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■小説・読み物(61-80)


No.80
■ティオ登場イベント簡易版&イベントキャラ追加 投稿者:文一郎 投稿日:2012/03/22(木) 23:10

ティオ登場イベント

? リールうろつき(クロエ・ユイ・アケチ・ティオ・ベルネ・駅員)

【リール中央駅・改札口】

シュッ、シュッ、シュッ、シュッ…プシューッ!
駅員『リール中央、リール中央、終点です。お降りの際はお忘れ物の無いようご注意ください。』
ガシュン、ガシュン…
駅員『次のリエーシュ方面の列車は六番線からの発車になります。前より三両は座席が指定となっておりますので、ご乗車の際には座席指定券をお買い求めください。』
ピィッ、ピィッ、ピィッ!
駅員『間もなく一番線よりイースタンブルグ行、オーレント急行が発車いたします。ご乗車のお客様はお乗り遅れの無いようお急ぎください。』
ポォォォォッ!

クロ「…暇だったからちょっと来てみたけど、予想以上の活気だな。」
アケ「リール中央駅はリヴィエラ鉄道の基幹駅ですので発着本数が多いのは当然ですが…これほど多いとは思いませんでした。」
ユイ「本当にすっごーい!…ねえ、もうちょっと奥まで行ってみようよ!」
ティ「待って!」
クロ「えっ?」
ティ「あ、待ってじゃなかった、えっと…お客様、申し訳ありませんが改札内に入られる場合には、あちらで乗車券の方を…。」
クロ「すみません、俺たち列車に乗りにきたんじゃないので…あと、別に丁寧な言葉使いじゃなくてもいいですよ。」
ティ「そう…良かった、未だに慣れないんだ、この口調。…ただ、申し訳ないんだけど、乗車券持ってない人は改札内には入れない決まりなんだ。」
ユイ「えっ、そうなの!」
ティ「うん。見送りや出迎えの人にも入場券だけは買ってもらってるし…それに、混雑したホームは事故が起きやすいから、ただの見学の人はできれば遠慮してほしいな、って。」
クロ「そっか…ちょっと興味あったんだけどな。…お姉さんは鉄道会社の人?」
ティ「そう。君たちは…っていうか、どっからどう見ても空族の人だよね。」
クロ「まあね。…俺はユウ=クロエ、空族です。」
ティ「私はティオ=ヌックス、車掌をしています。…というわけで、これから私仕事なのでこの辺で失礼します。できれば次回は当鉄道をご利用くださいね!」
タッタッタッタッ…
アケ「可愛い人でしたね。」
クロ「そうだな。」
バキッ!ドゴッ!
アケ「はぅっ!」
クロ「痛っ!」
ユイ「もう、いつもそればっかり…いい加減止めなさいよ!」
クロ「いや、その…すみません。」
ベル「殿方はだいたいそんなものですよ、ユイさん。」
ユイ「あっ、ベルネさん!」
ベル「それぐらいのこと、広い心で許してあげないと殿方とのお付き合いなんて長くはもちませんよ。」
ユイ「べ、別に付き合ってなんか…。」
クロ「ん、何か顔赤くないか、ユイ?」
バキィッ!
クロ「はげぶっ!」
ユイ「ユウは黙ってなさい!」
ベル「別に、男女の仲という意味で言ったつもりではなかったのですがね…それよりクロエさん、本日は当社にどういったご用件でしょうか?」
クロ「あ、いえ、別にただ何となく来ただけで…もう帰りますから。」
ベル「…そうですか、それならちょっとお付き合い願えませんか?」

【リール中央駅・プラットホーム】

クロ「ベルネさん、あの、ここは…。」
ベル「見ての通り、リール中央駅のプラットホームです。」
アケ「い、いいんでしょうか、私たち入ってしまって…。」
ユイ「入場券、買ってないですよ。」
ベル「それなら機関区の方を案内しましょうか?…そちらなら入場券は関係ありませんよ。」
クロ「さすがにそれは遠慮いたします!」
ベル「…クロエさん、貴方はもっと自分の交友関係を利用するべきです。」
ユイ「…でも、すごい熱気ですね。」
ベル「お客様が多いですし、それに鉄道ではまだまだ蒸気機関が主力ですから…冬場だとちょうどいいんですけどね。」
クロ「ふーん…。」
ティ「あれ、君たちは…さっき改札の外で会った人、だよね?」
クロ「あ、君はさっきの…。」
ティ「なに、わざわざ入場券買って入ったの?…そんなに見たかった?」
クロ「いや、あの、その…。」
ベル「私の権限で招待しました。」
ティ「!…しゃ、社長!これは失礼しました!」
クロ「いや、失礼なんてそんな…。」
ベル「今回は構いませんが、不用意な言葉使いは慎みなさい、ティオ。…その口調を不愉快に思われる方もいらっしゃるのですから。」
ティ「はい…失礼しました。」
ベル「これから乗務ですか?」
ティ「はい、カナウスまで往復の乗務になります。」
ベル「それならもうすぐ到着ですね…頑張って。」
ティ「はい!…君たちもせっかく社長にエスコートしてもらえるんだから、しっかり楽しんでね!」
タッタッタッタッ…
クロ「…彼女は?」
ベル「当鉄道で車掌を勤めているティオ=ヌックスです。」
ユイ「お知り合いなんですか?」
ベル「ええ、個人的に少しだけ。」
アケ「どんな方なんですか?」
ベル「とても仕事熱心で…優秀な車掌ですよ。」
駅員『間もなく三番線にカナウス行、普通列車が参ります。危険ですのでホームの端から離れてお待ちください。』
ティ「申し訳ありませんが、危険ですので下がってお待ちくださーい!」
アケ「…まあ、優秀かどうかは分かりませんが。」
クロ「仕事熱心なのは間違いなさそ…!危ない!」
ティ「えっ!」
ドン!
ティ「きゃあっ!」
グラッ!
クロ「くっ!」
パシッ!
ギギギーッ!
ティ「…あれ?」
クロ「大丈夫だった?」
ティ「あ…うん、ありがとう。」
駅員「すみません、手荷物用のカートが勝手に…。」
ベル「カートは勝手に暴走しません。貴方の不手際です。」
駅員「しゃ、社長…。」
ベル「もしぶつかったのがお客様でも同じように言えますか。…カートから離れる際にはきちんと輪止めをしなさい!」
駅員「も、申し訳ありませんでした!」
ユイ「…こ、怖い。」
クロ「…。」
ティ「…あの。」
クロ「はい?」
ティ「…手、離してもらっていいかな?」
クロ「あ…ごめん。」


? リールうろつき

「リールで降ろす予定だった郵便物を一部降ろし忘れまして…申し訳ありませんが、取ってきていただけませんか?」

ベルネさんからの依頼で、ティオの乗務する郵便列車から誤配された郵便物を受け取ってくることになる。ティオは港まで郵便物を届けにきてくれるが、その間に停車中の郵便列車が突然爆発する。

? ブランシェうろつき

「確かに、本当の両親に会えたら嬉しいけど…ベルネさんたちも、やっぱり私の両親なんだよ。」

ブランシェで偶然ティオと再会、パラダイス・カフェでしばし談笑する。このとき彼女の生い立ちについて知る。

? リール到着時

「連結器さえ切れれば…最悪の事態は免れる!」

リールへ向かう途中、暴走する列車を発見。乗務中のティオと協力して列車を止める。

? リールうろつき

「貴女は…貴女のせいでお客様に死者が出たとき、責任が取れますか。」

ベルネさんから最近ティオの周囲で不審な事件が連続していることを聞かされ、ファッティホエール号で一時彼女の身柄を預かることになる。



No.79
■「水がまた流れた」 投稿者:みーやん 投稿日:2012/03/22(木) 17:05



「ごほっ!!」

 大きな咳き込みと同時に、びしゃっと生々しい液体音が室内に響く。
 暗闇の中でむくりと起きたら、背中をまた一筋、汗が伝った。

 暗闇に目が慣れない。手探りで置時計を探し出す。驚くほど体がふら
つきながらも、何とか見つけだす。薄く光る時計の針をぼんやりと眺め
た。

「……3時…?」
 か細い声を発する喉は鉄の味がする。一度眠りに入ったら朝までぐっ
すりという自分がこんな時間に起きたなんて珍しい。

 ベッドの横にあるスイッチを入れる。部屋の明かりがパッとつくと、
自分の右手と掛け布団は血まみれだった。さっきの吐血だろう。


 ファッティホエール号が静かに飛行する夜半、イツキは身体の異常に
苛まれていた。

「っ……、アタマが、痛い……」

 喉も乾き切り、声は掠れきっている。また、両手は小刻みに痙攣して
おり、視界はぼやけておりチカチカしている。こんなことは今まで初め
てだった。

 ひとまずベットを降り、船医のシンドウのもとに向かうことにした。
 自分では病気のことは分からない。が、この虚脱感はこのままにして
おいてはまずいということだけはよく分かった。


 体はいつもの何倍も重かった。足が上手く前に出てくれず、壁にもた
れかからなくては立っていることすら出来ない。
 その上、一歩一歩踏みしめるだけで、足から身体にかけて痛みの電流
が駆け巡る。


「どうしたんだろ、あたし…」
 昨日までは何ともなかった。いつものようにクロエや仲間たちに遊び
をせがんだり、調理場にいるテネジーにじゃれたり。

 いつも通りの日を過ごしていたのに。



 ようやく扉の前に辿り着いたころには、窓から見た空がうっすらと明
け始めている。自分の部屋から医務室まで、どれほどの時間が経ったの
だろう。
 
 インターホンを鳴らすが、シンドウは出ない。扉に背を向けながら、
続けてイツキはボタンを押した。全く反応はない。

 時間を考えても、シンドウはもう自室で休んでいるのではないか。し
かし、もう一度引き返して彼の部屋を訪ねる気力は、残っていなかっ
た。





「……?」

 気がつくと、自分の目に天井が入ってきた。チラと視線を動かすと、
布団がかけられている。どうやら、いつの間にかベッドにいたらしい。

 が、どこでどうして、自分はベッドに戻ってきていたのだろうか。
 見渡す限りでは、医務室ではないようだった。


 と。ドアが開くセンサー音がした。
「あ、起きた? 大丈夫?」

 声の主はこの艦の技師でもあるユイだった。手にはタオルやら着替
えやらを持っている。

「……ユイ、ここどこ?」

「私の部屋。ほら、起きちゃダメよ。
 整備から戻ってきたら、イツキちゃんが医務室前で倒れてたから、
ホントにびっくりたわ。

 ユウ君にここまで運んでもらったのよ」

 そうか。シンドウがいないと知って、そのまま自分は気を失ってし
まったらしい。頭を打ったのか、こめかみがズキズキと痛む。


「ありがとう。…ごめん。ユイも眠いのにベッド使っちゃって」

「そんなこと気にしなくていいわよ。それより、どうしてあんなとこ
ろで倒れていたの? 
あ、ほら、まだ寝てなきゃ。ここに運んでもらった時、あなたの身体
すごく冷たくなってたんだから」

 と、外側からブザーが鳴る。誰か来たらしい。


「イツキちゃん、大丈夫? はい、テネジーさんに身体が暖まるもの
作ってもらってきたよ」
 ユイが扉を開き、今度はクロエが器を抱えて入ってきた。




「…身体がだるくなった? それで薬を探そうとしたのかい?」
 クロエが呆気にとられたように返す。


 テネジーの作ってくれたスープを身体に入れ、イツキは二人にこ
こまでの経緯を話す。自分の身体の異常をなるべく伏せたままで。

(……病気だって思われたら、遊んでくれなくなるもんね)
 と、ずいぶん気楽に考えていたが。

「で、医務室に行ったら誰もいないの。シンドウはもう寝ちゃった
のかなあ? やっぱり」

 ぽつり、と呟いた一言にユイは目を丸くした。


「…ええ? 何言ってるの? イツキちゃん。
 シンドウさんはこの1週間、ご家族のお墓参りで一旦チーガオに
降りてるって、イツキちゃんが私たちに言ってたでしょ?」

 頭が凍りつく。

「そうだよね。ああ、今日の午後2時ごろに、チーガオに降りるよ。
シンドウさんを迎えにいくから」


 クロエの言葉も耳に入ってはいたが、頭には入っていなかった。

 確かに自分は出まかせで迂闊な発言も多いが、自分の言ったこと
を忘れているなどという事も今までなかった。
 
 忘れていたというよりも、はじめからそんな事実が自分の頭から
消え去っていたということに、言い知れぬ不安がよぎる。


―――記憶が、無くなってる……?

 頭が真っ白になり、その後、二人が何を言っていたかも、自分が
どのようにして部屋に帰って来ていたかも、思いだせなかった。
 




 目を覚ます。時計を見ると、午前11時を回っていた。

 夜中ほどではないものの、やはりだるさと熱に浮かされたような
感覚は消えていない。

 とにかく、ベッドから降りて、部屋を出ようとしたら、足に違和
感を感じる。


 見ると、サンダルのベルトが切れている。昨日倒れた時にでも、
千切れてしまったのだろうか。
 あまり深く考えず、イツキは右手に意識を集中させた。


 ベルトの時間を逆光させていく。ぐぐぐ、と革が繋がり始めてい
く。その時だった。


「……、っ……!?」
 
 心臓がひときわ強く、どくん。と音をたてた。眼の前が虹色に見
え、額に汗がにじみ出てくる。

 体を踏ん張れず、そのまま床に突っ伏してしまった。どうしたと
いうのだろう。能力を使おうとした途端、明け方以上に激しく体を
襲う激痛。

 痙攣する手を押さえて、イツキはよろよろと立ちあがってベッド
に倒れ込んだ。


 痛い。腕がまるでセメントで固められたかのように動かせない。
 だというのに震えだけは止まらず、眼の中に光がチカチカと舞っ
ている。



 ようやく、震えが落ち着いたころ時計は既に昼の1時にさしかかっ
ている。同時に、自分の身体の異常をはっきりとイツキは理解した。


 タイム・キーパー。彼女がヨツバによって名づけられた“イツキ"
という名の前にあった名である。

 時間を操るというその人智を超えたチカラには、身体に大きな
負担をかけるリスクも背負っていた。恐らく自分の異常の原因は、
酷使したことによる反動がモロにきたのだ。


 乗り込んでからというもの、様々な戦いを経たファッティホエ
ール号。損壊の修復や様々な雑務にまで、自分の能力を使用し続け
ていた。
 体中の細胞が大きなダメージを受けているのであれば、これ以上
時間を操るのは即ち、生命の危険を伴うことになる。


「……あたし、もうずっとこのままなのかな……」

 汗を拭いながら、イツキは部屋を出る。とにかく、一人でここに
いるのが怖かった。

 とにかく、元気を装ってでも、みんなと一緒にいよう。医務室で
一人ぼっちになるのは嫌だ。



 少しではあるが、歩くのは楽になっている。比較的軽い足取りで
イツキはクルーたちがいそうな所へとてとてと歩き出す。

 いい天気だった。いつきは雲を追い抜いていく青々とした空を、
清々しい気持ちで眺め、歩きだす。






「あ、モモカだ」
 格納庫のところまで来たら、モモカがファランクスの塗装をし直
していた。

「ん? あれ、イツキじゃない。ちょっと待ってね。あと少しで
終わるから」

 丹念に塗装を繰り返すモモカの表情は普段のそれとは段違いにた
くましく、凛々しい。と思うのは自分だけだろうか。

 ふう、と息をついて、リフトから降りてきたモモカは先ほどとは
違って、年相応の笑顔を見せてくる。


「なんか用?」

「ううん。いつも通り、遊びにきてるの。モモカがお仕事してるの
見ると、カッコいいから」

 頬をぽりぽりと掻き、モモカも照れを含んだ笑いを飛ばす。


「あ…だったらイツキ。よかったらさ、ちょっと野暮用を頼みたい
んだけど、いいかな?」 

「ん? なに、なに?」

 と、モモカがバケツを取り出してきた。中にはスプレー缶がどか
どかと積まれている。
 嫌な予感が頭をよぎった。
 

「いや…あのさ、スプレー缶の中の塗料が、固まっちゃって。
 空気に触れてると、ペンキって固まっちゃうんだ。イツキ、これ
直せないかな? 固まる前に戻すってのは」

「…………やだ」
 モモカが言い終わる前に、イツキは話を切った。


「……え」

「あ、あたしそんなことしたくない! ……もう行く」

 モモカのきょとんとした表情が、いつまでも頭に重く残る。
 どうせ頭が朦朧としているなら、こんなものも忘れてしまいたい。





 格納庫を走り去ったいつきは、食道に行った。
 喉が渇いたので、水でも貰おうと厨房に向かおうとした時、

「ああ、イツキ。丁度よかったわ」
 と、艦の料理人でもあるテネジーに呼び止められた。

「どしたの? テネジー」
 基本的には人懐こいイツキは、ぴょこぴょことテネジーのもとに。


「うん、ちょっと食材が傷みかけててね。6日前にチーガオで買ったもの
で、皆に作ろうと買い込んだんだけど……」

 ぞわ、とイツキの背筋に冷たいものが走る。いつもならば喜んで受ける
言葉なのに、今はそれが死刑宣告のように冷たく胸に響くのだった。


「イツキなら、新鮮なくらいにまで戻せるわよね? お願いしたいん
だけど」

「い、嫌だ! やだ! 絶対、やだ!」

 あまりにも突っぱねる様子に、テネジーが怪訝な顔をする。

「イツキ? どうしたの、いつもなら喜んでやってくれるのに。
 お願い、ね? 皆に美味しいもの作ってあげたいから」

「やだったら、やだ! ダメにしちゃったんなら、捨てちゃえばいいよ!
 あたしそんなの、食べたくない!」

 パァン、とイツキの頬が音を立てる。テネジーが顔を打ったのだ。


「……イツキ! 食料は今の私たちには大事なものなの。粗末にすること
は絶対に出来ないのよ。捨てるなんてこと、二度と言っちゃ駄目。

 今の状態でも身体には問題はないけど、あなたがご飯を食べると元気が
出るように、美味しいものを食べてもらって、皆に元気を出してもらいた
いの」

 子供を叱る母親のように、テネジーはイツキを見据える。自分だって、
手伝えることなら、皆が自分を褒めてくれるなら手伝いでもなんでもした
いとは思う。

 しかし、直立するだけでも困難な今、イツキの足は疲労からか、再び小
刻みに痙攣を始めていた。そんな様子を、おびえて震えていると取ったか、

「でも嫌なら無理にとは言わないわ、ありがとう。ごめんね、痛かった?」
 と、頭を撫でてくれた。
 そのテネジーの優しい言葉は、イツキにどうしようもないやるせなさと、
申し訳なさを駆り立てる。



「……ふーんだ! テネジーのばーか! アケチと遊んで来るもん!」
 その気持ちを悟られないように、必死に普段の自分を装って、イツキは
厨房を去る。

「んな! こらイツキ、あんたまた先生の所に…! 待ちなさい!」






「ええ、そうなんですよ、イツキ。この間手に入れた古文書のようなもの
なんですが、ファントゥームに何か関わりが!?
 と思ったのですが、ここ。この部分がかすれてて読めないんです、そこ
でイツキ! 是非あなたにお願いしま」

「嫌だ!!!」

 今度はアケチの顔も見ずに、扉を開けて部屋を飛び出す。

 すれ違う廊下、休憩所、様々なところでクルーがイツキを呼びとめる。
 そのことごとく、振り切って駆け抜けた。


 何で、どうして、誰もが自分に何かを頼もうとするのか。
 どうして、落ち着いていさせようとしてくれないのか。
  

「みんな、みんなあたしなんかどうでもいいんだ!
 あたしの持ってるチカラだけがあれば、それでいいんだ……!!」

 誰もいないところに行きたい。一人になりたい。
 どこに向かっているかも分からず、イツキはひたすら人を避け続けて
艦の中を走り回った。




「さて、そろそろチーガオだな」

 クロエがクルーに指示を出していたころ、ユイがやってきた。


「……ユウ君。今艦内を回ってきたんだけど、イツキちゃんが急に駄々を
こねて、皆を困らせてるっていうの」

「え? なにそれ。どういうこと?」



 モモカ、テネジー、アケチ。他多数のクルーの話がしばらくユイの口から
語られる。クロエは頭を掻きながら、難しい顔をして聞いていた。




「ううん…イタズラ好きだしなぁ。わざと意地悪してるのか?
 そういえば、昨日も夜中にあんなところにいたし…」

「でも、身体がだるいって言ってたし、現に医務室の前にいたのよ?」

「でもさ、シンドウさんがいないってのはイツキちゃん自身が言ったんだから、
わざわざ医務室に行くなんて、変だろ? もしかしたら、あれも俺たちに
構ってもらいたくてやったんじゃないのかな」


 クロエが溜息まじりに話す。ユイも首をかしげ、肩を落とした。



「クルーに必要以上に親しくするのも示しがつかないから、注意した方が
いいかなとは思っていたけど…こういう手を使うとなると考えものね……」





 ずん、と静かに着水する衝撃が艦内に響く。

 こと細かな指示をクルーに残し、クロエとユイが出口に向かおうとした時、
一人のクルーが駆け込んできた。


「大変だ、クロエ!」

「あ、あれ? イシナカさん。何ですか、やけに急いで」
 入ってきたのは、汗を軽くにじませたイシナカだった。








「どこだったかな? 以前に会った洞穴にいると思うけど…」

 それから30分ほどしてクロエとユイは、チーガオの森の中に入っていた。
 イシナカの報告は、イツキのことだった。

 港とホエール号が連結し、シャッターが開いた瞬間、イツキは艦を飛び出
して行方不明になった。


 イシナカが急いで追ったものの、慣れない土地の勝手が分からず、見失っ
たのだという。

 話を聞いたユイが「きっとあそこよ」と示したのが、初めてイツキと出会
った森の中の洞穴である。


「……戦いが続いたから、寂しい思いをしてたのかしら…」
 ユイの言葉は、誰に拾われることもなく大自然に溶けていく。

 クロエは己の知らないところでクルーたちの確執が芽生えてしまったことに
軽いショックと責任を感じながらも、頭から振り払うようにすたすたと歩き続
けた。
 
 川を渡る。数日前まで雨続きだったらしく、川の勢いは凄まじい。
 遠くに見えるダムも水を叩きつけられて激しいしぶきを上げている。




「……あった。あれだよ」

 山のふもとにぽつ、と空いた小さな穴がある。クロエはライトをつけて、
水が滴る洞穴の中に入っていく。


「イツキちゃん…!」

 ユイが声を響かせる。イツキは洞穴の最奥で一人、うずくまっていた。
 いつも元気に振る舞っていた彼女の面影も感じられない。


「……う」
 クロエとユイを見たイツキは、怯えた目で二人を見つめる。
 


「どうしたの? 急にいなくなるんだから、びっくりするじゃないか」

「シンドウさんも戻ってきたし、そろそろ出発よ。さ、こんなとこにいないで、
帰ろ?」

 クロエとユイが声をかけたが、イツキはずっと震えている。

「…い、いや…。もうあたし、あそこにいたくないよ…! 皆もう、あたしの
ことキライになったんだ…!」

 頭を抱えたまま首を振るイツキ。

 そんなイツキを、ぎゅ、とユイが抱きしめる。


「…! ……」
 びく、と一瞬驚いたが、頭を撫でながらイツキのそばにいるユイに、躊躇い
がちにイツキもゆっくりと身体を寄せる。

「イツキちゃん、誰もキライになったりなんてしないわ。今は戦っているから、
皆も心が落ち着かない。色々なことがあったかもしれないけど、心から人を好き
でいるあなたを本心から嫌う人なんて、どこにもいない」

