
「マ、マダラさん・・・僕にはユウってちゃんとした名前が・・・」
「それがどうしたんじゃ そんなこというくらいならワシを倒してからにせんかい」
「は・・・はいぃ・・・」
こ、これでいいのかなぁ・・・。




【勝ちの場合】

「ど・・・・どうだ・・・!!」
「なるほど・・・」
と、呟くとマダラは剣を納める。
「おぬしの勝ちじゃ、小僧 ずいぶん立派になったのう・・・」
「へ・・・?」
「だから、おぬしの勝ちじゃ まさかどっちかが死ぬまで斬り合うつもりだったんか?」
「い・・・いや・・・そうじゃないですけど・・・」
「こうなった以上、もう小僧とは呼べんの・・・ほんとに立派になったもんじゃユウ・・・」
「マダラさん・・・」
「おぬしはもう十分成長した・・・ワシは必要ないな」
「へ・・・?」
「だから、もうワシは必要ないじゃろ 今まで通り気ままな仕事人にでも戻るとするかの、娘候補でも探しながらな」
「け・・・けど・・・」
「自信を持てユウ! おぬしだったら、抱えてる目標をしっかり達成できるじゃろう」
「マダラさん・・・」
「じゃあな、ユウ 次に会うのは・・・お前さん達がしっかり目標を達成して無事にこっちに戻ってきてからか?」
「そう・・・なるかもですね・・・」
「何、そんな悲しそうな顔をするな 死ぬわけじゃない 会おうと思ったらまた会えるさ」
「そうです・・・ね! 僕も頑張ります・・・!!」
「その息じゃ、さらに立派な操縦士になってるのを期待してるぞ」
こうしてマダラさんは去って行った。
最後まで捕らえどころの無い人だったけど、居なくなったらなったで寂しかったのかな。


【マダラハッピーアルバム:一人前】

決戦後、僕たちはいつも通り船に戻ってきた。
そこにはいつも居てくれた影は無い。
「マダラさん・・・僕・・・目標達成出来たんですよ・・・言ってもらったとおり・・・しっかりやりとげました・・・」
初めて会ったときからずっと嵐のように騒がしくて、去るときも本当に静かに消えたあの仕事人。
「居るのが普通だと思ってたから・・・居ないと意外と寂しいものだな・・・」
言った事は全て闇に掻き消されたと思ったのに、
「よっ?ユウ 元気でやっとったか・・・?」
後ろには予想も出来なかった影が
「な・・・なんで・・・?娘探しに出たはずじゃ・・・?」
「いやぁ・・それなんじゃがな・・・ わざわざ綺麗な子が沢山居るこの船を離れなくてもいいんじゃないかってなってな、戻ってきたんじゃ」
「そんな・・・紛らわしいことしないでくださいよ・・・」
「で、どうしたユウ ワシが居ない間もしっかり自分を磨いておったか?
「まあ・・・そうですね・・・」
そして僕は自信ありげに答える。
「もう今度こそ、完全にマダラさんにも勝って見せます」


No.59
■イベント「どういう関係?」 投稿者:クロル 投稿日:2012/03/19(月) 03:13
挿絵あり
モモコは、パラダイス・カフェへ来た途端にクロエの仲間の座っているテーブルへと連れて行かれた。
そこには女性しかおらず、他の客とは異なった雰囲気を放っている。状況が飲み込めず、
顔をしかめていたモモコに言葉をかけたのは、サクラだった。
「うにゅー、モモコちゃんってぇ、ヒカリ君とはずばりどういう関係なの?」
「…は?」
思いも寄らぬ質問に、戸惑うモモコ。
そんな彼女とは裏腹に、余裕の笑みを浮かべ、返答を今か今かと待ちわびているサクラ。
両者激しい攻防戦を繰り広げたあげく、
「バカ者!」
と言い残し、その場を後にするモモコ。
「うにゅー…失敗しちゃったなぁ☆」
と天使のような微笑を浮かべる悪魔…もといサクラ。

それから数日、モモコはカフェに来なかったらしい…


No.58
■捏造祭りSS『ショウカ』 投稿者:無頼 投稿日:2012/03/19(月) 17:52

「来るな! 紅蓮の悪魔め! こっちに来るな!」
――違う、俺は悪魔なんかじゃない。
「火を振りまく災厄め! さっさとこの街から出て行け!」
――違う、俺は災厄なんかじゃない。
「死ね! 早く死んでしまえ! この世界から消えてしまえ!」
――やめろ。やめろ。

「あんたなんか、産まなきゃよかった。」
――どうしてだよ、母ちゃん。
「お前は生まれてくるべきではなかったのだ。」
――どうしてだよ、父ちゃん。
――どうして、俺の事をそんなに嫌うんだよ。
「お前は死ななくてはならない。
 親としてのせめてもの情けだ。苦しまずに死なせてやる。」
――いやだ。いやだ。いやだ――!!

瞬間、縛り上げられた一人の少年に迫る二人の男女の身体が、一瞬の内に燃え上がった。
人の形をした火柱そのものと化していた。
悲鳴が上がる事は無かった。
二人の男女の身体は、すぐに生前の姿を留めていない、
炭化した杭のような物体へと変わり果てた。
そして、水分を完全に失った二つのかつて人間だった「それ」は、
パサリ、と軽く乾いた音を立てて、崩れ落ちた。
「………うわああああああああああああああああああああああああ!!!」
後に響いたのは、一人残された少年の悲痛な叫びだった――。





「くっ……!」
意識を覚醒させたファイアバグは、目を見開くと、周囲を見回した。
視界に映るのは、愛機『ヴァイレン・ネメシス』の見慣れたコクピットの風景。
それを目にした瞬間、安堵にも似た気が彼の心中に広がる。
――ここは、「夢の中」ではなく、「現実」だ。
「ハァ…ハァ…糞が…! またあの夢か…。」
彼の身体は、汗に濡れていた。

コクピットをわざと乱暴に開け、ファイアバグは愛機から降り立った。
彼の覚醒に気付いた周囲のカメダ軍団団員達は、
すぐに姿勢を整えると、彼に敬礼する。
恐れ戦いている様子なのは、明白だった。
ファイアバグは明らかに不機嫌な様子で、周囲を見渡す。
周囲の団員達の肝が冷える。
まるで、蛇に睨まれた蛙のようだった。
その中の一人に、ファイアバグはゆっくりと近付く。
自分に近付いてくる狂気の放火魔を前に、
若いその団員の頬をいくつもの冷や汗が伝い、心臓の鼓動が速度を上げていく。
既に、生きた心地がしなかった。
「…おい。」
「は、はい…!」
「今何時だ?」
「げ、現在は午前9時です。
 ファ、ファイアバグ様がご帰還されてから、7時間ほどが経過…」
「今何時かだけ教えてくれりゃいいんだよ。」
「し、失礼いたしました…!」
「で、何で俺、あいつのコクピットの中で寝ていたんだ?」
「そ、それは…ファイアバグ様がご帰還されてすぐに、
 ヴァイレン・ネメシスのコクピット内でお休みになられてしまいまして…
 だ、団長が、そのままお目覚めまでコクピットの中でお休みになられますようにと…」
「…要するに、俺が帰ってすぐにあん中で寝ちまったから、
 そのまま放っておかれたってわけか…。そうだったか…。」
ファイアバグは寝起きがあまり良くない。
起きた直後は、寝る直前の事を思い出せない時も、度々ある。
「大体わかった。それじゃ。」
「お、お待ちを…、お顔色が優れないようですが、お体の方は大丈…」
「うるせえよ。俺はとっとと部屋に戻りてぇんだ。
 さっさと退け。それとも、消されたいか。」
「ひ、ひぃっ…! も、申し訳ございません! し、失礼しました…!」
顔面蒼白になって謝罪する平団員を尻目に、ファイアバグは基地の格納庫を後にした。


「む…」
基地内にある自室の近くまで戻ってきたところで、
ファイアバグは自室の扉の前に、独り待ち構えている者が居るのを見つけた。
凛とした美しい佇まいの女影。
数少ない女性団員の一人である女剣士・ヴェールの姿だった。
「…目が覚めたか。」
「おはよーさん。この通り覚めてらぁ。」
「昨晩の任務、お疲れだったな。」
「そりゃどーも。生憎だが、まだ少し寝足りねぇんだ。
 そういうわけで、さっさとベッドで横になりたいんで、そこを退いてもらおうか。」
「退く前に、一つお前宛の伝言がある。」
「後にしてくれ。マジでさっさと寝転がりてぇんだ。」
「悪いが、伝え終るまで退く事は出来ない。」
「…何だとテメェ…」
わざとらしく不機嫌そうな顔に(実際、不機嫌なのだが)になると、
ヴェールをじろりと睨みつけ、顔をぐいっと近付ける。
ヴェールは、一切同じた様子を見せる事は無かった。
「そういやぁ最近、色々と不機嫌で溜まっていてな…。
 なんだったら、お前、もしお前がいいんだったら、
俺の「お休みの相手」でもしてもらおうか…。」
そう言って、ファイアバグはヴェールの整ったボディラインの美しい身体を、
舐めるような視線で見渡した。
対するヴェールは、依然無言・無表情のままだ。
「…フン、冗談だよ。」
ヴェールの人間性は、ファイアバグもよく知っている。
彼女の愚直なまでの真面目さと頑固さは、梃子でも動かせない強固な意志を生み出す。
言伝を託すまで、彼女はここを動くことは無いだろう。
それこそ、ファイアバグに焼かれたとしても。
「で、その伝言とはなんだ。」
「本日の時刻18時に、今後の作戦の通達がされる。
 時間までに、オペレーションルームに入室を完了しているように、との事だ。」
「ん…わかった。」
「用件は以上だ。それでは、失礼する。」
「おい、待て。」
「…何だ。」
「誰にその要件を伝えるように頼まれた。」
「…ババヤガン様からだ。」
「ハッ、ハカセも余計な気を回す。
 お前みたいな無口な奴に、メッセンジャーガールを頼むとはな。」
「話は終わりか。では、今度こそ失礼する。」
「おう、お休み。」
ヴェールが去ると同時に、ファイアバグもようやく、自室へと入室する。


「…………くっ…!」
ようやく自室の戻り、すぐにベッドに寝転がって目を閉じたファイアバグだったが、
彼の身体は、安息の眠りに就く事はできなかった。
目を閉じても、闇に浮かぶ、
先程まで愛機のコクピットの中で眠りに落ちていた際に見た、忌まわしき「夢」の光景。
それは、眠りに落ちる事を望む彼の意思を妨げる。
「…なんでだよ…! なんでまた、最近になって…!」
自室のベッドでの就寝を願って戻ってきた彼だったが、
部屋に戻ってきて30分と経つ前に、
彼は室内にあったジパング製の酒瓶一本を片手に、自室を発った。


ファイアバグ。
元はフリーのテロリストで、現在はカメダ軍団に所属する、
世界最悪のテロリストとも目される男。
彼のテロによって命を落とした人間は数知れず、
カメダ軍団に所属する人間の中でも、
最も多くの人命をその手で直接奪った個人ともいえる存在だ。
彼にとってこの世界に恐れるものはなく、
ただ、彼はこの世界を憎み、破壊し、殺戮し、愉しむ。
自らが犯した数えきれぬ殺戮の数々に、彼は一切の罪悪感を抱く事は無い。

ただ、唯一つの殺人を除いて。

彼は最近、同じ夢を何度も見るようになった。
それは、彼の記憶の奥底に封じ込められた、
彼にとっては思い出したくもない、忌まわしい過去だった。

発火能力という異能を持って生まれたファイアバグは、
物心ついた時には、既に周囲の人間達にとって
忌み嫌われ、蔑まれ、そして恐怖される存在になっていた。
そして、実の両親にさえも。

悪夢の内容は、いつも同じだ。
幼い彼に、周囲の人間達はひたすらに恐怖し、憎悪し、
罵声と殺意、ありとあらゆる悪意を向ける。
実の両親からもそれらを向けられ、
遂には息子を手にかけようとする。
死の恐怖を感じた幼い彼は、無意識のうちに「能力」を発現し、
両親は瞬く間に炎に焼かれ、炭化し、崩れ落ちる。
後に残された幼い彼の叫びが響き渡る。
――夢はいつもそこで途切れる。
それは、生まれて初めて彼が犯した殺人。
そして、彼が唯一罪悪感を今も尚抱き続けている殺人だった。

彼以外の誰も知らない、忌まわしく、悲しい記憶。


「んぐ…んぅ…ハァ…ハァ…」
カメダ軍団の秘密基地の数ある、海面に面し、空を仰ぐテラスの一角にて。
瓶の中身を飲み干すと、ファイアバグは無造作に空になった瓶を放り投げた。
その後は、ただ涼しい風を浴びながら、熱量の上昇する身体を涼ませるだけ。
時間がある時に眠れない際は、いつも彼はここでそうしている。
今は一人ここでこうしていたいものだ。
誰とも話をせず、誰の声も聞く事無く。
しかし、彼のそんな望みは叶わない。
「あ! いたいた!」
背後から聞こえてきた声が、
ファイアバグのささやかな今の望みを、もろく打ち砕いた。
「バーにいただいま!」
「…戻ったか、兄弟。」
幼い姿が奔り足でファイアバグに近付いてきたかと思えば、
嬉しそうに、屈託のない笑みでファイアバグに笑いかけた。
今のファイアバグにとって、
ある意味最も会いたくなかった相手かもしれなかった。
ニノ。
「グレムリン」のコードネームを与えられた、
カメダ軍団所属の少年団員だ。
能力の種類こそ違えど、彼もファイアバグと同じサイキッカーであり、
軍団内部でもファイアバグを恐れる人間の多い中、
そんな彼を慕う数少ない人間でもある。
「バーにいも今日帰ってきたばかりだって? お疲れ様!」
「ああ…お前はいつ帰ってきた? 一週前に、任務に出て行ったきりだったな。」
「オレもね、ついさっき帰ったばかりなんだ!
 今回の任務も大成功だったよ! やったよオレ!」
「そうか…それはお疲れだったな。おめでとう。」
「バーにいの方はどうだったの? やっぱり今回も大成功?」
「フン、まあな。」
「さっすがバーにい! やったね!」
無邪気に喜びを示すニノ。
まだ疲れも癒えておらず、不機嫌な様子であったファイアバグも、
ニノと話しているうちに、少し上機嫌になる。
「いつにも増して、嬉しそうだな、お前。
 何か他にもいい事でもあったのか?」
「うん!こっちに戻ってくる前に、ブランシェに寄って来てさ、
 高いけどとってもおいしいケーキをい~っぱい買ってきた(買ってもらった)んだ!
 新メニューのケーキも手に入ったんだよ!
 バーにい、また後で一緒に食べようね!」
「おう、いただくとするよ。…果物も全部残さずに食えよ。」
「わ、わかってるよ…。それとね、ブランシェに寄る前に、
 本当に久しぶりに、オレの家に寄ってきたんだ!」
瞬間、ファイアバグの心中に、動揺が広がった。
表情にこそ表れてはいないが、ニノの発したその一言は、
明らかにファイアバグにとって聞きたくない話題だった。
そんな彼の心の変化に気付けないニノは、嬉しそうに言葉を続ける。
「久々に父ちゃんと母ちゃんに会ったんだけど、
 二人ともとっても元気だったんだ!
 仕事で頑張っている事を話して、いっぱい褒めてもらったよ!」
やめろ。
「だけどね、すごく心配もされたよ。
 …そりゃあ、オレまだ子供だし、子供なのに一人で家を飛び出して、
 世界中飛び回って働いているわけだしね。
 できる事ならもう帰って来てほしいって言われたよ。
 父ちゃんや母ちゃんに心配かけちゃってるのはわかってる。
 心配してもらえたのはすごく嬉しいし、
 オレもたまには、父ちゃんや母ちゃんのところに帰りたいと思う事だってあるけど、
 でも、オレまだこの仕事を頑張るって決めているから!
 心配しないで、オレ、ちゃんと元気に頑張ってるから!って言ってきたよ。」
やめろ。
「バーにい、オレ、これからもこの仕事、頑張るよ!
 オレ、この仕事大好きだし、誇りに思っているし、
 それに、父ちゃんや母ちゃんにも、もっと楽をさせてあげた――」
やめろ!
ニノがそれ以上、言葉を続ける事はできなかった。
倒れたニノの首に、ファイアバグの手が伸びていた。
その時、ニノは初めて見た。
敵対者ではなく、自分自身へと向けられた、怒りと憎しみの感情が宿ったその表情を。
「やめろ。それ以上しゃべるな。」
「バ、バーにい、どうしたの…な、何を怒っているの…?」
「しゃべるなと言っている。黙ってろ…!」
「こ、こわいよ…バーにい…」
怯えきった表情のニノの目元には、うっすらと涙が滲んでいた。
「今更何を言ってやがる…! 俺は元々怖ぇ人間だよ!
 お前だって知っているだろ…!
 何千、何万、いや、それ以上の数の人間を焼き殺した人間さ!
 悪魔だよ! 人の形をしたバケモノ! それが俺だ!」
「ち、違うよ…。バーにいは悪魔でもバケモノでもないよ…。」
「……」
怒りと憎しみの形相のままに怒鳴りつけていたファイアバグの手が、
僅かに強張った姿勢を緩める。
「バーにいは、あんなにいっぱいオレをかわいがってくれたじゃないか…。
 確かに、怖い人だとは思うけど…でも、悪魔やバケモノなんかじゃないよ…。
 悪魔やバケモノだったら…優しくなんてしてくれないよ…。」
怯えきった表情で、弱弱しい声で、ニノはゆっくりと、言葉を紡ぐ。
彼の言葉を聞き終えると、ファイアバグはゆっくりと、ニノの首にかけていた手を放した。
「…悪いが、今は一人にしてくれ。」
「わかったよ…。ごめんよ…ごめんよ…バーにい…本当に、ごめんよ…」
何度も何度も、ニノはファイアバグに謝ると、テラスを後にする。
「………何をやっているんだ、オレは…。
 何の非も無ぇのに、アイツに当たり散らすなんてよ…。」
一人残されたファイアバグの心中に、苦いものが残る。

自身と同じ「異能の者」でありながら、
帰る場所があり、自身と暖かく迎えてくれる家族がいるニノ。
自身とは正反対な彼のその境遇に、
ファイアバグは嫉妬にも近い感情を覚え、
無意識のうちにニノに対しても憎悪に近い感情を抱く事もあった。
だが、同時に、何の非も無いニノに当たり散らした行為に、
後悔にも似た感情を覚えるファイアバグの姿もそこには在った。

多くの殺戮を繰り返した大量虐殺者。
その彼も、後悔の感情を完全に忘れ去ってはいなかったのだ。
そして、自身を慕う者に理不尽な怒りを向けた事への後悔を覚える心…
親しい者への、親愛の情も、彼はまだ失っていなかった。





同日、軍団長のカメダと、参謀のチャンションより、
次なる作戦の内容が通達された。
近年、国内である新種の鉱物が発見され、
その鉱物を用いた新エネルギー産業の活性化により、
ネグロにも迫る勢いで急成長を遂げた某国。
国力は急成長を遂げているものの、軍事力は決して強大ではないその国は、
カメダ軍団の標的となっている国家の一つだった。
チャンションの弄した策によりその国は近隣諸国と紛争状態に陥っており、
現在も、国境付近で戦闘が継続して続いている。
その国の最大規模のエネルギープラントの奪取。
それが、ファイアバグの率いる部隊に下された指令だ。
既に裏工作により、状況はより、カメダ軍団にとって有利な方向へと動いている。
準備は整っていた。
唯一懸念する存在は、各地で幾度となくカメダ軍団を阻む、
ファッティホエール号を中心に集う空族達の存在だ。