 ユイの言葉が、イツキの心に少しずつ響く。


「艦に戻ったら、みんなで一日さ。パーティでもしようか。俺達も戦いばっかり
頭にあって、疲れてるかもしれないしね」

 クロエの言葉に、こらえていたものが溢れてきた。


「ぅ…うう…うわぁーーーんっ」

 今度はイツキからユイに抱きつき、泣き続けた。ユイは静かにイツキを抱き、
背中をさすり続ける。




「さぁ、そろそろ時間だ。夕暮れには出発するから、行こう」

 クロエの言葉で、3人は洞穴を後にした。

 もう、隠しごとをするのはやめにしよう。シンドウにすべて話して、正直に
皆に自分の今の状態を話そう。イツキはそう思った。



 空は赤みがさし、日はチーガオの山に少しずつかかろうとしている。

 橋を渡り、森を抜けようという時だった。





 とたんに、ダムが崩壊し激流が押し寄せてきたのだ。

「ユウ君!」
 ユイが声を張り上げ、二人も水流に気づいた。

「くっ! 橋の向こうまで走るぞ!」 
 イツキの手を引き、クロエとユイが走り出す。だが水は連日の雨で勢いを
増しており、クロエたちをあざ笑うかのように迫ってくる。
 

 ここにあって、思ったより冷静だった。流れがスローモーションに見える
くらい。身体の重さが感じなくなるくらい、気持ちは落ち着いていた。

 イツキは、クロエの手を振り払った。



「イツキ、何してるんだ! 早く、こっちに!」


「……クロエ、ユイ。
 あたし悪い子だから。やっぱり、戻らない」

 イツキの右手は、今までとは比べ物にならないほど輝く。




「…っ、」

 ビシ、と身体中に取り返しのつかない崩壊が始まる。足、腰、続いて腕。
 次々に力が抜けていき、膝を橋に落としながらも、右手だけは下ろさない。


「…そうか…! 時間を遡らせて、水の流れそのものを…」
 クロエが言っている間にも、次第に水の流れは緩やかになりはじめ、激流は
比較的早い流れ程度にまで落ち着いてきた。


「イツキちゃん…!」

 ユイがほっと胸をなでおろした。クロエも汗をぬぐって、


「さあ、行こう。イツキちゃんも、早く…!」

 そう言った時、イツキが見たこともない顔でこちらを見た。子供のような
あどけない表情ではなく、神々しさを持った顔で。 




「クロエ、ユイ。あたしね、今まで自分のチカラと役割を深く考えたことなんて
無かったんだ」



 水は速度をゆるめ、普段となんら変わらぬ流れに戻って行った。


「時間を戻すっていうのは、自然に逆らっていることなんだよね。人は皆、取り
返せない流れの中で頑張って生きている。
 あたしのしてきたことは、人から頑張るっていうことを取り上げてしまうこと
だった。
 
 だから、あたしはもうクロエたちに手は貸せない。それは皆のこれまでの努力
を踏みにじることになるから」


「そんな……」
 クロエは口にしながらも、イツキの神秘的な様子に手が出せないでいた。
 儚いながらも、その眼には確かな意思が宿っている。


「あたしはここでまた、静かに暮らしてく。皆の行く末はあたしが決めるんじゃな
くて、船長のクロエとユイで決めなきゃ」


「……分かった。イツキちゃんがそう言うなら、俺達も自分たちの力で戦う。
 また必ず、会いに来るよ。その時は、アケチも、テネジーも、みんなも一緒に」

 にこ、とイツキはいつもの無邪気な笑みに戻り、
 



「うん、待ってる」




 ―――そうして、クロエとユイは去って行った。
 最後まで我儘言ってしまったけど、何も言わないで聞きいれてくれたのが嬉し
かった。
 

 おかげで、自分の最期は見られないで済むだろう。


「…ごめんね、ホントはもっと、みんなといっしょに、いたかった…のに…」

 右手の光が消える。



 徐々に流れは再び強くなっていき、
 次第に激流と化した川の流れがイツキを飲みこみ、橋ごと叩き潰した。


 




「さあ、出発!」

 その日の暮れ、ファッティホエール号はチーガオを離れた。


「…ユウ君、静かね」
 ユイがぽつり、と寂しそうにつぶやく。


「うん。…何だか、太陽が消えたみたいだ」
 クロエも少し、沈みがちだった。
 
「あたし達をずっと助けてくれてたもんね。ホントに、あたしたちにとっての
太陽だったのかもしれない」

 チーガオの街がだんだん小さくなっていく。それを眺めながら、二人は残った
一人の少女を思う。



「…うん。神様の思し召しだ、俺達は自分の力でカメダ軍団に勝とう。
 全部終わったあと、晴れた空の下で暮らしてるイツキちゃんに会いに行こう」


「うんっ」



 ファッティホエール号は、静かに黒い空に溶け込んでいく。
 雄々しく、美しく。大いなる運命を背負って。




No.78
■捏造祭りSS『居場所』 投稿者:無頼 投稿日:2012/03/22(木) 19:45

「ど、どう、かな…?」
澄み切った空のような美しい色の、水色のワンピースを纏った少女が、
やや緊張した表情を湛えて、くるりと回ってみせる。
「すごくかわいいよ! 似合ってる!」
水色のワンピースを纏った少女に対し、
彼女とほぼ同じ年齢であろう少女から、称賛の声が贈られる。
「うにゅー、確かにかわいいけど…そうね…」
称賛の言葉を贈った少女の傍らに立つ、
もう一人の若い、艶っぽさと幼い雰囲気を共に色濃く纏った女性が、
じっくりと水色のワンピースを纏った少女の姿を見渡すと、
彼女はワンピースの少女の、ポニーテールに束ねられた髪をほどく。
ワンピースにも負けないくらいに、
それ以上に美しい青色の髪がふぁさりと広がり、
ポニーテールの時とはまた違った可憐な美しさ覗く。
「わぁ…」
先程称賛の声を贈った少女は、新たに更なる可憐な姿を披露した友人の姿に、
思わず感嘆の声を上げた。
「あたしはこっちの方がとってもかわいいと思うな。…ユイはどう?」
ほどいた髪をとかしつけたところで、
彼女――サクラは、青色の髪の少女――ユイを鏡の前に立たせた。
「ちょっと、不思議な感じがするな…」


世界でも有数の大都市・ブランシェ。
今日も平和を謳歌するこの街で、
空族のクロエ・ユウと彼と共に往く仲間達は、束の間の休日を楽しんでいる。
各々のメンバーがそれぞれの事情や目的で休日を過ごす中、
その内の女性数人が、この街の一角にあるブティックの一店にて、
服のショッピングを楽しんでいた。


「いつものポニーテールもとってもかわいいと思うけど、
 ワンピース姿には、あたしはこっちの方が似合うと思うな~。」
おしゃれが大好きで、
ファッティホエール号に集う仲間達の中でも、特に多く衣装を持つサクラ。
彼女は自分がおしゃれをするのも勿論だが、
おしゃれをさせるのも大好きだ。
「サーヤは、どっちが似合うと思う?」
ユイは自身に称賛の声を贈った友人のサーヤに対して、
そう問いかけて意見を求める。
「あたしはサクラの意見に同意かな。
 ワンピース姿なら下ろしていた方が合っていると思う。」
「そ、そう…。」
照れ笑いを浮かべながら、ユイはもう一人、意見を求めたく、
そのもう一人の仲間へと、意見を求める。
「マリンの意見も、聞きたいな…。」
「…俺は…」
静かに様子を見守っていたもう一人の仲間、マリンは、
少し悩みむような素振りを見せつつも、
「…そう、だな。俺もサクラとサーヤの意見に同意するよ。
 下ろした姿も、とっても素敵じゃないか。」
柔和な笑みを浮かべて、マリンは同意の意見を述べた。
「じゃ、じゃあ、これを着る時は、髪、下ろしてみようかな…。」
「にゃはは。二人もこう言ってくれたし、それがいいと思うよ。」
依然少し照れた様子のユイに対し、サクラはそう笑いかけると、
もう一度ユイの身体を改めて見渡し、じっと顔を覗き込む。
「でも…他にもやっぱり、
ちょっとセクシーな衣装も捨てがたいと思うんだけどな~。
もっと、露出の多いような…。フェイちゃんも言ってたけどね…。」
「そ、そういうのはもう結構!」
「うにゅー、残念だな~。絶対似あうと思うんだけどな~。」
以前のある出来事の事もあり、ユイは即座にサクラの提案を拒否してしまう。
「サーヤはどう? よかったら、何かセクシーなの着てみる?」
「うん! 着てみる!」
「最近ずっと思っていたけど、サーヤ、最近すごく色っぽくなったね。」
「ユイもそう思ってくれたんだ…。ありがとう。
 …サクラのおかげなの…。サクラがあたしを女にしてくれたの…。」
視線を一度サクラに向けると、サーヤは目を瞑り、頬を赤らめた。
「うみゅ~? もしよかったら、ユイもあたしがもっと一人前の女に
 し て あ げ よ う か ?(はぁと)」
「い…いや、あの…ご、ごめん…! 
 気持ちは嬉しいけど、私は大丈夫だから!」
艶のあるセクシーな、そしてどこか獲物を狙う肉食獣にも似た視線を感じて、
ユイは慌てて、サクラの申し出をお断りする。
「うにゅ~、またまた残念…」

そんな三人の様子を見守りながら、マリンは一人、静かに微笑んでいた。
胸に穏やかな風が流れ、改めて感じる。
平和だな、と。

恩師のシュネーをカメダ軍団によって亡くし、
彼女の仇討の為にファッティホエール号の仲間に加わったマリン。
当初は他の仲間達と距離を置き、積極的に関わり合う事も無かった彼女だが、
今では仲間達と打ち解け、皆と一緒に穏やかで楽しい時間を過ごす機会も多くなった。
シュネーと出会う前の辛い過去も自ら打ち明け、
仲間達は改めて、マリンの全てを受け入れ、
マリンと仲間達の心は、距離は、更に近いものとなっていた。

この日、マリンは初めて、同性の仲間達と新しい衣装の購入の為に、
街のブティックを訪れていた。
今までいつも基本的に同じデザインの、
顔以外の肌を見せないような装束ばかりを着こんでいたマリン。
その彼女が、初めて、同性の仲間達と一緒に、
一緒にブティックに行きたい、と、そう申し出た。
それは、仲間達にとっても、とても嬉しい話であった。
現在、マリンはこのブティックに、
ユイ、サーヤ、サクラの三人と一緒に訪れていた。


「よし! 今度はこれでクロエさんにアタックしよう!」
「あたし達はセクシーさで勝負だね!
 ユイ、あたし達も絶対負けないつもりだよ!」
「だ、だから…! 私とクロエ君は幼馴染で、ずっと付き合いは長いし…
 友達として、仲間として彼の事は…好きだけど…
 そ、そういう好きというのとは…まだ違うから…!」
「みゃはは、またまた照れた事言っちゃって…。
 お待たせ、マリン。ごめんね、時間かかっちゃって。」
「気にしなくていいぞ。最後でいいって言ったのは俺の方だからな。」
ユイ、サーヤ、サクラの三人の新しい服探しが終わり、
いよいよ、マリンの試着の番。
「任せて! マリンにとっても似合う服、しっかり探し当てて選んであげる!」
「ありがとう。それで…一つリクエストがあるんだ。」
「うみゅ? どんな?」
「…サクラやサーヤが選んだような、
 少し露出のあるような…男性の目を引けるような感じのをお願いしたいんだ。」
「えっ!?」
「マ、マリン…!?」
マリンのその言葉に、三人の表情に動揺が現れる。
マリンが肌の露出を殆どなくした衣服を着続けていた理由。
それは、彼女のシュネーと出会う以前の、「過酷極まりない過去」に起因していた。
三人も大きなショックを受けた、マリンの過去。
その彼女が、自ら進んで、露出のある、男性の目を引けるような服を望んでいる。
三人が衝撃を受けるには、充分すぎた。
「マリン、本当にそんな感じの服を選んでいいの…?」
「ああ、お願いする。あ、ただ胸から下の…
お腹が露出するようなのや過度な露出のはちょっと勘弁な。」
「うにゅー、わかったわ。じゃあ、ちょっと来て。」


「お待たせ…どうかな?」
やがて、マリンとサクラが試着室に消えてからしばらくした後、
二人は試着室からユイとサーヤの前へと戻ってきた。
少し照れくさそうな表情で戻ってきたマリンの姿に、
ユイとサーヤは、一瞬驚きとも感動ともとれるような表情で固まり、
その口から感嘆の感情を含んだため息が漏れた。
美しいプロポーションのとれた身体を鮮やかに包み、
胸元と両手を露出させた、美しい碧色のドレス。
美しさの随所にセクシーさも盛り込まれたそのドレスは、
それは、マリンの生まれ持った女性としての美しさを、魅力を、
十二分に引き立てていた。
「綺麗…。」
「マリン、すごいよ…。すごく綺麗だよ…!」
「ありがとう、二人とも。 サクラにもそう言ってもらえたよ。」
「本当の事だもの。 綺麗じゃないわけがないわ。
 (うみゅー、おまけにすごくセクシーじゃない…。
このセクシーさ、あたしに匹敵するレベルだわ…!)」
ドレス姿のマリンを改めてまじまじと見つめながら、内心唸るサクラ。
「さっきユイも言っていた事だけど、俺も同じ気持ちだ。
 本当に、不思議な気持ちだ…。
 なんだか、俺が俺じゃないみたいだよ…。」
(((かわいい…)))
ほんのりと頬を染めてそう言葉を続けるマリンの姿は、
同性であるユイやサーヤ、サクラの目から見ても、
はっきりとかわいいと思えるものだった。
「うにゅー、でも、本当にビックリしちゃったわ。
 まさかこういうタイプの服を選んでほしいなんて言われるとは思ってなかったもの。」
「…俺も、着てみたくなったんだ…。」
「…どうして?」
「どうしてって…それは…その…」
「…もしかして、恋?」
話が進むにつれて一層頬を赤くし、口ごもりも進行していくマリンに対して、
サーヤが爆弾発言を放った。
「「恋!?」」
「!」
ユイとサクラもハモって発せられたキーワードを繰り返す。
同時に、マリンの顔にもはっきりと動揺の色が表れる。
「うにゅ? マリンさっきよりも顔が赤くなっているよ?」
「サ、サーヤが変な事を言うからだ…。」
「もしかして、図星だった?」
「い、いや……違う…。どうして俺があんな研究バカと…」
否定しようとする彼女の声は、弱弱しいものだった。
いや、そもそも聞いていないことまで答えているような。
非常に小さく、弱弱しい声だったが、
地獄耳のサクラは、それを聞き逃す事は無かった。
瞬間、にまっとサクラは微笑んだ。
「あっれ~? 誰もパーシヴァル君の事なんて言っていないけど~?」
「!? ど、どうしてそこであいつの名前が出てくるんだ!?」
激しく動揺した様子を見せるマリンの姿に、三人は悟る。
図星だったんだな、と。
そして同時に、安心と、嬉しさが、三人の心に広がる。

三人にとっても、「彼」の存在が思い当たるのは自然だった。
ずっと、「彼」と彼女の関係が気になっていたから。
関係は、ずっと進んでいたようだ。
そう、いい方向に。

「にゃはは、この一着だけじゃ足りないでしょ!
 まだまだ他にも選んであげるわよ!」
「だ、だから…俺はあいつに、そこまでそういう気があるわけじゃ…!」
サクラに引っ張られて、マリンは店の奥へと再び姿を消した。
その姿を、ユイとサーヤは微笑ましそうに見送った。
(やぱり、恋って素敵なんだね…)
声に出さずに、ユイは心中で、そう呟いた。


そう、本当に平和だった。
そして、はっきりと感じる。幸せだ、と。
だが、同時に一つの不安も、彼女の心中に広がっていた――。

この後、四人はそれぞれの用事から戻ってきた他の女子メンバーと合流。
街での幸せなひと時を、皆で楽しく過ごした――。





その日の夜、ファッティホエール号の仲間達の宿泊するホテルにて。
マリンはそのホテルのとある一室の前に居た。
その部屋に宿泊している人物に話があり、その為にここに来たのだ。
その人物は用事の時間が長くかかったので、
まだホテルに戻ってそれほど時間がかかっていなかったので、
その人物が戻ってきてある程度時間が経ったところで、
彼女は今こうして、彼の部屋を訪れようとしていた。
コンコン。
「俺だ。お邪魔してもいいか?」
「どうぞ。」
了承の返事が聞こえたのを確認すると、マリンはドアを開けて、室内へと足を踏み入れた。
「お疲れ。」
「よぉ、おつか……」
部屋の宿泊者は、軽く挨拶をするも、部屋に足を踏み入れた彼女の姿を見た瞬間、
驚いた表情になり、彼女の姿をまじまじと凝視した。
「彼」の視線に、僅かにマリンの頬が赤くなる。
「…どうした?」
わざと平静を装うが、内心は、彼女も非常に緊張していた。
「い、いや…どうしたんだ、そのドレス。」
「今日街で買ってきた。サクラに選んでもらった。」
「そ、そうか…。綺麗だぞ、すごく。良く似合っている…。」
そう答える「彼」――パーシヴァルもまた、同じだった。
表面上は平静を装っているが、
彼もまた、内心ではどこか動揺した、緊張した様子だった。
「…なあ?」
「何だ?」
「どうして、そのドレス…」
パーシヴァルも、マリンの過去のトラウマ、そして肌を露出させない、
「女性らしさ」を意識しない服ばかりを着ていたことを、よく知っている。
仲間達の中で、彼女の最も近いところに居るのは、彼なのだから。
「着たくなったんだ。俺もこんなドレスを。
 気に入ったよ、これ。選んでくれたサクラには感謝してる。
 このドレス姿を褒めてくれたみんなにも。」
今まで殆ど着用する事のなかった、女性らしさを強く意識したドレス姿。
自身のそんな姿をもう一度見渡してから、
マリンはパーシヴァルに向けて、静かに微笑みかけた。
「それに…お前にも、な。」
「俺に…?」
「こんな服を着たいと思うようになったのは、ある意味お前のおかげだからな。」
「…わざわざ、見せに来てくれたのか?」
「…ぅん…まぁ、今言ったように、ある意味お前のおかげでもあるからな…。
 他に数着購入したんだが、これが一番気に入ってな。
 他のは、また今度な。一応、どれもお前の好きそうなのだと思う。」
「あ、ああ…、楽しみにしてる…。
 …って、おい、それってまさか…わざわざ俺の好みにも合わせるように選んだのか!?」
「…さて、な…。」
驚いて問いかけるパーシヴァルに対し、マリンは回答をはぐらかす。
尤も、その返答と様子では、殆どはぐらかしにもなっていない気もするが。
「なぁ、今日買い物以外にも何があったんだ?
 買い物の事も含めて、よかったら話してくれないか?」
「ああ、今日はまずな…」
そして、マリンは話し始めた。
今日朝起きてから、仲間達とどのように楽しく時間を過ごしたのか。
どんな楽しい出来事があったのかを。


「……とまぁ、そんな一日だった。」
「そうか。今日一日、とっても楽しかったみたいだな。」
「ああ。」
その短い返事の中に、たくさんの喜びの気持ちが詰まっている。
そう、本当にとても楽しかった。
「それを聞けて、俺も嬉しい。ありがとよ、いい話が聞けた。」
「礼を言わなきゃいけないのは、俺の方だな。
 本当にありがとな、いつも助けてくれて…。
 今こうして皆と楽しく時間を過ごせるのも、
 皆のおかげで、お前のおかげでもあるよ…。」
「…照れるな…。」

恩師のシュネーを目の前で殺されてから、
マリンの生きる目的は、ただ「復讐」を果たすため、のみとなった。
それまで奴隷にされて地獄のような日々を助けてくれて、
長く忘れていた幸せな生活を、愛情をくれたシュネー。
その彼女を身勝手な目的の為に殺害したカメダ軍団を、
マリンは許す事などできるはずがなかった。
恩師の復讐さえ果たせれば、自分はもうどうなってもいい。
一時そこまで思い詰めていた彼女の心を救ったのは、
パーシヴァルであり、そして、ファッティホエール号に集う仲間達だった。
あたたかい仲間達との交流の中で、
暗く悲しい感情に囚われた彼女の心は救われ、
続く戦いの中であっても、
彼女の心は、今はっきりと、仲間達との幸せを感じていた。
そして、いつもすぐに助けてくれたのは、パーシヴァルだった。
まだシュネーが生きていた頃に、初めて彼と出会った時から、
彼はいつも、マリンを助けてくれた。
敵との戦いで窮地に陥った時も。
マリンが一人で悩み、苦しんでいた時も。
マリンが心に深い傷を負った時も。
いつも。いつも。
傍には、パーシヴァルがいた。