「なるべく…そう、最小限の被害で、エネルギープラントを制圧してもらいたい。」
「それはどちらの被害をだ?
 味方の方か? それとも、エネルギープラントの方か?」
「…両方、だ。」
「ちっ、めんどくせぇ。」
苦々しく表情を歪ませるファイアバグに対し、
チャンションは僅かに不快な感情を含んだ眼差しを向けた。
「…破壊するなら侵攻を阻む敵の戦力のみにしろ。
 無駄に味方の戦力も削られてはたまらんからな。」
「へいへい。わかってまさぁ。」
「…貴様、何度同じ返答をして、
 その後何度無駄な破壊とフレンドリーファイアを繰り返した…?」
わざとおどけたように返答するファイアバグの様に、
チャンションは不快感を抱くのを禁じ得なかった。
「フン、先生、あんたに言えた事か?
 勝つための策略にありとあらゆるものを利用するあんたにしては
 随分とお優しい事を言うものだなぁ?」
「貴様のように無駄の犠牲や破壊を出すような策を用いたつもりはないが?
 我輩の望む破壊や犠牲は、全ては未来の為に、革命の為に必要なものだ。」
「フン。」
付き合っていられるか、とばかりにファイアバグは踵を返した。
「どこへ行くつもりだ?」
「寝る。作戦開始時刻の直前まではお休みさせてもらうぜ。
 満足に寝ちゃいねぇんだ。」
振り返ることなく、そう言って退出する。
「…所詮は獣か…。」
一人残されたチャンションは、忌々しげに吐き捨てた。

「ケッ、何が未来だ。革命だ。その為に必要な破壊と犠牲だ。」
吐き捨てているのは、ファイアバグも同じだった。
「壊し、殺すのに違いは無ぇんだろ。
 所詮、革命なんざ、殺すしかねぇんだよ。」
尤も、未来も、革命も、俺にとってはどうでもいいものだがな。
ファイアバグは、そのどちらも求めていない。
ただ、壊し、殺す。
彼が望むのは、それだけだ。





「…行くか。」
作戦決行日当日。
出撃時刻を前に、ファイアバグは酒を一本飲み干したところで、部屋を出た。
気分は最悪だ。
また、あの夢を見た。
湧き起こる怒りと破壊衝動は収まらない。
チャンションの指示は、おそらく今回も完全に果たされる事は無い。

「ん…?」
基地の滑走路に向かう途上の通路。
彼の行く手を、一つの小さな影が待ち受けていた。
ニノだ。
「…何の用だ?」
不機嫌そうな声。
先日のことを思い出し、内心少し気まずい気分だ。
「バ、バーにい、この間の事は、ゴメン…。」
「あー…別に謝んなくてもいいぞ。
 お前何も悪くないからな。俺の方こそ、悪かったな。」
そう言ったところで、自身の言動に驚き、戸惑う。
他者に謝罪の言葉を述べる事を、どれだけ忘れていたのだろう。
「今から、任務なんだよね?」
「ああ…」
「あ、あのさ…、この間買ってきたケーキなんだけど…
 オレ、まだ一つも食べていないんだ…。」
「ハァ? もう買って何日も経っているんだろ?
 早く食わねぇとマズくなるぞ。」
「いや…オレ、バーにいと一緒に食べたかったから…。
 オレも今から任務で数日間ここを空けるんだけどさ…
 また今度、一緒にケーキ食べてくれない…?」
「…何日後になる…。大体そんなに日数が経過したら、相当マズくなっちまうんじゃ。」
「大丈夫! バーねえが裏ワザを教えてくれたんだよ!」
「何の裏ワザだ…。まぁ、いいぞ。」
「ホント!?」
少し暗く沈んでいたニノの表情が一転、ぱぁっと明るく輝く。
「ホントにいいの!?」
「ああ、いいぞ。ちゃんと付き合ってやる。」
「ホントだね! 約束だよ!」
「ああ、ああ。そろそろ時間だから退いてくれ。
 急がにゃならんくなる。」
「わかったよ。 約束だからね! バーにい!」
「おうおう。んじゃ。」
「頑張ってね! バーにい!」
ファイアバグの後ろ姿が見えなくなるまで、ニノはずっと手を振っていた。

「まったく、あのガキは…」
呆れたように呟きながらも、
ファイアバグは、少し不機嫌だった気分が、少し良くなったような気がした。





傾き行く陽の光を浴びながら、
ヴァイレン・ネメシスを中心としたカメダ軍団の部隊は、
標的であるエネルギープラントを目指して飛行を続けていた。
エネルギープラント近隣に待機している軍勢は、大した数にも満たなかった。
今も尚、某国と隣国との紛争状態は継続している。
この程度の戦力など、ヴァイレン・ネメシス一機でも殲滅は容易だろう。
「彼ら」が、この戦闘に介入さえしなければ。


「チッ。」
目標のエネルギープラントまで後僅かと迫ったところで、
レーダーに幾つもの機影が確認されたのを確認し、ファイアバグは舌打ちした。
間違いなかった。
邪魔で仕方ない、例の「彼ら」だった。
視力のいい彼は、いち早く、「彼ら」の存在を肉眼で捉えた。
鯨を思わせる外観の航空母艦。
そしてそれを中心に展開する、いくつもの戦闘挺。
幾度となく自分の前に立ちはだかった、「彼ら」だった。
「クジラどもが…」


眼前に迫る「赤き暴力」を前に、
ユウ達の闘志は加速的に燃焼していく。
幾度となく立ち塞がった強敵・ファイアバグ。
彼によって引き起こされた数多の破壊と殺戮。
眼前で彼によって引き起こされたいくつもの惨劇と悲劇。
それらを知る彼ら全員は、ファイアバグに対して激しい怒りを抑える事は出来なかった。
彼らにとって、ファイアバグはこの世界から排除すべき敵でしかなかった。
「ファイアバグ…!今日こそ、必ず…!」
怒りに満ちた声で、ユウが力強く呟く。

「殺し過ぎる。 やりすぎたのさ、貴様は。」
真紅の戦闘挺『レッドドラゴン号』のコクピットよりヴァイレン・ネメシスを見据えて、
レッド・ボイラーは静かに呟く。
ファイアバグを鎮めるべく、彼もこの戦いに参戦する。
自らの望むままに破壊と殺戮を延々と続けるファイアバグの存在は、
彼にとっても許しがたい存在だった。
そう、「過ち」を犯し続ける彼の存在は、絶対に。

「ファイアバグ…!貴様だけは…!」
そして、彼らの中でも特にファイアバグへの強い怒りを燃やす、
先陣を切りゆく白き戦闘挺のパイロット。
かつて友人達をファイアバグのテロによって失った
軍の元エース・スウォン。
空に還った「白き閃光」は、「火消しの風」となりて、空を切る。


ファッティホエール号には様々なパイロットが集う。
空族、軍の元エースなど、優秀なパイロットが数多く。
その全てが、火を消さんとする。
そう、破滅をもたらす「放火魔」の火の、その火の元を断たんと。


「空族風情共が…! 相も変わらず正義の味方気取りしやがって…!」
怒りの感情に囚われ、「放火魔」は咆哮する。
「選んで殺すのが、そんなに上等かよっ!!」
そして、空に暴力の嵐が吹き荒れる。


海上に立ち込めた雲に、いくつもの爆発の炎が反射する。
それは、沈みゆく夕陽の色と併さって、空を、雲を、より鮮やかに染めた。
ファイアバグは、いつもにも増して猛り狂っていた。
ただ、目の前の空族達を沈めようと、圧倒的な暴力を奮い続けた。
炎。炎。炎が空を包む。
戦闘が続く中、いくつもの機体が焼かれ、落ちてゆく。
当初はカメダ軍団側が戦線を有利に進めていたが、やがて、戦局が変わり始める。
カメダ軍団側の多くの航空戦力が徐々に失われていき、
たとえヴァイレン・ネメシスがいくら強大であろうと、
目的であるエネルギープラントの制圧が、現有戦力では厳しくなってきたのだ。
彼らの抵抗は、ファイアバグやチャンションの想定を、遥かに超えていたのだ。

『撤退しろ! ファイアバグ! 部隊を引き上げさせろ!
 このままでは目的の達成もままならん!』
「撤退だと!? ふざけるな! 俺は撤退するつもりはない!」
『貴様! このままだと死ぬぞ!』
「死なねぇよ! 今日という今日は、こいつらを皆殺しにしねぇと気が済まねぇんだ!」
『貴様! 正気か!?』
「俺がいつ正気だった事がある! 俺は狂っているさ! いつだってなぁ!
 通信切るぞ! 戦いに集中できないからなぁ!」
『ま、待て!』
一方的にチャンションからの通信を切ると、
ファイアバグは再び眼前の敵達に敵意に満ちた視線を向けた。
幾度となく撥ね退けておきながら、未だに仕留め損なっている、
目障りな存在に向けて。
憎いこの世界を愛し、守ろうとする「正義の味方達」に向けて。
「全員、今日こそ灰にしてやる…!」


だが、いくら「暴力」が強大であろうと、
いくつもの「勇気」は、それに屈する事は無かった。
怨敵を追い詰めた彼らの勢いは、留まる事は無かった。
ファイアバグは怒りに我も痛みも忘れて、独り戦い続ける。

やがて、その時がやってくる。
孤立無援となり、満身創痍となったヴァイレン・ネメシスに向けて放たれた、
スウォンの搭乗するベルーガの銃撃。
それは、鉄壁を誇ったヴァイレン・ネメシスの機体を撃ち抜き、
ファイアバグの身体をも撃ち抜いていた。
燃え上がるヴァイレン・ネメシス。
「全てを焼き尽くす暴力」は、炎上しながら、ゆっくりと墜ちてゆく。
翼をもがれた断末魔。
墜ちゆく機体の各所から、いくつもの爆発がのぼる。
「ク…ククク…ヒャハハハハハ…!…死ぬ時は…こんなものか…」
殺しもする。殺されもする。
通信でチャンションに「死なねぇ」と大口を叩いてはいたが、
ファイアバグは、いつ自分が死んでもおかしくないと思っていた。
昔から、何度も死にかけた事などあったのだ。
たまたま今まで生き延びる事が出来ただけで、
今日こそ死ぬ番が回ってきた。
勝ったのは彼ら。負けたのは自分。
戦場には、生きる奴と死ぬ奴がいるだけ。
今回、自分が死ぬ奴になった。
それだけだ。
「まぁ…悪魔やバケモノには相応しい死に方か…」
燃え上がるコクピットの中で炎に包まれながら、
死を目前にして、先程まで怒りにまかせて猛り狂っていたというのに、
ファイアバグは冷静だった。
死んだら、どうなるのだろうか。
何もない「無」へと還るのか。
地獄に堕ちるのか。
それとも、自分が殺してきた者達と同じ所へ行くのか。
そんな事を考える余裕すらあった。
「親父、お袋…あんたらは…俺を許しちゃくれねぇだろうな…。」
そして、自らが殺したことに、唯一罪悪感を持っている両親の事を想う時間も。
「ああ、そういやぁ…悪ィな、兄弟…。ケーキは一緒に食えそうにねぇ…」
最期に浮かんだのは、自分を唯一慕ってくれた、幼い少年の事だった。
それを最後に。
轟音。
一際大きな爆発と共に、稀代の殺戮者・ファイアバグの身体は、
ヴァイレン・ネメシス共々、爆発の中に四散し、消えた。
彼の魂が安らかだったかどうかは、定かではない。

全てを焼き尽くす炎は、ショウカされた――。





「馬鹿者が…」
「信じられないYO…。まさか、彼があんな最期を迎えるなんて…。」
「残念です…。惜しい人を亡くしました…。」
ファイアバグ、戦死。
その報に、ババヤガンとスカインは沈痛な面持ちを浮かべ、
彼を内心嫌っていたチャンションも、その報にはショックを禁じ得ない様子だった。
「どうするの? あいつが死んじゃったら、色々と面倒なことになるんじゃない?」
「問題は無いでやんす。
 奴が欠けたところで、まだ充分に手はあるでやんす。
 まぁ、奴が使えなくなってしまったのは残念でやんすけどね。」
カメダは大した動揺も見せず、ヨミチにそう答えた。
「しかし、彼らしく、それでいて彼らしくもない最期だったね。」
ジオットの声には、どこか冷笑するような響きがあった。

カメダ軍団はエースの一人を失った。
これより軍団は、更なる新たな戦力を強いられる事になる。





「う、嘘だ…」
護衛からの報告に、愕然とした表情で、力なくニノが呟く。
「う、嘘だろ…? なぁ、今言ったのって嘘だろう…?
 冗談だろう…? そんな冗談、子供のオレでも騙されないぞ…。
 なぁ、冗談だろ…? 冗談だって言ってくれよ!」
「残念ですが…冗談ではありません…。」
力なく、重苦しい表情で、護衛は声を押し出した。
「嘘だ…嘘だ…バーにいが負けただなんて…
 バーにいが死んだなんて…そんなの…嘘だ…嘘だ…
 嘘だああああああああああああああああああああああああああ!!!」
かつてない悲しみと怒りが、幼い少年の心を包む――。


一つの憎しみが終わり、新たな憎しみが生まれる――。


No.57
■ソネットとツチのイベント集② 投稿者:ルナ 投稿日:2012/03/19(月) 00:59

【ブランシェ連続イベント①】
・パリヴァール、チーガオ、ジパングでのランダムイベントを見ていること。
・ブランシェでうろつくと見ることが出来る。

ツ「よお。ユウ。」

主「ツチじゃないか。ブランシェに帰ってたのか。」

ツ「おう。まあ実はここにいないはずなんだがな…」

主「どういう意味だ?」

ツ「実は今日はネグロに行くはずだったんだがな…帰ってきてから次の派遣先はネグロって言うのを聞いたソネットさんが嫌がってな。無しになっちまった」

主「ネグロ…?ソネットさんが?」

ツ「理由はわからんが…まあ嫌なんだと」

主「ソネットさんらしくないな」

ツ「だろー?俺調子狂っちゃうよ」

主「(…ネグロ…?…まさか、あの手の包帯は…)」

ツ「ん?どうしたんだよユウ」

主「いや、なんでも…(…もしかして…)」

【ブランシェ連続イベント②】
・ブランシェ連続イベントの①を見ていること。
・前回のイベントを見た後にうろつくを選択した後「軍に行く」という選択肢が出るので、それを選ぶ。

(軍)
主「こんにちはー」

ツ「あれ?ユウじゃないか!お前から来るなんて珍しいな!」

主「ああ、うん。…ソネットさんは?」

ツ「ソネットさんなら部屋だ。何だ、なんか用事か?」

主「ま、そんなところかな」

ツ「何があるのかは知らんが…じゃあなー」


主「…(コンコン」

ソ「…はい」

主「あ、ソネットさんですか?ユウです。」

ソ「…どうぞ」

主「失礼します」

(ソネットの部屋)
ソ「…」

主「あの…いきなり来てすみません。実は…」

ソ「…わかったんですね。私の正体」

主「!」

ソ「貴方のその様子を見るとわかりますとも・・・」

主「…じゃあ、ソネットさんは…」

ソ「ええ…この右手の包帯の下には…ネグロの奴隷市場でつけられた奴隷の証がございますとも」

主「…」

ソ「・・・何故私がこの軍にいるのか。元奴隷の私がここにいるのか。話せば長くなります・・・」

「…私はネグロ出身です。ですが、元々の家も、親の顔も、何も覚えておりません。気がついたときには奴隷市場で売られていましたから…それにあの頃の私には名前も無かった・・・ただの人形・・・いや、人形のほうがマシかもしれませんね…綺麗な服を着せられて、ただ立っているだけで満足される。羨ましいですよ。本当にね。」

「そして売られた頃、私は…まだ9歳ほどだった気がします…。奴隷の頃の話は思い出したくもありません…毎日死にたがっていたぐらいしか…どうして自分はこんな運命を辿っているのか…といつも自分自身を呪っていました…」

「…でも、結局は生きたかったんでしょうね私は。ある日、売られたところの家の奴らがパーティか何かで丁度家から出てるときに隙を見て逃げ出したんです。子供ながら必死に逃げ出しましたよ」

「そして逃げて逃げて…私は見知らぬ場所で倒れこみ、体力が底を尽きたらしく、そのまま気を失ってしまいました…」

「…目を覚ますと、そこはどこかの部屋の中でした。寝ている私の横には男の方が座っておりました。目覚めた私を見て彼は喜んでいました。私はその方に助けられたそうなのです。」

「…彼には感謝しています。もう、あまり記憶はないけれど…でも、私のこのソネットと言う名前も彼が付けてくれたものなのです…。それから私は…軍にずっといるのです」

主「…そうだったん…ですか…」

ソ「…嬉しかった…人間として扱ってもらえるのが…そして、私のこの手が彼らの役に立てていたのが…ね…」

主「…ソネット、さん…」

主「(そんなに、ソネットさんはこの軍が…)」

ソ「…でも、でも…」

主「え…?」

ソ「私は…この軍の皆さんや、ツチや…たくさんの方々に癒されている、ハズなのに…なのに…奴隷時代のあの過去が私をいつまでたっても放さないんですよっ…!時々、夢にも出る…!この右手、どうして包帯してるかわかります?奴隷時代に付けられたあの奴隷の証を見ると…それをえぐりたくなるから…!ナイフでも何でもいい、とにかくえぐって、それを無かったものにしてしまいたい…そんな、そんな感情が…!」

主「…!」

ソ「…はは、安心してください…本当にはまだやったことないですから…それにやると、ツチにすぐにばれてしまうでしょうしねえ…」

(ガタッガタガタガタッガタンッ)

主&ソ「!?」

ソ「な…どなたですか!扉を揺らしているのは!」

主「お、俺が出ます…!」

(ガチャッ)

ツ「ソネットさああああああんっ!!」

主「ちょ、ツ、ツチ!?なんでここに…!」

ソ「…まさか…貴方…最初から聞いて…!」

ツ「す、すみません…ユウが妙に暗い顔してたから…ソネットさんに何かあったのかと…」

ソ「貴方は…」

ツ「盗み聞きしてすみません…お、俺…」

ソ「別にいいです…まあ、たとえ聞かれたとしても、これから生活が変わるわけではない…」

ツ「…そん、な……おい、ユウ!」

主「えっ、な、なに?」

ツ「お前、さ…空族、だろ!?お前、いつかネグロの奴隷市場を潰す気無いか…!?」

主「なっ…」

ソ「な、何言ってるんですかツチ!」

ツ「もし、潰す気があるのなら…俺も連れて行ってくれ!」

主「ツ、ツチを!?」

ソ「…ツチ」

ツ「…さっきまでの話を聞いてて黙ってられるか…!絶対、絶対に…!」

主「ツチ、お前…」

ソ「…ツチ」

ツ「ソネットさんが夜中、悪夢にうなされてるの、俺知ってたんだ…時々声が聞こえて、一体なんなのか俺はわからなかった…俺はソネットさんにたくさん世話になった!だからこそ、ソネットさんのその呪縛を壊したいんだよ…!」

ソ「…ツチッ!黙りなさいっ!」

ツ「黙りませんよ今日は…!俺は今日は強気です…!」

ソ「黙りなさい…黙れ…黙れっ!」

ツ「ソネットさん…!」

ソ「あんたに何がわかる…!この、何年も繋がれているこの鎖の強さが!どれだけ切ろうとしても絶対に切れない…この苦しみがっ!」

ツ「…っ」

主「…ソネットさん、俺から、いいですか」

ソ「…なんですか」

主「俺は…」

ツチを連れて行きます←
ツチを連れて行きません

主「ツチを…連れて行きたい…!」

ソ「な…」

ツ「…ユウ…」

主「ソネットさん、出来ることなら、貴方も連れて行きたい…」

ツ「えっ!」

ソ「…へえ、私も…?」

主「ソネットさん…貴方の鎖の重さは俺にはわかりません。強度もわかりません。ですが…その鎖を断ち切ることを諦めていては、いけないと思うんです…!」

ソ「…私は、諦めていないっ!」

主「いいえ、諦めているっ!あんたは!自分の鎖の重さに諦めている!…鎖というものは、段々と錆びていく…確かに鎖は脆くなっているんです!今こそ、その鎖を、断ち切るべきだと思うんです…!」

ソ「…断ち切れるんですか…あいつらを潰すことによって、鎖が…」

主「…やってみなくちゃ、わからないじゃないですか」

ツ「ソネットさん…あの…」

ソ「…くく」

ツ「ソネットさん…?」

ソ「…くくっ…はは、ははは、はははははははっ!」

ツ「ソ、ソネットさん!?どうしたんですか!」

ソ「そうですか。それが貴方の主張、貴方の正義…くくくっ…」

主「…」

ソ「いいでしょう…私とツチ、両方とも、その奴隷市場を潰すときに貴方達を助けましょう」

ツ「!」

主「…いいんですか?」

ソ「…ただし、私はオススメしませんよ。私はいつだって自分の正義にしたがって動く。今奴隷市場はカメダ軍団とやらも関っているそうじゃないですか」

主「…!」

ソ「もし、私がその場でカメダ軍団の方々と出会ったとき、あの方々が私に合っていたら…私はそちらに付くかもしれませんよ」

ツ「ソネットさん!なんてこと…」

ソ「貴方は黙ってなさい…!…どうします?私がその場で裏切ったら…」

主「俺は…」

その時は貴方を止めてみせる
それが貴方の正義ならば止めない←

主「それが貴方の正義だと思ったのなら…俺は止めません」

ツ「ユウっ!?」

ソ「…ふぅん…」

主「貴方を今俺の味方にしたい、というのも俺の正義を貴方に押し付けているだけだ。…どちらが正義だと思い、ついていくかは、貴方が決めることだ」

ソ「…貴方のこと、ますます気に入りましたよ。これは…もっと念を入れて貴方の飛行艇のチェック、しなくては」

ツ「ソネットさん…じゃ、じゃあ…」

ソ「…好きになさい。私も好きにします」

ツ「や、やったー!やったぞユウ!」

主「はは、ツチ喜びすぎ…」

ソ「…なんですかこれは、まるで私が悪者みたいじゃないですか」

ツ「へへ、でも嬉しいです。なんかソネットさんのことが知れた分、仲良くなれた気がするし」

ソ「…気持ち悪いですよ貴方…」

ツ「ちょっと!どうして後ずさりするんですか!変な意味じゃないですよー!」

主「…仲いいなあ…(苦笑」

(ツチとソネットが仲間になった!)


No.56
■空族捏造祭りSS「決戦前夜」 投稿者:FK 投稿日:2012/03/19(月) 21:37

「・・・ふう。」



この物語の主人公、クロエ・ユウは両手にバケツいっぱいの釘や螺子、尾翼などの大量の備品を持ちながら
ファッティホエール号格納庫内へと向かっていた。

現在、ファッティホエール号一行は、
ヒカルの入れ知恵で念願の地、ファントゥームへの足がかりが作れることになり、
万全の体制を整えてから出発しようということになり、パリヴァールで備品の交換を行なってから
最後の調整を、ユウたちの故郷であるここオルデルで行なっているのだ。

まあそれでも昼頃までは皆も手伝ってくれていたのだが、流石に現在は深夜11時。
他の人たちは皆明日出発をするため、仮眠を取るなり、飲みに行くなり、大騒ぎするなりしている。
だから最後のメンテナンスという名目で一人、格納庫で皆の戦闘機の調整を最後までやっておこうという魂胆なのである。
本来はこういうのはユイの仕事なのだが、ここ最近疲れ気味な日が多い為、自分が一肌脱ごうと思うに至ったのである。
そして明朝にユイや皆の驚く顔と喜ぶ顔を観たい…などと淡い期待もしているのだそうだ。(笑)
幸い現在格納庫内は鍵をかけていて、合鍵を渡している幼馴染のユイとアケチ以外は入って来れない。
その2人も普段ならぐっすり眠っているので、安心して彼は作業にかかった。
(あんまりうるさくしないようにしないとな)

皆の機体を眺めていると、彼の脳裏には今までの仲間との出会い、冒険の日々など数々の想い出がフラッシュバックした。

スウォンさんのベルーガ。
(スウォンさんにはいつもお世話になってたなあ。先輩としても、経験者としても。
考えてみればカメダ達がいなければ僕達は会っていなかったもんな。これも引き合わせなのかな。)

サクラ「さん」のチェリー・ブロッサム。
(あいつが突然「落ちてる!落ちてる!」なんて言い出したときはどうしたのかと思った。いつもの癖かと思ったけど、
シンドウさんに見てもらわなきゃどうなってたかな…彼女も大変だったんだよな。)

ア…?のアンカンシャス号。
(あれ…「これ」の持ち主、誰だったっけなあ?ま、いっか!一応最終整備しておこうっと!)

ジョンのアイアンバレル号。
(いつもクロノ博士にはお世話になってたなあ。ただ、毎日部屋の修理代をあの人に持っていかれるのは
どうにかして欲しい…。本当にさあ、ジョンもよくあの人に付いて行けるよなあ!(泣))

バーニングブレイドのブレードフェニックス号。
(あの人、ホントに何者だ?この前パラダイス・カフェに行ったらエーコさんとかトオルさんに
「是非私をお供にぃぃぃぃいいいい!!!生死を共に致しますううっ!」
とか言ってたっけ…そして機内に行けばヒトミさんとかテネジーに「神よおっ!手伝うことはありませんかっ!?」だもんなあ…
う、悪寒がする…あいつについては考えるのやめよう、なんか出てきそうだし。)

イーベルさんのローレライ号、サーシャのエーデルワイス号。
(あー…やっぱりサーシャ無茶な運転して…ここ緩みかかってるよ…子供だなあ、あいつも。
でも…俺も子供が出来たらサーシャみたいな奴が欲しいな、って何考えてるんだ俺!作業に集中集中!)

ユジーヌさんのプライマル・ジョー。
(この人から聞いたユウジローさんっていう人の伝説の数々。かっこよかったんだよなあ。
俺も将来あの人のような空族になれるかな?……いや!なってみせる、これから!)

アラタニ氏のサカマタ号。
(しっかしアラタニさん、渋いよな。まさに「漢」って感じ。
でも…あの人、いつも俺達と一緒にいるの、嫌がるんだよな。頼りにはなるんだけど…。)

コウシさんのサウザンド・ガジェット。
(火傷のせいとはいえ、あの人全身に包帯グルグル巻きでどうやって前が見えてるんだろ。
彼女が言ってたブルーメさん…元気なのかな)

パーシヴァルのインゼクター。
(あいつ…連れてって大丈夫かな?何かファントゥームでもよからぬことを思いつきそうで恐いなあ…。虫とか鳥とか)

ユラリのクラウディア。
(あの人…というかお姉さんもだけど、あの人達のしゃべる空気ってすごいよな、改めて。
なんか再会したら再会したで変な空気になりそう。
片方は…めんどくさい人、もう片方はいつも冗談が本気かわからない人だもんなあ
でも彼女も可愛いよなあ。この前ユウキとあんなことがあったと聞いたときは流石に笑ったけど)

キャプテン・アルバットのアルバットウィング。
(これどうなってるんだ!?無闇にネジをはめようとしたら逆にバラバラになりかねないフォルムだぞ、これ。
そ…掃除だけして置いとこっと。)

アイハラさんのしんかい号。
(!? この機体、ミサイルどころか武器が何も積んでないじゃん!今までどうやって戦ってきたんだあの人!?
突撃でもしてたのか??!そ、そうだ!余りもののサイドレーザーがあるからそれを何とか…)


フェイ達のファランクス。
(彼女達は最初に出逢った時から喧嘩ばかりで、いつもこっちはハラハラさせられたっけ。
そしてほんとに殺し合い始めた時はどうなるかと思ったけど。
彼女らも…思いは同じなんだよな。カズさん…俺の父さんの仇…なんだよな。でも…信用していていいんだろうなあ…。
カズさん達も今まで通り、俺も今までどおり…。)

(グッ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(ふう…これであらかた終わったかな。あとは自分のと…「こいつ」か。)



ヒカルの「A-wing」こと…『ギリュウ』。
(これに関しては…俺の手出しできるもんじゃないからな。掃除位しか…。)
彼の、言わばかっこよさと共に化け物のような恐ろしさも感じる機体。
彼は機体を見上げながら、物哀しさを感じざるを得なかった。
昨夜のことが自然と思い出された。
彼…いや、彼女が自分の正体を明かしてくれた時のこと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「し、正気ですか?!そんなことをすれば、あなたも…!」

「全てが終わった後のことです。僕の運命は、元より決まっていたことですから。」

「そんな…!だってあなたは…!」

「僕が撒いた種なんです…僕のケジメは…僕がつけたいんです!」

「……………」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「へへっ、どこまでも無茶な奴め。」

(無茶な合体して一緒に火山に飛び込んだりもしたじゃないか!生死を共にした仲間じゃないか!!!!
今までだって仲間のピンチに掛け合ってきたのに…どうして…どうして今になってこんなことに…)



「…クソっ!」

「…『あいつ』が心配?」


(!?)


ユウが振り返ると、そこには彼の幼馴染である、青髪の少女が立っていた。


「ユイか。脅かすなよ、心臓に悪い」

「アハッ、ごめん。何か…寝れなくてさあ…。 ねえ、ユウ。昨日のことが、そんなにショック?」

「!…いや。」

「ウソ。顔に嘘って書いてある。…私も、ショックだった。」

「……………」


「ヒカルちゃん、どうするんだろうね。本当に…行っちゃうつもりなのかなあ?一人で。」


「……………」


「……………」



「あいつのおかげでファントゥームの謎が半分以上解けた。俺たちがあいつに文句を言うのはお門違いってもんだろ」

「…! ユウ!」
(バッ)
あまりに冷たい物言いにユイが振り返ると、




「でもさあ、どうしてなんだろ。こう、胸に、空いたさあ、虚無感っていうかさあ、
クッ、明日俺達は仲間を殺しに行くみたいなさあ、ヒック、どうすることもできないさあ…グスッ、ウッ、クッ…」
ユウは自分でも涙をこらえ切ることができなかった。

「…ユウ」












(チュッ♥)
ユウは頬に柔らかい感触を感じた。



「!…クッ、ユイ?」

「アハッ、初キッス、しーちゃった★」

「ユイ…………ウッ…ヒッ…ヒック…」





(ポロ…ポロポロ)
「それにさあ、まだヒカルちゃん…がいなくなると決まった訳じゃないし…あれ、どうして…だろ、あたしも泣けてきた…
あ…はは、ど…ど…う…して…。う…う…ううううううう!!ふええ、えええええええん!」

「くっ…う…う…うわああああ。うおおおおおお、ああ、ああああああ!うわあああああああああああああああ!!!!」

二人は寒空の下、小一時間涙を流した。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




フィデール号の掃除と整備を粗方終わらせ、ユウとユイはフィデール号のそばに腰掛けていた。
もちろんユイは作業のため、上着は脱いでいる。かたやユウも皆の整備を終わらせたばかりなので上は下着一枚、軍手はしていたが体中真っ黒になっていた。

「はい、コーヒー」

「お、サンキュ」

「ううん、お礼言わなきゃいけないのはこっち。ほんとは整備は技師長の私の仕事なのに…」

「いいんだよ、仲間が増えて整備も大変になってきてたろ?明日は大事な日だし、ゆっくり休んでればよかったのにさ」

「ユウ…♥」

「!…あ、そうだユイちょっとこっち向いて。顔がすすだらけだぜ。」

「もう、みないでよ!」

「アハハ!取ったげるよ。あれ?えーと…」



(チュッ♥)
今度は彼らは口同士で感触を感じた。
すすとコーヒーの香りが立ち込めた、常人なら我慢できないような接吻だったが、2人は気にもしなかった。


「む!…んー…ぷはぁ。もう!」


「これでさっきのおあいこってことで!」

「もう、それは女の子の台詞だよ!」

(アハハハハハ)

「ね。…せっかくだから…もう1回…して?」


「!?……………」

「は・や・く♥」


「……………わ、わかったよ」


(んー)

2人の口間の距離が再び3cm未満に達した…その時、




「…楽しそうで何よりですね。」

「?!」

二人だけの世界にいたご両人を現実に引き戻したのは同じくユウの幼馴染である探偵風の服を来た少年だった。

「あ、アケチ君!? な、なんでここにいるのよ!?」

「ユウ君に話があったから部屋に行ったけどいないから来たんです!しっかし、あなた達暫く見ない間に随分な仲に…」

「ご、誤解だアケチ!これには訳が」

(ムッ!)

「そ、それにそういうお前だって気が付けばテネジーと…!」

「!…僕のことはいいでしょう!」

「あー、赤くなったー!このー、白状しろー!」

「なあ、どこまで進んだんだよあいつとは、あん?」

「はあ…もういいですよ、降参です。それよりちょっとどいてください。」

「へ?」

アケチはまっすぐフィデール号の方向へと向かったかと思うと、コックピット内のレンお手製の最新レーダーを覗き込んだ。

「やっぱり…端末で確認した時はこんな時間にまさかと思いましたが。敵が来ます!」

「え!!?わ、悪いアケチ。ちょっと俺にも見せて!?」

「ちょっと誰よこんな時に、もしかしてリコじゃない!?」

「ええーーー!!?ちょっと勘弁してくれよぉ」

「お喋りしている場合ですか、きますよ!もうす…」





(ドッカーーーーーーーーン)



「ふん、やっぱあのババァ(※1)が作った爆弾じゃこれくらいが限界か。さて…と。」
<※1=ババヤガンのことです。>


(コツ、コツ、コツ)


「ふん、これがあいつのなんとかウィングってやつね。つまりこいつをぶっ壊せばやつらは術を失う訳ね。ハハッ、いい気味」

(カチャ)

ユウは侵入者の頭上に頭巾越しから彼のエンフィールド・リボルバーを突きつけた。

「何しにきた…ヨミチ」

(シュッ、サッ)
彼女は暗器のジャマダハルで素早く彼の腕を切りつけ、難を逃れる。

「ぐっ!?」

「私に銃突きつけるとはやるじゃないの。何、なんか文句ある?」

「あなたはパリヴァールで出会った…!敵自ら奇襲してくるとは…!」

「クッ…お前…お前のせいで俺達の仲間は…お前を信じた仲間はっ…!」

「ああ、あのキュウリ野郎(※2)のこと?そういやあたしが瀕死にしてやったんだっけ。あいつ、無事?」
<※2カナ=キュリーのあだ名です。>

(ギリッ)

「ていうかさあ、あんたとのんびりくっちゃべってる時間は無いの。どいて…もらおうかしら!」

「させるか…よっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ヨミチとの戦闘になります。パーティはユウ、ユイ、アケチの3人で固定されます。敗北すれば当然の如くゲームオーバーです!>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「へっ…ぐぇ、ふふ。や…るじゃないの。」

「アケチ、何というか…流石だな。お前がグレネードランチャーを誤射しないとは。」

「ふっ、人間、集中してると何かしら成果はあるものですよ」

「何!?じゃあいつもは集中してないってのか!」

「く…ふふ、あんたら、敵が目の前にいるってのに…漫才?余…裕……ね。」

(キッ)ユイはヨミチを睨みつけた。
「あんたの脳天にあたしのモンキーレンチが炸裂したってのに喋ってられるあんたの方が凄いわよ。」

「く…ガハッ…!あたしはこんな…とこで…終わらないわ…よ…!」

「あきらめろ、悪いがお前は暫く…」

(サ、サ、シュッ!)
「ガハッ!!!!」

「ユウ!!」

「まだあんなに動ける気力があるとは…ただの少女ではない…化け物ですか、彼女は!?」

「ユウ、ユウ!!しっかりして!ユウ!」

「ク…くそっ…」
ユウは猛毒に侵されてしまった。

「へ、ヘヘ。ざまあ見なって…んだ。だけど…あたしもげん…かいか。」

(ポイ、ポイ)

(ドカカーーーーーン!!)

「?!」

(パチパチパチ)
「くっ、しまった、手榴弾を…!ああ、フィデール号が!?」

「い、ヒ、ヒ。アタシなんかに…構ってる場合?」

「クッ、早く消さないと!」

「本来は…あのガキの…でかい奴を始末する…予定だったのに…だ…が…艦長のを仕留められたなら、上…出来だ!」

「!…この…野郎…!」

「ユウ!お願い!もういいから!喋らないで!」
ユイは涙目になりながら必死にユウの傷口から見よう見まね半分で血管の毒を吸い出している。

(シュッ)

「?! …消えた!?どこ行きやがったアイツッ!」

「ユイさん、そっちはいいから!ユウ君の血の毒を吸い出したら消火作業手伝ってください!」

「ま…待て…待てよ…ヨミチイイイイイィィィィィっ!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ババヤガン専用機、ホーンドオウル号内…。

「相変わらず無茶するんですから、あなたも。カメダ様にどう説明するつもりですかぁ?」

「うるせぇ…。あん…な…変態メガネ…のことなん…か…どうでもいい…ってんだ…」(バタッ)

「あらあら、気絶しちゃいましたねえ。それにしても…奴らの力は地上戦でもここまで強大、ですか
全く…だからめんどくさいことせずにこの護衛艦ごとぶっ壊してしまえとカメダ様は言っていたのに」


(!この女…情けが移ったんでしょうか。…
これは…油断できなくなってきましたねえ。私は私で彼らを待っておくとしますか)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌朝━━━━


「一応応急処置はしておきましたが…出力不足はやむを得ませんよ。」

「ありがとうございます、ソネットさん」

「しっかしあなた達も随分ドンパチやったんですねえ、こんな狭いところで。
飛行機を直しにやって来て壊されるとは本末転倒もいいところじゃありませんか。」

「すみません…。」

「!…ソネットさん!ユウはカメダの手先を…!」

「ユイ、いいんだ」

「…!その腕の傷を見るに只の手練ではないと思っていましたが…そういうことですか。」
ユウの右腕にはエンゼルの薬箱から出してもらった包帯でグルグル巻きにされていた。

「ごめんなさい…つい…熱くなってしまって」

「フフフ、いやいや、素晴らしい。艦長らしい態度です。本当に彼女のお父さんにここまで似るとは…」

「!…パパに?」

「実はですね、昨夜私トウヒさんにターニャさんの酒場で初めてお会いしてきてですね。少し晩酌を交わしてきた訳ですよ。
お酒の飲みすぎで少しお体をいわされてるようでしたが…成程噂通りのお方だった。」

「!」

「それでですね、これは完全な独り言なのですがね、いよいよ明日出発だということを告げたら、
何を勘違いしたのやら一人で泣き出しまして、勝手に昔話を始めたんですよ。
なんでも自分の家の倉庫に現役の頃乗っていた機体を修理したものがあるんだそうで、
それはレプリカには違いないのですが、クセが強い代わりにパワーや性能は相当のものなんだそうです。
で、出発するときそれを持って行けと…」

「!…」

「!………ユイ、アケチ、悪い!すぐ戻る!」
(タタタタッ)

「あ!…待って、ユウ!あたしも!」
(タタタタッ)

「…あ、ちょっと…すみませんソネットさん。失礼します!」
(タタタタッ)






「フフ、…やはりよく似ている」
ソネットはキセルを取り出し、一服した。






ユウが外に飛び出した瞬間。
彼の目にフィデール号の1.5倍はあろうかという機体が飛び込んできた。
その機体を見た瞬間、彼はそのフォルム、その構造、全てが彼のハートを直撃した。
いわゆる一目惚れというやつであった。

「こ、これが…」

「おう!持ってきてやったぞ」

「ツチさん、ボボ!そして…」

「よっ」

「トウヒさん!!!」

「ソネさんに聞いてさあ、近くにいたこいつを持ってくるの手伝えって言ったらさあ、てんで役に立たないんだよ、こいつが」

「う、うるさいでバッタね!飛行機乗るのはどうしても慣れないバッタよ!怖かったバッタ~。」

「ヘッ」

「トウヒさん、これが…」

「おう!これがわいの元現役機、サージュ号や!!」

「す…すごい、すごいすごい!!!わあ…」
ユウは仔犬のような潤んだ目で機体を眺めていた。眼がキラキラしているという擬音はまさにこういう時使うのだろう。

(タタタタッ)

「…パパ!!」

「おう、ユイ!どしたんやーお前ー!帰ってきたなら挨拶の一度くらいしてから行けえや人が悪いのお!」

「…もう!そういうのが恥ずかしかったから行かなかったんだよ!!」

「工場長!お久しぶりです」

「おう、眼鏡坊主!(※3)なんや暫く見いひんうちに面構えが変わったな、旅の途中にコレでも出来たか?イシシ」
<※3=勿論アケチのことです。>
トウヒは笑いながら小指を立てた。

「!!」

(アハハハ)

「冒険が終わったら家帰ったれよ!あいつら心配してたで~」

(スチャ)<←メガネを戻す音>
「…はい!必ず!!」

「そして…おいユウ!!」

「はい!!」

「何ボケっとしてんねん。何やいらへんのか、サージュ号?」

「い、いや!トウヒさんの愛機を頂けるとは思ってなくて…!」

「何勘違いしてるねん、やらんわ!!貸すだけや、暫く!」

「へ?」

「ファントゥームから帰ってくるまでの期間付きでこいつを貸したる!墜落させたりしたらただじゃ済まさへんで~」

「……」

「……」

「…はい!絶対、生きて帰ります!!」

(ガン!!)