そして、昼間にサクラ達に対してあのように返答はしたが、
マリンは、今ではパーシヴァルの事が――。


「…なぁ、何か、悩んでいるのか?」
「な、何でだ?」
「顔にそう書いてある。わかるんだよ、俺には。…話してみろよ。」
「…相変わらず、鋭いな、お前…。」
パーシヴァルは女好きではあるが、恋愛感情に関しては妙に鈍感なところもあった。
だが、人の心の変化には機敏だった。
そして、マリンはそんな彼を強く信頼している。
今では、彼に自身の悩みを、素直に打ち明けられるほどに。
マリンの表情から、笑みが消える。
「…お前は、これからもずっと学者を続けていくんだよな…?」
「ああ、勿論。今は何よりファントゥームに辿り着いて、
そこに住んでいる生き物たちを発見して研究したい。
だけど、世界は広い。
この地球上で、人間の目に触れた生き物は、ほんの一握りなのかもしれない。
まだ見つかっていない生き物だってきっとたくさんいるはずだ。
それに、既に発見されている生き物だって、わからない事が山ほどあるんだ。
俺は、この地球に生きる生き物の事をもっと知りたい。
まだ誰も知らない事を、もっと確かめたいんだ。
だから、俺はこれからも学者を続けていく。
ファントゥームを巡る戦いが終わって、
ファントゥームの生き物の研究も終わって、
ファッティホエール号のみんなと別れた後も、
死ぬまでずっと、な。」
そう語るパーシヴァルの様子は、非常に生き生きしていた。
彼は本当に、自身の生き甲斐に強い誇りと、大きな夢を持っている。
その事を、改めて感じる。
「…俺は、未来が怖いかもしれない…。」
「…未来が…?」
マリンの表情に、影が落ちる。
「…俺、今お前と…ファッティホエール号のみんなと一緒に居るのが、すごく楽しい。
 正直に言うと、戦いはやっぱり大変だし、辛い。
 泣きたくなることだって、いっぱいあるよ。
 だけど、みんなと過ごせる時間が、本当に楽しい。
 家族が生きていた頃にも、シュネー先生が生きていた頃にも負けないくらい。
 はっきり言うよ。今、俺幸せだよ。」
「マリン…。」
一度微笑みかけたマリンだが、再びその表情から笑みが消える。
「だけど、いつかは、全てが終わったら、みんな、離れ離れになるんだよな…。
 その時が来るのが、すごく、怖いんだ…。
 …情けないよな、俺なんかよりもっと辛い過去を背負って、
 それでも元気に頑張っている仲間だっているのに…。」
「…お前だけじゃないさ。
 お前と同じような悩みを持っている奴は、他にもいる。
 正直に言うとな、俺もその時が来るのは怖いと思う事もある。
 せっかく仲良くなった仲間達と離れ離れになるのは、誰だって寂しく思うさ。」
「……。」
「けど、必然な出会いもあれば、必然な別れだってある。
 別れの後も、前に進めるさ。前に進めるよう頑張るさ。
 それに、その別れが永遠とは限らないぜ。
 きっと、別れた後も、みんなとはいつかまた出会えるって、俺はそう信じている。」
「…お前は、強いな…。
 だけど、俺はやっぱり別れが怖い…。もう、味わいたくないよ…あんな想いは…。」
僅かに、マリンの目元が潤み、光るのが見えた。
「っ!? すまん…。」
家族との永遠の別れ。孤児院の仲間達との別れ。恩師との永遠の別れ。
マリンは、あまりにも辛すぎる別れを幾度も経験してきた。
そして、幸せを打ち砕かれるその時も…。
故に、彼女は他者よりも、ずっと恐れていた。
大切な人との別れを。大切なものを失う事を。
謝罪するパーシヴァルに、マリンは静かに優しく微笑みかける。
「いや、気にしないでくれ。お前は何も悪くないよ。
 …ありがとう、また相談に乗ってくれて…。」
そう言って、マリンは立ち上がる。
「夜遅くに失礼したな。もう部屋に戻るよ。
 他の服は、また今度見せるから。じゃあ、おやすみ…」
そう言い残し、部屋を後にしようとするマリンだったが、
彼女は部屋を立ち去る事は出来なかった。
パーシヴァルが、マリンの身体を背後から抱き寄せていたからだ。
「…待てよ。まだ俺からの話は終わってないぞ。」
「……」
後ろから抱き締められて、マリンは羞恥心と、そして嬉しさに、
ほんのりと赤くなった頬は、やがて加速的に熱を増していった。
「さっきも言ったよな。みんなと別れる事になった後も、学者を続けるって。
 だけどな、研究も、一人じゃ大変な時もあるんだ…。」
「え…?」
「よかったらでいい…。
 戦いが終わった後に、俺の助手になってくれないか…?
 お前に、色々と手伝ってほしい…。
 そして……俺と一緒に居てほしい。
 絶対に、もうお前を独りにしない。何かあったら、絶対に俺がお前を守る。」
「!」
その言葉が何を意味しているのか、それがわからないマリンではなかった。
嬉しさで、目頭が熱くなってきた。
そして、とめどなく涙が溢れてきた。
「俺なんかで、いいのか…?」
涙溢れるマリンの顔を見つめて、はっきりと、力強くパーシヴァルは「その言葉」を放った。
「お前でいいんじゃない。お前がいいんだ。」
「あり…がとう…」
涙に濡れた顔で、マリンは微笑んだ。
「マリン…」
「んっ…」
そして、二人の影が静かに重なり――

その夜、二人は、身も心も結ばれた――。


翌朝、二人が同じ部屋から一緒に起床して出てきたところを仲間達に見られて、
色々と幸せな騒ぎが起こるのだが、それはまた別の話。



No.77
■鮮血の盗賊団 イベントアルバム集 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/22(木) 02:50

━━  【カズバッド】  ━━

一瞬の隙を突きカズの槍がフェイの心臓を貫いたのだ。
「え・・・?あ・・・?」
フェイの顔から血の気が引く、その光景は紛れも無く現実で・・・槍の先には彼女の血がベットリ付着していた。
「終わったな・・・結局、あんたは何も変わってなかった」
「う・・嘘・・・私は・・・私はぁぁぁ・・・」
涙を流しながら、フェイは砂浜に倒れ、砂を血で染める。
「最後に一つ教えてやろう、軍隊上がりのうちに・・・所詮元は一般人だったあんたが勝てる望みなんてなかったってことや」
最後に言葉を掛け、立ち去ろうとした直後、カズは近づいてくる人影に気がつく。
「誰や・・・・!!」
槍を向けたその先には焦った表情をするユウが居た。
「カ・・・カズさん・・・どうして・・・」
倒れているフェイを見てユウは驚いたような表情をする。
「簡単なことや・・・うちとフェイは仲間でも何でもなかった・・・それだけや」
「何で・・・二人で一緒に居る時は二人とも楽しそうだったじゃないか・・・・それを・・・なんで・・・!!」
もう動かないフェイを抱きかかえユウはカズに迫る。
「まあ確かに楽しいときはあった・・・それでも・・・意見の相違はあるってことや」
「なん・・・だと・・!」
「最後に一つだけ教えといてやろう、あんたの親父を裏切ったのはうちや、フェイは・・・その敵討ちも兼ねてうちに戦いを挑んだみたいやな」
「カズさんが父を裏切ったのは知ってた・・・」
その応答が予想外だったのか想定の範囲内だったのか分からないがカズはそのまま
「どうする?じゃあうちと戦いでもしてみるか? 仲良く天国に送ってやるで?」
「・・・・っ」
ユウは表情を歪め、そして。
「それはいい・・・今はフェイさんの方が先だ・・・」
「もうその動かない屍が父の敵より大事だと? そりゃあめでたい頭やでぇ・・・」
「違う・・・! フェイさんも・・・カズさんも僕は仲間だと思ってる・・・」
「ああ・・・そうかい 残念ながらうちはここに縛られる理由も無くなった、後は勝手にさせてもらうで」
「なっ・・・ちょっと待って・・・!!」
言い終える前にカズは姿を消す。
静かになった海に取り残されるユウともう動く事の無いフェイ、数十分後船に戻ったユウを向かえたのは「ファランクス」とカズが船内から消えたということ。
フェイが死んだ事についてはユウはカズのせいだと言い出せずに・・・ずっと心の中に残ったままだった。


-フェイ&カズがパーティから離脱しました-


【カズバットエンド:消滅】

ジパングに行っても、シアンさんやカズと会う事は二度とできなかった。
店は姿を消していたし、フェイさんに縛られてないカズさんの心は僕たちには到底理解できなかった。
カズさん・・・父の事よりも・・・・僕はあなたに会えたら言いたいことがあるんです・・・「今でも仲間です」って・・・


「しかしまさかだなぁ、君がそんな顔をするとはな」
「うちは表情を変えたつもりはないけどな」
「いやいや変わったよ、今の君は・・・本当に鬼のようだ」

どこかの地を二人は歩く、その中にあの子が居た証拠など・・・どこにもないようで。



━━  【フェイバッド】  ━━

フェイの剣がカズの槍を斬り飛ばし、もう片方が体を抉る。
「うっ・・・・?」
カズの赤い服は血が染みさらに黒く、フェイが剣を引き抜くと同時にカズの大きな身体は沈む。
「カズ・・・・」
「ふ・・・うちも甘かったな・・・まさかフェイにやられるなんてな・・・」
「そうね・・・」
と短い会話を交わすとフェイは一人呟く。
「なんだろう・・・この、空しさは・・・」
「フェイさん!!」
突然後ろからユウが話しかける。
「え? ああ・・・ユウか・・・」
「フェイさん・・・これは一体?」
「言ったでしょ? 決心したって・・・これが私なりの結論」
「だからって・・・カズさんを・・・!!」
「だからって?なんで?カズはユウのお父さんの仇なんだよ?」
「そうだけど・・・カズさんは・・・」
「仲間・・・とでも言うつもり?」
「うっ・・・」
「私は認めない、たとえそれがユウが言うことでもね」
「けど・・・」
「ふん・・・なら勝手に言ってればいいわ」
「な・・・」
「あなたがどう思ってようとカズは裏切り者だった、その事実は他のどの事を足してもプラスには覆らないわ」
「そんな・・・二人は・・・あんなに仲がよさそうだったじゃないか・・・」
「結局それも偽者だったってこと」
「・・・・・」
「じゃあ、私は船に戻るから・・・」
「ま・・待って・・・フェイ・・フェイさんは・・・ずっとここに居てくれるの?」
「・・・ごめんね、やりたい事ができたの・・・決戦が終わったら、私は居なくなるわ」
「そんな・・・嫌だよ・・・そんなの・・・」
「カズは死んだ・・・もう元には戻らないの」
「カズさん・・・」
「じゃあね、まあ短い間だけど・・・よろしく」
と言ってフェイはその場から立ち去る。

残されたユウは倒れてるカズに向かって。
「どうして・・・どうしてこんな事になっちゃったんだよ・・・カズさんは・・・」
ともう動かないカズに涙を流した。
それが父親の仇だということを差し引いても、ユウはカズを仲間としてみていたということである。


-カズがパーティから離脱した-


【フェイバッドアルバム:鮮血の盗賊】

最近また「鮮血の盗賊」という単語を聞くようになった。
「鮮血の盗賊」・・・おそらく離れていった彼女なんだろう。
フェイさん・・・次にまた会うとしたら・・・敵としてなんだね・・・
最初に会ったときを思い出しながら、ユウは涙を流した。

【シアンバッドアルバム:想定外】

「ああ・・・聞いたよ・・・カズが死んだんだってな」
シアンは自分の店で友の死を聞いていた。
「だがそれでも少しプランが狂ったくらいだ・・・修正は利くんじゃないかな」
と、話してると彼女の後ろに立つ一つの赤い影が。
「そうだな、もう少しみたいだ・・・」
と呟くと彼女は傍らにおいてある武器に手を伸ばした。



━━  【フェイビター】  ━━

カズの体を、フェイの二本の剣が切り裂いた。
「がっ・・・・なっ・・・・」
カズは吹っ飛び、周りを血で染める。
「どう・・・これでも・・・私が弱いなんて言える・・・?」
フェイはカズに近づき、トドメの一撃を振り下ろそうとした瞬間、カズは一言呟いた。
「確かに・・・本当に強くなったなぁ・・・フェイ」
「っ・・・!?」
いきなりカズの殺気が消えたせいか、フェイは手を止める。
「どうした・・?今ならうちを殺せる、殺したいんじゃなかったんか・・・?」
「なんで・・・なんでよ!!」
そう叫ぶフェイの目には涙が溜まっていた。
「何で急にそんな事言うのよ・・・なんで・・・」
「フェイ・・・」
「私だって・・・私だってカズを殺したくないよ・・・嫌だよ・・・そんなの・・・」
「・・・・・殺せ」
「え・・・?」
「殺せと言ったんや、どの道この傷ならうちは長くない・・・だったらうちはあんたに殺されたい」
「何で・・・カズ・・・なんでそんな事言うの・・・」
「うちはもう十分生きた・・・だからたくさん間違えも犯した・・・その間違いの少しでも・・・最後に親友に正してもらっただけでも・・・うちは幸せや・・・」
戦う前までずっと出なかった「親友」、その言葉は彼女に重くのしかかり、そして。
「ごめん・・・ごめんカズ・・・」
涙を流しながら、フェイはカズの胸に剣を突き刺した。
「あり・・・がと・・な・・・フェイ」
最後にカズはフェイの頭に手を置くとゆっくり・・・

今まで一度も表情を変えなかった彼女が、最後の最後にフェイに向かって微笑んだ。


「嘘・・・カズ・・・・なんで・・・なんで最後に笑うのよおおおおおおおおおおおおお!! 嘘・・・嫌・・・嫌だ・・・お願いだから戻って・・・殺したくない・・・殺し合いたくなんてなかった・・・」

フェイが嘆く姿をユウは遠くから見つめていた。
その叫びは本当に悲痛なもので、後悔の色しかもって居なかった。

「フェイさん・・・どうして・・・」
「ユ・・・ユウ・・・カズが・・・カズが・・・」
「カズさん・・・」
「私のせいだ・・・私がカズを信じてあげられなかったから・・・」
「・・・・」
「ごめん・・・ごめん・・・」
彼女はそう呟きながら立ち上がると・・船の方へと戻っていった。
ユウはその背中をずっと見つめていた。


-カズがパーティから離脱した-


【フェイビターアルバム:面影】

彼女は亡き親友の墓の前で祈りをささげている。
彼女は髪を伸ばし始めた、理由を前に聞いたら。
「こうしてれば、少しはあの人っぽいじゃない」
と笑いながら答えた。
けどその笑いの奥には悲しみの表情しかなく・・・
後悔しか見えていなかった。


━━  【ハッピーエンド】  ━━

二人の戦いはしばらく続く、暗い海に武器がぶつかり合う音が響く。
「フェイ・・・・!!」
「カズ・・・!!」
二人は一歩も譲らず、一進一退の戦いが続いていたと思われた。
しかしその均衡はいきなり崩れた、フェイがいきなりバランスを崩したのだ。
「あっ・・・・嫌っ・・・!」
砂浜に倒れたフェイにカズの槍の一撃が放たれる。
次の瞬間、砂浜に血しぶきが飛び散った。


両者何が起こったのか理解できてなかった。
フェイを突き刺すはずだった槍が刺しているのはユウ・・・二人の間にユウが割って入ったのだ。
「え・・?ユウ・・・?何で・・・?どうして私なんか・・・」
フェイが驚きの声を上げる、カズも驚きで動けなくなっているようだ。
「二人が・・・何をしてるのかと思ったら・・・何で・・・何で仲間同士で殺しあってるんだよ!!」
血を流しながらも二人を見据え、激を飛ばすユウ。
「ユウ・・・だって・・・カズは・・・」
「知ってるよ・・・確かにカズさんは父親の仇だ・・・けど・・・それ以上に僕の中では二人とも仲間なんだ・・・!!」
「仲間・・・やと・・・」
衝撃を受けているカズにユウは続ける。
「ああ・・・仲間だ・・・何があったって・・・一緒に旅をしてきた・・・なか・・ま・・・なんだ・・」
そのままユウは砂浜に倒れる。
「「ユウッ・・・!!!
二人の叫び声が聞こえた気がしたが、そこでユウの意識が途切れた。


「・・・・あれ・・・?ここは・・・?」
ユウは目を覚ます、どうやら船内のベットのようだ。
「生きてたんだ・・・僕・・・」
起き上がると、横に変な違和感を感じた。
ベットをめくるとそこには横になって同じく寝ているフェイの姿があった。
「えっ・・・?ええええええっ・・?!」
状況が理解できないのか、ユウは慌てる。
「ふにゃ・・・?あ・・・ユウ君・・・!起きたんだ・・・よかった・・・本当に・・・」
騒いで起きたのか、フェイは目を覚ますと同時に安心したのかユウに抱きつく。
「あ・・・フェイさん・・・良かった・・・フェイさんも無事だったんだ・・・」
「私は大丈夫だったけど・・・ユウ君・・・3日も寝てたんだよ・・?」
「ええっ・・・?! そ、その間・・・フェイちゃんが見ててくれたの・・・?」
「いや、違うよ 私も起きたばっかり  ユウ君を見ててくれたのはカズだよ?」
「へ・・・?カズさん・・・?」
「うん・・・ずっとカズも寝ないでユウ君の看病して・・・ユイちゃんが心配して変わるって言っても自分の責任だからって・・・」
「そうだったんだ・・・ねえ、カズさんが今どこに居るかわかる?」
「うーん・・・たぶん船の一番上の甲板じゃないかな、良くあそこに居るよ」
「ありがとう・・・!少しお礼言ってくるよ・・・」
フラフラと立ち上がりながらユウは甲板へと向かっていった。


甲板ではカズが一人、遠くを見ながら黄昏ていた。
「仲間・・・か・・・」
ユウはその後ろ姿に声をかける。
「カズさん!!」
「ん・・・?ああ・・・ユウか・・・」
「うん・・・看病してくれたお礼でも・・・って」
「お礼・・か・・・そんな事言われる筋合いはうちにはないわ」
「けど・・・」
「いくらあんたが仲間と言ってくれても所詮うちの中ではうちはずっと裏切り者、だからうちはそんな資格がないんよ」
「確かに父の事はショックだった・・・けどそれ以上にカズさんには助けられた・・・そう僕は思ってるんだ・・・」
「・・・そうか、ありがと・・・」
そして、ユウはしばらく考えた後・・・カズに気になってた事を聞いた。
「カズさんは・・・これからどうするの・・・?」
「うちか・・・うちは・・・そうやなぁ・・・盗賊はもうやめにして軍隊にでも戻ろうかな」
「へ・・・?じゃあフェイさんは・・・?」
「ふふ、ばぁか・・・一番フェイを任せられる場所を見つけたらから・・・うちは安心して元に戻れるんや・・・」
「へ・・・?一番任せられる場所・・?」
「いいから、ほら フェイのところに戻ってやれや あいつ・・・待ってるで」
「へ・・?けど質問が」
「いいんや、とにかくもううちはフェイと殺しあうつもりもない、それでいいやろ」
話を聞き終わる前にユウは甲板を追い出される。
甲板の出口ではフェイが
「あ・・・ユウ カズとの話は終わった・・・?」
「うん・・・終わったよ・・・カズさん・・・軍隊に戻るんだって」
「そうなんだ・・・そうだよね やっぱりカズは自分のために戦ってるのが一番かっこいいもん・・・仕方ないよ」
「フェイさんは・・・これからどうするの・・・?」
「え・・?私・・・?私はねぇ・・・」
そう勿体つけたように言うと彼女はユウに
「そういえばまだ助けてもらったお礼・・・してなかったよね・・・」
「え・・・?そうだけど・・・質問の答えは・・・?」
「いいから!目を閉じて・・!」
「へ・・・?う、うん・・・」
言われるままに目を閉じるユウ。
(う・・・うーん・・やると思ったら緊張するなぁ・・・け、けど自分の気持ちに嘘は付けないし・・・えいっ!)
フェイはユウに抱きつき、口付けを交わした。
「へ・・・?おおうっ・・・?!」
「へへへ、これが私の答え・・・どう?」
「そ、それって・・・」
「これ以上は言わせないの! 私は先に戻ってるからねー!」
「え、ちょっとフェイさん待ってよ!!」

こうして深い闇を持っていた鮮血の盗賊団はユウによって、しっかりちゃんとした道を歩むために進み始めたのである。


【カズハッピーアルバム:信頼と・・・】

カズさんは決戦の後軍隊に戻ったようだ。
僕にならフェイを任せられるらしい、カズさんほどしっかり纏められる自信はないけど、とにかく頑張るしかない。

「はぁ・・・あいつらしっかり元気にやってるかなぁ・・・しばらくしたらうちももう一度様子見に行くかなぁ・・・」
戦場で彼女はポツリと呟く。
「しかしなぁフェイ うちが譲ったんだからしっかりやるんやで」
と微笑んだ。


【フェイハッピーアルバム:最高の相方として】

フェイは決戦が終わった後も僕のそばに居て、一緒に空賊を続ける算段を立てている。
ただの賊じゃなくて悪を狩る義賊らしい。
「ね・・ねえフェイ この旗本当に機体に付けるの・・・?」
「あったりまえじゃない! 私たち二人が強いって事を示さないとだめなのよ! だっから派手に行きましょう」
「そ・・・そんなものなんだ・・・」
「夫婦最強」とでっかく赤文字で書かれた旗を機体に掲げようとしてるフェイを眺めながらため息をつく。
「ほらほら、元気出す! そんなんじゃカズの後釜は務まらないよー ほら・・・あなた・・・」
というわけで・・・彼女は今は僕の最高のパートナーだ。

「この呼び方恥ずかしいね・・・」
「じゃあユウって呼んでくれよ・・・」



No.76
■「最終決戦-決意とは-」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/22(木) 02:50

ファントゥームへ攻める直前の夜、フェイは一人で夜の海の前に座り込んでいた。
もう少しで約束した時刻、確かめたい事を確かめるために一つ彼女は決心をしていた。
「なんや・・・こんな場所に呼び出して 話するんやったら・・・船の中でもよかったやろ?」
するとカズが現れる、ずっと彼女と共に盗賊をやってた大切な仲間。
「いや・・・ちょっとね・・・船じゃ話にくくて」
「あっそ・・・なら、ここで用件を聞かせてもらうかな」
と、カズは彼女の横に腰をかける
「うん・・・そうしてくれると・・・嬉しいかな」
「どうした? 調子でも悪いんか? 何か元気が無いなぁ、フェイらしくないで?」
カズはいつもの調子で、フェイの様子を心配する。
「うん、大丈夫・・だよ? あのさ・・・」
「ん? どうした」
「私たちがさ・・・盗賊を始めたのも・・・こんな星が見える夜だったよね・・・」
「・・・そうやな・・・ 二人で機体に乗って・・・」
「そこからさ・・・少しは騒がれるようになってさ、みんな私たちを見るだけで逃げるようになって・・・」
「それだけ力が付いたってことやろうな、フェイも・・・昔と違ってずいぶん変わったわ」
「カズもそうだよ、カズも変わった・・・」
「ん・・・? うちはそんなに変わってないとは思うけどな・・・」
「変わったよ・・・私はずっとカズのこと親友だと思ってる・・・カズも・・・そうだと信じたかった・・・」
「信じるも何も・・・うちもフェイは親友だと思ってるで・・・?」
「だったら・・・」
彼女は最後までなるべく口にしたくなかった言葉を口から吐き出す。
「どうして嘘付くの・・・? 何で・・なんでカズは私にも話せない裏を持ってたの・・・?」
「・・・・っ!!聞いてたんか・・・!!」
「うん・・・カズが・・・カズがユウのお父さんを裏切ったってほんとなの? 私と居るために・・・」
「・・・・・」
「なんとか・・・なんとか言ってよ・・・ねえ・・・カズ・・・」
「・・・・ああ、そうやな うちがユウの父親を殺した、利益を優先するためにな・・・」
自覚はしていたものの、やはりその言葉がショックだったのかフェイは最後まで否定してほしかったという表情を最後までしていた。
「そう・・・だったんだ・・・」
「だったらどうするんや? うちをユウと一緒に倒しでもするか?」
「いや・・・そうじゃなくて・・・」
「その話を知ってるって事はうちがシアンに軍隊に戻れって言われてる事も知ってるんやろ?」
「・・・うん・・・聞いたよ・・・」
「・・・そうか・・・聞いてしまったんやな・・・」
「私はずっと二人のこと親友だと思ってた・・・けど・・・二人はずっと私のことなんて邪魔者としか・・・」
「・・・・・」
「もう・・・否定もしてくれないの?」
「ああ・・・そうやな、確かにあんたは邪魔だった」
「・・・・!? え・・?」
「今思うと、くだらない事で縛られすぎたんやな、うちは 父親が居ないあんたに同情だけで付いて行ってた、けどそんなんやったらうちやシアンだって同じや 二人とも一人で生きてきた」
「・・・・・」
「一人で生きた時間が無くずっと周りが居たあんたなんかにうちらの気持ちなんて最初から分からんかったんやな」
「そんなこと・・・そんなことない・・・」
「で? いきなりそんな事を言い出した理由はなんや? まさか・・・ただ確認ってわけじゃないんやろ?」
「・・・うん、もう決心が付いた・・・ユウの手は煩わせない・・・私は・・・あなたを殺して一人で生きれるって証明する・・・」
「へぇ・・・あんたがうちをねぇ・・・」
「私だって最後までこんな事したくなかった・・・けど・・・もう私はあなたを怨む事しかできないの・・・!!」
「怨む・・ねぇ・・・」
「ええ・・・だから・・・私はあなたを殺す・・・私たちを仲間と受け入れてくれたユウには失礼だけどこれは私たちの問題・・・」
「そうやな・・・」
フェイは双剣をカズは槍を構え、二人の戦いが始まった。