「痛っ!?」

「へっ、いっちょ前の口ぃ聞くようになりやがって」

「パパったら!」

(アハハハハハハ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

━━━━ 一時間後。

「よしみんな!準備は出来たか?」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はい!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

「じゃあ最終点呼!!」

「ちょっと待ってユウさん!」

ポンチョを着た少女が手を挙げた。

「どうしたエンゼル?」

「…いや、何でもない、ゴメン!」

「? どうしたんだよ、余計に心配するじゃないか。」

「え、ええと…。もし、もしだよ。ファントゥームで私がいなくなっても…」

「!?」

「ご、ごめん!本当に何でもないんだ、今のは聞き流して!」

「あ、ああ…ええと…。それじゃ改めて点呼取るよ!」」


━━━━ そして。

ここはサージュ号内部。

「えへへ、ユウと一緒に飛行機乗れるのって幸せー♥」

「ははは、あんまりはしゃぐなよ?…それじゃ」

「ファッティホエール号、点火用意!!目標、ファントゥーム!」

「こちらアクイラ2(「A-wing」)。先に離水します!」

「了解!!道標を頼む」

「3」

「2」

「1━━━━」



「点火!!」
整備員の声が一斉に響きわたる。


そして…
「こちらアクイラ1(サージュ号)。離水する!」

(これが、俺たちの)
(私たちの初めてのフライト…!)

「いくよ、ユイ」

「うん…!」

(ガコン)

(ブオオオオオオオオオオ)

ユウ・ユイ「「点火!!」」






オルドル地上では片足の中年男性が空を見上げて叫びを上げていた。
「………………生きて…帰って来いやああああああ!!!」




(ユウがパワーアップした!)
(ユイがパワーアップした!)
(アケチがパワーアップした!)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここはオルドルとは遠く離れた辺境の地…。
「さて。俺も行くか。面白そうな臭いが、あの浮遊城に漂ってる。待ってろよ、エンゼル。」


とある大男が乗った飛行機━━━━レッドドラゴン号が離水した。




No.55
■捏造祭り連続イベント「古代遺跡の真相(4)」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/18(日) 19:45

挿絵あり
鋼鉄の翼――ギリュウによって空を翔ける力を得た青年は、
もう一つの願望をかなえる機会をも得ていました……かつて離れた、地上の様子を知ることです。
彼の『祖国』は、隣接していた巨大軍事国家『帝国』によって征服され、
青年自身は近海の同盟国に亡命する最中、海難事故にあったのでした――以来十数年。
地上の情報は、一切彼には届いていませんでした。

十数年の間に、地上では『帝国』が世界最大最強の統治国となっていました。
その統治法を見て、青年は慄然とします。併呑した属国を次々に植民地と化し、現地の民を奴隷の如く管理していたのです。
……当然。美しき彼の『祖国』も、帝国の蹂躙を免れませんでした。
自然は切り拓かれ、老若男女問わず、労働力として馬車馬のように使い殺されていました。

空中都市に戻った青年は、少女に懇願します。「仲間を救いたい」と。
最後まで難色を示していた少女でしたが、青年の再三の願いについに折れ、条件をつけて彼の願いに応えました。
青年はまず、民を取り戻す『力』を備えることにしました。
ギリュウを改装し幾許かの武器を設え、自律駆動する機体を建造。度々、地上にゲリラ的な攻撃を仕掛けてまわります。
こうして青年は、虐げられていた同胞を少しずつ天上の都市に招き入れ、空中都市の外縁部に住まわせるようになりました。
救世主として帰って来た智謀の青年……かつての王子を、民は畏敬の念を籠めて『王』と呼ぶようになったのです。

『王』は一部の民に自身と同じ《知恵》を授けます。
青年がかつて少女に受けたソレのように、身体に遺跡への接続ポイント――呪紋を刻み、
遺跡の膨大な知恵や技術を自由に検索することが出来るようになった人々……偉大なる古代の叡智を繰る『碩学』(せきがく)を生んでいきました。

『王』を中心とした、超古代文明の知恵を継承する空中都市国家・ファントゥーム。
その繁栄は凄まじく、成立から僅か十数年で、地上の文明を遥かに凌ぐ高度な科学技術を有するに至っていました。
彼を尊敬する沢山の人々に囲まれた『王』の傍らには変わらず、美しき『姫』の姿がありました。
二人は民に祝福され、楽園で仲睦まじく暮らしたということです――


エンゼル「めでたしめでたし……とまあ、さわりだけですが。こんなお話だったのさ。」
アケチ「ふむ。東洋のほうに伝わる、天女の伝説にも通じるところはありますね」
エ「あるいは竜宮城とかね。うん、あれも良い話だよねー」
クロエ「……難しい話はいいけどさ。それが、エンゼルの里に伝わってた伝承なんだ」
エ「あたしもお父さんに聞いた話だからね。代々、語り継がれて来たって話だけど……」
ク「レッドさんにか……」
ア「クロエくん、どうしました?」
ク「……ああいや。なんでもないよ。ありがとうエンゼル」
(なんだか、違和感があるな。
 ……レッドさんなら、何か知っているのかな?)


■ランダムイベント・語り部レッド

ク「レッドさん。釣れてますか?」
レ「おお、少年。外道ばっかりだけどな。……今日はどうした?オレの出番か?」
ク「ああ、いや。大した事じゃないんですけど……
 エンゼルから、レッドさんがしてくれたっていうファントゥームにまつわる御伽噺を聞いたんですよ」
レ「……ああ、アイツはあの話が大好きでね。今お前さんたちに同行してるのも、それが原因だろう」
ク「ええ、そりゃ熱心に語ってくれました。……で、ちょっと気になったんですよ」
レ「なんだ?」
ク「あのおはなし……あそこで終わってるんですか?」
レ「………どうして、そう思うんだ?」
ク「いや、なんというか。ロマンはありますけど、なんだかあっさり終わりすぎてるような感じがして」
レ「………鋭いな、少年。親心ってヤツかな。……ことに、アイツにはこの続きは聞かせたくはないんだ」
ク「……?というと?」
レ「御伽噺ってヤツはな。美しい幕引きはあっても――幸せには終わらない、ってことさ」
ク「! ……グリム童話とかみたいに、ですか?」
レ「ああ、そんなところだ。もともとが、何かの教訓を子供にも判りやすいように伝えるためのモンだから、当然っちゃあ当然なんだがな」
ク「教えてもらえませんか、その続きを。一つでも、手がかりが欲しいんです」
レ「……いいだろう。その話はな。こう続くのさ――」



……ですが。平穏は長くは続きませんでした。
発展した技術は、人の欲望をも肥大させるものです。
虐げられていた民の行き場のない憤怒は、一つの願いとなって結実します。

――かつて奪われた祖国を取り戻す。

空中都市の民達からそんな声が出てくるのも、当然の帰結でした。
……王は悩みます。姫は表情を曇らせています。戦いを望んでいないことなど明らかでした。
しかし……青年は、既に王だったのです。臣民の声を無下には出来ず、祖国を取り戻すための行動に打って出ました。

先ずは交渉。先進的な技術を武器に、帝国に割譲を迫る――
武力衝突をしないで済むならそれに越した事はない、という判断でしたが……帝国は、これを拒否。

頑なに開戦を拒み続ける姫に対する罪悪感に蓋をして――王はついに決断します。
ギリュウ飛行戦隊を旧祖国領に投入、大々的な奇襲攻撃を敢行したのです。
その戦果は絶大。瞬く間に祖国の主要都市のほぼ全ての奪回に成功しました。

ですが、帝国も無策で矛を交えた訳ではありませんでした。
地上の遺跡から発掘された機械人形……『システム』を、不完全ながらも運用していたのです!
ギリュウは空陸において優秀な兵器ではありましたが、こと陸戦においては、頑強なシステムに分がありました。
そしてなにより……配備された機体数に、大きな開きがあったのです。
結果、粘り強い陣地防衛戦、歩兵同士の会戦では、帝国側の優勢という事態も少なからず起こっていました。

いつしか、戦況は膠着していましたが……実の所は、両者ともに逼迫した状況にありました。
空中都市は資源に乏しく、生産力に問題を抱えており……
対する帝国側は、空中都市のさらなる超兵器に対する恐れを捨てきれませんでした。

均衡を破る切り札を、両者ともが模索する中――
王には、塞ぎ込んでいる少女を慮る余裕は既になくなっていました。
他の碩学達と共に、探索し尽くした蔵知を再び走査している時――今まで、遺跡内部で踏み込んだ事のない領域があることに気づきます。
それは遺跡中枢の一角……物理的、電子的、魔術的と三重に張り巡らされたプロテクトによって、外部からのアクセスを拒み続けた施設。
王は、その施設の解析に取り組みますが――その最中、えも言われぬ違和感に囚われます。
その施設に注ぎ込まれるエネルギー分配量や資材が、あからさまに過剰なのです。
まるで、その小さな一角の為に、この空中都市全て存在しているかのようだ――
そう王は訝り、より遺跡を知悉する姫に、その施設について問いかけます。
……返答は簡潔でした。

それに触れてはならない……「禁忌」である、と。

姫の鬼気迫る雰囲気に、さしもの王とて、その施設の解析を差し止めざるを得ません。

そんなある日。空中都市に、衝撃が走りました。祖国一帯が、帝国の放った秘密兵器によって壊滅したというのです!
調査に出たギリュウが捉えたのは、一面の荒漠たる大地。もうもうと降り注ぐ灰に、歪に枯れ果てた植物に奇形化した動物――
遺跡の蔵知が、その惨劇の元凶を王に教えます。

……反応弾。

それが祖国を焼き尽くし、向こう一世紀間、草一本生えない死の大地に変えた悪魔の兵器の正体でした――



■都市外縁プレート

都市の外側に位置した浮島。都市を囲うように配列していたらしい。
自然に満ち溢れ、無数の動植物が住まっている。下から移住してきた人間を受け容れた空間。
現在、伝わっている都市の伝説からは確認できない部分。


No.54
■探偵少女は情報屋おじさんの弟子 投稿者:トミーズ・ぞいや 投稿日:2012/03/18(日) 09:45

サカイ「...そろそろ来る頃かな。」
ナオ「師匠~、お久しぶりでーす。」
サカイ「久しぶりだね。まあ、立ち話もなんだ。ご飯でも食べながら話さないかい?」
ナオ「はい!行きましょ行きましょ○><」

ナオ(ガツガツバクバクゴクゴク)
サカイ「もう少しゆっくり食べたらどうだい。」
ナオ「らいほうふれふ。(大丈夫です。)」
サカイ「よっぽどお腹が空いていたんだね。その様子じゃあ、本業の方はうまくいってないのかな。」
ナオ「(ゴックリ)ふぅー、ごちそう様でした。そうなんですよ。日に日に収入が減ってきちゃって。」
サカイ「言ってくれれば、仕事をそっちに回すこともできるが、」
ナオ「大丈夫です。サラがいい雇い主に出会ってくれましたから。」
サカイ「雇い主...?あぁ、クロエくんか。」
ナオ「さっすが師匠。お耳が早いですね。」
サカイ「それで、わざわざ私に連絡してきた理由は美味しい店を紹介してもらうためじゃないよね?」
ナオ「モチロンデスヨ。アタリマエジャナイデスカ。」
サカイ(じぃーーーーー)
ナオ「な、なんですか。」
サカイ「別に。で、結局なんなんだい。」
ナオ「では率直に。ズバリ!リンお姉さまの居場所を教えてください。」
サカイ「なんだそんなことか。それなら...」
ナオ「それなら?」
サカイ「わからん!」
ナオ「(ドッテ~ン)わ、わからないんですか。」
サカイ「あいつはまさに神出鬼没。私はおろか他の情報屋仲間でさえも知らん。」
ナオ「そんな~、トホホですぅ...」
サカイ「なんだよ、久しぶりにリンに会いたいのか。」
ナオ「そりゃそうでしょ。なんてったってリンお姉さまはなおっちの『お師匠様』ですから」
サカイ「正確には『前の』だけどな。」
ナオ「ブー、そんな意地悪言わないで下さいよぉ。」

~3年前 ブランシェのレストラン~

サカイ「はあ!?今なんて言った?」
リン「この子をおじさんに預けるって言ってるのよ。」
ナオ「よろしくお願いしまーす☆」
サカイ「預ける、ってことはまさか!」
リン「あなたの下で鍛えてほしいの。情報屋としてね。」
サカイ「...リン、ちょいこっちへ。」
リン「何よ。」
ナオ「?」
サカイ「(小声)無茶言うなよ!お前が鍛えてやったらいいだろ!」
リン「(小声)彼女はもうすぐ妹と一緒にここに住むのよ。それならおじさんに預けたほうがいいでしょ。」
サカイ「(小声)ん~、あの子は素質があるか?」
リン「心配しなくても、なかなか筋が良いわ。鍛えようによっちゃ、化けるかも。」
サカイ「なるほどな。君名前は?」
ナオ「あたし、ナオっていいます。」
サカイ「ナオちゃん、普段は何をしてるんだい?」
ナオ「職業は探偵でーす。」
サカイ「探偵かぁ、妹がいるんだって」
ナオ「はい、自慢の妹のサラですね」
サカイ「サラ、ちゃん...(もしかして、)何か仕事してるの?」
ナオ「雇われ空族をやっています。」
サカイ「(やはりな。)ふむ...」
ナオ「あれ、サカイさん?」
サカイ「..........」
ナオ「な、何か言ってください。」
サカイ「..........」
ナオ「こ、この沈黙は耐えられませんよ。」
サカイ「..........」
ナオ「あ、あのう.......」
サカイ「気に入った!」
ナオ「えっ?」
サカイ「いいだろ。私の弟子として君を鍛えてあげよう。」
ナオ「ほ、本当ですか。」
サカイ「その代わり条件がある。」
ナオ「何ですか?」
サカイ「私の仕事を手伝ってほしいんだ。君はもちろん、妹ちゃんもね。」
ナオ「それくらいならお安い御用です。」
サカイ「んじゃあ、後日詳しいことを説明するから、連絡先教えてくれないか。」
ナオ「はい(サラサラサラ)どうぞ」
サカイ「ありがと。他に何か聞きたいこととかある?」
ナオ「えっとですね、」

(ぐうぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~)