フェイが剣を振ると、カズはそれを槍で受け流しそこから放たれる突きをフェイはもう片方で防ぐ。
夜の海に響く音と動く二つの赤い影。
その影は二つとも引くことなく、恨みの火花を散らせていった。
「フェイ・・・!!」
「カズ・・・・!!」
二人が睨み合い、殺しあっている間にホエール号から出てくるもう一つの影、その影は二人の影を確認すると焦るように走り出していった。

お互いに互角だと思われたその勝負。
その最後は一瞬で、儚く決着が着いた。


No.75
■「人形の真実」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/22(木) 02:50

ファントゥームに乗り込んだユウ達はカメダが居る最深部へと向かって進んでいく。
そのさなかテイルはファントゥームに上陸してからずっと謎の頭痛と眩暈に襲われていた。
頭の中に響く「失敗作」や謎の光景、今までと同じだが何かが違う未来の見え方をしていた。
その様子に心配したユイがテイルに話掛ける。
「大丈夫ですか・・・?ずっと調子悪そうですけど・・・」
「え・・? え、ええ・・・だ・・・大丈夫よ・・・」
自分を心配してくれるユイに少しでも負担を掛けないように前を向く。
「けど本当にここまで来たんですね私たち・・・後はカメダの野望を止めるだけ・・・」
「そうね・・・それがあなたたちの目標だったわね・・・私も・・・何かここで見つかるといいんだけど・・・」
と言って彼らが入った部屋は何かの実験施設のようだった。
「ここは・・・?まるで何かを作ってたみたいな・・・」
無数に走る管、謎の光を放つ棺などが並んでいた。
「一体・・・この部屋は何なんだ・・・?」
「ふふふ、その答えを教えてあげましょうか」
突如、ユウたちの背後の扉が閉まる・・・そして前方にはカメダの手下のジオットの姿があった。
「ジオット・・・!?カメダはどうした・・・」
「知らないですよ・・・あんな人 今頃必死になってゴーレムを探してるんじゃないですか?」
「何だと・・・? だったらお前は何をしに来た!」
「私は私でやりたいことがあるんですよ、ですが・・・それももう達成できました」
ジオットが言い終わると同時に脇の棺が開き中から一人の人・・・いや、人の形をした『バケモノ』が現れた。
「な・・・なんだあれは・・・」
「アガ・・・アガガ・・・・」
人の目では聞き取れない言葉を発しながら棺から出てきた『バケモノ』はユウ達を見ている。
「彼女はこのファントゥームで創られた戦闘用のホムンクルス・・・ハームレス 彼女はこの通り人の形をしているが、人としての機能をほとんど戦闘面に回したらこの様に非常に強くなってね、この子が唯一の成功例だ」
「ホムンクルス・・・? そんな人を作るような自然の摂理に反したようなことを・・・」
「おっと・・・」
ユウの言葉を遮るようにジオットは話を続ける。
「まあ・・・ここから先は彼女に聞いた方がいいんじゃないですかねぇ・・・ね?ネグロの科学者テイルウッド」
「へ・・・?」
いきなりジオットに話を振られたのか、テイルは驚きの声を上げる。
「あれ?お気づきじゃなかったんですか・・・? あなたは・・・このファントゥームで開発された戦闘用のホムンクルスの失敗作、効率を上げるために人型として作成したら、人としての自我が偶然生まれてしまい使い物にならなくなってしまい捨てられた一体なんですよ」
「うそ・・・うそよ・・・」
「だが捨ててから気がついたのはそのあなたの体には二つの能力が備えられていた、未来を見通す力と時を止める力・・・それが・・・それさえあればこのハームレスと共にゴーレムなんかに頼らなくたって征服ができる・・・!」
衝撃の事実をジオットに言われ、通常の思考ができなくなっているテイルを庇うようにユイが言葉を発する。
「ちょっと・・・!なんてこと言うのよ・・・」
「私はただ事実を述べただけです、他の人として行動できなかったホムンクルスは地上に降りてもすぐに処分された そういう意味では私は彼女を評価しているのですよ」
「だからって・・・」
「それに彼女だってずっと自分の謎を知りたがっていたでしょう?その望みが適ったのにそれを受け入れないなんてことは・・・」
「黙って・・!! テイルさんを責めるのは私がゆるさない・・・!!」
ユイは持っているレンチをジオットに向ける、しかしジオットは
「まったく・・・変に怨まれたものですね・・・仕方ない・・・彼女を手に入れるためなら多少の実力行使もかまわないでしょう・・・ハームレス!!」
ジオットの後ろに居た『バケモノ』が一瞬、動いたと思ったら次の瞬間にはユイの手に握られていたレンチが噛み砕かれる。
「へ・・・?」
その場に居た人がその瞬間を確認することはできなかった、不可能だったのだ 初めてテイルと会ったときに彼女が時を止め動いてたのとは違い、純粋に速さ 人としての機能を全て捨て兵器となった『バケモノ』の殺意が全てユイに向く。
「・・・・・っ!」
次の瞬間、誰もがユイを助けるのには間に合わないはずだった。
ただ一人・・・自分を『モノ』だと認め、親友を守るために力を振り絞った彼女以外は。
誰もが目視できない時が止まっている一瞬、その一瞬でテイルはユイの前に立つ、迫り来る『バケモノ』の攻撃をその身に受けて。
「うそ・・・テイルさん・・・?」
ユイが確認したのは庇われてなお身に降り掛かる大きな衝撃と、目の前で腕が吹き飛ぶテイルの姿だった。
「良かった・・・間に合ったみたいね・・・」
腕が吹き飛んで普通の人であれば倒れるほどの衝撃を受けてなお、彼女は普通に、いつも通りユイに話しかけるのだった。
「テ・・・テイルさん・・・腕が・・・」
「大丈夫よ・・・もう全部自覚した・・・ 私はホムンクルス・・・最初から最後までずっと『失敗作』と呼ばれ続けた哀れな女よ・・・」
「う・・・腕・・・」
ユイの目には自分を庇ったテイルの吹き飛ばされた体の一部分しか入ってないようだった。
「ふふ・・・相変わらずやさしいのね・・あなたは これくらいなら、私は大丈夫・・・」
そういうとテイルはハームレスの方に向き直り。
「行くわよ・・・『成功作』 人を守ろうとする心はどんな『モノ』にだって宿るって事を教えてあげるわ・・・!」



【戦闘用ホムンクルス「ハームレス」との戦闘イベント・戦闘勝利または数ターンユイが生存でイベント続行、なおこのイベントのテイルウッドとハームレスは能力最大値で戦闘】

【ユイが戦闘不能】

「きゃああああああああああああああああああ!!」
「しまった・・・! ユイちゃん・・・!!」
一瞬の隙でハームレスに飲み込まれたユイを能力ではなく目で追ってしまう。
「その人の事を思ってしまう心が・・・何よりの『失敗作』ということなんですけどねぇ・・・」
その一瞬の隙をハームレスは見逃さず、テイルを突き刺す
「・・・??!!!」
腕の時とは違い、テイルもその場に崩れ落ちる。
そして二度と立ち上がる事はできなかった。

-GAMEOVER-


【数ターン生存】

「はぁ・・・はぁ・・・」
テイルもユイも疲弊しきった状況で戦闘は硬直する。
向こうのハームレスは息一つ切らさず、再び二人に襲い掛かる。
「くっ・・・このバケモノ・・・」
「どうするんですか・・・テイルさん・・・?」
テイルは攻撃を防ぎながらも、最後の手段といった様子でユイに応答する。
「私の能力を使ってリミットを超えて時間を止める・・・その隙に・・・私があのバケモノに止めを刺すわ・・・」
「そ・・・それって・テイルさんは・・・」
「最悪・・・死ぬかもしれないわね・・・」
「へ・・・?」
「けどね・・・ユイさん 私は『モノ』だから、こんな私のことを『親友』って言ってくれたユイさんに感謝してるの・・・その言葉が無かったら・・・ずっと昔の私だったから・・・」
「そんな・・・テイルさん・・・」
「ありがと、じゃあね、ユイさん」
そうしてテイルは着ていた白衣をユイに渡すとハームレスの方を向いた。
「まっ・・・・」
ユイが声を出そうとした次の瞬間には決着が着いていた。
お互いにぶつかり合い砕け散る二つの人形、ユイが確認できたのはそこまでだった。


「くっ・・・まさか『成功作』が『失敗作』に潰されるとは・・・・予定が狂った・・・!」
ジオットは二つの影が消えるのを確認すると部屋から立ち去っていく。
「ユイさん・・・!!」
ユウ達は気絶したユイを抱えると、同じくその部屋を出た。


「あれ・・・?ここは・・・?」
ユイが目を覚ましたのは数時間後、安全な場所までたどり着いたときである。
「ユウ・・・? テイルさんは・・・?」
「っ・・・・」
なんともいえぬ悲しみに包まれたユウの表情を見てユイは全て起きたことを悟る。
「そうなんだ・・・テイルさん・・・私を守って・・・消えちゃったんだ・・・」
彼女が着ている白衣に涙が落ちる・・・その泣き声はしばらくその部屋に鳴り響いた。



【テイルウッドバッドエンド:悲しい人形】

決戦が終わってからも、時々ユイは遠くを見て考え込むようになってしまった。
貰った白衣はずっと着たままで「これは預かってるんだ」と言い聞かせるように呟く。
しばらくは前線から離れて学びたい事があるそうだ。
もう持ち主が居ない図書館に彼女は足を運び今日も彼女は調べ物を開始する。
開いた本は『ファントゥームの伝説』彼女にとって、その本が亡き彼女の面影を見出せる本なのだろう。
ユイ・・・それを読んだって・・・俺たちに学べる古代のホムンクルス練成方法なんて無いんだ・・・



【ハームレスを撃破】

「・・・・!??オオオォ・・・」
バケモノが動きを止める。
「やったの・・・?ねえテイルさん・・・」
「ええ・・・そうなのかな・・・!!」
安心したユウの表情見て、テイルは次の瞬間ユイを突き飛ばす
「・・・!?」
飛ぶユイが見たものがまだ意識が残っていたバケモノの最後の攻撃だった。
「うそ・・・?テイルさん・・・?」
その攻撃は正確に彼女の心臓を貫き、彼女を床に叩きつける。
「テイルさん・・・!!」
倒れた彼女にユイは駈け寄る。
「ユイちゃん・・・よかった・・・間に合ったんだ・・・」
「テイルさん・・・テイルさん・・・!」
消え行きそうな声で喋るテイルにユイは必死に声を掛ける。
「良かった・・・あなたが無事で・・・」
「私は大丈夫だから・・・しなないで・・・死なないでよテイルさん!!」
この光景は・・・いつか夢で見た光景だ・・・
ユイちゃんのあの涙は・・・私のために流してくれた涙だったんだ・・・
「あり・・・がと、ユイ・・・ちゃ・・ん あなたは・・・ほん・・とにやさしい・・・わね」
最後に彼女は『モノ』では無く『ヒト』として感謝の言葉を述べる。
そうして意識は途絶えた。

「そんな・・・うそだよ・・・・」
意識が無くなったテイルをずっと抱きしめ、ユイは涙を流す。
その姿に他の仲間は何も声をかけることができずに、ただ立ち尽くしていた。
「あ・・・そうだ・・・そうだよ・・・」
ユイは最後の希望といった表情で立ち上がる。
「この部屋がテイルさんの作られた部屋だとしたら・・・きっとこの部屋に何か・・・」
そう部屋を探し始めるユイとそれを手伝うようにユウ達が機材を集める。
「待っててね・・・テイルさん・・・」
そう呟くとユイは機械を起動し・・・出てくる古代の文字でさえ初めて見たようではないように操作していく。
「必ず・・・必ず成功させるから・・・きっと・・・」



数時間後、目を覚ました彼女は・・・前に立ち涙を流す彼女に向かってこういうのであった。


「そんな事で泣いてちゃ・・・一流の技師にはなれないわよ・・・? ユイちゃん?」


【テイルウッドハッピーエンド:幸せな人形】

決戦が終わった後、テイルさんはネグロの街へと戻っていった。
いろいろ嫌な思い出があったあの街だけど、今の彼女ならそれも何とかしてしまいそうだ。
少しづつだけど壁も消え、この街も変わり始めてる。
ユイは今でも彼女の家に技術を学びに行く。
「へへへ・・・テイルさん、今日もいろんなこと・・・教えてくれますよね?」
「まったく・・・もう私からあなたに教えられる事なんか無いわよ・・・それだけ暇ならファントゥームでも再現してみたらどうなの?」
「そ、それは・・・」
「冗談よ、冗談 じゃああの伝記の続きでも考えましょうか・・・きっと今なら幸せに終わる事ができそうよ?」
「そうですね・・! 物語は・・・美しくあるべきですよね!!」


「ところでアケチ、何で最後の最後でユイはあんな見た事も無い機械を当然のように動かして、テイルさんの欠けた一部分を練成することができたんだろう? まるであの場の人形全部がユイを選んだような・・・」
「さあ・・それは分かりませんけど・・・きっと、ユイさんがテイルさんを思う気持ちが、他の人形にも伝わったんじゃないんですかね」
「けどあんなバケモノは一体だけだった・・・きっと人の心や優しさを持つことができたテイルさんが一番の『成功作』だったんじゃないかな」
「おや・・・珍しくユウにしては難しい事を言いますね」
「うるさい」

遠いところで楽しく話すユイとテイルを見ながら、ユウとアケチは古代のホムンクルスについて解けない謎を話していた。

「じゃあ伝記の最後にこう書きましょうよテイルさん! 『ココロが欠けていた人形は崩れ、ココロが残った人形はその後ずっと、ココロを与えてくれた人物と楽しく平和に暮らしました』ってね」
「あら、じゃあユイちゃんはずっと私と居てくれるのかしら?」
「えっっと・・・ああ・・・ま・・・まあね・・・」
ユウの方をチラチラ見ながらユイは顔を赤くしてテイルの言葉に答える。
「ふふふ・・・いいのよ無理しなくて、私は今が一番幸せだから・・・だって・・・」
ユイの方を見て、彼女はこう言い放つ。
「もう私は『モノ』じゃなくて・・・胸を張って『ヒト』だと言えるんだもの」
最後に大切なものを手に入れた人形は、ずっとずっと幸せそうに微笑を浮かべていた。


No.74
■ネグロイベント:迷い子 投稿者:アイス 投稿日:2012/03/22(木) 00:06

ネグロイベント:迷い子
【ミソラを初めてネグロに連れて来たとき、必ず発生】

クロエ「ネグロに着いたぞ」

ユイ「あれ、ミソラちゃんは?」
クロエ「えっ!?」

ミソラ「えええん……迷っちゃった……ぐすん
道もわからないし、この街もなんだか怖いし……どうしよう」
カミカワ「どうしたんだ、そこの女の子」
ミソラ「(びくっ)え、あ、あたしですか……?」
カミカワ「そんなに怖がんなよ。 暗い顔をしてたから、心配になっただけだ」
ミソラ「あなたは……誰ですか?」
カミカワ「ああ、俺はカミカワ。ネグロの住人だ。
君、ここは初めてか?」
ミソラ「はい。ちょっと路地に入ったら、一緒にいた人とはぐれちゃって……ひっく」
カミカワ「……そうか。 じゃあ、俺が一緒に探してやるから、泣くな」
ミソラ「え……?」
カミカワ「ちょっとぐらいならネグロの案内も兼ねてしてやる。 来るか?」
ミソラ「は、はい!」
カミカワ「そうだ、名前を聞いてなかったな」
ミソラ「そ、そうでした。あたしはミソラです!」

カミカワ「ミソラだな。 じゃあ、まずは『ネグロで人が一番集まる場所』に行くか」

ミソラ「はい!」
カミカワ「(上からはとにかく女を連れて来い、って言われたからな。外国の女でも構わねえだろ)」

ユイ(ミソラちゃーん! どこ行ったのー!)
ミソラ「!! ユイお姉さんだ!」
カミカワ「どうした?」
ミソラ「一緒に来た人が見つかったんです!
ユイお姉さーん! ここにいまーす!」
カミカワ「(……チッ)」
ユイ「ユウ、アケチ、こっち!
もう、勝手に離れちゃダメでしょ! 心配させて……」
ミソラ「ふえええ、ごめんなさい!」
カミカワ「見つかったのか、良かったな」
クロエ「この人は?」
ミソラ「あ、カミカワさんです。 迷ってるあたしに声をかけてくれて、一緒に探そうって……」
クロエ「それはまた…… お世話になりました」
カミカワ「いやなに。
こんな場所で女の子が一人で歩いてたら危ないからな。
連れ去られて売られることもあるんだから、気をつけろよ? ミソラ」
ミソラ「は、はい!」
カミカワ「いい子だ。 なかなか可愛いじゃないか。
気に入ったよ。今度会ったら、また案内してやる。じゃあな」
ミソラ「はい、ありがとうございました!」


〔その夜……〕


クロエ「レッドローズの方に話があるんだ、一回出してくれるか?」
ミソラ「? いいですよー」

(ドクン)

Rローズ「なんだい、僕に用事……と言いたいところだが、
その前に一つだけ言わねばならないことがある」
クロエ「へ? まあいいけど」
Rローズ「ネグロにいる間、絶対にミソラから目を離さないように」
クロエ「そりゃ目は離さないよ。今日もあのカミカワさんって人に助けられていなきゃ、どうなったか……」

Rローズ「違うそこじゃない! カミカワという男は、奴隷市場の手先だ!!」
クロエ「!!」
Rローズ「君たちが見つけるのがあと一歩遅ければ、今頃売られていただろうね」
クロエ「そんな…… でも、何故お前がそんなことをはっきり言えるんだ……?」

Rローズ「何も変わっていない……あの目つきも。
上辺だけは優しい話し方も。
その中の汚れきった心も。
何もかも」
クロエ「レッドローズ……?」
Rローズ「十年前と……何も変わってない。
僕も、あの男に…………騙された」


No.73
■捏造祭りイベント「ヒーローは遅れてやってくる」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/21(水) 22:55

レ「そうだな。おまえの妄念、おまえの憤怒は正しく――
 その苛烈さゆえに、己が身と世界を灼く。無関係の人々を巻き込んでな」
ジ「もとよりそれが望みだ。ボクの命ひとつで世界が変えられるなら、安い物さ」
レ「……変わらんさ」
ジ「なに?」
レ「長いこと生きていると、色々見えてくるものだ。人はどうしようもなく愚かしく、
  同じ事を何度も何度も繰り返す。とてもこの星の未来を担えるとは思えない」
レ「だけども、同じくらい人は美しい。流れ行く人波の中で、星屑の如く生まれては消える願いと夢、そして……愛を見てきた」
ジ「……ああ、同感だ。確かに人は美しい。だから、美しいままに終わるべきなんだ。
  つまらない拘泥をするから、世界は腐爛し、美しきものは皆、亡者と化してしまう」
レ「亡者とはおまえのことだ。今に干渉できるのは、今を生きる者のみ……死者は、引っ込んでいればいい」
ジ「面白いことを言うね。……だが、やめないよ。ボクが、この世界を終わらせてみせる……!」
レ「……だろうな。走り出した狂気は、止まることを知らぬゆえに狂気たりえる」
レ「然らば、腕づくで止めるしかあるまいな。あの少年にはいささか荷が重い。おまえの相手は――オレの役目だ」

レ「――変身」

ジ「!!」
?『この身に鎧うは血の紅――今なおオレを灼く、煉獄と罪の色』
ジ「真紅鱗の……竜人……!?」
?『ヒトから出でし悪鬼羅刹よ。その心がけは真に天晴れだが――残念だな。そこは、オレがもう五百年前に通った道だ』
ジ「まさかキミは……いや、あなたは……!」
?『そうとも。我は伝承に死せる大悪……あかがねの悪竜。かつて『魔王』と呼ばれた厄災――』
ジ「く、くく……いや、なんとも業の深い話だね。こんなところで『大先輩』と出逢うとはさ」
?『ああ、まったくだ……歯ぁ食い縛れや青二才。キッツイ灸を据えてやるよ……!』

■捕捉

・変身!

負担の大きい全身変化から、コンパクトにまとめ変身継続時間に重きを置いた、レッド独自の竜変化。
(……過去の一件から、彼自身が本物の竜変化を嫌っているフシもある)
彼曰く、ただの変装。ただし、体表面に纏う紅の竜鱗(スケイルアーマー)は紛れもなく本物で、
そのあまりの硬度は、現代兵器で貫くことを許さない鉄壁の守りを誇る。
マナを爆縮させ、エーテルの風に乗り軽やかに翔けるこの埒外の生物は、
このサイズの生命体としては異常なほどのパワーとスピードを以って、敵を蹂躙する。

・魔王

ジオットが昔妹に読んで聞かせた、この世界ではポピュラーな御伽噺に登場する『あかがねの悪竜』。
姫をさらって世界を征服しかけるが、やって来た勇者に討伐された、という筋書きのよくある話。
……そんな簡単に、竜が死ぬわけもないのではあるが。
古代遺跡の一件以降、竜種は基本的にヒトとの関わりを断つ事になるが、
例外的にこのような人類社会に対する義憤から人類種に牙を剥く竜種がいないわけではなかったようだ。



No.72
■捏造祭りSS05「砂漠の嵐(前編)」 投稿者:tare 投稿日:2012/03/21(水) 20:48

ダカールの西方約150kmの洋上。凪いだ海の上に一隻の補給艦と四機の大型機、そして多数の小型機が浮かぶ。
各機の上には多数の人間が取り付き、弾薬装填や給油作業が行われているのが見て取れる。
そして、その様子をタンカー上から見下ろす複数の人物がいた。

そのうちの一人、ヘルガが横に居たエドゥアルトに問う。
「作業の進捗状況はどうか」
「全機準備完了まであと15分もあれば」
「わかった、先に作業の終わった班はまだ終わっていない班の支援に回せ。それから搭乗員と母艦の指揮官は今すぐ上甲板集合」
「了解」
そう言ってエドゥアルトは一度艦内へ向かって駆けていく。
その様子を見届けたヘルガは、目線を海上に浮かぶ機体の山に移し、感嘆の声を上げる。
「これだけの数が集まると壮観だな、頼もしい限りだ」
自信満々なヘルガの声とは対照的な、緊張しきった声がその後ろから聞こえる。
「こうして並べて見ると本当に凄い数です」
強張った声で対応するその声の主に対して、ヘルガは笑いながら話しかける
「どうしたクロエ、大分緊張しているみたいだな」
「いや、僕がこの戦闘機隊の指揮やるんですよ? 固まりもします」
「らしくないね、いつも俺達を引っ張っている艦長様とは思えない」
固まったクロエの後ろから真っ先に甲板へ上がってきた男の声が響く。
「スウォンさんも何言ってるんですか、普段の倍ですよ倍。しかもこんな大規模行動で普段通りは辛いですって」
スウォンの声にクロエは必死に弁解をする。その様子を見ながら、ヘルガはスウォンに言葉をかける。
「貴様は自分のほうを心配したらどうだ、勘は戻っているのか」
「全盛期ほどではないかもしれないですけどね、十分に戦えます」
「そうか、期待しているからな」
三人がそんな会話をしているうちに、次々と呼び出された者達が集まり、甲板の一角はあっという間に埋め尽くされた。

呼び出し対象の全員が揃ったことを確認すると、ヘルガが口を開き、作戦の最終確認を始めた。
「既に朝のブリーフィングでわかっているとは思うが、念の為にもう一度簡単な確認を取らせてもらう。
 離水したら全機に無線封止及び高度制限を課す、レーダーを掻い潜って迎撃タイミングを少しでも遅らせるためだ。
 今回一番電子戦能力の高いクロエ艦のレーダーに敵機が映った場合、もしくは発見されずに残り40kmまで接近したら無線封止と高度制限は解除だ。
 拠点まで辿り着いたら、まずはレーダーを殺してからエドの戦爆隊が突入、二箇所の対空砲陣地を破壊。
 対空砲排除後に我々の艦が突っ込んで橋頭堡を確保。順次母艦を下ろして陸戦隊を投入、ネヴィルを探し出す。ここまでで何か質問は?」
ヘルガの言葉に誰も手を挙げずに全員沈黙する。その沈黙を見たヘルガは、話を再開する。
「航空機各部隊はまず戦爆隊が突入するための支援を行うことを優先。対空砲陣地破壊後は敵機を排除、航空優勢を握った上で適宜近接航空支援を行う。
 作戦方針は以上、後はその場その場で目標達成の為に必要な行動を考えてくれ。
 最後に各部隊のコールサインはクロエ隊アクイラ、スウォン隊アドラー、スメラ隊ペトロール、リコ隊マーリン、ヒカル隊ファルコ、エド隊コンドル。
 母艦はクロエ艦イーグルアイ、スメラ艦アルバトロス、リコ艦ケストレル、私がヴァルチャー。
 以上で私からの確認は終了だ。質問は?」
ヘルガが辺りを見回すと、やはり全員沈黙を返答に代えている。
「ならこれで解散だ、最後に全員に一つ命令する。生き延びて帰って来い!」
「了解!」
その場に居た全員が最後の命令に、まるで打ち合わせたかのように同時に返答してみせる。そして各々自分の配置へと駆け出していった。
全員が居なくなった甲板上で、ヘルガは一人東の空を見上げては睨む。
「……今日の戦いは、荒れるだろうな」
彼女の視線の先には、広がる青空と浮かぶ白い雲が広がる、まさに「空戦日和」と言える空が広がっていた。
直後、整備を終えて次々と点火された発動機から爆音が轟く。雷鳴の如く鳴り響くそれは、嵐のような戦いの予兆であるかの如く一帯に鳴り響いた。




補給艦との会合を終えて飛び立った大編隊は、海面に近い低空飛行のまま東へと飛び続けていた。
目標物も何も無く、ただ海面のみがひたすら続く中を、計器を頼りに編隊は飛び続ける。
各機は編隊を維持したまま崩すことなく、静寂の中にただ発動機の音を轟々と響かせながら突き進んで行く。
無線封止が行われているため、誰かと話すこともできずにただ計器を見つめて飛ぶだけの単調な、しかし集中力を削られていく危険な飛行を、各機は苦労しながらも見事に達成していた。
そんな孤独な努力は、各機に届いたレンの一報で終わりを告げることになった。
「イーグルアイよりヴァルチャー、方位045、高度10000フィートに反応あり。バレたみたいです」
続いて、レンの通報を受けたヘルガの声が伝えられる。
「ヴァルチャーより全機、無線封止と高度制限解除。予定通りに行動せよ」
解除命令が出た途端に戦闘機隊・戦爆隊各機はスロットルを最大に叩き込み、最大出力で気速を稼ぎ始める。そして機速を十分に稼いだところで機首を持ち上げ、一気に高度を取っていった。
残された四機の大型機は低高度のまま緊密な編隊を組み、各機の銃座は慌しく迎撃用意を整え始めた。

高度制限を解除され、高空へと上り続ける各機へ再びレンの声が響く。
「反応が二編隊に分離、高度10000のまま直進してくる編隊と、高度を下げて進路を南よりに変更してる編隊。10000のほうが反応が多いです」
クロエは酸素マスクをつけながら、各機に簡潔な命令を与えていく。
「アクイラ了解。アドラー・コンドル、予定通り。ファルコ・マーリンは下のほうを対処。アクイラ・ペトロールは上に」
「アドラー了解、後ろは頼むよ」
「コンドル了解」
それぞれの編隊の長機が反応すると、スウォンを頂点にして拠点の方向へ一直線で突っ込んでいく二部隊の姿が映る。
「マーリン了解、さて楽しませてもらうわよ」
「ファルコ了解」
それと同時にリコとヒカルからも通信が入り、リコを先頭に突撃していく姿がクロエの目に入った。
「ペトロール了解、僕に任せたまえ」
クロエが後ろを見ると、自分の後ろに追従してくるスメラ隊の姿が見えた。それを確認すると、クロエは左右の自編隊機のほうへ首を回す。
二番機のアカリはただ頷いて見せ、三番機のユジーヌは親指を立てて合図し、四番機のカナはバンクで応えてみせた。
命令が伝わったことを確認すると、クロエは目を皿のようにして東の空を必死に見続け、敵の姿を探す。
彼が暫くの間探し回ると、小さな黒点が複数目に付く。さらにその下では、別の黒点が複数同時に動き回るのが見て取れた。
「マーリン1敵機発見、タリホー!」
その瞬間陽気なリコの叫び声が響き、直後リコの無線の後ろから発砲音が聞こえた。そして、次の瞬間には赤い閃光が空に光る。直後、通信機からリコの声が再び響く。
「撃墜、さあ次行くよ!」
この戦果報告を皮切りに、各機次々と敵編隊との交戦に突入し、無線は各機の報告と、思わず口をつく言葉で一気に満たされ、先程までの沈黙が嘘のように、様々な人物の声が電波に乗せられる。
そして、数多の機体が航跡を引きながら踊るように空域を動き回り、曳光弾のラインを空に描いていく。
その機動を繰り返すうちに、彼我共に段々と陣形を崩していき、流れ続ける無線以上に混乱した大乱戦の様相を呈していった。

クロエもそんな混乱の最中で列機と逸れてしまい、数分かけて二機目を撃墜した頃には、唯一アカリのみが編隊を維持してクロエの後に追随し続けていた。
目の前の敵を撃墜し、僅かばかりの余裕ができたクロエは速度を緩めて戦場全体を見回す。
すると、離れた所で10を超える機数の大編隊に囲まれ追い立てられる二機の姿を確認する。
それと同時に切羽詰ったユジーヌの声が無線機から響き、クロエの耳に響く。
「こちらアクイラ3、4と共に大量の敵に追われてるっす、誰か救援を!」
その声にクロエは答えるよりも早くスロットルを全開位置に叩き込み、輪の方へと突進し始める。
「アクイラ1了解。今行く、逃げ続けて!」
降下しながら叫ぶクロエの声に、囲まれたもう一人である四番機のカナが悲鳴に近い声を上げる。
「そうは言っても四方に敵が!」
混乱状態のカナにアカリは落ち着いた声で話しかける。
「少し落ち着きなさい。いい、敵が多くても撃ってくる奴は常に一機だけ。あと少し耐えて」
「うん、わかった! でも早くお願い」
落ち着きを取り戻したカナの声に、クロエは一瞬安堵の表情を浮かべるが、すぐに険しい顔に戻って前を見据える。
彼が見据える先に、二機が必死の機動で曳光弾の筋から逃れているのが見えた。

二機の元に急行する彼の元に、リコからの通信が入る。
「こちらマーリン、私らもそっち行くよ」
「えっ、そっちの敵機は?」
先程まで別の場所で敵編隊と戦っていたはずであるが、そうとは思えない程の余裕があるリコの声に、思わずクロエは問いかけるが、リコではなくヒカルとレンが理由を答える。
「編隊長だけ赤い機体に乗ってたので、赤全部落としたら残りは撤退しましたね……」
「戦闘空域から方位000に離脱している機体複数を確認してます」
クロエは答えを聞くと、手早く命令を与える。
「ならマーリンは僕らに、ファルコはペトロールに合流」
命令を与え終えたクロエが前を向くと、二人が囲まれた大編隊の一機一機を段々と視認できるようになっていく。

敵機を視認できるようになった所で、クロエはとあることに気付く。
「アクイラ1よりヴァルチャー、敵機がコンドル隊と同じ機体が混じってる!」
「なんだと、それは事実か」
「アクイラ2確認、民間には出回ってないはずの機体よね、何故ここに!」
クロエとアカリの通報にヘルガは一瞬動揺を見せるが、すぐにある一つの理由に思い当たる。
「アクイラ隊、その機体には何か外見上の特徴は無いか」
「アクイラ1、国籍マークがない以外はまだわからない、けど気付いたら報告します、交戦開始!」
ヘルガの問いにクロエは叫ぶようにして返事をすると、未だ粘り続ける二機を助ける為に、高空から太陽を背にして突撃を始める。
クロエが上方から突進してきたことに気付いた敵は円陣を解き散開を始めるが、一機だけ間に合わずに回避機動を取りきれない機体が出る。
その機体を見逃さず照準を合わせ、一杯まで近付いたところで引金を引き、機銃弾を吐き出す。
放たれた曳光弾は正確に敵機に吸い込まれていき、黒煙を噴出して速度を落としながら高度を下げていく。
続けてアカリの機関砲弾が撃ち込まれ、黒煙が火炎へと変わって、急速に高度を落としていった。
二機はそのまま急降下から急上昇に移り、速度を抑えながら失った高度を回復し、優位を保とうとする。
その二機に、今まで囲まれていた二機が合流し、本来の四機編隊を取り戻す。
「助かったっす」
「ありがと、ついていけなくてごめん!」
助けられたユジーヌとカナの言葉を聞きながら、クロエは辺りを見回す。
敵編隊の位置を確認すると、奇襲で一機を失ったにも関わらず、すぐに体勢を立て直して四機に対して反撃しようとしているのが見えた。
しかし、彼らの動きは再び乱れて回避機動を取る。直後一機が火の玉と化すと同時に、下方から突き上げるような動きで新たな編隊の姿が現れる。
「よーしリコちゃん到着! こいつらは楽しませてくれるよね」
再び楽しげな声と共に、リコの編隊が空域に乱入してくる。クロエは楽しそうな様子に少しあきれながらも、彼女に声をかける。
「ここには動きが良いのが集まってる、気をつけて」
「上等上等! さっきの連中は弱いわ逃げていくわでつまんなかったからね、今度こそ!」
そう言ってリコは列機と共に再び敵機に飛び掛かっていく。

彼女の襲撃によって空域は再び乱戦の様相を呈し始め、編隊が再び崩れ始めるが、先程孤立した二人も今回は何とか追従し、四機で連携を取って戦闘を続ける。
どちらかの編隊に敵が食いつけば、もう片方の編隊が敵を追い払うの繰り返しを続け、敵機を追い払い続けていた。
この編隊戦闘で大分余裕のできたクロエは、空戦の合間に敵機の外見の調査を始める。
暫くの間は特徴らしき特徴が見つからないでいたが、何度目かに食いつかれた際に、減速して敵のオーバーシュートを誘った時に敵機と並航する一瞬があった。
時間にすればほんの1,2秒であろう、その僅かな時間のうちに、彼の目は機体に描かれたある特徴を捉える。
そのままオーバーシュートさせて後方を取った敵に機銃弾を叩き込み、傷を負った機体にカナが20mm機関砲でとどめを刺すのを見届ける。
その直後、敵機は突然巴戦を中断して、北東のほうへ空域を離脱し始める。
「こいつらも離脱? こうなったら追いかけて……」
「マーリン1、余り深追いしなくていい、追い返すだけでも航空優勢の確保には十分だ」
「えー」
不満そうなリコの様子に、ヘルガは諌めるように話しかける。
「大方弾切れか燃料切れのどちらか、補給したらまた飛んでくるだろう。その時にまた存分に相手を頼む」
「そうね……了解」

リコとヘルガのやり取りが終わったところで、クロエは先程気付いた「特徴」について報告する。
「ところでヴァルチャー、さっきの敵機の話だけど特徴があった。胴体の操縦席下辺りに骨だけの鳥がいるエンブレムが見えた」
その声を聞いたヘルガは、予想通りといったような声色で喋りだす。
「やはりか。全機、敵機の中に"Skull Bird"がいた。連中腕は立つぞ」
「けっ、やっぱりあの蛇准将が裏切者か。帰ったらあのトサカ頭吹っ飛ばしてやる」
「ロクでもない男だと思ってたけど、やはりか」
軍経験があり、素性を知るエドゥアルトとスウォンの怒りの声が無線に響く。その二人に対してヘルガは話を振る。
「その怒りは拠点にぶつけてやれ、アドラー・コンドル。そろそろ上空に着く頃じゃないか」
「こちらコンドル、もう敵拠点が目視できる。歓迎委員会の打ち上げ花火も上がり始めた」
「よし、ならばそのまま作戦開始だ。アドラー隊、窓を開けろ!」
ヘルガの号令に合わせ、スウォンが僚機に伝達する。
「よし、全機散開してウィンドウの射出を開始。回廊を開くんだ」
アドラー隊の四機はそれぞれ間合いを開き、高度と方角をズラしてから空中にカプセルを射出する。
機体から射出されたカプセルの中からは、数十cmから数cmのものまで、錫を蒸着させた電探欺瞞紙が空中にバラ撒かれる。
風に乗ってそのが広まるにつれ、レーダーは使い物にならなくなっていき、打ち上げられる対空砲火がどんどん不正確なものになっていった。
四機はそのまま何度かの射出を終え、チャフ回廊を作り上げると拠点上空から一度退避する。

「アドラーよりコンドル、回廊は開けました。窓が閉じる前にお願いします!」
「了解。コンドル各機、熱烈歓迎の返礼だ。土産を渡しに行くぞ」
そう言って今しがた撒かれたばかりの電探欺瞞紙の上空を飛び、拠点上空へと差し掛かる。
「位置確認、突っ込め!」
エドゥアルトはそう叫んで、操縦桿を一気に倒し、ほぼ垂直に近い角度で降下し、急降下爆撃を始める。後続の機体もそれに続き、単縦陣で急降下していく。
彼らは撒かれた紙の雲を突き抜け、対空砲弾の嵐の中を正確に急降下しながら、射爆照準器を覗き続ける。
そして、射爆照準器に対空砲を捉えた瞬間、胴体下に抱えた250kg爆弾を切り離した。自由落下する航空爆弾は急降下時の勢い以上の速度で対空砲陣地に向かって落下。
地面に激突し、その瞬間爆発を起こして陣地の一部ごと対空砲と操作要員を吹き飛ばす。
エドゥアルトに続く各機もまた正確な急降下爆撃で対空砲陣地を破壊、さらにもう一編隊もほぼ完全な急降下爆撃をもって対空砲陣地を消し飛ばしていく。
八機の降下後には、完全に破壊された対空砲台のみが残されていた。
「コンドルよりヴァルチャー、任務達成。砲台は無事に眠りについた」
「了解した、このまま我々は強襲接岸で陸戦隊を投入する、そのまま上空の航空優勢の確保と近接航空支援を頼む。すぐに他の戦闘機隊も到着するだろう」
ヘルガはそう返事をすると、機内放送用の通信機を手に取り、機内向けの放送を始める。
「作戦は予定通り進行中、我々はこのまま敵拠点港湾部に取り付いて橋頭堡を確保する。総員陸戦用意、上陸に備えろ!」
この通信と同時に艦の中は一気に騒がしくなり、一人一人が強襲揚陸に備えた準備を始め、陸戦隊はフル装備で格納庫に集結する。
艦を降りない要員にも拳銃や短機関銃が渡され、万一の事態に備えることとなる。
ヘルガも手にした短機関銃に弾薬を装填して戦闘準備を整える。
装填作業を終え、前を見据えた彼女の目には、炎上し黒煙を上げる港とその上空を飛ぶ機体が目に映る。

「ヴァルチャーより全機。我々は今から着水する、上空は任せたぞ」
「イーグルアイよりヴァルチャー、現在そっちに向かっている敵機は確認されていません、大丈夫です」
「そうか、なら安心して降りられそうだな」
レンの言葉にヘルガは安心して着水と兵士の揚陸を命じる。
「着水したらそのまま岸壁に突っ込め、壊すつもりで突っ込んで構わん。各銃座は地上の敵を撃て」
ヘルガの言葉通り、普段の着水より高速のまま着水した機体は一番奥の岸壁に向かって突進していく。
その様子を上空から見ていたユラリとその僚機であるアローの機体二機が突然低空へと降りていく。
「どうした、アドラー3,4」
スウォンの問いかけにユラリはいつもの調子で答え、続いてアローも答える。
「私の機体で地上に煙幕を撒きます」
「煙幕発生器は私も積みました、二人で撒いてきます」
「アドラー1了解、アドラー2、二人の上空支援を。俺はわざと深入りして敵の火網を引き付ける」
「アドラー2了解、上空のカバーに入る」
スウォンに命じられた大神が上空支援に入り、二機はそのまま地表すれすれの位置まで降下していった。
一方、拠点の奥部まで突入したスウォン機は地上からの対空射撃の雨に晒される。しかし、弾幕に捕まること無く上空を飛びぬける。
その間に二機は煙幕発生器を作動させ、地上から海上が見えないような煙幕を形成、その結果、ヘルガ機に向けられた対空砲火は事実上無力化される。
そして、ヘルガ機は煙幕に囲まれた岸壁に衝突するかの如く接岸する。

「接岸確認、扉を開けろ。突撃!」
彼女の号令と共に格納庫のランプが開け放たれ、中から空挺兵が飛び出していく。
予め展開された煙幕によって姿を隠された彼らは手近な建物を占拠し、防衛線を確保。
煙幕が晴れる前に僅かながらの陣地を構築し、唯一の火砲である二門の47mm速射砲と数挺の7.7mm重機関銃を急いで陸揚げして、逆襲に備える。
煙幕が晴れると、すぐに橋頭堡奪還のための歩兵が突撃してくるが、47mmキャニスター弾と榴弾、そして重機関銃の弾幕射撃に壊滅的な打撃を受け、逆襲は失敗に終わる。
火砲と重機関銃の射撃が終わるころには、陣地の周りは死屍累々の惨状を呈していた。
「大佐、逆襲部隊の撃退完了。橋頭堡を確立しました」
簡単な天幕を張り、陸戦部隊の指揮所を設営した陸戦部隊総指揮官のイワノフから、ヘルガに向けて報告が入る。
「了解した。ヴァルチャーよりケストレル・アルバトロス・イーグルアイ。今呼んだ順で着水して橋頭堡に陸戦隊を送り込め。
 ヴァルチャーよりケストレル、陸戦隊を展開したらそのまま追撃に入れるか? 我々は拠点を構築しておきたい」
ヘルガの要請に、陸戦隊指揮官であり代理艦長を務めているサエカはその要請を受け入れる。
「ケストレル了解。私達の部隊で追撃をかけて戦果を拡張します」
そして、着水後に展開したサエカ指揮の陸戦隊は撤退した逆襲部隊に対して即座に追撃をかけ、戦線を押し広げていった。

この間に上空には先程の邀撃戦で遅れてきた戦闘機隊が展開し、航空優勢を握り続ける。
最後に接岸しようとファッティホエールも段々を高度を下げていくが、その途中でレンが通信機に向かって叫ぶ。
「敵機の反応複数、方位030です!」
「ヴァルチャーよりコンドル、母艦の直掩と近接航空支援を行え、"Skull Bird"と混ざって同士討ちは避けたい。それ以外の戦闘機隊は邀撃に移れ」
通報を受けたヘルガの命令に従い、各機は北北東に針路を向けて邀撃体勢を取る。

程なくして、クロエ達の目の前に複数の大型機と護衛する複数の機体が目に映る。その瞬間、クロエは新しい命令を出す。
「アクイラ1より全機、敵に爆撃機を確認。地上部隊を焼き払う気だ。部隊を臨時で改編する。
 アクイラ3はアドラー1の指揮下へ、アドラー2は僕の指揮下にそれぞれ編入。大口径砲持ちを固める」
「アドラー2了解」
「アクイラ3了解、アドラーの指揮下へ入るっす」
「よし、その上でアクイラ・マーリンが爆撃機へ、護衛機はそれ以外に任せた!」
そう言ってクロエは少し速度を落とし、敵護衛機に当たらせる部隊を先行させる。程なくして、他の部隊からの交戦報告が入る。
「アドラー隊、交戦開始」
「ペトロール隊、交戦!」
「ファルコ隊、交戦」
その通信と共に、再び戦闘機同士の大乱戦が展開され始める。クロエ達は乱戦の間隙を突き、護衛機を突破して爆撃機へと接近しようとする。
だが、爆撃機編隊は密集陣形を取って弾幕を張り、クロエ達を近付かせんと銃弾を打ち上げ、さながら鉄の暴風の如く機銃弾を撒き散らして敵機を寄せ付けない体制で地上部隊のほうへと突き進む。
濃密な弾幕に攻めあぐねていると、リコからの通信が入る。
「アクイラ1、先に私達にやらせてくれないかな。私の積んでるロケットなら弾幕の外から撃てる」
「防御火器の外から当てられるの?」
「このリコちゃんなめてもらっちゃ困るね、当ててみせるよ!」
「了解、なら第一撃は任せた」
「よし、それじゃあマーリン隊、交戦!」
リコの交戦宣言と共に、マーリン隊の四機が横並びになって機首を爆撃機編隊に向ける。
「……発射!」
そして発射コールと共に、各機の翼下に懸架されたロケット弾が斉射され、何十ものロケット弾が爆撃機編隊に嵐のように襲い掛かる。
ロケット弾の斉射を受けた編隊のある機体は主翼に被弾、そのまま主翼をもぎ取られて落下していき、またある機体は胴体の中心に被弾し、後ろ半分をもぎ取られて落下。
またある機体は爆弾倉付近に直撃弾を受け、空中で大爆発を起こす。
結果、この一斉射で編隊は四機が撃墜され戦力が半減するという大損害を受け、無事だった機体も爆弾に誘爆した機体の爆風や破片で損傷を受け、速力を落とす機体や爆風に煽られる機体も出現。
この動きで、落ちた機数以上に、編隊が乱れて防御火網の効果が減少し、襲撃しやすい状態となった。