ナオ「おなかが空いちゃいました。///」
サカイ「...何か注文するか。」
ナオ「わーい!(ピョコピョコ)」
サカイ(こういうところはかわいいな。)
リン「このロリコン。」
サカイ「人の心を読むな!」

~~~~~~~~~~~~~~~~

サカイ「しっかし、あれからもう3年か。早いもんだ。」
ナオ「師匠に鍛えてもらったこの3年間でナオっちのスキルはグーンっと上がりましたよ。」
サカイ「主にドジッ子さがな。」
ナオ「だから一言余計ですって!」
サカイ「あとは...」
ナオ「あとは?」
サカイ「ないかな。」
ナオ「えぇー、師匠ひどいですよー。」
サカイ「悪い悪い、これで許してくれないか。(ゴトッ)」
ナオ「何ですかこの袋は?」
サカイ「開けてみな。」
ナオ「(ゴソゴソ)あ、これ!」
サカイ「そう、パライソ名物のフルーツをふんだんに使ったジャムだ。」
ナオ「どうしてこれを?」
サカイ「サラちゃんが欲しがってるって聞いてたからお土産で買っておいたんだ。」
ナオ「でもこれって、なかなか手に入らない貴重な品って。」
サカイ「もうすぐサラちゃんの誕生日だったよね。プレゼントに買うつもりだったんだろ。だから食費を削っていた。違うかい?」
ナオ「...師匠にはお見通しでしたか。」
サカイ「伊達に45年情報屋をやっちゃいないからな。ま、かわいい弟子へのご褒美ってヤツだよ。」
ナオ「かわいくて有能な弟子なんて、ナオっち テレちゃいますぅ」
サカイ「言ってないから言ってないから。(チラッ)そろそろ合流の時間だろ。」
ナオ「えっ、あああぁぁーーーーー!!!!! そうだった。じゃあ師匠、また今度。(タッタッタッタッタッ)」
サカイ「おーい、そんなに走るとコケるぞー。行っちゃった。さて...もう出てきてもいいじゃないか。リン?」
リン「あら、気づいてたんだ。久しぶりね、おじさん。」
サカイ「最後に会ったのがこないだのネグロの奴隷市場の情報を聞きに来た時だったな。というかいつから見てたんだよ。」
リン「昔話に花を咲かせたところからよ。ずいぶんと優しくするのね。」
サカイ「おまえも人の事言えないんじゃねえか。未だにその年下に弱いところは直ってないんだろ。」
リン「うるさいロリコン。」
サカイ「だから違うっつってんだろ!」
リン「で、なんでワタシがこの近辺にいることを言わなかったの。」
サカイ「まだその時ではないから、っと言ったところかな。」
リン「あなたから見て3年前と今を比べて彼女たちどう?」
サカイ「...サラの操縦の腕も前よりずっと磨かれてる。ナオも荒削りながら確実に力をつけてきてる。二人ともかなり上達しているが、まだ裏の世界に出すわけには行かない。」
リン「ホント過保護ね。」
サカイ「今が大事な時期なんだよ。」
リン「じゃあ、最後に一つ。」
サカイ「ん?」
リン「なぜ、ナオを弟子にする気になったのか。」
サカイ「だから、それはおまえがだな、」
リン「それだけじゃないでしょ。見え透いた嘘はやめておいたほうが良いわよ。」
サカイ「ったく、仕方ない。決定的だったのは、サラちゃんだ。」
リン「妹のほう?」
サカイ「当時、情報屋仲間から聞いたことがあった。雇われ空族の少女の存在と評判。」
リン「...」
サカイ「ちょうど仕事の手伝いが欲しかったし、ここらで若い芽を育てるのも悪くないと考えてな。でも最近はちょっと、」
リン「どういうこと?」
サカイ「あの子ら見てると自分に娘が出来たみたいでな。なんだか嬉しくって。」
リン「変な感情は命取りになるわよ。」
サカイ「わかってる。けどな、あの二人は私の自慢の娘さ。だから私の手で一人前に育てたい。」
リン「あなたはいつになっても変わらないわね。まあ、精々頑張ってね。」
サカイ「リン。」
リン「何?」
サカイ「またなんかあったら頼りに来い。おまえも私の娘みたいなもんだ。」
リン「ふっ、ありがと。(シュタッ)」
サカイ「さて、情報集めに行くか。ぼちぼちカメダ軍団の動きも怪しくなってきたし...」



No.53
■「カズ問答」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/18(日) 02:56

ファッティホエール号の内部、ユウとユイは整備のために船の内部を回っていた。
ここ数日の連戦が響いたのか、あちこちにガタが来ていた。
「しかし結構傷ついてるなぁ・・・ファントゥームにも近いのにこんなんじゃいざというときに大変なことになっちゃうからな・・・」
「そうだねーやっぱり結構無理なことしてるから・・・」
各箇所を点検しながら二人は各所を回っていく、しばらくしたときある人物を見つけユウに声を掛ける。
「あ、フェイちゃんとカズさんだ・・・」
「あ、ほんとだ きっと任務かなんかから戻ってきたところじゃないか?」
フェイの話を聞くカズ そのまま二人は歩いていく、するとユイは
「あの二人、いつも一緒に居るね ふふ、まるで親子みたい」
「確かになぁ・・・カズさんはフェイさんに対して多少過保護なところもあるよなぁ・・・」
「そうだね・・・だけどカズさん、ずっと笑ってない なんかフェイちゃんに無理やり合わせてるみたいな・・・」
「確かに・・・俺もカズさんが笑ったとこを見たことないかも・・・」
「なんというか・・・自分を責めてる人の表情だよ・・・あれ・・・ 仲間になってからもずっとあの表情から変わってない」
「自分を責めてるねぇ・・・ フェイさんはあんなに可愛く笑うようになってるのに・・・なんでだろう・・・」
「・・・」
フェイが可愛いという言葉が出た直後、ユイは突如不機嫌になった。
「ん?どうした?」
「なんでもないよ、ユウ君」
「ユ、ユイさん・・・?」
「ほらさっさと整備に戻るよ、ユウ君」
「め・・・目が笑ってないよ・・・」
こうして二人は船の整備に戻っていった。


その日の夜、カズはホエール号の甲板に出てきていた
「この寒さ・・・軍隊に居たころに似てるなぁ・・・」
そう呟いてからふと後ろを見ると彼女はいきなり槍を振りかざした。
「?!・・・なんだあんたか・・・」
「カ・・・カズさん・・・とりあえず武器を下ろしてくれないかな・・・」
気になって付いてきたユウの姿があった。
「なんや・・うちになんか用事か?」
「い、いや一人で上に上がっていくから気になって・・・邪魔になったならごめん・・・」
「別に・・・昼間はずっとフェイと一緒に居るからな、たまには一人で星でも眺めようかななんてな」
「そ、そうなんだ・・・ねえ、一つ聞いてもいいかな?」
「なんや?」
「いや、何でカズさんとフェイさんは盗賊をしてたのかなーって」
「ああ・・・それか、確かにいつかは話しておかんといけんとは思ってたんやけどなぁ」
「話したくないなら別にいいんですけど・・・」
「いや、別にええよ あんたはうちらが幼馴染ってことは知ってるか?」
「ええ・・・前にフェイさんから聞いたので」
「昔、フェイがほんと小さいころに、母親がカメダ軍に攫われて殺された、遺体は今でも見つかってないが、葬式の時にずっと泣いてたフェイの顔がずっと頭から離れなくてな」
それを話す彼女の目はいつもと変わりはしなかったけど、そのときだけ遠い昔を懐かしむような目をしていた。
「父親を昔に失ってたフェイはそれからずっと一人でな 幸い世話は知り合いの武器や屋にも同じくらいの子が居てな、そこにしてもらってたんやけど・・・」
「あれ?けどフェイさんとカズさんって同い年ですよね? そのころカズさんは?」
「うちは昔からずっと軍隊に居た、親なんてとっくに居なかったしな、だからうちはフェイの近くに居てやることはできなかった」
彼女の語り方は過ぎた過去を悔やむように、淡々と語られていった。
次の語りだしは彼女自身が言い出すのを躊躇ったように見えたが、彼女は話を続けた。
「数年後、うちはある選択を迫られた・・・軍を抜けフェイに誘われてた空賊をするか、それともそのまま軍人として生きるのか」
「・・・それでフェイさんを選んだと?」
「ああ、だがその選択はあまりにも重かった うちは周りからもちろん軍人として期待されてたキャリアを捨てたことになったし、なによりフェイを賊にしてしまうことで、仲間を・・・これ以上仲間を作れない状況にしてしまったんや・・・」
「それに対してフェイさんはどうだったんです?」
「フェイは・・・確かに幸せそうやった・・・けど心のどこかでもっと仲間が欲しいと思ってたんやろうな・・・そういう意味ではうちはあんたに感謝してる 仲間を欲しがってたフェイの仲間になってくれて」
「俺だけじゃないよ、この船の皆がフェイさんやカズさんの仲間だよ」
その言葉を聞いた瞬間、一瞬だが彼女の表情が喜びにも悲しみにも受け取れる雰囲気になった。
「ありがとな、そう言ってくれるとうちも安心やわ、これで重い昔話はおしまい! うちもさっさと船に戻って準備でもしてるわ。
「え、ああ・・・はい これからもよろしくお願いします!」
こうしてカズは船の中に戻っていった
「カズさんがしなければならなかった選択かぁ・・・なんだったんだろ」
その選択がフェイだけではなく、今のユウの生き方を選ぶことにもなっていたということが分かるのはまだ先の話。


-船の中-
「あ、カズ どこに行ってたの? 聞きたいことがあったのに」
「いや、ただの散歩や なんや?聞きたいことって」
「ユ・・・ユウ君が好きな物って分かる?」
「は?」
「だからユウ君が好きなもの! いつも大変そうだから差し入れてあげようと思って!」
「知らん知らん 自分で考えろやー」
「もーそういうことだといつも無視するーたまには答えてよー!」
「知らんものは知らんっていってるやろ!」
こうしてにぎやかな中に悪く言えばフェイの保護者に戻ったカズはいつも通り日常の中へ戻っていった。



No.52
■「欠落と決断」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/18(日) 02:56

ファントゥームにいよいよ乗り込むまで数日となったある日、ジパングにあるシアンの武器屋、ユウ達はそこで一日の休息を取っていた。
「すみませんシアンさん、無理言ってしまって どうしても船の中を整備しなくてはいけなくて・・・」
「いやいやこれくらいなら大丈夫さ、フェイやカズも君たちのところには世話になっているしね」
「ありがとうございます、じゃあ僕はこれで」
そうしてユウは部屋を出て行く、するとシアンは
「どういうつもりだ、カズ」
「どういうつもりって 別に困ってたんやから助けるのは普通やろ?」
「そういうことじゃないさ、別に責めるつもりではないが、結構仲良くやってるじゃないか、私もうれしいさ」
「そうか?うちは普通に利用したりされたりな関係な気がするけどな」
「いやいや今のフェイを見てれば分かるさ、君たちが出て行ったときとは大違いさ」
「そうか・・・まあ・・・確かにフェイは変わったな 今は確かに楽しそうや」
「だろう? だからそこで相談だが・・・」


そのころユウは与えられた部屋に戻ろうとして、ふとシアンに聞き忘れたことを思い出す。
「あ・・・しまった・・・シアンさんに武器の調達を頼みたかったんだ・・・」
と引き返そうとしたとき部屋から出てきたフェイに出くわす。
「あ、ユウ君 どうしたの?」
相変わらず薄い格好で出てきたフェイにユウは
「フェイさん・・・休息中はいつもその格好なんですね・・・」
「え?ああ・・・まあ・・・動きやすいからかなぁ・・・」
恥じることもなく答えるフェイにユウは。
(動きやすいのはなんとなく分かるんだけど・・・いいのかなぁ・・・これで)
「で?どうしたの?ユウ君」
「いや・・・シアンさんに聞きたいことがあってさ・・・」
「じゃあ一緒に行く?私も少し話したいことあったしさ」
「そうだね、そうしようか」
そうして元の部屋に引き返していった。

シアンの部屋の手前まで来たとき、部屋の中から話し声が聞こえる。
「シアンとカズかな 二人も話したいことがあるのかな」
と、部屋に入っていこうとしたフェイの口を塞ぎ、扉の横で立ち止まる
「フェイさん!ちょっと待って・・・」
「?!!」
部屋の中からただならぬ剣幕を感じ、二人は入るのを止めた。


-数分前-
「だろう? だからそこで相談だが・・・カズ 君は私の軍に戻ってこないか?」
「は・・・? 何を言ってるんや うちは昔、あの任務から軍への忠誠心不足って外されたはずやろ いまさら戻っても変に思われるだけや」
「まあそうだが、考えてもみろ 私の軍だ 君の実力は今も申し分ないと思ってる むしろあの一件で人を殺すこと抵抗を覚えなくなったのは幸いだ 君に文句を言うやつなど、私が処罰してやるさ」
「だが・・うちにはフェイが・・・」
「そのフェイにもう出助けが必要なくなったから提案したのだろう」
「な・・・・」
「君ももう気が付いているだろう、フェイは十分一人でやっていけるさ 子供なのはむしろ君のほうなんじゃないか?」
「っ・・・・」
その会話を聞いてたユウは
(な・・・なんの会話だ・・・?)
「わ・・・私のことなのかな・・・」
横で不安そうにしているフェイに「大丈夫だよ」と声を掛けまた話に耳を傾けるユウ。
「まあ君の決めた人生だ、私が強制できる事でもないし、今すぐってことでもない ゆっくり考えてくれ」
「・・・うちが・・・」
「どうした?」
「うちが今戦ってるのは・・・過去に自分がしてしまった過ちへの償いでもある・・・」
「ああ、今従っている男の父親を殺したとかそんなんだったっけか、君もつまらないことで責任を負うんだなぁ」
「つまらないこと・・ってなんや・・」
「そんなに気に負う必要もないってことだ、君はフェイとその知らない男を天秤に掛けてフェイを選んだ、それだけじゃないか・・・!」
「けど・・・そのせいでユウはその仇を取る為に今でも空賊でその見えない仇の影を追ってる・・・」
「ああ・・・そうだったな だったら、いっそ君がその仇だと言って戦闘でもしてみたらどうだ、十中八九君が勝つだろう」
「そうかもな・・・だが、そうなったらフェイはどうする・・・? 結局はまたフェイの居場所が無くなるだけやないか・・・」
「だからそれを見越して君に軍を戻ってこないかって言ってるんだ、こうするしか方法はあるまい?」
「確かにそうかもしれんな・・・」

その会話を聞きながらユウの隣に居たフェイは
「わ・・・私って・・・二人にとってずっと邪魔者だったのかな・・・」
涙目になりながら二人の話に耳を傾ける、 それを励ましながらもユウはある種のショックを受けていた。
(ど・・・どういうことだ・・・?カズさんが・・・僕の父を裏切った本人・・・?)
急に受け入れられない膨大な情報と仲間だった人物が抱えていた心の闇を知り、驚きを隠せずに居た。

「確かに、シアンがいつも言うことは的を得ている うちも実際・・・フェイにはもううちなんて必要ないとは思っていた」
「だろう? だからこの戦闘が終わったら君には軍に戻ってきて欲しい」
「分かった・・・考えておく・・・ けどフェイにはこの話はするな いずれうちからこの話はするわ」
「ああ、期待しているよ 君には  かつて君は軍は裏切ったがそのおかげで飛行船やらの技術力はものすごく上がった、そういう意味では感謝はしている」
「確かにな・・・あの裏切りからある種うちの生き方は決まった・・・裏切りで始まって・・・裏切りで終わるんかな・・・」
「別に裏切りなどじゃないさ、むしろ君のあの行動がなかったらフェイのあの成長はなかった、そういうところでは君は十分彼女の役に立ったさ」


会話が終わるよりも前にフェイは店の外に駆け出していた、そしてそれを追いかけるユウ 二人の話の内容は気になったが、それよりも厳しい事実を伝えられた彼女の心のほうが心配だった
ふと・・・海のまでたどりつくと、彼女は振り向きユウに語る。
「結局さ・・・カズやシアンはずっと私のこと子供扱いしてたんだよね・・・なんとなく分かってたよ・・・カズとはずっと何も隠し事せずに親友だと思ったのに・・・カズはあんなに重いものを抱えてたんだね」
「フェイさん・・・」
「それにさ、私と盗賊をするために、カズはユウ君のお父さんを裏切ってたんだよ? 私のせいだ・・・」
「そ・・・それはフェイさんのせいじゃないから・・・」
一番話題にしたくない話をされ、対応に困るユウ。
「ごめん・・・言葉が・・・言葉が出てこないんだ・・・今だけ・・・泣かせて・・・」
泣き続けるフェイをユウはやさしく抱きしめる」
(フェイさん・・・ずっと親友だと思ってた人にあんな隠し事をされてたんだ・・・傷つくよな・・・)
腕の中で泣き続けるフェイをユウはしばらく支えていた。



「も、もう大丈夫だから・・・」
しばらくしたら、フェイはユウの腕の中から離れていった、泣いていたからか顔も赤い。
「大丈夫・・・?」
「う・・・うん、私なりに結論は出したから・・・」
「結論・・?」
「そう・・・そのうち分かるよ・・・カ、カズとはいつも通り接せると思うから・・・」
「フェイさん・・・」
覚悟を決めたような表情で、フェイは去っていく・・・その背中を見送ることしかできないユウは一人取り残され、そして呟いた
「父さん・・・僕はどうしたらいいのかな・・・仇ってどうすればいいんだろ・・・もう分からないよ・・・」


仲がよかった二人の亀裂やら、見つけた父の仇やらでとても眠れる気分ではなかった



No.51
■イベント:Rローズ参戦! 投稿者:アイス 投稿日:2012/03/17(土) 23:02

【パライソうろつきイベント:レッドローズ参戦!】
パライソうろつきで「ネイビ工場へ行く」を選択、「レッドローズ参上!」を見ている


ミソラ「いらっしゃいませー。ごめんなさい、今日も留守です」
クロエ「あ、今日はミソラさんに用事で。突然だけど…… 『レッドローズ』って知ってる?」
ミソラ「? 外国のお菓子ですか?」
クロエ「(こっちも本気で知らないらしいな……) じゃあ、この前倉庫で飛行機を見たときのことは覚えてる?」
ミソラ「はい。 でも、あの飛行機を見た途端にぼーっとして……気がついたら工場にいました」
あ、もしかしてあたし、倒れたりしちゃったんですか!」
クロエ「いや、そんなことはない……その時のミソラさんがどうなってたか、聞く?
……かなりショックを受けると思うけれど」
ミソラ「? いいですよ、聞かせてください)

クロエ「(そのときの話をしました)」

ミソラ「もう! まだあたしを子供って思ってますね! からかわないで下さい!」
アケチ「いや、全部本当のこと……」
ミソラ「うそだうそだー!」
ユイ「ね、信じられないと思うけど、本当なの。 信じて、ミソラちゃん?」
ミソラ「うー。ユイお姉さんがそう言うなら……」
ク・ア「(だから何でそこはいいんだよ……)」
ミソラ「あ……そういえば、話の中で『ルナティック号』って言いましたよね」
クロエ「え、知ってるの?」
ミソラ「はい。
何ヶ月か前の話です。 海辺でお散歩してたら黒い煙が見えたから、火事かなって思って見に行ったんです。
そしたら、飛行機と大怪我したパイロットさんが落ちてて、
急いで家で手当てしたんですけど……死んじゃったんです、その人」
クロエ「…………」
ミソラ「それで、『無念だったが、飛行機だけでも直して供養にしよう』っておとーさんが言って、
海辺から飛行機を運ぼうとして……あれ?」
ユイ「どうしたの?」
ミソラ「ごめんなさい、そこから先を覚えてないんです。その時も気がついたら工場に……」
アケチ「まさか、飛行機を見たから?」
ミソラ「そ、そんなまさか! ……わかりました。じゃあもう一回あの飛行機見せてください。
それでまた意識がなくなるようなら、ホントに信じます」
クロエ「わかった。じゃあ倉庫に行こうか
(またアレと話すのか……でもアイツにも聞きたいことはあるしな)」

〔そして……〕

クロエ「ミソラさん、ここの先に飛行機があるから、見てきてくれるかな」
ミソラ「はい、わかりました。 (にゅっ)
あ、やっぱりこの、ひこーき……あ……」

(ドクン)

アケチ「ミソラちゃん?」
Rローズ「……やれやれ。出てくるだけでも一苦労だね」
クロエ「や、やっぱり変わった……」
Rローズ「当たり前さ。僕の魂は、ルナティック号でこそ呼び覚まされる。
それで、彼女から話は聞いただろう?」
クロエ「ああ。二人ともの話を信じるなら、お前は墜落したパイロットの魂ってことか?」
Rローズ「ご名答。未練が強かったのか、どうにも死に切れなくてね。
咄嗟にこの体に潜り込ませてもらったのさ。いやいや、感謝してるよミソラには。
さて、この前の話と合せて、大体事情は察してくれるかな」
アケチ「敗北、って言ってましたね。空戦で負けて墜落した?
それと奴隷市場、復讐…… 君は、市場になんらかの怨みがあって、その飛行機で挑んで、
そして負けてパライソに落ちた……というとこでしょうか」
Rローズ「なかなか頭が良くて助かるよ。
僕は、もう一度あそこへ行く。今度こそ復讐劇の幕引きをしなければね」
クロエ「……ダメだ。
おそらくその飛行機じゃ、また死んでおしまいだよ。それにその体はミソラさんのものだろ?」