「よし、これで大分楽になった! アクイラ隊、交戦開始!」
それを見逃さなかったクロエの掛け声と共に幾分薄くなった弾幕の中に八機が次々と飛び込んでいく。
真っ先に飛び込んでいった大神は弾幕を気にする素振りも見せず、出力全開で先頭機に突っ込み、彼の剣術の如く30mm機関砲の一閃を叩き込む。
機首に30mmの直撃を受け、操縦者を失った機は姿勢を崩してそのまま地面へと一直線に落下していく。一撃で片付ける様はまさに「二の太刀要らず」の剣術そのものであった。
その隣では、元々「大物食い」が得意であったアカリが獲物に飛び掛る猛禽類の如く食いつき始める。
アカリは爆撃機の中心線から外れた左上方から襲い掛かり、旋回機銃の弾丸を回避品がら左主翼の根元に20mm機関砲を撃ち込んでいく。
一度目の攻撃で燃料を噴出したのを見ると、反復攻撃で同じ箇所に7.7mm弾を叩き込む。
次の瞬間、打ち込まれた7.7mm曳光弾の火が燃料に引火し、霧のように噴出していた燃料が一気に引火し、機体は炎に包まれる。
炎に包まれた機体からいくつかの落下傘が飛び出し、その直後に引火した燃料が爆発し、空に黒い花火を作り出す。

さらにその後方では、誘爆した機体の破片を受けて速力が低下した機にカナが食らいつく。だが、彼女は上手く行かず防御火網に捕まりかけてしまう。
被弾しそうになったその瞬間に、彼女と銃座の隙間に何者かの機体が割り込み、防御火網を誘引する。
「カナ、大丈夫?」
驚くカナの無線機に響いたのはリコの声であった。
「助かったよ、ありがとう!」
「人の獲物奪う気はないから早く落としちゃえ、援護するよ」
「よーし!」
割って入ったリコの援護の元、カナは再び爆撃機に食らいつき、20mm機関砲を幾度か爆撃機の主翼に叩き込む。
その20mm砲弾は燃料タンクまで到達したらしく、引火こそしなかったものの大量の燃料を噴出し始める。
爆撃機はそれに気付いた乗員が機を捨てて脱出し始め、空に真白き薔薇の如き落下傘の花が咲く。
主を失った機は燃料を噴出しながら徐々に高度を下げ、海面へゆっくりと落ちていった。
最後に一機だけ残された爆撃機は、その場で積んでいた爆弾を全て投棄して元来た方角へと転針、慌てて逃げ帰っていった。
クロエはその機体を深追いせずにそのまま逃がし、護衛機と味方の戦闘機隊が戦っていた方へ目を向ける。
そこには、護衛すべき目標と友軍の一部を失い、これ以上の戦闘は無意味と悟って戦場を離脱していく敵機の姿があった。

「こちらアクイラ、敵爆撃機全機撃退」
「こちらアドラー、敵護衛機も帰っていった。数機は叩き落したはず」
クロエとスウォンの報告に、レンが答える。
「こちらイーグルアイ、今のところ新手の反応はありません。陸戦の状況は橋頭堡の支配は確立したので地下施設への突入口探しの最中です」
レンの現状報告を聞いたクロエは、レンに一つ質問をする。
「了解。ところで弾薬を完全に射耗し尽くしちゃってね、地上には降りられるかな」
「ちょっと待ってください。今ユイちゃんに繋ぎます」
数秒の間を置いて、格納庫にいたユイと連絡が繋がる。
「はいはい、何?」
「弾薬残り0になってしまったから一度降りたいんだけど、可能かな」
「今の状況なら降りられるよ、ただ一気にには降りてこないでね! エアカバーなくなっても困るし対応しきれないから」
「了解、それじゃあ希望機を降ろすよ」
ユイとの通信を一度切り、クロエは全機に希望を取る。
「アクイラより全機、弾薬が切れた機体は一度降りて補給に戻れる。希望者は?」
「アクイラ2、弾薬が心許ないのと少し弾を貰ったみたいだから降りられるなら」
「アドラー2、弾切れだ」
「マーリン1、どうも被弾したっぽくてさ。さっき物凄い勢いで燃料が減ったんだよね、降りて確認しないと危ないかも」
アカリ・大神・リコの三人から着水要請が伝えられ、クロエも含めて四機が着水することになった。
「こちらイーグルアイ、マーリン1最優先で着水してください」
「了解、その後アクイラ2、アドラー2、アクイラ1の順番で降ろすよ」

その発言の後、四機の機体は一機ずつ着水し、ファッティホエールの格納庫に収容されることになった。
最後に格納庫内に収容され、機体を降りたクロエは安堵の表情を浮かべる。
だが、外から響く発砲音や爆発音が示すように、未だ戦闘は終結していなかった。彼らの長い一日はまだ終わらない。


用語解説
・航空優勢
「ある空域において、敵の航空機が有効な作戦行動ができない状態」を航空優勢と言う。
昔は「制空権」と呼んでいたが、実際は陸戦と違い完全な制圧が不可能であることから、近年は航空優勢と呼びかえられている。
これを握らないと陸戦隊は上空から撃たれ続けるので近代戦では必須の要素。

・近接航空支援(CAS)
陸戦部隊への支援を目的とした対地攻撃のこと。これをやるには敵機の妨害が無いことが必要になるので、これの実行の前提として航空優勢がある。
誤爆の危険性も高いが、瞬間的に大火力を投射できる航空機による攻撃は便利であり、特に今回のような空挺兵や、自走砲を持たない機甲部隊は長距離砲の代わりとしてCASは重要な要素になる。
CASを行う際には、前線には航空機を管制するための人間が一人必要となる。

・方位○○○(3桁数字)
真北を「方位000」として、0-359の数字で方位を表現するやり方。
ex.東=090 南=180 西=270

・急降下爆撃
70-80度ぐらいの角度で急降下し、ある一点に爆弾を叩きつける爆撃の方法。
誘導爆弾が実用化される前はこれが精度の高い爆撃のやり方だった。

・キャニスター弾
一言で言えば「大砲用の散弾」。散弾を撒き散らして広範囲の人員を殺傷する対人用の砲弾。
これを装填した砲は「でかいショットガン」のように扱われる。

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※混乱しないための編制表

指揮官:ヘルガ
副指揮:クロエ

-母艦
イーグルアイ(鷹の目):クロエ艦
アルバトロス(アホウドリ):スメラ艦
ケストレル(チョウゲンボウ):リコ艦
ヴァルチャー(ハゲワシ):ヘルガ艦

-戦闘機 (★=部隊長 ☆=編隊長)
アクイラ(イタリア語・ワシ):★クロエ・アカリ・ユジーヌ・カナ
アドラー(ドイツ語・ワシ):☆スウォン・大神・ユラリ・アロー
ペトロール(ミズナギドリ):☆スメラ
ファルコ(イタリア語・タカ):☆ヒカル

-戦闘爆撃機
コンドル※8機編隊:☆エドゥアルト
マーリン(コチョウゲンボウ):☆リコ



No.71
■「先史兵器ファントゥーム」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/20(火) 23:55

「ウゴガッ・・・・ガッ・・・ウオォォォォォッ」
先ほどまで暴れていた古代兵器が起動を停止させる。
「そ・・・そんなでやんすぅ・・・」
「やった・・・?やったのか・・・?」
そのまま兵器は機能を停止する。
「止まった・・・?」
「そんなぁ・・・でやんす・・・ あんたが止まったらおいらのやぼうはどうするでやんす!!」
「カメダ! もう諦めるんだ!!」
「来るなでやんす!! おいらはまだ諦めたわけじゃないでやん・・・グフッ・・・?!」
突如後方からカメダを銃弾が襲う、カメダもそれは信じられないといった表情で
「な・・・なんでやんす・・・?」
と表情を苦痛に歪めながら倒れた
「誰だ・・・!」
「まったく・・・これだから目標を捨てたものは美しくない・・・」
カメダの後方に立っていた人物はそのままユウに向かって銃を構えると。
「次はあなたです・・・クロエ  父親と同じように・・・無残に死に行きなさい」
「ジオット・・・・!!」
「そんなに怖い顔をしないでくださいよ・・・ほら、あなたのご友人も連れてきてあげましたよ」
ジオットの横に立つのは鍵として、ファントゥームで任務をやり遂げた筈のヒカルだった。
「ヒカル・・・?! どうした・・・!おい・・・ヒカル・・・!!」
「無駄ですよ・・彼はほぼ鍵としての役割を果たし尽くした、既に自我を保つのも怪しいはずです」
「な・・・け、けどもうここには古代兵器のゴーレムは居ない・・・ ヒカルを無理やり連れてきたって・・・」
「確かに・・・一般的な伝承ではそうでしょう ファントゥームは優れた兵器生産能力を持ち、そして最終兵器のゴーレム・・・そこまでが記された真実 けど事実!!それじゃ解明できないことが沢山あった!! この建造物にはですねぇ!!もっと別の意味があったんですよぉ!!」
「別の意味・・・?どういうことだ・・・!ジオット!!」
「確かにゴーレムなどの兵器は素晴らしかった!! だがゴーレムでは先ほどのカメダ軍の機体を全て消し飛ばした説明は出来ない あくまでこれは陸戦用だからな、そこでこれなんだよ」
ジオットはヒカルの頭を掴み、今皆が居る部屋に飾る すると部屋がまるでヒカルに同調するように光り始め、ヒカルが光で包まれる。
「ヒカル・・・!!  ヒカルーーー!!!」
ヒカルを包み終えたファントゥームが大きな振動を始める、中に居る人たちでは何が起こってるのかは判断できなかった。


ファントゥームの異変は外に居るホエール号に居る人物から確認できた。
「な・・・何なんですかこれは・・・」
ファントゥームは形を変え・・まるで巨大な戦闘機のような姿に変えた。
「あれは・・・まさか・・・」


「ユウ・・・!ファントゥームは・・・ファントゥーム自体が巨大すぎる戦闘機だったみたいです・・・あんなサイズ・・・並みの戦闘機じゃ・・・」
「な・・・なんだって・・・?! ジオットの目的はそもそもそれだったっていうのか・・・」
「おそらく・・・ユウ・・・急いで避難してください・・・中はいずれ完全に戦闘機として構築される」
「け、けど・・・ヒカルが・・・!」
「あれを倒せれば救い出す手段はあるかもしれません!! 今はとにかく逃げて!!」
「くそ・・・・ごめん・・・ヒカル! 必ず助けにくるから・・・!」
ユウ達一同は急いでファントゥームから脱出すると、一度ホエール号に戻り作戦を練り直すために集まった。
「あ・・・あんなのどうやって倒すのよ・・・」
今までさまざまな機体を見てきたユイだが、現れた機体があまりにも規格外なのか、顔の色が青ざめている。
「策は・・・ひとつしかないでしょう・・・」
アケチが重い口を開く。
「他の機体が撹乱して少しでもあの機体の砲火を弱めている間に・・・一機が潜り込んであの機体の各部位を叩く・・・それしか・・・」
「だったら・・・それは僕が行くよ・・・」
当然のことのようにユウが名を上げる、それに対して他は
「ユウ・・・?! しかし・・・」
「僕が行かなくちゃいけないんだ・・・中に居るヒカルだって・・・助けなきゃいけないんだ・・・!」
「ユウ・・・分かりました ですが・・・必ず無事に戻ってきてくださいね・・・?」
「うん・・・分かった・・・行ってくる」
そう言ってユウは荒れる空にフィデール号と共に飛び出していった。


雷鳴り響く空、ジオットはファントゥームへ向かってくる一機の機体を見て笑みを零す。
もうこれは偶然などではない、昔ユウの父親を裏切り彼の機体を海に叩き落した瞬間からこの様な状況が来ることは想定できていた。
「さて・・・決着を点けましょうか・・・クロエ・ユウ・・・!!!」


【先史飛行兵器ファントゥームとの戦闘、副砲x2 両翼 主砲x2 本体との連続バトル】

【負けた場合】

「くそ・・・こんなときに・・・負けてる場合じゃないのに・・・」
遥か上空に浮かぶ大きな機体はまるでユウの努力をかき消すように砲台をフィデール号に向ける。
「はっはっは・・・どれだれやるかと思ったら・・・もういい・・・消えなさい」
ジオットがそういい終わると同時にファントゥームの砲台から光が放たれる。
その光がフィデール号を包み込むと同時に、彼の機体は消し飛び、残ったのは荒れた空だけだった。

-GAME OVER-


【勝った場合】

「勝った・・・?やったのか・・・? やるなら今しかない・・・!」
ファントゥームは勢いを落とし、高度を下げていく。
「まさか・・・ファントゥームが負けるとは・・・・ここまでですね・・・だがしかし・・・最後は美しく終わりにしましょう・・・ファントゥーム!!」
ジオットの叫びと共に再びファントゥームが光を上げ始める。
「最後はリミッターを外す・・・まだ全ての砲台が死んだわけじゃない・・・」
「ジオット・・・!!」
高度を下げたファントゥームに乗り込んだユウはジオットの居るメインシステムまでたどり着いていた。
「おや・・・クロエ・・・いつの間にここまで・・・」
「お前の野望もここまでだ・・! 大人しくしろ!」
「何だと・・・?」
「ファントゥームを暴走させた・・・もうこれで私の制御も受け付けない・・・」
「は・・・?な、何を言ってるんだ・・・ そんなことしたら!」
「ええ・・・確かに・・・世界は滅ぶでしょうねぇ・・・しかし!美しくないがそれもまた運命! 私はそれを見届けさせてもらう!!」
そう言ってジオットはメインシステムから立ち去ってく。
「おい・・・!くそ・・・どうすれば・・・」
一人残されたユウは成すすべも無く立ち尽くす。
「そうだ・・・ヒカル・・・ヒカルは大丈夫なのか・・・?」
そう言い、最初にヒカルが吸収されたはずの部屋まで足を運ぶ
内装は変形前と変わっており、ヒカルを包むようにいろいろな管が走り、中心に居るヒカルの顔には回路のような無数の光の線が浮かんでいた。
「ヒカル? ヒカル!!」
「ユ・・・ユ・・・ウく・・・ん?」
叫び声に反応したのか、ヒカルは擦れた声でユウに答える。
「ヒカル!助けに来たぞ! ファントゥームは倒した・・・もう大丈夫なんだ・・・」
嬉しそうにヒカルに言うユウを見ても、それに対比するようにヒカルの顔は残念そうだった。
「ありがとう・・・けどもう遅いみたいだ」
「遅いって・・・遅いってどういうことだよ!!おい!!」
「ファントゥームは生きてる・・・いずれまた僕を巻き込んで暴走を起こすだろう・・・」
「ああ・・・知ってる・・・ジオットが言ってた・・・けど・・・それはヒカルを助けてから・・・また考えればいい・・・」
「だめだよ、僕はもう鍵としての役割を終えたんだ・・・『モノ』として存在が固定されてしまった僕は・・・もう生きることはできないんだ・・・」
「そんなこと無い!ヒカルは仲間だ!! 『モノ』だなんて・・俺が絶対に認めない・・・!」
「君は・・・優しいね・・・」
「当たり前だ・・・俺は・・・俺はずっとお前のこと・・・」
「ありがとう・・・けど・・・もうその先は言わなくていい その言葉はもっと別の人に使ってあげるべきだ・・・」
「ヒカル・・・」
「ユウ君・・・君は生きて・・・僕に策がある」
「策・・?策って・・・ 俺はお前と逃げたいんだ 一人でなんて・・・」
「ファントゥームが暴走する前に・・・僕が回路を逆に暴走させる・・・そうすればファントゥームは膨大なエネルギーを処理できなくなって内部から消滅するはずだ」
「消滅って・・・ヒカルはどうするんだ・・・!」
最後まで信じたくないといったように、ユウは再びヒカルに問う。
「もう分かってるでしょ・・・君は本当に優しいね・・・」
「ヒカル・・・」
「『モノ』として生きてた僕を君は『ヒト』としてみてくれた・・・それだけで・・・君と出会えた価値は十分あったよ・・・」
「仲間だ・・・ヒカルが鍵を握る者だろうが・・・俺たちの大切な仲間なんだ!!」
「ありがと、ほら・・・もう行って・・・ここは広いから、早くしないと君まで巻き込まれちゃう・・・」
「ヒカル・・・最後に・・・・・一つだけ・・・」
ユウはヒカルに近づくと、もう動くこともできないヒカルに


最初で最後の口付けをした。



最初は驚いたヒカルだったが、すぐに普通の顔に戻り。
「ありがとう・・・じゃあね・・・ユウ君」
「ああ・・・ヒカル・・・俺は・・・」
そのままユウはメインシステムを去り、フィデール号と共にファントゥームから立ち去っていく。
メインシステムに一人だけ残されたヒカルは、最後に一粒『ヒト』として涙を流しながら。
「最後の最後まで・・・君は・・・君は本当にずるいなぁ・・・こんなんじゃ・・・こんなんじゃ分かれにくくなるじゃないか・・・・」
とポツリ呟いた、流れた涙はヒカル自身の熱によりすぐに消えそのまま見えなくなった。
「じゃあね・・・ユウ君  僕も・・・好きだった」
と彼は『ヒト』としての最後の機能を手放し、『モノ』としてファントゥームの一部になり始めた。



ユウが脱出した直後、ファントゥームは荒々しく光りその光りが止むと同時に爆発した。
ユウはそれに気がつきながらも、他の皆のために散った仲間のことを思いながらも決して振り向くことは無かった。



【ヒカルバッドアルバム:『モノ』として】


ファントゥームが消滅する直前、ヒカルは最後の最後にポツリポツリと最後にもう誰も聞くことのできないのに言葉を発していた。
「ユウ君・・・君は最初に会ったときから本当に素敵な人だった・・・」
あの人は上手く逃げてくれただろうか。
世界が平和になったあとあの人はどんな事を考えてすごすのだろうか。
あの人は時間がたっても自分を覚えていてくれるのだろうか。
そんなもう自分じゃ絶対に確認できないことを考え、そして最後に一言。
「もし僕が『ヒト』として生まれ変われたら・・・また君に会うことができるのかな・・・」
その言葉はファントゥームの消滅と共に掻き消えていった。



No.70
■「熱意の先に」 投稿者:ペケ [URL] 投稿日:2012/03/20(火) 23:55

【ランダムイベント・アケチの場合】

「あれ・・・?私は・・・死んだはずじゃ・・・?」
アケチはわけの分からない状況に目を丸くする。
機体の速度が速いから、という理由で軍曹と一緒に街に物資を買いに出かけた帰り空で空賊に狙われ、成すすべも無く撃ち落とされたと思ったのだが今居る場所は花畑。
まるで天国だと勘違いにしそうな場所にアケチを見下ろすように一人の女性が立っていた。
「あら・・・今度は二人なのね・・・大丈夫?」
「え・・?ええ・・・はい」
その女性はアケチに話しかける、しかしアケチの目に入っていたのは彼女の後ろにそびえる、太陽が降りてきたかのような機体だった。
「あら・・・?この機体が気になるの・・・?」
「は・・・はい 美しい機体だなと・・・」
一機の本体の回りに装着された黄金の4本の主砲、それはまるで人工衛星のようで。
「この機体は・・・ここに落ちてきた航空士の所持金を・・・あっこれは言っちゃだめだった・・ゴホン とにかく、これが私の機体『ゴールデンサンフラワー』よ」
「ゴールデン・・・サンフラワー」
「ええ・・・聞きたいことはそれだけ・・? 私は・・・早く貴方達を元の場所に返したいのだけど・・・」
「え・・?あ、死んだんじゃないんですね・・・ まだ見ぬところにこんな美しい楽園があったとは・・・」
「ここは・・・地図に無い島だから・・・ 少しづつ・・・私が調整したの」
「へえ・・・素敵だと思いますよ・・・ところで・・・あなたの名前は・・・?」
「え?私・・・えーっと・・・私の名前はジュ・・・」
彼女が名前を言いかけた直後、隣で叫び声がする。
「バァァァァァニィィィィングッ!! あなたは・・・!あなたは前に俺のことを助けてくれたメイドさん・・・!まさかまたお会いできるとは!運命・・・運命ですかね!!」
いきなり起き上がり彼女に詰め寄る軍曹、その様子には引いているようだった。
「え・・・え・・・ええ・・ど、どこかでお会いしたことありましたっけ・・・?」
「はいぃ!!前に墜落した時にあなたに助けられてからぁ!俺はあなたのファンになったのであります・・・!!」
「あ・・・ありがとう・・・」
そのまままだ軍曹は話続けようとしたが、流石に頭に来たのか彼女は彼の腹にパンチを叩き込むと、アケチのほうを向き
「はぁ・・・はぁ・・・あ、あなたと一緒にこの男も送り返すから・・・なるべくここのことは忘れて頂戴・・・」
「わ・・・分かりました・・・」
と、答えると再びアケチの意識は途絶えた。


「・・・ケチさん・・・アケチさん!!」
呼ぶ声に気がつきアケチは目を開ける。
「よかったーいきなり格納庫に軍曹さんと一緒に倒れてるからびっくりしたんですよ・・・?」
「え・・? 私が・・・?」
「はい、軍曹さんと二人で ブレードフェニックス号もちゃんとありますよ? 戻ってきたんじゃないんですか・・・?」
「いや・・・私は・・・」
ユイに言われてブレードフェニックス号を確認すると、撃ち落とされたときの損傷は無くなっていた
「あれ・・・?」
「どうしたんですか?もう いきなり倒れてるわ、軍曹さんは起き上がると同時に叫んでどこかに行っちゃうわ お金は予定よりも減ってるしで・・・二人でメイドカフェとかでも行って遊んで来たんですか・・・?」
「い、いや・・・そんなことはしてません・・!! メイドには会いましたけど・・・!」
「へぇ・・・メイドさんにねぇ・・・私アケチさんがそんな人だとは思わなかったなぁ・・・物資買ったらすぐに戻ってきてって言ったのにねぇ・・・」
と言うとユイは踵を返し去ろうとする。
「違います!!違うんですって・・・私たちは!!」
とあった出来事を言おうとすると、
(ここのことは忘れて頂戴・・・)
ふと最後の彼女の言葉が思い浮かんだ。
「あのことは・・・秘密にしておいたほうがいいんですかねぇ・・・」
とアケチは弁解することを諦めた。

立ち去った軍曹は一人廊下で、
「またあの人に出会えたが・・・また名前を聞けなかった・・・! 次こそは・・・!次こそはあの人の元にぃぃぃ!!」
と無駄に熱を上げていた。


【ユウが空中戦で敗北時・ランダムイベント】

「あれ・・・?ここは・・・?」
空中で船がやられ、確かに落ちたはずだったが・・今居るのは花畑、まるで天国のようだった。
「あら・・・もう起きたの・・・?」
「え・・・あ・・・」
目の前に立つのはメイドの姿をした女性。
「あなたが助けてくれたんですか・・・?」
「ええ・・・いきなり落ちてきたからね・・・私が育ててる花畑にいきなり・・・」
(あ、あれ・・・?怒ってらっしゃる・・・?)
「黙ってないで何か言ったら?」
「えっと・・・あのごめんなさい・・・」
唐突に話を振られたからか、ユウは対応に戸惑う
「いえ、そういう言葉は要らないの」
「え・・・?じゃあ・・・」
するとユウの腹に彼女が持っていた箒がめり込む
「お金・・・治療費と修理代をちょうだい?」
と、笑顔でユウに問いかけた。
「え・・?あの・・・」
「あら、聞こえなかったかしら? 勝手に落ちてきて花をめちゃくちゃにした挙句、治療までしてもらったんだからそれなりに・・・」
「けど・・・僕は今そんなに・・・」
「いいから、とりあえず見せてみなさい」
(え・・・笑顔が怖い・・・)
黒い笑顔で近づいてくる彼女を最後に見ながら、ユウの意識はそこで途絶えた。



「はっ!!」
ユウは自分の部屋で目を覚ます。
「夢・・・? 夢なの・・・?」
変な夢を見ていた気がするが、気のせいだったとユウは納得すると部屋から出てまた他の人が居る部屋へと向かっていった。

-所持金が半額減った!-




【バーニングブレイド軍曹アルバム:熱意の先は】


戦いが終わって少しした後、軍曹はいきなり旅立って行った。
最初は少し心配だったけど、あの性格だきっと大丈夫だろう。

「ここだ・・・きっとこの島に彼女が・・・あの伝説のメイドさんが居るはずだ・・・!」
「な・・・なんであいつがこの島にまた来てるのよぉ・・・」
「俺は・・・俺はまた彼女に会うまで諦めないぞ!バァァァァニィィィングッ!!!」

大丈夫・・・だよなぁ・・・?