Rローズ「ではなんだい。僕は彼女の寿命が尽きるまで、中で悶々としていろと」
クロエ「…… 奴隷市場は、俺たちも潰さなきゃいけないと思ってる。
だから、少し協力してくれ」
Rローズ「何?」
クロエ「お前の腕前がどれほどかはわからないが、あそこに挑むってことはそれなりに自信はあるんだろ?
それに、今は戦力が欲しいんだ。
あの奴隷市場は、一人じゃ絶対に潰せない。 それは挑んだ君が、俺たちよりもわかってるんじゃないか」
Rローズ「ン……」
クロエ「お前の体じゃないから、絶対に無茶はしない。死なない。
これを守ってくれるなら、一緒に奴隷市場を潰そう」
Rローズ「………… 仕方がないね。君たちに、僕の舞台の役者になってもらってもいいだろう」
クロエ「なーんか引っかかる言い方だな。 まあいいや、よろしく頼むよ」
ユイ「ちょっと待って!」
クロエ「どうした、ユイ?」
ユイ「ミソラちゃんの許可はとらなくていいの?」
クロエ「そうだった! ごめん。一回ミソラさんに戻ってくれ」
Rローズ「いいだろう。 OKと彼女が言うなら、必ずまた出させてもらうよ」

〔そして……〕

ミソラ「はっ! ま、また工場…… ホントに、ホントだったんですね」
クロエ「うん。信じてもらえたかな。
……それでさ、ミソラさん。急に申し訳ないんだけど」
ミソラ「何ですか?」
クロエ「……パライソから外に、出ていってみる気はないかな?」
ミソラ「ふえ?」
クロエ「ご、ごめん、突然すぎてわからないよね。
実は……(倉庫の中でのことを話しました)」
ミソラ「……」
クロエ「絶対に危険なことはさせない。必ずパライソに戻ってこられるようにする。
どう……かな?」
ミソラ「うん、いいですよ!」
クロエ「え、そんなあっさり?」
ミソラ「だって、そのレッドローズさんがあたしの中で生きてるんでしょ?
一度助けられなかった人だから、今度こそ助けてあげたいんです」
クロエ「ミソラさん……」
ミソラ「それに、ここから外に出たことなかったし、楽しそうです!
いろいろな街を見せてください!」
クロエ「よし、わかった。
これからよろしくな! ミソラさん。それと、君のなかのレッドローズにも」
ミソラ「はい! よろしくお願いします!
あ、それからユイさん! 飛行機に乗ってるとき、あたしにいろいろ教えてください!」
ユイ「もっちろん! いっぱい教えてあげるからね!」

レッドローズが仲間になった!



おまけ
アケチ「お嬢さんには、現在二つの人格が同時に存在しています。
彼女からいろいろ話を聞きました。
おそらく人の死を目の当たりにショックで出来たものでしょう。
怖い記憶やストレスをもう一つの人格に押し付けて、元の彼女が平静を保っています。
しかしこれ、放っておくとやがて取り返しのつかないことになります。
もう一つの人格が元の彼女を押しつぶしてしまったり、
ある日人格が突然消えて大量のストレスや記憶が一気に流れ込んで彼女が壊れてしまったり。
これを治すにはチーガオにいい薬と療法があるんです。
ミソラさんのお父さん、お母さん。どうか少しだけ、お嬢さんを僕らに任せていただけないでしょうか。
それと……」

クロエ「(こういうところで、かなり頼りになるよな)」
ユイ「(クロエが言ってもなんか説得力なさそうだしね)」
クロエ「(うるさい!)」


No.50
■模造祭り イベント投下 投稿者:F・S 投稿日:2012/03/17(土) 21:00

ユウ    「レンさん! 敵機の位置と高度の確認を!」
レン   「はい、位置と高度は……」
アカリ  「イーベルさんはクロエと編隊を組んで。私は攻撃を受けてる機の援護に回るわ」
イーベル.「了解した、宜しく頼むぞクロエ」
ユウ    「よし、出撃!」


レン   『敵機の高度に大きく変化なし。防衛目標はこちらへ直進、このままの速度ですと20秒後に交戦区域に入ります』
ユウ    『アクイラ1、了解』
イーベル.『アクイラ2、了解』
アカリ  『……こちらアクイラ3、見えたわよ。敵機及び目標、共に12時(正面)下方に確認』


ジョン.   「爺さん、援護は何時来てくれるって?」
教授.   「もう既に向かっとるそうじゃ、あと少しの辛抱だの」
ジョン.   「よし、何とかなりそうだな……って正面かよ!」


ガガガガガガガガ!
ダダダダダダダダダダ!


ユウ    「うわ、派手に撃たれてる! 早く助けないと!」
イーベル.「アクイラ1、落ち着け。こちらが攻撃を始めれば敵機の注意はこちらに向く、それで安全は確保されるさ」
アカリ  「そういうこと。アクイラ1・2はこちらから見て目標1時方向(右前方)の敵から処理をお願い。私は10時方向(左前方)の奴を仕留めるわ」
ユウ    「アクイラ1、了解」
イーベル.「アクイラ2、了解」
アカリ  「いくわよ、エンゲージ!」


ジョン.   「くそったれ、正面からとはやってくれるじゃねえか!」
教授.   「おいおい、エンジンは無事か? 火ぃ吹いとらんか?」
ジョン.   「何発か食らったみたいだけどとりあえず火は噴いてない。(ピッ)お嬢様?」
イオ   『……無事、援護は?』
教授.   「お、来てくれたようじゃの……腕もええようじゃ。2機ほど火を吹いとる」
ジョン.   「よっしゃ、何とかなったか。流石に諦めて逃げ出すだろ」


ユウ    『よし、1機撃墜!』
イーベル.『アクイラ3も目標を仕留めた。残り2機だな』
アカリ  『半数もやられたら引くでしょ。逃げるようなら追わなくてもいいわ』
イーベル.『いや……連中まだやる気だぞ』
アカリ  『ずいぶんとやる気ね。こうなった以上もう稼ぎなんて出ないでしょうに』
ユウ    『……レンさん、降伏勧告は?』
レン   『緊急用周波数で出してます! けど、返答も無くて!』
アカリ  『そう。なら仕方無いわ、全機叩き落すわよ!』


ジョン.   『助かりました、ありがとうごうざいます』
ユウ    『災難でしたね、無事でよかった。それにしても大丈夫ですか? 何ならうちの格納庫で簡単な修理でもやっていかれます?』
教授.   『貸していただけるのならありがたいが……』
ユウ    『困ったときはお互い様ですよ。遠慮なさらず』
教授.   『なら、好意に甘えるとしようかの』
ユウ    『じゃあ、僕が誘導しますので付いて来て下さい。それとアクイラ3は彼らの機体の損傷確認を。レンさんは引き続きレーダーで周辺警戒をお願い』
アカリ  『了解……とりあえず燃料とかはもれてないみたい。フロートにも穴は開いてないわ……えらく撃たれてるみたいだけど』
レン   『了解しました。今のところ不振な影はありません』
ユウ    『よし、ファッテイホエールを着水させて。皆を回収しよう』
?? 「そレで……暗殺は失敗したト」
カメダ  『あの忌々しい坊主に邪魔されたのでやんす! ただ運が悪かっただけでやんす!』
?? 「ハハハハ、海賊どもを脅してやラせずにご自慢のカメダ軍団を使えバよかったではナいですか」
カメダ  『い、いや、ちょっと都合がつかなかったのでやんす(こいつらとの関係を知られるわけには行かないでやんす……スポンサーの存在がばれてそっちに乗り換えられても困るでやんす)』
?? 「まあイいでショう。引き続き、発掘品の入手を頼みまスよ」
カメダ  『はいはいでやんす、資金援助の方を頼むでやんす!(くーっ、ゴーレムを手に入れるまでの辛抱でやんす)』(ブチッ)
?? 「ヤレやれ。もう少ししっかリしてくれませンかねェ」

ガションガション

?   「財閥ノオ嬢様如キガソンナニモ気ニナルノデヤンス?」
?? 「おヤ。何、ちょっと出来ノ悪い道具にお灸をすえヨうとしただけでス、なかなか帰っテこないンでね。それにシてもお目覚めがずいぶンと遅かったデすね」
?   「フン、コノ体トノマッチングニ手間取ッタノデヤンス」
?? 「調子はドうです?」
?   「言語機能ニ障害ガアル他ハマアマアデヤンス。スコシ”運動”デモシテ調子ヲタシカメテクルノデヤンス」
?? 「貴方がここ二流れ着いたとキは首だけでしたからねェ。それと、”運動”をスるのなら遠くデお願いしますヨ、ここヲ他人に知られるワけには行きません」
?   「解ッテルデヤンス」
?? 「えエ、お願いシますヨ……”メカ亀田”さン」
メカ亀田 「(……アレハ『ヤツ』デハナイト理解ハシテイテモ矢張リ腹立タシイデヤンス。トットト始末シテヤリタイデヤンス)カメダガ利用シテタ空中海賊ドモデ”運動”シテクルデヤンス」
?? 「そうですネ、口封じもかねテいてちょうどいイ。カメダさんはドうにも信用できまセんからね……」
メカ亀田 「ジャア、イッテクルデヤス”ミスターK”」
ミスターK「エえ、お帰りをオ待ちしてマすよ」


No.49
■非公式なお話 投稿者:みーやん 投稿日:2012/03/17(土) 17:42

ファッティホエール号。普段と変わらぬこの艦の中でのこと。


「おい、そこのチビ。邪魔だ」

 ヨツバが声をかけた先にちょこんといるのは、ぴょこぴょこと動き回
る少女の姿がある。

「ん、誰?」
 物怖じせず、むしろ好奇の眼差しを向けてくる少女を見て、ヨツバは
顔には出さないものの、

「……へえ、この艦のトップに喧嘩売った極悪人を知らねえとは、
…ハハ。舐められたもんだ」
 わずかな驚きと興味を持って返す。それもすぐさま頭から消えるが。

 いや、興味というもの即ち、ヨツバにとっては殺意でしかない。彼
女にとっては己以外のものは全て他人であり、標的でもあるのだから。 


「トップって、クロエのこと? ケンカしたの? へえー、へえー」
 なおもずいと身を乗り出して聞いてくる目の前のちんちくりんに、ヨ
ツバは徐々に苛立ちを募らせる。

「…んなこたぁどうでもいいんだよ、そんなことより、そこは俺の場所
だ。勝手にじろじろ見てんじゃねえ」

「場所って、この倉庫の隅っこ? あはは、ネズミみたいにここで暮ら
してるのかな。部屋があるんだからそこに行けばいいのに」

 このガキの言動はいちいち癇に障る。ヨツバの苛立ちは膨らみ、つい
にはいつものように標的を見据える仕事の表情に変わっていく。


「これが最後だぞ。今すぐ消えろ、俺は土足で踏み込まれるのが何より
大っ嫌えなんだ」

 少女は去らない。いちいちヨツバの言ったことを反芻し、ん? と首
をかしげている。それが、スイッチになりヨツバの全身を巡る。

 忠告はした。もうヨツバの中に我慢するという選択肢は無い。

 そして、いつも通りに…いや、いつもとは違い正面からではあるが。
 刃物を構えて、少女の首めがけて一閃する。

 頸動脈をかっ切れば即死だろう。自分の場所が血で汚れるから、ああ
また場所を移さねえとな、とのん気に考えていた。


 
 ぐしゃ。崩れ落ちていく。

 何が? 少女の身体、ではない。音を立てて崩れていったのは、仕掛
けたヨツバの持つ刃物だった。

「……!? な、錆びついて…崩れていく!?」
 ヨツバが言うように、刃物は一瞬のうちにボロボロと床に散らばって
いった。


 裏の世界で様々なことを経験して生きてきた、数々の追手や標的を始
末してきたヨツバにも、初めて出くわす事態に思わず息をのむ。

 少女は何もしない。ただ、右手をこちらに突き出したまま。先ほどの
ふざけた言動やイラつくほどの態度はなりをひそめ、不気味なほど静か
にこちらを見据えている。

「…もー、びっくりするなあ。いきなりそんなもの出してくるんだもん」
 と思うと、少女は手を下ろし、日向ぼっこするネコのように、ぐー
っと伸びをする。今の静けさはまるで嘘のように。


 こいつ、今何をしやがった…?

 確かに今、いつも通りの光景に意識が緩んでいたかもしれないが、かと
言って標的から目を離すような思い上がりはしないし、武器の手入れを怠
るようなヘマはしない。
 いや、今の今まで白銀の輝きを見せていた自分の武器が、3日ほど血の
海にでも漬け込んだかのように腐食し、錆びつき、チリと化してしまっ
たのだ。

 こいつは目の色も変えずに武器が崩れていくのをまるで始めから知って
いるように、こちらを見ていた。


「すごいね、速すぎて何にも見えなかった。けど、あたしは痛いのがキラ
イだから、そこはそれ、ていこうするもんね」
 少女はへらへら笑いながら殺されそうになったことを何とも思っていな
い。本当に、無邪気に笑っている。

 こちらが、じゃれついた程度にしか感じていない。それほど、こいつの
中には敵意という考え方が無いのだ。

 わずかに、恐怖が顔に浮かぶ。
 こいつは確かに、戦闘の技術も何も知らない。態度も軽い、隙だらけで
背後から襲いかかりでもしたら1秒で床に転がすことができるような雑魚。

 だが、ヨツバには逆にそれらが恐ろしく見えた。


「ねぇねぇ、どうして部屋に入らないの? 部屋が無いなら、あたしの部
屋広いから入っていいよ?」

 沈黙を破ったのは目の前の少女。本当に今、殺し殺されそうになった関
係とは思えないように。

「う、うるせえっ! 俺は一人でいるのが一番いいんだ。何でてめえなん
かと同じとこにぶち込まれなきゃならねえんだ」
 得体の知れない恐怖を振り払うように、ヨツバが声を荒げた。


「そう? でもいいなあー、ヨツバは。
 動きはすごいし、カッコいいし、あとキレイ」

「……は?」
 素っ頓狂な声を上げてしまう。
 顔も見たことない奴が自分の名前を知っているのもそうだが、こっちの
言ったことを意にも介さずまるで見当違いなことを言ってる。

 …ああ、こいつ、アレだ。バカなんだ。
 
 次第に毒気を抜かれたヨツバは、溜息まじりにその場を去ろうとして。
「…なぁ、お前なんで俺の名前知ってんだ?」

 ふと、思ったことをそのまま口にしてみる。ヨツバにしてみれば、それ
だけでもずいぶん珍しい。


「クロエに聞いたの。名前ってね、その人の人生にすごく関係するんだっ
て。あたしはみんながどういう人かすごく知りたいんだ。
 名前を知ることで、その人の生き方なんかも少しだけど見えるんだよ」

 良く分からないことをべらべらと並べたてる。自分の思ったような言葉が
出てこないことにまたイライラしそうになってきたヨツバは、話を切るよう
に最後の質問をする。


「分かった分かった。で、お前の名前は?」
 ヨツバからしたら、別に知りたくもないが話をさっさと終わらせたいと
適当にした質問だった。



「無いよ」
 返ってきたのは予想もしない答えだった。

「…無い?」

「うん、あたしは名前なんて持ってない。皆は肩書きを呼んでくれてる。
『タイム・キーパー』って」
 あくまで無邪気に、タイム・キーパーと名乗る少女は話す。


「タイム・キーパーって、おとぎ話に出てくるアレか? お前が?」
 
 タイム・キーパー。その名の通り、時間を意のままにすると言われる神の
領域に手を伸ばした者と伝えられる。
 時間を過去に戻し逆行させることも可能ならば、進行させて滅することも
また可能だ。

 合点がいった。先ほど自分の武器をボロボロにしたのは、こいつの持つ、
時間を進めるチカラによるものだったのだ。

 しかし、ヨツバの意識はそんなことには向かなかった。
 

「生まれて来た時から名前がねえのか? 親は?」

「知らない。あたしは気がついたら森の洞窟の中にいた。
 気がついた時から、自分がタイム・キーパーだってことを知ってた。ただ
それだけ」 

 明るい態度は崩さない。しかし、何となくこの少女は不遇な生き方をして
きたのだと、ヨツバは思う。


「…………。
 恨めしいし憎たらしいなぁ。お前、強ぇよ」

「? 何が?」

 ヨツバですら、己の名前には歪んではいるものの、愛着を持っている。こ
いつはそれを一切持っていないから、個人として扱われることもないのに。
 
 世の中を恨み、人を疑い、自分以外を突っぱねた自分とは違い、目の前の
少女は何よりも人を好きでいる。それがヨツバには不思議と好ましい。


「殺してやりてえくらいに、なぁ」

 だがヨツバはあくまで一人の道を行く。誰かと相入れるなんてもっての外
なのだから。
 踵を返し、今度こそヨツバはそこを去る。


「イツキ…ってのはどうだ?」

「イツキ? 何それ?」


「お前の名前だよ。長ったらしい名前なんざ言いにくくて仕方ねえ。
物影で小さくなってる俺はヨツバ、でんとでっかく構えてるお前は樹だ。

 だからイツキ。気に入らねえなら別にいいけどな」



 すたすたと出口に向かうヨツバが、突然背後に気配を感じた。
 がば、とキーパーが抱きついてきたのだった。


「…な!?」
 あまりにも突拍子がない行動に、さすがのヨツバも慌てる。

「あたしに名前つけてくれるの!? ありがとうヨツバ!」
 ぎゅー、とあまりにも無防備に身体を押し付けてくる。

「て、おい! 離せてめえ! 殺すぞ!」
 げしげしと蹴りを入れながら、ヨツバが引き離そうとするも、全く背
中に回した手を解こうとしない。


 しまいにはクロエやユイ、艦のあらゆるメンバーがその騒ぎように驚
いて倉庫にまで止めにくる始末。


 その後しばらく、ヨツバは所構わず殺意のこもった眼でクルーたちを
睨みつける日が続いた。


 イツキと名付けられたキーパーはより一層はしゃぐようになり、クロ
エの頭痛の種となっている。とほほ。



No.48
■「みんなで花見」 投稿者:正拳(代理:ラリアット) 投稿日:2012/03/16(金) 23:52

発生時期:ファントゥーム突入~クリア
発生条件:仲間が10人以上いる状態でジパングをうろつけばランダムで発生。各キャラと会話イベントあり。

(ピンの場合)

「わははは!昼間っから酒が飲めるとはいい習慣だぜ!」
「ピンさんすっかり出来上がってるね。」
「おうクロエか、お前も飲め!」
「……お断りします。」
「なにぃぃ~?俺の酒が飲めねぇってゆ~のかぁ~?」
「うわ!絡んできた。面倒くせえ!」
「みんなして楽しんでるときはよ~、一緒になって騒ぐもんだぜ~?『仲間』なんだからよ。」
「仲間なら嫌がることしないで下さい。」
「いきなりいなくなられるよりはマシだろうが。」
「……ピンさん?」
「……ファントゥームに上がったら俺がお前達のことを守ってやる。誰かのデッドエンドなんてつまらねえオチは吹き飛ばしてやる。だかな……空の上じゃあ守りたくても守れねえんだ。ソイツはお前の仕事だぞ。」
「ピンさん……。」
「だから楽しめ。また来年もこうして誰一人欠けること無くバカ騒ぎ出来るように自分が守りたいもんをしっかり確認しとけ。」
「言われなくても分かってるさ、みんなとずっと空飛んでいたいからな。」
「良し!ならば飲め!飲んで今を謳歌せんかああああい!!」
「うわあああアルハラはんたーい!!」



No.47
■パライソうろつき:レッドローズ参上! 投稿者:アイス 投稿日:2012/03/16(金) 23:47

【パライソうろつきイベント:レッドローズ参上!】
パライソうろつきで「ネイビ工場へ行く」を選択、「ユイお姉さん」「若い?」を見ている

クロエ「静かだな……」
ミソラ「ん? いらっしゃいませー!」
クロエ「あ、どうも。今日はお留守番?」
ミソラ「そんな言い方ないでしょう! 見習いでも、れっきとした工場員なんですから」
クロエ「わ、悪かったよ(この前のこと、まだ気にしてるのかな……)」
ミソラ「いいですよ。あたしはオトナですからそこまで怒らないです、ええ」
クロエ「(やっぱり気にしてる!)えっと、お父さんは?」
ミソラ「今日はですね、おとーさんは出張修理、おかーさんはお買い物でいません」
ユイ「そっかそっか、じゃあまた私と一緒にお勉強する?」
ミソラ「いいんですか? わあい! お願いします、ユイお姉さん!」
アケチ「え、そこはいいの!?」
ミソラ「ユイお姉さんですもん!」
クロエ「訳がわからん……」

ミソラ「あれ? ごめんなさい、パーツがないです」
ユイ「あっちゃ。どこかに予備のがあるかな? なかったら今日はやめにしよっか」
ミソラ「確か倉庫に……あ、やっぱりダメです」
ユイ「ダメ? 倉庫にはないの?」
ミソラ「あるにはあるんですけど、この前おとーさんに『倉庫には入るな!』って言われちゃって」
クロエ「前に倉庫で怪我でもしたか?」
アケチ「それとも、危険なものがしまってあるとか」
ミソラ「いえ、そんなはずはないです。でも何ヶ月か前に突然おとーさんに言われて……」
ユイ「いいじゃん、入っちゃおうよ。 何か有ったら私が謝ってあげるから。
   それに、突然『入るな』なんて言われたら、中が気になっちゃうもんでしょ?」
ミソラ「んー……そうですね! 入っちゃいましょう! あ、クロエさん!」
クロエ「ん?」
ミソラ「そこの高棚に鍵があるから、取ってください!」
クロエ「(なるほど、届かないのか)」

〔そして……〕

(カチャ、ガラガラガラ)
ミソラ「どの辺りにあったっけ……」
クロエ「へえ、中は結構広いんだな」
アケチ「専門の用具かな? これ何に使うんだろう」
ユイ「どれ? ああ、それはね……」
クロエ「……ん?」
ミソラ「あ、これだ! って、どうしたんですかクロエさん」
クロエ「この飛行機、お父さんのか? 壊れてるけどなかなか」
ミソラ「えっ? 家の飛行機はここには置いてないはずですよ。
    他のお客さんのかな…… ちょっとそっちに行きます」
クロエ「ああ、お願い」

ミソラ「うーんと、これは確かにどこかで………… !?」

(ドクン)

ミソラ?「…………」

アケチ「? 大丈夫? 急に黙り込んで」
ミソラ?「フゥ、ようやく外に出られたね。
    フフフ、満月の夜に咲く赤い薔薇、怪盗レッドローズ、参上!」
ユイ「ミソラちゃん? 口調が……」
ミソラ?「ああ、君たちと直接会うのは初めてだね。 僕はレッドローズ。
    君たちのことはミソラの中から見させてもらっているよ」
クロエ「え? へ? 二重人格?」
Rローズ「いいや、僕は彼女の中に眠っている、もう一つの魂さ。 全くの別人だよ」
クロエ「あ、あのさあミソラちゃ、いやミソラさん。この前年下って言ったのは謝るよ。
    今凄く大人っぽい。うん。だ、だからもう悪戯はよしてくれよ? 不安になる」
Rローズ「悪戯でも何でもない、ただ一つの真実さ。受け止めたまえ、クロエくん」
ユイ「私いつものミソラちゃんの方が好きだよ? だからやめよ、ね?」
Rローズ「残念だが、僕の視界にルナティック号がある限り、僕は戻らない。
    ああ、言い忘れていたね。これは僕の飛行機だ」
アケチ「ええ、科学? 化学? オカルトっていうのか?」
Rローズ「解析しようとしても、無理だと思うがね。好きにするがいい」
クロエ「これ……マジ?」
Rローズ「さっきも言っただろう? 現実を受け止めたまえと」
クロエ「………… と、とりあえず信じるとして、まず……
    この飛行機から遠ざけろ!」
Rローズ「おおっと」(ヒラリ)
クロエ「な、なんだ今の身のこなし!」
Rローズ「ふむ、筋力不足だが、小さい体はなかなか扱い易いな」
クロエ「こら、ミソラさんに戻れ!」
Rローズ「いやだね。これから僕はやることがあるんだ。
    ルナティック号で大空へ羽ばたかねばならない」
クロエ「……今ここ、倉庫の中だぞ? 一人でこの飛行機を持ち出すのか?」
Rローズ「! ……こほん」
クロエ「おとなしくミソラさんに戻ってくれれば、協力してやらないこともない」
Rローズ「…………仕方がないね。 しかし、飛行機を視界から外しても、しばらく戻らないぞ?」
クロエ「いいからさっさと降りて来い!」

〔そして……〕
〔工場〕

クロエ「全く……」
Rローズ「さて、戻るまでの時間も退屈だね。僕の正体が知りたいかい?」
クロエ「まあ、知りたいと言えば知りたいけど……」
Rローズ「では、話しておこう。
    僕については、十年以上前のあの悲劇まで遡らねばならないね。
    偽善と悪意が跋扈する、ネグロの貧困街。 そして、奴隷市場。
    そこから、物語は始まる」
クロエ「(奴隷市場!!)」
Rローズ(装飾過多な語り…… 大げさなジェスチャー……
    気障な演出…… 歌も交え始める……)
ク・ユ・ア「ああああああ!!」
Rローズ「どうしたんだい君たち。 まだ話は始まったばかりだ、静かにしてくれたまえ」
クロエ「5分ぐらい聞いてたけど、さっきから全く話が進んでないじゃないか!」
ユイ「まだあなたがネグロの貧困層に住んでて姉が居た、ぐらいしかわからないわよ!」
Rローズ「普通に話してもそこにロマンは生まれないじゃないか。わからない奴だね」
アケチ「わからないでもいいから簡潔に話そう! すぐ!」
Rローズ「仕方がないね。 
    ……ネグロ、……貧困層、……姉、……詐欺師、……奴隷市場、……復讐、……敗北」
クロエ「今度は簡潔すぎてわからない……」
Rローズ「そこから推理してくれたまえ。 こうでもしないと……話し続けられる自信が無い」
クロエ「(な、泣きそう!?)」
Rローズ「さて、そろそろ戻るはずだ。あとはそちらで考えてくれたまえ。
    それから、ちゃんと協力してくれたまえよ」
クロエ「あ、おい」

(ドクン)

ミソラ「……あれ?」
ユイ「み、ミソラちゃんなの?」
ミソラ「そうですけど……どうしたんですか? 皆さんであたしを取り囲んで。
    それより、あたし倉庫にいたはずなのに、どうして?」
ク・ユ・ア「…………」
アケチ「どうやら……」
ユイ「本当、なんだろうね」
ミソラ「???」
クロエ「あ、それじゃあもう俺たち帰るよ、じゃあね」
ミソラ「ええー。まだユイお姉さんに教えてもらってないのに」
ユイ「ま、また今度ね! ごめんね!」
ミソラ「はーい。 それじゃあ、また来てくださいよ!」

クロエ「なんだったんだ…… ネグロの貧困層で、騙されて、奴隷になって、復讐しようとして、負けた?」
    それより、魂が本当なのかもわからないし……また来るか。もう一度あいつと話をしよう。
    ……気は進まないけど」

パーティ全員のHPが10回復した


No.46
■捏造祭りイベント「星に願いを」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/16(金) 23:41

夜のファッティホエール号。
海上に停泊した我等が母船のデッキの上に、俺――クロエ・ユウは顔を出していた。
警備も兼ねて船内をぶらついていたわけなのだが……

「ん……明かりもつけずに、デッキの上に誰かいるぞ? あれは――」

見覚えのある人影。こんな変哲な場所で出会うヤツと言えば――

「なにやってんだ。夜風は身体に毒だぞ、エンゼル」

潮風に髪の房を揺らしながら、夜の帳を見上げていた少女が振り返る。
……あんまり驚いた風がないのは、耳がいいからか、それとも勘が鋭いからなのか。

「あ、クロエ? へへー、運が良いね」

俺を認めるなり、まんまるな笑みを浮かべたエンゼルが指で天上を指し示してくる。

「へ? なにがだ?」
「ほら、空見てごらんよ、空」
「?」

導かれるように見上げた夜天は、さしあたってどこも変わり映えなどないように見えたが――
ふいに、視界の端を掠めた柔らかな光に、目が吸い寄せられていた。

「――さぁさ、その眼で篤とご覧あれ!」
「……!」

並び立つエンゼルの喝采のもと。
闇に瞬く星々の間をすり抜けるように、夜天を滑る幾重もの光の文目。
切れ目無く絶え間なく、闇の彼方より降り注ぐその光の名は――

「……流星――か」
「うん。西の空、双子座の向こうから流星群が来るってね。いつか、その日取りを教わったような気がしてさ」
「凄いな。星読みの術まで心得てるのか」
「まあね。色々、英才教育で叩き込まれましたから……」

微妙に渋い顔でぼやくエンゼルは、そのままついと星空に視線を飛ばしてしまう。
なんだか突っ込むのも気が引けて、しばらく黙ったまま、俺も流れる星々の競演を眺めていた。
……二人の間に横たわる沈黙。けれど、それは決して気まずいこともなく。
むしろ、不思議と心地良い時間なのだった。

「さって、これだけ星が来てると、願い事し放題だねっ!」
「願い事?」
「あれ、やらないの?流星が流れるまでに三度願いを唱えられたら、それが叶うってヤツ」
「……いや、俺は初耳なんだが」

きょとん、とした表情でしばし見つめあってしまう。
むしろ、俺にとっては流れ星は死者の象徴とか、そっち系のイメージのほうが強いのであるが。
どうも、エンゼルにはまた違うファクターを示すもののようだ。

「? ……あっそうか、これは極東のほうのまじないだったっけか」
「へえ……そんな風習もあるんだ。ホント、エンゼルは物知りだな」
「そ、そお?えへへ……」
「んじゃ、オレもやって見るとするかな――」

……とりあえず、適当な願いを選定して、脳内で反復。
よし、ならばいざ――来た、星来たッ!

「――って、うわ! ム、ムリだろこれ!?」
「そりゃそうさ。あんまり欲深いと、お星様に見放されるよ?」

唸る俺にニヤニヤと、エンゼルが笑みを零してくる。む……なんだか思考を見透かされた気がします。

「……つーか、それじゃ大したお願いもできないんじゃないか?」
「あはは。ま、そう思うよね。確かに至難の技なんだけど……
 難しいからこそ、本当にできたなら、願いがかなえてもらえそうじゃない?」
「……そういわれれば、まあそうなんだろうけど……よし、もう一回……!」

………
……


「くあーっ!全然ムリじゃねえかー!!」

夜空のバカヤロー!のノリで、絶叫をあげてみる。
試行錯誤を繰り返すものの、まるで上手く行きゃしないのである。

「……ムキになるもんでもないと思うけどなー」

苦笑しながら肩を竦めるエンゼルの所作も、もはや俺を煽る結果にしかなっていない。

「くっそー!」

我知らず熱くなっていたのか。思わず、デッキを蹴って夜空に向かって跳躍し――流星に向かって大きく手を伸ばしていた。
ほんの一瞬の無重力。精一杯伸ばしたその腕が、流れ行く輝きに重なり――けれどその手は何にも届くことなく、夜風をかいて。
掌をすりぬけた流星は、まるであかんべーをするように最後の煌きを見せて、無音の闇へと解けていった。

「……なにやってんのさ?手ぇブンブン振り回して」
「いやな。この手で逃げてく星をふん掴まえて、その間に願いを唱えるとかできないかなー、ってさ」

と、割合本気にぼやいてみれば。

「…………」

あんぐりと。エンゼルが、俺のことを見やっていた。
……俺、そんなにヘンな事しただろうか。

「……エンゼル?どうした?」
「……ああ、いやね。ヒトにはそういう発想もあるんだなー、って、関心してただけ」
「む。ガキっぽいとか思ってないか?」
「ううん。あたしには思いつかなかったからさ、ホント」

エンゼルの面差しに、食ってかかるような気勢も、いつの間にか削がれていた。
眉根を寄せて、うっすら苦笑い。その顔が――本当に悩んでいるような、そんな表情だったから。

「そうか?」
「うん………なんていうかさ。困るじゃない」
「困る?」
「そ。もしこの手を伸ばして、星に手が届いてしまったら――
 次からは、一体何に願いをかけたらいいんだろう、ってね」

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「エンゼル……」

……なんとなく、言いたいことはわかる。欲して届かないから宝物。
幻想は触れられないからこそ美しく、神秘たりえるモノ……
だから、決して触れてはいけないものだと。そう、エンゼルは思っているのだろう。
古風というか、信心深いというか。いや……そういう領域の話じゃないのかもしれない。
彼女に言わせれば、それは――

「つまるところ……ロマンがない、ってか?」
「! そう……そうだね。そんなカンジかな」

その刹那に、彼女の顔に去来した表情はなんだったのか。
すぐにいつもの笑顔に溶け込んでしまって、よくわからなかったけれど。
なぜだか、それが――ひどく、胸をざわつかせていた。

「心配しなくたって、星に手は届かないって。あの星たちだって、ホントは宇宙の彼方にあるんだし」
「………あらら。もうちょっとロマンチックなお答えを期待したんだけどなー」

……む、我ながら、確かにちと失敗だったかなと思う。
やりなおしー、と言わんばかりに、エンゼルが何かを思いついたようなイタズラっぽい表情を浮かべてきた。

「じゃあさ。その星はどうやって輝いてるか、知ってる?」
「う……そ、それは」
「ふふん。それじゃああたしが一つ、お話をしてあげましょう!」

くるり、と裾を翻し、流星雨の下でエンゼルが諸手を上げる。
決して届かないハズのその一条の光が、まるでその掌に吸い寄せられるように瞬き――

「こうやってさ。夜空にかけた無数の願いを、流星に運んでもらうんだ。遠く、天の果てにさ」

……思わず息を呑む。見開かれた瞳――細く薄い瞳孔を閃かせる、青き双眸が孕んだ魔力ゆえか。
語るその表情は透徹として穏やかで……それでいて、まるで知らぬ誰かの語りを聞いているようで。

「世界中の人たちの願いを、星は連れて夜天を翔ける。その願いが、また次の願いを連れていく」

釣られるように見上げた夜空のしじまに、瞬く無数の星たちの囁きを聴く。
――無論錯覚だ。だけど……今はそれも、全てが当たり前のように感じられた。
呑まれているのだろう。エンゼルの語る物語……彼女の生きる世界《ロマン》に。

「……だから、夜空はこんなにも美しい。沢山の誰かのした、輝くばかりの願い事で溢れかえってるんだから――」

ゆるやかな所作で、つい、とエンゼルが俺に視線を滑らせてくる。
はにかむように形作られた何時も通りの表情に。ふっと、その厳粛な雰囲気が霧散した――気がした。

「……なーんてね。どうかな?」
「……ああ、面白い解釈だな。なるほど、確かに――綺麗なわけだ」

……敵わない、そう思う。こと、この子の世界を見る目の澄んでいることといったら。
それこそもう、感嘆のため息しか出ないほどに。でも、そうであるのなら――

「なぁ、エンゼル」
「なーに?」
「おまえは……あの星に、何の願いを託したんだ?」

何気ない風を装った俺の問いに一瞬だけ、それとない間を置いて。

「…………家族……故郷のこと、かな。うん、そんなとこだね」

エンゼルは、なんて事もないように、そう返してきた。……その言葉に、多分偽りはないのだろう。
即ち――それが、彼女の届かない宝物。切実な、叶えられることのない想いの吐露。
それをどう受け取ったものかと思案するひとときの間に。

「……そろそろ、おしまいだね」
「ん……」

名残惜しむようなエンゼルの言葉に、流星群の終わりを悟る。
タイミングを逸した疑問は、ただ漠然と胸の内に溶かすにまかせておいた……いささかの、消化不良ではあったけれど。

言葉は交わさず、俺達はただ並び立って――夜天のショーの閉幕までのわずかな時間を、共に過ごしたのだった。



No.45
■「大切な仲間」 投稿者:ペケ 投稿日:2012/03/16(金) 22:48

頭の中で言葉が響く。
「あの子、どこから来たかも分からないし、ずっとここに居るんだぜー」
「見たか?あの背中 奴隷の紋章がでっかく刻まれてやがる この市場主にも気に入られてないんだぜ?きっと・・・」
「お前は失敗作だ・・・中途半端に能力を持つ人形など・・・必要ない」
ダレ・・? コノコエハナンナノ・・・?

そして浮かんでくる光景・・・誰かが泣きながら私を見つめている・・・
「・・・な・・・ないで!! ・・・なないでよ・・・さん!!」
この顔はどこかで見たことある顔だ・・・見覚えのある・・・

そうだ・・この顔はユイちゃんの顔だ・・・
何でそんなに涙を流してるの・・・?その泣いた顔で誰を抱えてるの・・・?



「・・はっ・・・?!! ゆ・・・夢・・・?」
夜中、寝ていたテイルは頻繁に見る悪夢によって目を覚ました。
「忘れたいのに・・・忘れられないものね・・・」
何個か知らない出来事もあった、これはきっといつも通り未来の出来事・・・
「しかしほんとに嫌な夢・・・何だったのかしら・・・あれは」
寝るにも寝れない気分になったテイルはいつも通り白衣を着て、深夜のホエール号へ歩き出した。

「静かね・・・普段人が居る場所とは思えない・・・」
少しの本とお茶を持ち、眠気が来るまですごしてようと思い、中枢の辺りまで来ていた。
時間が時間だからかほとんど誰も見当たらない。
「そういえば・・昔はこんな感じだったわね・・・」
科学者になってから、ずっと一人で暗い中本を読み、知識を蓄えていた時期を思い出した。
「まさかこんなことになるなんてね・・・」
自分の立場のためとはいえ、仲間みたいなものにはいって一緒に行動するとは思いもしなかった。
「さてと・・・そろそろ休むとしますかね・・・ん・・?」
しばらく本を読み、休憩しようとした時、テイルは物音がすることに気が付いた。
「誰・・?こんな時間に起きてる人が他に・・・?」
ホエール号を動かしているクルー以外はこの時間基本就寝に着いてると思っていたのだが、格納庫から聞こえてくる音が気になり、彼女は下に降りていった。

暗い廊下に明らかに格納庫から伸びる光、テイルはそれが気になり、格納庫の中へと入っていった。
「あれ?テイルさん こんな時間にどうしたんですか?」
格納庫の中に居たのは機械の整備をしているユイだった。
「あ・・・あなたこそ・・・こんな時間に何をしているのよ・・・」
「え・・? いやーちょっと整備でやり残したこと考え始めたら眠れなくなっちゃって、それで少し整備を・・・」
「それでもねぇ・・・時間っていうものを考えなさい・・・普通なら寝る時間よ?」
「テイルさんだって起きてるじゃないですかー」
「私はさっき起きた時だし・・・そもそも私は寝なくても大丈夫なのよ」
「へ・・?どうしてですか・・・?」
「原因は分からないけど、昔から寝なくても体力は維持できるの・・・記憶能力といえ本当に不思議な体ね・・・」
「べ、便利ですね・・・」
「便利・・?他の人から見たらそういうのって異常じゃないのかしら」
「そうでもないですよ!そんな風に生きれたらずっと機械の調整ができるじゃないですか!」
「な・・・なんというかあなたは珍しい思考の持ち主なのね」
「そうですか? 私は羨ましいですけどね」
「捕らえ方によってはそんなにも変わるものなのね・・・私が居た奴隷市場では・・・周りと違うってだけで差別が発生した、一番下の奴隷という階級の中でさらに、差別があったのよ・・・」
「そんな・・・」
「まああなたたちに加わった今となってはそんなに気にしてないけどね、機体の整備手伝ってあげましょうか?」
「ほんとですか!助かります」
「ええ、こういうのは少しでも早く終わったほうがいいでしょう?」

こうして二人は機体整備をした。

-数十分後-
「やっと終わったわね」
「ありがとうございます!テイルさんが手伝ってくれたおかげです」
「そう?まあ役に立ったならよかったわ」
二人で話しているうちに、テイルはユイに前に聞かれていた事を再び問い直す」
「前に私の奴隷の紋章がどこにあるか気になるって言ったわよね それって、今でも気になる?」
「え・・・?そ、それは気になりますけど テイルさんが見せたくないんじゃ・・・」
「いいわよ、別に減るものでも無いし、隠し事はしたくないの・・・その代わり、目は離さないでね」
そう言って彼女は白衣を脱ぎ、服をめくり背中をユイの前に曝け出す。
彼女の背中には背中を覆い尽くすほどの刻印が消えることなくしっかりと刻まれていた。
「こ・・・これって・・ひどい・・・・」
「でしょ?特に・・・どこから来たのかさえ分からなくて人間離れしてた私は嫌われていた、まあそれがあったから、今の私があるのかもしれないけど」
「友人とかは居なかったんですか・・・?」
「居なかったわね・・・居たとしてもすぐに離れていった・・・私はずっと一人なの・・・昔もこれからも・・・」
「そんなことないです!!」
「へ?」
「テイルさんには私が居ます! それにユウ君とかだって・・・! もうテイルさんは一人じゃないんですよ!!」
「そ・・・そう・・・ありがとう・・・」
「テ・・・テイルさん? 泣いてるんです・・・?」
「い・・・いえ・・・大丈夫よ・・・少し驚いただけだから・・・」
「な、なら良かったです! ならもう作業終わったので寝ちゃいましょう! きっと明日も早いので!」
「早いって言ってももう朝になりそうだけどね・・・むしろ寝ないほうがいいんじゃない?」
「ああっ!ほんとだ・・・ そ、そこらへんは部屋に戻ってから考えます!では」
そう言ってユイは部屋に戻っていく、一人残されたテイルは
(ありがとう・・・ユイさん・・・あの予知夢で見た涙が何なのかは分からないけど・・・あなたは私が守ってあげる・・・)
と一人、自分を仲間だと認めてくれたユイのことを思っていた。


No.44
■「カメダ軍の日常」 投稿者:ペケ 投稿日:2012/03/16(金) 22:48

カメダ軍本部で幹部と部下が集まり会議をしていた。

「何度も作戦を遂行したのにもかかわらずクロエ周りへのダメージはゼロでやんす! あんたらは優秀な幹部じゃなかったでやんすか!!」
「で、ですが・・・彼らの周りに集まってる仲間もまた協力な人ばかりで・・・」
「ヨミチ! 言い訳はいいでやんす!! とにかく次においらが来るまでに全員であいつらを倒す作戦を考えておくでやんす!!」
そう言って、カメダは部屋を出て行った。

「まったく・・・あの男は・・・」
カメダが出て行った後、ため息を付きながら席に着くヨミチ。
「オーウ、ヨミチちゃーん あんまし気にするなYO!」
と、後から来て席に着いていたバードが話しかける。
「相変わらず・・・あんたは五月蝿いわね・・・」
「オオオ・・・同じような戦術で他のところにもぐりこんでるっていうのに冷たいYO・・・」
「しかし確かにあのリーダーの無能さには確かに勘に触るものがあるよなぁ・・・俺が燃やしてやりたいくらいだぜ・・・」
「それは仕方ないでしょう・・・実際、幹部達の中で彼を上司としてみている人など居ないでしょうから」