No.69
■イベント「どういう関係?2」 投稿者:クロル 投稿日:2012/03/19(月) 03:13
挿絵あり
走り去って行くモモコの背中を見ながら、ユイは呟いた。
「恋、なのかなぁ…」
思いのほか声が大きかったらしく、テーブルにいたメンバーの視線は一斉にユイの方へ。
ユイがその事気付いた時にはすでに遅く、サクラはユイにたずねた。
「うにゅー…そんな事言っちゃって、自分こそどうなのぉ?…クロエ君の事、好きなんじゃないの?」
「そ、そんなんじゃないよ!クロエ君とは…その、付き合いが長いだけで、好き…とか、そういうのじゃないから…」
「純朴系幼馴染か、…負けないからね!」
ユイの発言とは裏腹に、敵意を燃やすサクラ。ユイは訂正を願い出るが、彼女の言葉は耳に入っていないらしく、
早速、アピールをしにクロエの元へと向かって行くサクラ。
楽しそうに話をしている二人を見て、ユイは少しだけ胸が痛んだ。 そして、先程よりも小さな声で、もう一度、呟いた。
「恋…なのかなぁ…」


No.68
■双龍伝説  投稿者:トミーズ・ぞいや 投稿日:2012/03/21(水) 09:45

~俺(私)たちが軍団に入った理由(わけ)~


クロエたちがネヴィルを倒した同時刻 埋立地横の廃墟内
(スカインが部下と共に一部始終見ていた)

スカイン「OH MY GOD!! まさかネヴィルちゃんまでやられるとは予想外、歓楽街!!」
部下A「ネヴィルが死んだことでネグロの情勢も傾くことはまず間違いないでしょうね。」
スカイン「仕方ない☆ZE、また新しい女の子の提供先を見つけねーとな。」
部下A「大将、このまま帰ってもボスの機嫌を悪くするだけですよ。」
スカイン「もちろん手ぶらで帰るわけねぇじゃん。 ネヴィルちゃんのアジトから俺たちに関する物を消したり、資金やら何やら頂いちゃうYO。」
部下A「わかりやした。」
スカイン「というわけで出発!!」


奴隷市場
男「な、なんだあんたたちは!」
部下A「黙って死ね。」
(パンパン)
男「うっ!(バタンッ)」
スカイン「はーい、ちょっと邪魔するYO。(ボォーーー)」
男「うおおおおお!!!熱い熱い熱い!!!!」
スカイン「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!」
(メラメラメラメラメラメラ)
富豪の客「強盗だ!」「違う、あれはカメダ軍団だ!逃げろぉ!」「キャーーーー!!!!」

~しばらくして~

部下B「スカイン、牢にいた女も全員連れ出した。」
スカイン「ふぅ~、こっちもあらかた焼却したし引き上げるとするか、ポルカ。」
部下B「了解。」
部下C「大変です!奥の捜索に向かった3番隊、4番隊が負傷。5番隊が現在交戦中。」
スカイン「ハァ! 誰だYO。そんな悪あがき、アラハバキしてんのは。」
部下C「負傷した者が言うには男女の子どもだそうで。」
スカイン「ん~、おっといけねぇ。そういえばネヴィルちゃんには二人の子どもがいたのを忘れていた☆ZE。」
部下B「我々も応援に向かいますか。」
スカイン「久しぶりに会ってみるか。おい、そこまで案内しろや!」


ネヴィルのプライベートルーム
赤炎「はっ!」
(ボカッ)
部下A「ブハッ!!」
青炎「遅いぜ!」
(バキッ)
隊長「腕がぁぁぁああ!!」
スカイン「お二人さん。それくらいにしてくんない、グッナイ。」
青炎「あんたは、たしかスカインだっけ。」
スカイン「憶えてくれていてうれすぃー☆ZE!」
赤炎「これは一体何のつもりかしら。(グッ)」
青炎「父上の姿が見えない事に関係しているんじゃないか。(シャキーン)」
スカイン「わかったわかった。説明するからその拳とナイフを収めてちょうだい。」
赤炎「……(拳を下ろす)」
青炎「……(ナイフを鞘に入れる)」
スカイン「今から話す事はついさっき起こったことだ。YOUたちがどう受け止めるかは別だけど。」

~スカイン説明中~

スカイン「…というわけ。ちなみに彼の亡骸はこっちで預かってるYO。」
赤炎「そんな...お父様が、」
青炎「嘘だろ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!」
スカイン(無理もないか。彼らは本当の親子みたいに仲良かったんだから。)
赤炎「スカイン、さん。」
青炎「頼みたいことがある。」
スカイン「俺たちにできることあったらいってみろ(だいたい予想は付くけどな)」
青炎「俺たちをあんたらの仲間に入れてくれ!」
赤炎「私たちにお父様の仇を討ちたせて!」
スカイン「(やっぱりな。ここは一つ、ココア一つ手を差し伸べるとくか。)OKOK。YOUたちの父親は俺の数少ない友達の一人だ。
うちの団長には俺から話を通しとくYO。」
赤炎「ホントですか!」
青炎「ありがとうございます。」
スカイン「俺たちは今からアジトに帰るから30分で仕度しな。」
赤炎「わかりました。行くよ青炎。」
青炎「おう!」
(タッタッタッタッタッ)
部下B「いいのか。勝手にこんなこと決めて。」
スカイン「いいじゃんいいじゃん↑↑。兵隊は多くても困らないし。それに、ここを荒らさないとは一言も言ってねぇYO.」
部下B「!」
スカイン「1番隊はここの捜索、2番隊と5番隊の残りは負傷者を運んどけ、ハト時計。」
部下B「...了解。」

(ツカツカ)
スカイン「おや?これは(パラッ)写真か。」
(若い時のネヴィルが赤炎と青炎を膝の上に乗せて写っている。)
スカイン(ふっ、こうやって見るとこいつら本当に親子見てぇじゃん)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ネヴィル「ギャルド号は、民間人の飛行機もどきとは訳が違う。ワタシが直々に撃ち落してやりますよ。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

青炎「嘘だろ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

赤炎「私たちにお父様の仇を討ちたせて!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

スカイン「ネヴィルちゃん...あんたもあっさり死んじゃって、また俺を置いていくのかYO。」
部下B「スカイン。」
スカイン「ん、どったの。」
部下B「負傷者ならびにネヴィルの資金が積み終わったぞ。それから、あのガキンチョ二人も出発待ちだ。」
スカイン「ほいほい、すぐ行くよ。」
部下B「早くしろよ。」
(タッタッタッタッタッ)

スカイン(ネヴィルちゃん、あんたの仇はあんたが大事にしてた子ども達が取ってくれるさ。あと俺はまだそっちには行かねぇから。)



No.67
■ランダムイベント:ソネットとミソラ 投稿者:アイス 投稿日:2012/03/20(火) 22:38

ランダムイベント:ソネットとミソラ
【ミソラとソネットが仲間にいる】

ソネット「クロエ君、少々いいですか。
あの、ミソラ でしたっけ? 小さい女の子のことです」
クロエ「え? ミソラさんがどうかしました?」
ソネット「貴方が連れているということは、何らかの事情があるのはわかります。
しかし、あまりに幼すぎるでしょう。
安全でいられる子なら、安全な場所にいるべきです。
危険がありすぎますし、あまり納得出来ませんね」
クロエ「あ、えーと……ミソラさんは実は、18歳なんです」
ソネット「はい?」
クロエ「ミソラさんは俺よりも、年上なんで……」
ソネット「下手な言い訳はいりません。
きっちり理由を話してもらえば、少しは考えますが」
クロエ「いや、本当に!」

ミソラ「ユイお姉さーん、出来ましたよ!」
ユイ「はいはーい、今見てあげるから待っててね」

ソネット「……もう通じませんよ」
クロエ「あああ、ややこしいことに……」

ユイ「あれ? おっかしいな……動かない」
ミソラ「ええっ! ひょっとしてあたし、どこかで間違えたのかも……」
ユイ「ううん、そんなことは無さそうよミソラちゃん
壊れてるのってここだけじゃなかったのかも……
うーん……あ! ソネットさん、いいところに!」
ミソラ「(びくっ)」
ユイ「どしたの?」
ミソラ「あ、あ、えっと……
(小声)あの人、雰囲気が怖くて苦手なんです……」
ユイ「大丈夫よ。 あの人、本当は優しくて凄い人なんだから」
ミソラ「ふえ……本当ですか……?」

ソネット「どうしました?」
ユイ「ここ、今直したばっかりなのに動かなかったんです。
どこか別の場所が壊れてると思うんですけど、それがどこかわからなくて」
ソネット「どれ、ちょっと見せてください
…… ああ、この音は」
(てきぱきてきぱき)
ソネット「はい、これで直りましたよ」
ユイ「ああ、助かりました!」
ミソラ「…………」(きらきらと瞳を輝かせ)
ユイ「ミソラちゃん?」
ミソラ「わあっ! すごいすごい! ソネットさんって!」
ソネット「は、はぁ?」
ミソラ「すっごくかっこよかったです! 手際がよくて、ぱぱってすぐに直しちゃって、
頼りになって、手もよく見たら油が染み込んでて、
同じ……まるであたしのおとーさんみたいです」
ソネット「なっ……」
ミソラ「おとーさんも修理屋さんなんです。
でも帰るまでは教えてもらえないから……
もしよかったら、ユイお姉さんと一緒に
これからもあたしにいろいろ教えてください!」
ソネット「……わかりました」


ソネット「……いいですね。ああいう子がいてもいいでしょう。
但しまだ幼いですから、絶対に危険には遭わせないように」
クロエ「あれ、なんだか妙な納得のされ方をした……」

ソネットのHPが全回復した! ミソラのHPが全回復した!


ここでサクラが仲間にいれば、
タワシさんの描いてらっしゃった
このイベント
↑に分岐します!
と勝手にさせていただきます、タワシさんすみません……!


No.66
■捏造祭り連続イベント「古代遺跡の真相(5)」 投稿者:usuki 投稿日:2012/03/20(火) 20:48

挿絵あり
多くの碩学の分析の結果――
祖国を焼き払った反応弾は、火を吹きながら自発的に空を翔け、狙った所で爆発する。
そのような砲弾であることが明らかになりました。その意味するところに、民に動揺が走ります。
この高空にある空中都市すら、その兵器は射程に収めているのではないか……
そのような恐怖が、じわじわと民の間に広がっていきます。

民の帝国への恐怖が、王に救済を求める一方――それより何よりも、王の憤怒は激しかったのです。
王は力を欲し……その執念が、再びあの『禁忌』とされた施設の解析に向かいます。
憑かれたように試行錯誤を繰り返し――ついに、その鍵の開錠に成功したのです!

一人、遺跡の最深部に向かう王。それを、止めようとする者がいます。
姫でした。あの件から人が変わったような王を、必死に留めようとします。
「それは大いなる災いを呼ぶ」――と。
ですが……それも敵いませんでした。
王は完全に掌握下においた遺跡の機能を以って、姫を閉じ込めてしまいました。

やがてその施設に足を踏み入れた王は、目を見張りました。
真新しい一体の巨大な機械人形が、何かを待つように鎮座していたのです。
これこそが空中都市の本丸……人型封神兵器『ゴーレム』の威容でした。

操縦法も装備も何も解りません。ですが、王は直感します。
ゴーレムに手をかざし、念じました。「時は来た」――と。
すると――何かの繋がる感覚とともに、ゆっくりとゴーレムが目蓋を開きました。
王の憤怒と、憎悪に応えたゴーレムが、永き眠りから目覚めたのです!

……その起動と同時。
莫大なエネルギーがゴーレムに注ぎ込まれ、空中都市の大部分が機能を停止した事も――
その影響で多くの人々が暮らす外縁プレートがことごとく滑落した事も――
王の意識にはもう情報として入ってきてはいません。
機械を通し、王とゴーレムは一体化を果たしていたのです。その中枢に刻まれた、根源命令もそのままに。

《作戦:『最終戦争』。その大地もろともに、全ての『敵』を撃滅せよ――》

崩落する空中都市から虚空にその身を躍らせたゴーレムは、その全身から光とも稲妻ともつかないものを次々に奔らせました。
滑らかな弧を描き、その一つ一つが大地に降り注ぐたび――ひとつの国が滅びます。
まさに神が如き――あるいは、悪魔が如き力でした。
ゴーレムに導かれるまま、王は破壊を繰り返し――世界を、瞬く間に火の海に変えてしまいました。
滅び行く文明、燃え尽きる世界を見やっても、王になんの感慨もありません。
もはや王の意識はそこにありません。ゴーレムの核として取り込まれた彼は、ただの部品に過ぎないのです。

……そんな王=ゴーレムの前に、一つの影が立ち塞がります。空中都市から舞い降りた、一体の白い竜。
白雲を思わせるその美しい姿。怒っているような泣いているような、悲痛な咆哮が、天を震わせます。

眼前の全てを破壊しようとするゴーレムの動きが、明らかに鈍りました。
王=ゴーレムは識っているのです。彼女が――その竜が、一体誰なのかを。
ですが、ゴーレムは止まりません。その腕を振り上げ、稲妻を放ち、眼前の脅威を撃ち砕こうとします。
……その一瞬の躊躇いで十分でした。白い竜が、その顎でもって、王の収まったゴーレムの喉元に食らいつくには。

世界を塗りつぶすかのような、眩い光が走ります――

一刹那の後。至近距離で放たれた雷弧は、白竜の半身を焼き。
同時、王は、噛み千切られた部品と共に、ゴーレムから引き剥がされていました。

破られた逆鱗、血の涙を流しながら――もはや白竜は、飛ぶことも敵いません。
薄れ行く意識の中。彼女は、奪い返した彼を、やわらかく抱きしめました。
……ごめんね、と。ただ、それだけを思いながら。

彼にも、まだ意識はありました。ゴーレムに力を抜き取られ、もう、身体も満足に動かなかったけれど。
包み込むような熱を逃すまいと、能う限りの力で強く、その温もりを抱きしめました。
……すまなかった、と。ただ、それだけが伝わるように。

落ちる落ちる二人。永い永い一瞬の意志の疎通。
全てを包む空から追放されるように――深い海に、二人の姿は、消えて行きました。

……その様を、冷たい機械の双眸で見送って。
ゴーレムはそれ以上の行動を止め、遺跡へと帰っていきました。
その姿に何かを思ったのか――それとも、標的が無くなっただけなのか。それは誰にも、わかりません。

かくして世界は灰と還り……孤島は未だ空を舞い続けます。
これが、初めてのことだったのでしょうか。それとも……
それも誰にもわかりません。
けれども、その空中都市は、今でも空の何処かで、やがて訪れる誰かを待っているのです――

…………
………
……



レ「……っていう話だったのさ、本来はな。それを、オレがアレンジした」
ク「………哀しい、話ですね。エンゼルがこれ聞いたら、どう思うのか……」
レ「それは―――そこに隠れてるのに、直接聞いてみたほうが速いだろうさ」
エ「!…………」
ク「え、エンゼル?」
エ「……ごめん、クロエ。こそこそ出かけていったから、後をつけてったの」
レ「……いい機会だったろう、どら娘。おまえが目指すファントゥームってのは理想郷じゃない。
  もっと、剣呑ないわくのある場所なのさ」
エ「………でも、あたしは行くよ。ううん、なおさら行かなきゃなんなくなった」
レ「なぜだ?」
エ「そのゴーレムってヤツは放っておけないしね。それになにより――二人が、どういう関係だったのかわからないし!」
ク「二人って……王様と、竜が?」
エ「そ。もとから疑問だったのはそこなのさ。それを突き止めないことには、夜も眠れないしね」
レ「やれやれ……その妙なところをほじくり返すその好奇心はどこから湧いて出るのかね」
エ「さあねー?誰かに似ましたから。それじゃあね、父さん。 クロエ、帰ろう!」
ク「あ、ああ。って、待てよエンゼル!」
レ「――少年」
ク「はい?」
レ「うちのどら娘――エンゼルを、よろしく頼む」
ク「………はい! じゃあ、また!」
レ「おう、人手が必要ならまた来るといい――」
レ「…………」


レ「……… 二人……竜と人間が、同じ世界を分かち合うことができた楽園、か――」



・補足


■反応弾
『帝国』が発掘した最終兵器。
……ようするに弾道核ミサイル(ICBM)。
純粋水爆には程遠く、爆心から範囲数十キロは凄まじい放射能汚染に見舞われる。

■ギリュウ
地上……奪回した『祖国』にも前線基地が構築され、ギリュウやその他先進設備が設けられていた。
反応弾によって吹き飛ばされなかったものはそのまま残り、三巡目の世界の遺跡となった。


■なんで遺跡からシステムが出てこない?
システムはそもそも『ガンダー』が破壊しようとしていた組織のもの。
ゆえにサーチ&デストロイされてしまった。
ギリュウはガンダーからは一応友軍識別されていたため、広範囲攻撃の巻き添えをくらったもの以外は逃げ延びている。

■崩落する空中都市
地上から逃れてきた多数の人間が暮らしていた外縁プレートが、ガンダー起動の余波で崩落。
空中都市に残っていた人間は、崩落しなかった中心部――ファントゥームに残っていた碩学らのみとなった。
……もっとも、肝心要の中枢がほぼ機能停止していたのではあるが。

■呪紋
……ファントゥームにアクセスしその蔵知を探索するために、『王』が同胞に刻んだ紋様。
王亡き後はその技法は失われたが、女系遺伝をするものだということが発覚。
生き延びた碩学たちはその後地上に散り、今で言う『鍵を握るもの』となった。




No.65
■クエスト編・後編 投稿者:野球小僧monjya [URL] 投稿日:2012/03/20(火) 08:00

男「ほら、着いたぞ。さっさと入れ」

ジ「へえへえ、どうもどうも。道案内ご苦労さん」

主「着いたし、もう遠慮はいらないよな?ジン、イル」

ジ・イ「そのとーり!」

男「なっ!?」

(ドガアッ!)

ジ「はいはい、邪魔やから少しココで黙っとき」

主「よし、行くぞ!」

(バタン!)

主「お前らっ!大人しく・・・し・・・ろ」

(ギロリ)

ユ「ね、ねえ。あいつら、何人いるのかな?」

主「・・・百人ぐらいいると思う」

男「なんだお前らは!」

ジ「ふっふっふ・・・」

(ガバッ!)

ジ「オレ達が何でも屋兄妹と呼ばれているジンと!」

イ「イルやで!キャハハハ!あんたら全員
  ここからタダでは返さんで!」

ジ・イ「覚悟せえ!」

イ「なあ、この前口上必要なんか?
  わざわざ入ってから変装を解かんでも・・・
  それに何で勝手に、ウチらを兄妹にしてんねん」

ジ「ほら、これは「お約束」っちうやつや。
  それに、兄妹って言った方がゴロがエエやんか
  気にしたら負けやで
  ・・・ってか、お前もノリノリで笑ってたやないか」

主「あのー、お取り込み中申し訳ないんですけどね」

ユ「あいつら、殺る気満々なんだけど」

男「ふざけた真似しやがって」

男「タダでは返さないは、こっちのセリフだ
  その人数で120人相手に勝てるとでも思ってるのか?」

主「120人!?えーっと、その・・・一人頭30人は
  相手にしないとダメなのかな?」

ジ「心配せんでエエよ、コイツら全員ユウキより弱そうやから
  オレらコイツらより強い奴150人相手に喧嘩した事あるから♪」

イ「まあ、ユウ達は最低10人がノルマな
  できんかったらウチらの報酬10倍な!
  あ、ユウキもノルマクリアでけへんかったら
  しばらくそのまま女装させるで」

主・ユ「ええー!?」

ジ・イ「じゃ、決める事決めたところで・・・
  おらおらぁ!カチコミじゃボケェ!!」

(バキィィ!)

ジ「雑魚に用は無いんじゃ!お前らの頭を出さんかい!」

(バン!バン!バン!)

イ「キャハハハハハ!ウチらは急に止まれんでぇ!」

(スカーーン!)

男「あぐっ!?き、急所狙いはずる・・い」

主「ええー・・・そんなにズルいかなあ・・・?」

(スパッ!ザシュッ!)

ユ「絶対に罰ゲームだけは嫌だー!」

主「(ユウキだけ怨みがたっぷりこもってる気がする)

(・・・)

ネ「なんの騒ぎですか、まったく」

男「それが奴隷商人と奴隷のふりをして
  ここを潰しに来た奴らが・・・」

ネ「あの野良空族共でしょう、ご苦労な事で・・・
  しかし、今まともに向かったらまずいですねえ
  飛行艇で逃げるふりをして、追って来たところを撃ち落としますか」

(・・・ブーン・・・)

ユ「あっ、あれ見て!」

ジ「さては、ネヴィルの野郎逃げ出しおったな!」

主「こっちも飛行艇で追うぞ!」

イ「よっしゃ!」

(・・・)

主「おかしいな、やけにあっさり追いついたけど」

(ズドーン!)