残る幹部や団員も不満の声を漏らしていく。
「僕は別に楽しければどうでもいいんだ! けどあのオジサンは自分勝手だから嫌い」
「お、おいニノ・・・あまりそういったことは・・・」
ニノを止めようとするヴェールをヨミチが静止する。
「あーらヴェールちゃん? 別にこういうときぐらいは思ってることを言っていいのよ?」
「で、ですが・・・」
「まじめな子だYO」
「けど実際トップとしてのあの態度は悪いところがあると思います」
ヴェールが弄られる最中、ジョーヌが話し出す。
「けどなぁ・・・それを承知でお互いに利用関係で居るようなものだからなぁ・・・この軍は」
「だったら、俺たちがカメダを倒してやってもいいぜ」
暗闇から現れたのは赤炎と青炎。
「私達にとってカメダ軍はただの復習のために身を置いてる場所、消してしまってもここの誰かがトップに着くなら問題ない」
「しかしそれもYO・・・ややこしいことになりそうだぜー」
「そうですねぇ・・・私も頭を使う研究は好きですが、今はトップに立つつもりは無いですねぇ・・・」
口では文句を言いつつも、誰もトップになるのには乗り気ではないらしい。
「はいはい!だったら俺がトップになるー リーダーになるぜー」
「ニノは黙ってなさい」
「えーなんだよー子供だからって馬鹿にしやがってー 殺してる人数だったら俺も負けてないぜー」
騒ぐニノを止めるパパヤガン、実力は認めていてもやはりいいことと悪いことの区別はつけているようだ。
「だったらYO・・・やっぱりあれの下で働いて無いといけないってことかYO!」
「まあそうなるんでしょうね、別に気にしなければ害はないし」
「燃やしてぇな・・・あいつ」
(私は時々幹部の思考が怖いことがある・・・誰もカメダなど尊敬してないのに・・・他は全員同じような意思で行動している・・・)
「どうしたのヴェール?」
「いや・・ジョーヌなんでもないさ、私たちは自分の任務に戻ろう」
こうして二人は退室し、任務へ向かっていく。

「じゃあ結局さ、俺たちがクロエを倒せばいいんだよな そうすれば、復讐もできるしカメダの目的もついでに達成できる」
「そうね赤炎・・・復讐は私たちで果たすべきだわ」
いい、現れた時のように消える二人。

「じゃあ俺も破壊工作しに行くか、ニノ、バード来るか?」
「わーい 俺も付いていくよー 今日も派手に燃やし尽くそう!」
「おー今日の俺は絶好調DAYO! 破壊し尽くすYO!!」
ファイアバグに肩車してもらって喜ぶニノと付いていくスカイン、ほほえましい光景ではあるが話してる内容は物騒である。

「パパヤガンさんはどうするんです?」
「利用しているとはいえさすがに上司ですからね・・・彼が喜びそうな作戦は考えておきますよ・・・それくらいはしておかないと彼にへそを曲げられても困りますからね」
「大変ねぇ・・・あんたも  じゃあ私は一足先に戻ってるから、まだまだやらなきゃいけないこともあるしね ばいばーい」
立ち去るヨミチと残るパパヤガン。
「しかし・・・彼の腕でよくここまで好戦的な人物を纏めているものだ・・・利用し、利用されですか  私も人のことは言えませんがね」


ここはカメダ軍基地
それぞれの野望と魂胆が複雑に渦巻く場所。



No.43
■「ヒカリ君の憂鬱」 投稿者:ペケ 投稿日:2012/03/16(金) 22:48

「私を一流のメイドさんにして欲しいの!!」
「は・・・?」
昼下がり、パラダイスカフェで本を読んでたヒカリにフェイがいきなり叫ぶ。
「だから!メイドさん!! この店にずっと居るなら分かるでしょ! メイドさんよ!!」
「い・・・いや・・・メイドは分かりますけど 何で・・?って意味で聞いたんですけど・・・」
「いや・・・最近は尽くす女がモテるって言うじゃない? そういえば私はユウ君に対して攻めてばっかりだからたまには尽くしてあげようかなって」
「あ・・・ああ・・・はい・・・分かりました・・・」
「何故乗り気じゃない」
「いや・・・何というか、ここにこなくても別に尽くすのはできますよね・・・サポートとかしたり」
「そんな簡単にできることじゃ意味ないって私は学んだのよ! ユウ君の周りにはそういう女の子が溢れてる! だからありきたりじゃだめなのよ!!」
「分かりました・・・じゃあ裏に頼んできます・・・(何でフェイさんは僕に聞いたんだろう・・・僕はボディーガードであってメイドとかは・・・)」


-数分後-
メイド服を着たフェイが出てくる。
「どうよ!」
「ええ・・・いいんじゃないでしょうか・・・」
「何でそんなに反応が薄い」
「だ、だってメイドの良さは見た目じゃなくて接客とかじゃないんですか・・・? ぼ、僕にも分からないですけど」
「な・・・なるほど・・・接客までできて完璧なメイドってことね・・・」
「え、ええ・・・ですからここから先は厨房にでも行って他の人にでも教えてもらってきてください」
「え?見捨てるの?」
「へ・・・・?」
「わ、私とは遊びだったっていうの! ひどい!」
「な!なんてこと言うんですか!! ま、周りの人が見てるじゃないですか」
「来てくれる?」
「わ・・・分かりましたよ・・・(もういやだ・・・)」
「やったー」

こうして二人は厨房へと向かっていった。

「あら?ヒカリ君 かわいい子を連れて何の用事?彼女?」
「ち、違いますよヒトミさん!! フェ、フェイさんが人への尽くし方を勉強に来たのでヒトミさんにも協力してもらいたいんです」
「あらあら・・・この子がねぇ まあ大丈夫だけど、何でいきなり?」
「たまには人のために尽くしてあげたいんです!そのためなら厳しい修行だって我慢します!」
「そうね、メイドへの道は厳しいわよ 今日一日頑張りましょう」
「はい!!」
(と、というかやっぱり僕が来る意味無かったよなぁ・・・)
一人乗り遅れたヒカルはただ部屋の隅で落胆するだけだった。


「いやー大変だ・・・」
数時間後、修行をしていたフェイが休憩のため、席に座って本を読んでいるヒカルの元にやってきた。
「お、お疲れ様です・・・」
「な、なんだか避けてない! 何でこんなに嫌われたのかな」
「い・・いや、大丈夫ですよ・・・大丈夫・・・」
さっきヒトミさんに厨房で彼女って叫ばれたせいでその後大変なことになっていたヒカリでさっきやっと開放されたところであった。
「な、なんだか目が笑ってないよね・・・?」
「いやー大丈夫ですよーアハハハハ」
「さっきと同じこと言ってるよ! 大丈夫なの?」
「え・・・ええ・・自分を見失ってました」
「な・・・なんかごめんなさい・・・これ・・お詫びと言っては何だけどお茶・・・」
「え?僕にですか?」
「う・・・うん 聞いたんだけど、ヒカリ君ってここの警備もやってるんだよね・・・? だから迷惑掛けちゃいけないってさっき怒られちゃった」
珍しくさっきまでの勢いが無いフェイに違和感を感じながらも素直に謝ってくれたことに驚いたヒカリ
「あ・・・別にフェイさんが気に欠けることないですよ・・・僕だって結構暇ですから」
「そう・・?じゃあまた迷惑掛けても許してくれる・・・?」
フェイがそう口にした瞬間、いきなり店のドアが乱暴に蹴破られ、店に強盗が押し入ってきた。
ちょうど入り口がフェイの側に近かったのもあり、ちょうど強盗がフェイの後ろに立つようになってしまう。
「しまっ・・・!フェイさん!!」
ヒカリの言葉空しく、いい終わる瞬間には吹っ飛び、壁に追突して気絶していた。



店に押し入ってきた強盗が・・・・


「へ・・・?」
ヒカリが驚きの声を上げる。
「あーびっくりしたぁ・・・ヒカリ君、大丈夫?」
「え・・ええ・・?何が起こったんです?」
「何って・・・私が倒したんだけど・・・」
「一瞬で・・・?」
「うん・・・も、もしかしてスカートの中見えちゃった? 派手に回し蹴りしちゃったからなぁ・・・」
平然と語り続けるフェイにヒカリは今日思ってたことを心の中で反復する。
(も、もうこの女の子怖い・・・)
「どうしたの?」
この後、吹っ飛んだ強盗の手柄はお礼ということでヒカリの手柄になり(というかフェイがメイドの修行していたということをユウに知られないため)その対応に終われ、ヒカルが手伝えなくなったため、今日の修行は終わりになった。



-ファッティホエール号内部-
「今日一日着てみて分かったけどこのメイド服って結構動きにくいわね・・・そうだ!ここをこうして身軽にしてみれば・・・!」
そうしてフェイはもらったメイド服に自分なりの改造を施して時間は過ぎていった。

数日後、そのメイド服でフェイがユウの前に現れて船の内部がパニックになったのは言うまでも無い。



No.42
■捏造祭り イベント「クローバー畑で相見え(あいまみえ)」 投稿者:狂路 投稿日:2012/03/16(金) 18:41

挿絵あり
(イベント発生条件・ヨツバを雇っていて信頼度高以上、ヨツバ関連イベントを複数種見ている、パライソにいる
 イベント中の分岐選択肢は結果に影響なし・文章が変わるだけ)
《パライソを適当にうろついていたら迷ってしまったクロエ。留まっていてもしょうがない、と歩き続け、気づけばそこは大きく開けた草原だった》


クロエ「ふわー、こんな場所があったんだなぁ。すごいや、青と緑しかない。
    風が気持ちいい・・・。空とはやっぱり違うな。こういうのも悪くないや」
ヨツバ「・・・・・・」
クロエ「ちょっと昼寝でもしようかな。(ぽすん)・・・・・・って、うわぁっ!?ヨツバ!?」
ヨツバ「ッ! ・・・・・・。クロエ、か」
クロエ「え、あ、ハイ。うーびっくりした。まさかこんなところで寝っ転がってるなんて・・・いつものピリピリしたカンジからは想像つかないね。
    人が来たらすぐ反応するのに、今オレが来たの気づいてなかったみたいだし」
ヨツバ「生憎俺は貴様に負ける程度にゃ弱者よ。弱者は神経張り詰めなきゃすぐに死ぬ。だが弱者だから限界もある。
    ここには何もねー。一人いるだけじゃいい的だ。でも何故か焼かれも踏み抜かれもしねえ。休むにゃ最適よ」
クロエ「へえ。 いい場所だよね。田舎の風景も悪くないけど、こんな風に一面緑ってのも、心が休まるよ。
    あー、草がいいクッションになって気持ちいい・・・。いいなぁこんないい場所知ってたなんて」
ヨツバ「休める時間まで貴様といたら俺の精神が風化するわ。それにわざわざ荒らされたくねーんだよ。
    ・・・ここは軍隊も近くの雑魚共も入りこまねえ、迷いこむ奴もいねえ。ずっとこのままだ。なんでだと思う?」
クロエ「え? なんでって・・・」

  A.隠れた土地だから知られてない
  B.もしかしてここ、保護地域?
 →C.単に運が良かったとか
  D.守り神でもいたりして!
  E.・・・分からないよ

ヨツバ「・・・。やっぱりシャレにならん野郎だ」
クロエ「なんかオレさらっと酷いこと言われてない?逆だったらそれはそれで怖いけど」
ヨツバ「クローバー。運。つったら世のメスとオスの8割は四ツ葉のクローバーを挙げるんだろうよ。見てみな」
クロエ「オスとメスって・・・。あ!四ツ葉のクローバーがたくさんある!うわもっと多いのも!!普通の三つ葉のを探すほうが大変なくらいだ。
    こういうので冠とか作れるんだろうなぁ。オレはよく分からないけど」
ヨツバ「貴様、星型は好きか?」
クロエ「星型?特に考えたことはないけど・・・別に嫌いじゃないし、まあ好きかな」
ヨツバ「・・・。星は五つ葉。五つ葉は金運。金なんぞ生きる分だけありゃあいい。貴様にくれてやるさ」
  (五つ葉のクローバーの束を放り投げる)
クロエ「わぷっ!?あ、ありがとう。
    (この人ってこんなキャラだったっけ? なんだかいつもと違うような)」
ヨツバ「その分四つ葉を俺によこしな。四つ葉は幸運。強者が長く在るために、弱者が強者を喰らうために要るモノだ。
    強者の貴様が持つなぞ俺からしてみりゃ最悪の事態だ」
  (ユウが摘んでいた四葉のクローバーを奪う)
クロエ「うわっとと。 ・・・ヨツバ、なんだかいつもと違うね。
    いつもなら実力主義を掲げてて、こんな女の子が考えることなんて見向きもしない気がするのに。」
ヨツバ「ははははは。笑えるねぇ、実に笑える。俺でもそう思うんだよ。
    だがお生憎様ご愁傷様、俺の名は何の因果かヨツバなんだよ。なんでこれかは知らねーがな。
    どうしてかこうしてか花屋を焼こうが草の根を踏みつぶそうが、これだけは無視できねぇ性分さ。面倒くせえ。
    ・・・・・・。ついでにこれもくれてやろうじゃないの、レアすぎて普通な二つ葉よ。」
クロエ「・・・二つ葉のクローバーって・・・単に双葉の植物みたいだね。聞いたこともないんだから珍しいんだろうけど」
ヨツバ「貴様らの飛行艇と同じ形だな。二つ葉は不幸。これだから羽付きはろくでもねえ。
    んで五つ葉も所により不幸のち失恋。ははは、金儲け思考とつるんでるビッチとどうしようもねえ不運と一緒に堕ちちまえクソが」
クロエ「随分言いたい放題言ってない!?というか縁起でもないもの押し付けられてるような気が!!」
ヨツバ「強者の癖にバカか。それ以外に何の意味があんだ」
クロエ「酷いよ!?いやまあ貰っておくけどさ!」
ヨツバ「・・・、・・・・・・。一応聞く。クロエ、貴様はここを知って来た?」
クロエ「? いや、うろついてみたら偶然来ただけだよ。そしたらこんなにいい所で珍しい人に会えたけどね」
ヨツバ「ここのことは言いふらすんじゃねー。もし言いやがったら死んでも貴様の眼球食ってやる。分かったか」
クロエ「せめて心臓ってストレートに言ってくれた方がスッキリするんだけどなあ・・・」
ヨツバ「それは返事じゃねーんだよ。答えろ。」

 →A.分かった。
  B.隠しておくなんてもったいない
  C.どうしよっかなー?

ヨツバ「・・・。ここは・・・・・・四つ葉の畑。しあわせなんて温くない、幸運の場所」
クロエ「?」
ヨツバ「生憎貴様にやる幸運なんぞない。ここは俺の『故郷』だ。二度と入ってくんな。これは強者への懇願じゃねえ。脅迫だあね」
クロエ「・・・まあ、言いふらすなって所から想像はしてたけどね。うん、分かってる。
    こんなにいい場所なのに少しもったいないけど、さ。そう言うんなら、もうこないよ。
    嫌がってるのに無理に来たりなんかしたらお互いのためにならないしね」
ヨツバ「分かってくれるたぁ嬉しくて嬉しくて血の涙が出るねぇ。・・・。・・・・・・。
    俺ぁな、貴様が怖い。他人を信じてもいいと思わせる貴様が怖い。
    契約なんざ破り捨てて、近寄りたくもねぇ、殺さなきゃいけねぇ貴様をなんでこうしなきゃいけないんだろうねぇ俺の本能よ。
    まったく訳がわからねえ。樹海でもないのに狂いやがって畜生が。
    ・・・俺がやるのは信頼じゃねぇ、ただの原始的な因数分解よ。そう、だからそうなんさ。
    さあ、とっとと人間どもの巣に帰りな。願わくば海のど真ん中で翼もげろ」
クロエ「結局それなんだよね。でも、オレはまだまだ終わる気はないよ。
     ・・・まいっか。えぇと、この二つ葉と五つ葉は持ってかなきゃ・・・」
ヨツバ「・・・・・・」
クロエ「・・・ダメなんだよね、やっぱり。」
ヨツバ「おうおう、俺にゃいらねえ不幸と一緒に消えろ。二度と俺の幸運を踏みにじるな」
クロエ「はいはい。じゃあ、またね」


(その後)


ユイ「ユウ君おかえりー、どこ行ってたの?
   ってわあ何これ!?外で草むしりでもしてた!?すっごい量じゃないそれ!!」
クロエ「違うって! いや、どこに置こうか迷ってたら持って帰ってきちゃってて・・・」
アケチ「・・・ほう、これは五つ葉のシロツメクサですね!また随分珍しいものを・・・・・・あ、二つ葉まである!
    これ、全部この二種類ですね。一体何をどうやったらこうなるんですか」
クロエ「んー、まあいろいろあってね。」
ユイ「あれ?ねえ、そのペンダントみたいなもの、何?」
クロエ「ペンダント?うわ、いつの間に?あ、コレって・・・・・・」
ユイ「わぁ、四つ葉のクローバー入りとかおしゃれじゃない!どうしたの?どっかで売ってたなら私も欲しいなー」
アケチ「これはかなり荒い手作りですね。売り物というより・・・誰かから貰いました?」
クロエ「・・・・・・・・・。うん、貰ったよ。とっても不幸で幸運な人からね。」


No.41
■クエスト「仇討ち」 投稿者:野球小僧monjya [URL] 投稿日:2012/03/16(金) 17:36

主「どうしよう、正面突破も厳しいし・・・
  かと言って空から攻めるのもなあ」

ユ「奴らの飛行艇を見てきたけど、オレ一人じゃちょっと厳しいかな
  規模が違いすぎるよ。ユウ達に協力してもらうとしても
  一撃でも攻撃が当たったら・・・」

主「ああ、すぐに撃墜されるな
  今からこっちの飛行艇を強化しようにも
  全然時間が足りないし・・・」

イ「コラコラ、ちょっと待たんかい
  ウチらを雇っておきながら、それは無いんやないか?
  潜入さえできれば、一気にぶっ潰せるで♪」

ジ「それがでけへん言うてるから
  ユウは困ってるんやないか、アホかお前は」

イ「せやけどユウキの腕前で、どうにもならん言われたら
  正面から堂々とぶっ潰しにかかった方が確立は高いやろ!

主「イルの言う通りだな。しょうがない、正面突破で行こう
  ジン達がいるから空戦よりは確率が高いはずだ
  本当はケンカで殴り込みの方がいいんだろ?」

ジ「・・・はぁ~、バレてたんかい。かなわんなあ、ホンマに
  エエか、ケンカでオレらの引っ張ったら報酬10倍やからな!
  カッカッカ!」

主「後はどうやってカジノに潜入するかだな
  うーん・・・利用者として入るのは無理だろうし・・・」

ジ「売り手として入る事はでけへんかな?
  オレの接客術なら、多分騙せるで」

主「それだっ!・・・でも、商人役できるの?
  イルならともかくジンじゃ無理だろ」

イ「全くや、アホゴリラじゃ商売出来るわけが無いな」

ユ「イルの方が接客上手かったしねえ
  丁寧にお客さんに商品の説明したり
  上品な接客だったから、オレはいい店員だったなと・・・」

イ「あら、ホンマに?
  嬉しい事言うてくれるやないか、ユウキ」

ジ「女子供の方が高く売れる言うとるのに
  オレが奴隷役やったら門前払いやろが!
  それに、出来れば顔は隠したいからな
  もしかするとネヴィル以外にオレの顔知っとる奴がいるかもしれん」

主「ああ、それならしょうがないか・・・じゃあ、イルやってくれ」

イ「嫌や、こんな美人がそんな汚れ役なんかできるかい」

主「あのなあ・・・正面突破がいいって言い出したんだから
  そのぐらいやってくれよ!」

ジ「まあまあ、ここはオレが説得するから。
  ・・・エエか、イル。その場でお前を売るふりをして
  金を受け取った後に、あそこぶっ潰してみい?
  オレが奴隷役やるより丸儲けやで。タダ働きにもならんしな」

ユ「あ、それいいね。どうせなら潰すだけじゃなくて資金とか
  装備も出来るだけ奪っていくのもいいかも」

イ「まあ・・・アホゴリラ売るよりは金になるならしゃあないな
  ・・・せや!ジン、耳貸さんかい!」

(ボソボソ・・・)

ジ「・・・そんならもっと儲かるな、よっしゃ!
  ユウキ、ちとこっちに来んかい」

(・・・カジノ内部)

主「(上手い事入れたな、ジン)」

ジ「(おう、このまま奥まで行って奴らをぶっ潰すで)」

イ「(しっかしなあ、奴隷商人の奴らこんなに儲けとるんかい
  ウチらの1か月分の報酬の何十倍もあるで)」

主「(カジノの儲け以外にも、買い手から紹介料とか貰って
  それ以上に儲けてるんだろ、きっと)」

ユ「(・・・)」

主「(ど、どうした?なんかもの凄い
  怒りのオーラが出てるんですが)」

yuuki_secret6.png「(・・・何でオレ女装しなきゃダメなんだ?)」

主「(俺を睨まないでくれ。睨むのはあっちだろ)」

ジ「(ダメもとで、お前も売れないか試してみたかったからや
  いやあ、アイツら見事に女に見間違えてたから
  笑いを堪えるのに必死やったわ)」

イ「(しかも、アイツらかなりの大金積んだからなあ
  今から使い道が楽しみで楽しみで・・・♪)」

ユ「(・・・全額オレに渡すんだよな?)」

ジ・イ「(ええ~?なんでやねん)」

ユ「(オレが恥ずかしさを堪えてもらった金なんだからな!
  それに、イルの分の代金でも十分高いじゃないか!
  そのお金をくれなきゃ、お抱え操縦士辞めるよ
  燃料費とかだって大体が給料から天引きだし・・・)」

ジ「(うっ・・・それを出されると痛いなー・・・
  はいはい、わかったわかった
  そう怒らんといて、な?ユウキ「ちゃん」)」

(ボカッ!バキッ!)

ユ「(「ちゃん」付けするなよ!)」

主「(そ、そろそろ奴らの事務所に着くからケンカはやめよう、な?)」


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