ユ「キャッ!あ、危なかったあ・・・」

主「しまった、罠か!陸戦じゃ不利だと見て
  俺達を空におびき寄せたんだ!」

(ズドーン!ズドーン!ズドーン!)

ジ「あ゛ー!もう!こら、もっと接近でけへんのかい!」

イ「避けるばっかじゃ、らちがあかんやろ!
  こっちも弾撃たんかい!」

ユ「ムチャ言わないでくれよ!避けるので精一杯なんだし
  一発でもまともに喰らったら一瞬でバラバラだよ!
  いや、でも捨て身でいけばもしかしたら・・・」

ジ「そうか!ほな操縦変われ!オレが突っ込む!」

ユ「いいっ!?ダメだよ、命をどぶに
  投げ捨てるような行為はやめてくれ!」

イ「コラ、あんたやめんか!操縦どヘタクソなくせに
  ユウキと変わったら自殺行為やろ!
  素直にユウキの言う事聞かんかい!」

ジ「やかましわっ!ほらどけ!」

イ・ユ「うーわー!!」

主「なんだ?あっちの操縦がかなり不安定になったぞ?!」

ユ「ジン達の飛行艇にトラブルでもあったんじゃ・・・」

(あー!やめろってば!乱暴な運転したら壊れるって!)
(壊れたら、新しいのまた買えばエエやろが!)
(その金は誰が出すと思ってんねん!このアホゴリラ!
 ちょっとは、ユウキをいたわれ!)

ア「・・・整備不良じゃなくて
  ジンが無理やり操縦して突っ込もうとしてるのを
  イル達が止めてるみたいだね」

主「こんな時に仲間割れしてる場合かよ!
  何やってんだ、あのバカゴリラ!」

(ガガガガガガガ・・・)

主「うわっ!ホントにネヴィルの飛行艇に突っ込んだ!
  あれじゃ墜落するぞ!」

(あー!オレの飛行艇がー!)
(泣いとる暇があったら、はよ脱出せんか!)
(ちゃんとこのゴリラに弁償させるから、とりあえず逃げるで!)

ユ「り、両方とも脱出したみたいね・・・」

主「あそこの埋め立て地に墜落しそうだな、追いかけるぞ」

(・・・埋立地)

主「大丈夫か!?」

ユ「生きてるし、ほぼ無傷のが奇跡だよ・・・
  はあ~・・・完全にオレの飛行艇を壊されたよ」

イ「どうやら、あっちの頭も生きとるみたいやで」

ネ「人の店を荒らした挙句、私の飛行艇まで潰すとは・・・
  この責任、どう取ってくれるつもりなんですかねえ?」

ジ「その言葉、そっくりお前に返すで
  道場むりやり奪った挙句、お師匠様達まで
  奪った責任、取らんとは言わせんで」

ネ「ははあ・・・思い出しましたよ
  貴方、買い手の家から逃げ出した奴隷ですね?
  ちっとも従順じゃない最悪の商品だったと
  随分と買い手から不評でしたよ」

ジ「弱いもんから絞り取り、人として扱わん・・・
  オレの大事なもん・・・お師匠様まで奪った・・・
  お前だけは絶対に許せんのや!!!
  奴隷商なんて、つまらん商売は今ぶっ壊したる!!!」

ネ「元・奴隷ごときに潰される程、甘くありませんよ
  返り討ちにして、再び生き地獄に戻してあげますよ」

主「ジン。手、貸すぞ」

イ「ウチの取り分、7:3にせえよ!」

(・・・戦闘後)

ネ「バカな・・・こんな奴隷ごときに・・・」

(ガクッ)

ジ「・・・お師匠様、仇はしーっかり取りました」

(ぐすっ・・・)

ジ「・・・なあ、ユウ。これで・・・ちっとはネグロも変わるんかな」

主「今すぐ大きな変化は無いだろうけど
  変わるよ、きっと」

ジ「そーか、そんなら安心や
  あ、報酬は後で振り込んどいてくれ  
  それじゃ・・・」

主「ちょっと待った、まだ依頼が残ってるんだ」

ジ「へ?もう今回の依頼は終わったやんか」

イ「ユウまでアホゴリラになったんか?」

ユ「えーと・・・これ以上女装は嫌だよ?」

主「カメダ軍団の相手をするのに助っ人が欲しいんだ
  それが終わるまで、もうちょっと居てくれないかな
  ダメ・・・なら諦めるけど」

ジ・イ・ユ「・・・しょうがないなあ」

ユ「空戦ならオレも手伝えるし・・・いいよ
  その前に、新しい飛行艇用意しないとダメだけど」

イ「どうせ、嫌って言ってもアホゴリラに引きずり回されそうやしな」

ジ「エエで。ユイちゃんから少し話聞いとったけど
  どーもデカいケンカっぽいみたいやし
  こっちから頼みたかったぐらいや」

主「ありがとう、改めてよろしく頼むよ」

ジ・イ・ユ「はいはい、任せてくださいな!」

ジ「これで、おーけーな♪
  ほんじゃ早速、飛行艇での特攻の練習を・・・」

イ・ユ「アホゴリラは操縦に向いてないから却下!」

ジ「ああっ!?って、くぉらっ!ユウキ!
  お前までアホゴリラって言い出しおったな!
  子犬みたいなくせに!」

イ「ゴリラより可愛いからな、その方が救いようがあるわ」

ユ「人の飛行艇を大破しておいて
  反省の色が無いみたいだね
  イル。ジンだけ置いていってオレ達だけで
  新しい何でも屋を開業するかい?」

イ「お、それエエな。じゃあアホゴリラはリストラって事で♪」

ジ「なんやとコラァ!わーった、お前らが
  そんな姿勢を取るならば、こっちにだって考えがあるで!」

イ・ユ「どうせくだらない考えじゃ・・・」

ジ「オレがユイちゃんと二人で組んで
  真・何でも屋を開業として世界中を回れば・・・」

(スパーーーン!!)

イ・ユ「おお、ハイキックが見事に後頭部へ決まった!」

ユ「私は、絶対に嫌だからね!誰が何と言おうと・・・」

ジ「あだだだだ・・・え、ええキックしとるやんか!
  おやっさんならオーケーしてくれるし
  ほら、父親公認なら文句は・・・」

ユ「本人が認めなかったら意味が無いじゃない!」

主「(やっぱリ、やめておけばよかったかな?)」


No.64
■「嵐の夜(前編)」 投稿者:F・S 投稿日:2012/03/19(月) 23:59

 夜空に映る月と星を眺めつつ、彼女はほくそ笑む。
「ははは、いかに手だれの空族とはいえど姿が見えなければどうにもならないでしょう?」
 カメダ軍団幹部、ババヤガン。彼女は今、自ら率いるナイトレイダー隊と共に散々カメダ軍団を苦しめてきたクロエ・ユウとその仲間たちを静かに追い詰めつつあった。
 時刻は夜。空には雲一つ無いが、横たわる暗闇は彼女とその部下たちを覆い隠す。
 月や星の明かりでは夜闇に溶け込むよう濃紺色に塗装されたその機体を視認する事は不可能に近い。
 が、彼女たちの機体、ホーンドオウル号にはその闇夜を見通す為の”目”である機上レーダーが装備されている。そのおかげで、夜間でも正確に相手を捕捉できる。
 もし、相手も同じようにレーダーを備えていたとしても彼女たちを捕らえる事は至難の業だ。
 『漂白無頼のマッドサイエンティスト』との異名をとるババヤガンの手によって、ナイトオウル全機には対レーダー対策が施されており、それらのおかげで彼女らはレーダーに捕捉され辛くなっている。
 現に、追跡されているファッテイホエール号はその後ろを飛行する輸送機共々、彼女たちの接近に気がついた様子は無い。
「ま、我々に楯突いた事が不運とあきらめてくださいな」
 かけている眼鏡を中指で押し上げ。
 にぃ、と不敵に唇の端を吊り上げる。
「まずはその護衛対象からいただきましょうか。レーヴェ財閥が製造に成功したという新型合金、ファイアバグさんの新型機に丁度良さそうでねぇ」
「ファッテイホエール及び輸送機、両機とも捕捉しました。敵迎撃機は確認出来ず」
 後部座席よりレーダー手の報告が帰ってくる。
 その報告を聞き、彼女は無線機のスイッチを入れた。
「こちらバーグラー1。バーグラー全機、攻撃準備」
『バーグラー1へ。全機攻撃位置につきました』
 部下よりの報告を受け取り、彼女もまた操縦桿を握り締め、機銃のトリガーへと手をかける。
 ホーンドオウルに搭載されている機銃は折りたたみ式の旋回機銃。
 それが闇夜に浮かび上がる輸送機の翼へと狙いを定める。
「では攻撃開始、まずはエンジンを狙いなさい」
『了解、攻撃開始!』
 その声と同時に輸送機の後方、その上下に位置しているホーンドオウルから曳光弾の描く火線が走る。それらは狙いたがわず輸送機のエンジンに吸い込まれ、爆炎を上げる……。

「な……どういう事です!」

 はずだった。
 曳光弾が描き出す火線はエンジン部分をを突き抜けてゆく。が、火も噴かなければ翼がへし折れる様子もない。
「レーダー手!」
 思わずあげた叫び声に後部座席から返答が帰ってくる。
「レ、レーダーに異常なし! 確かに影は映っています!」
「馬鹿なっ……。ええい、全機接近!」
 着弾しているにもかかわらず火すら噴かない理由はいくらか考えられる。当たっているように見えるが実は当たっていないという可能性。
 レーダーがあるからといっても最後は人の目で照準を合わせなければならない。今回の目標となっている輸送機はかなり巨大なため目測を誤った可能性がある。
 また、エンジンや燃料タンク部分が厳重に防御されているのならば、当たっても火を噴かないというのは十分にありえる話だ。 
「肉薄攻撃で仕留めろ!」
『り、了解!』
 ならばぶつかる位近づいて攻撃を仕掛けるしかない。
 そう考えた彼女の指示により、ホーンドオウル全機が輸送機に向けて殺到する。
 その瞬間だった。
 突如として視界が閃光に埋め尽くされたのは。


「やった! 引っかかりましたよ!」
 ファッティホエールの艦橋に興奮したレンの叫び声が響き渡った。彼女は目の前の機械を覗き込んだまま、艦内無線のスイッチを入れる。
『クロエ君、閃光弾の炸裂信号を確認!』
「よし! 全機出撃!」
 その声を格納庫で聞いたユウは直ちに待機していた仲間たちに命令を下す。
 格納庫の正面扉が開き、カタパルトが突き出される。
 次々と射出されるクロエとその仲間たち。
 まず、最初に射出されたアイアンバレル号が機首を翻し、後方へと向かう。その機体から次々と照明弾が投下された。
 その光にホーンドオウルの濃紺の機体が映し出される。
 どの機もふらふらと酔っ払いのように左右によたつくばかりでアイアンバレルに気がついた様子も無い。
『こちらフェルス1! 連中まるで酔ってるみたいだ!』
「了解。全機、攻撃開始!」
 ユウの掛け声と共に残る全機が加速。閃光弾で目をつぶされたババヤガンの部隊へと猛禽の如く喰らい付いて行く。


「ぐうぅぅぅぅ! 糞がぁ!」
 閃光に焼かれ、痛みを訴える目を押さえながらババヤガンはレーダー手に声をかける。
「敵はどうなっている!」
「はっ! 敵空中母艦より小型機が射出! 戦闘艇と見られます。数は……8!」
 その報告を聞いた瞬間、間髪居れず彼女は無線機のスイッチを叩く。
「敵の展開が速すぎる……待ち伏せられていたな。バーグラー全機! 撤退せよ!」
『了か……』
 しかし、返答が終わるよりも早く無線が途絶える。
「大変です! ババヤガン様、レーダーが!」
『こちらバーグラー4! レーダーが真っし……』
『畜生! 敵はどこだ!』
『レーダーが故障した! どうなってるんだ!』
 次々と無線に飛び込んでくる悲鳴。
 もはや先ほどまでの余裕は全て吹き飛んでいた。
「どうなっている!」
 叫びながらも薄目を開ける。
「レーダーが真っ白です! 全機レーダー使用不能!」
 その視界に照明弾の光を反射する何かが映った。
「チャフか!」
 電子欺瞞紙。アルミ箔などの軽量な金属を一定の長さに切ったもので、これらを撒き散らしてレーダーより照射される電波を反射させ、妨害を行うものだ。
 それが周囲に大量にばら撒かれている。そのせいでホーンドオウルが搭載しているレーダーは全く役に立っていない。
 慣れていない連中にしてみれば故障したように思えても仕方が無いだろう。
 この調子では撤退も儘ならない。
「なんてことですか、ここまでいいようにやられるとは!」
 何よりも腹立たしいのはチャフが効果を発揮していることだ。チャフはレーダーの波長に対応して長さを変えなければ効果が出ない。
 その効果が発揮されているということは、ナイトレイダー隊の使用するレーダーの波長がばれている。
 それは彼女がファッティホエールとの情報戦に敗れたことを意味していた。
 ババヤガンは歯軋りしながらも機体を降下させる。


「ふむ、うまくいったようじゃな。策士策に溺れるといった所か」
 ファッティホエールの艦橋で満足そうにプロフェッサークロノが頷く。
「上手くいってもらわねば困ります。これだけ大掛かりな仕掛けをして失敗したら目も当てられません」
 その横でシアンがひとつ、ため息をつく。
「飛行姿勢テストに使用する予定のの大型グライダーを引っ張り出し、大規模改装を施したんですよ? しかも短期間というおまけつきで」
 今回、彼らが利用したのはレーヴェ財閥が開発中の大型輸送機……の飛行姿勢テスト用に作られた大型のグライダーだ。
 エンジンはついていないし燃料も積んでいない。何しろ骨組みと布だけの代物なのだからいくら撃った所で火もつかなければ爆発もしない。
 今回はそれにレーダより照射される電波を反射させて本物と誤認させるために機体の各所に金属板を貼り付け、さらに閃光弾を山のように埋め込んである。
 その埋め込まれた閃光弾は一定以上の強さの電波を受信すると起爆するようにレンやクロノの手によって細工されていた。
 あとは囮を狙うように情報を流し、ババヤガン率いるナイトレイダー隊がそれに引っかかるのを待つだけ。
 その間ユウたち戦闘艇組はエンジンをかけつつ格納庫内で待機。囮にはレーダーの波長を検知する機械も搭載されており、それからの情報に従ってチャフを用意する。
 後は閃光弾で肉眼を潰し、その後にチャフでレーダーを潰す。その後、混乱中のナイトレイダー隊を戦闘艇部隊が叩くという手順。
 そして、ものの見事にババヤガンはそれに引っかかったというわけだ。
「まあ、そう目くじら立てるでない。一応、飛行テストもかねての話じゃし」
「……そのため、責任者としてお嬢さまも乗られているのですが?」
「……」
 シアンがちら、と横に目をそらす。
 そこにはイオが座っていた、その瞳はどことなく眠そうだ。
 曲がりなりにもレーヴェ財閥のものを持ち出すということで、その責任者として彼女もついて来ている。
 ただ……。
「……シアン」
「何でしょうか」
「……ワイルドハントは?」
「……ですからお嬢様、何度も申し上げました用にあれはカメダ軍団が自分達のやっていることを隠すためにでっち上げた噂です」
「……でも」
「でももストもありません」
「……(しゅん)」
 イオが気にしているのは1つの噂だった。
『特徴的な西風と遠雷を前触れに表れる亡者の群れ。その先頭に立つのは漆黒に彩られ、その身に虎の紋章を刻む戦闘艇』
 ”ワイルドハント(嵐の夜)”西洋で言う所の百鬼夜行。名だたる英雄や王によって率いられる死者の群れ。
 それを見てみたい、というのが今回彼女がユウたちに同行した理由だったりする。
「よくもまあ、怒られんかったの」
 と、クロノが零した時。
「まあ、うちにも似たような奴が居ますから」
 と、横から声がかかる。
「ええ、もう。本当に好奇心が服を着ているようなやつがね……」
 そう、どこか上の空で声の主……マリンはそう答えた。


「ちっくしょー! やっぱりお前らなのかよ!」
 と、叫ぶのは先ほど話題に上がっていた好奇心が服を着たようなやつ……パーシヴァル。
『アクイラ4! 1時下方、タリホー(敵機視認)!』
「アクイラ4了解! せっかく珍しいものが拝めるかと思っていたのによ!」
『あんた生き物じゃなくて死者にも興味があったの?』
 あきれたように聞き返すアクイラ3、アカリに彼は声を返す。
「違う違う。いいか、こう言った場合死者たちは生前の姿で現れることが多いんだ。それもたいていは煌びやかな衣装を身に纏ってな」
 答えながらも彼は操縦桿を握り締め、前を行くアクイラ3に追随する。
「そういう衣装には色々な生き物とかを象徴にした物が多いんだよ! そういったものに興味があったの!」
『あっそう』
「あ、馬鹿にしたな! いいか、そういった物からも色んな事が学び取れるんだぞ!」
『興味ないわ』
「たとえばだな……」
『アクイラ3、スプラッシュワン(敵機撃墜)』
「聞けよぉ!」
『アクイラ4、10時上方、タリホー』
「だから!」
『アクイラ4、仕事しなさい』


「相変わらず先生は騒がしいなぁ」
 苦笑しながらもユウは戦域全体に目をやり、無線機に耳を澄ます。
『こちらフェルス1、マザーより7時方向に3機逃走』
 照明弾を撒き終わったあと、高度を上げて敵機を観察していたジョンより報告が入る。
「了解、アクイラ1追撃に入る」
 返答を返すと操縦桿を握り締め、ユウは愛機フィーディール号の機首を指示された方角に向け、加速。
「ここで1機でも多く仕留めておかないと……」
 脳裏に今回の作戦前に情報を集めていた時のことが蘇る。

 いまだに行方不明の搭乗員を必死になって探す彼らの家族。
 夜間の撃墜のため、たとえ救難通信を受け取ってもすぐには救援をよこすことも出来ず、ただひたすらに夜が明けるのを待ち続けた救助隊の人々。
『せめて通信を受け取った直後に出られれば彼らは助かったのかも知れません。せめて日中なら……』
 そう、悔しそうにかたる彼らの顔。
 度重なる被害に封鎖された航空路。それによって苦しい生活を強いられるようになった人々。
 そして彼らに忍び寄る奴隷商人たち。
『心外ですね、我々は彼らのくらしをちょっと楽にしてあげてるだけですよ? それとも貴方が彼らの面倒を見るとでも?』
『奴隷として売られたって飢え死にするよりましでしょう? むしろただ死ぬより家族にお金も残せるし、良いじゃありませんか』
 そう、言い放つ彼らを何度殴ってやりたいと思ったことか。
 あいつらを殴らせろと叫んでいたジンを逆に宥め、今、ここでこいつらを殴っても何も解決しないんだと言い聞かせた。

「大本を断たなきゃいけないんだ」

 そう。たとえ下っ端を幾ら張り倒しても意味がない。
 今回の事件の元凶とも言える、ナイトレイダー隊を打ち倒さない限りは……。

「ここで痛手を与えておけば立ち直るのに時間がかかる。幾らカメダ軍団が無尽蔵に近い資金力を持っていても、人員の養成は簡単じゃない。ましてや、夜間空戦なんて特殊な人員は……」

 その為には……。

「殺す……いや、捕縛するだけでもいい」
 それは言い訳だ、撃墜すればかなり高い確率で相手は死ぬ。墜落する飛行艇から脱出するのは難しく、失敗することも多い。
 そもそも、撃たれたときにパイロットに直撃していればアウトだ。
 それでも、撃たなければいけない。
「アクイラ1、12時下方、タリホー!」
『アクイラ2了解』
 後方に続くイーベルに敵機の位置を教えると、ユウは操縦桿を握る手に力を入れる。
 そして、眼下の敵めがけ一気に距離を詰めトリガーを引く。
 解き放たれる12.7mmの暴力の嵐。火を噴いて揺らぐ敵機。
 そして、爆散。
「アクイラ1、スプラッシュワン!」
『アクイラ2、スプラッシュワン!』
 

「うん、いい闘志だ」
 夜闇の中、愛機の背で彼はつぶやく。
「死ぬということ、殺すということ。それらを知ってなおも闘争に挑む。果たさねばならぬ己の目的のために」
 にこ、と笑みを浮かべる。
「さりとて獣ではなく、さりとて子供ではなく。その重みを確かに受け止めている」
 周りの者たちに、聞かせるように。
 パン、と手を叩く。
「いいね」
 周囲がざわつく。
 彼の回りを埋める同胞達が。
 死者の軍団が。
「さて、我らの同胞となるか」
 片手を振り上げ、
「それとも我らの”狩”を終わらせるか」
 振り下ろす。
「どちらでもすばらしい」
 騎兵が夜闇を疾駆する、ぼろぼろの複葉機がエンジンのうなりを上げる。重装歩兵達が虚空を進み、マスケットを携えたた戦列歩兵がそれに続く。
 その姿は一様に漆黒。
 吹け、先触れの西風。鳴り響け号令の雷鳴



「さあ”嵐の夜(ワイルドハント)”の始まりだ!」


No.63
■会話イベント「男達の盃」 投稿者:トミーズ・ぞいや 投稿日:2012/03/19(月) 23:55

本社うろつきでイベント発生
オクトカンパニー社員「おい。」
クロエ「何か御用ですか。」
オクトカンパニー社員「社長からのご指名だ。ちょっと来てくれ。」
クロエ「は、はあ...(なんだろう)」

オクトカンパニー 社長室
(ガチャッ)
オクトカンパニー社員「失礼します。クロエ・ユウを連れて来ました。」
カキウチ「おう、クロエ。えらく早かったな。」
クロエ「カキウチさん、それにキオカさん!」
キオカ「よお、ボウズ。元気だったか。」
オクトカンパニー社員「それでは社長、自分はこれで。」
カキウチ「もう一人が来たらここに通せ。」
オクトカンパニー社員「ウスッ。(バタンッ)」
クロエ「なんで俺が呼ばれたんですか。」
キオカ「クロマツから聞いたぜ。アイツが襲われてたのを加勢してくれたんだってな。」
クロエ「た、たしかに結果的にはそういうことになりますね。」
キオカ「どっちにしろ助けたんなら礼を言うぜ。ありがとよ」
カキウチ「おい、キオカ。ぼちぼち本題に入るぞ。」
キオカ「おっとっと、そうだったな。おめぇ、クロマツから俺等がカメダのクソ共とドンパチするって聞いたよな。」
クロエ「はい。」
カキウチ「俺達オクトカンパニーも一枚噛むことも知ってるよな。」
クロエ「はい。」
キオカ「俺等が束になればまだ勝機があるとしても、やはり向こうの方が一枚上手だ。」
カキウチ「そこで俺らの古い知り合いも手伝ってくれることになっている。で、そいつも今日ここに呼んである。」
(コンコン)
カキウチ「お、来た来た。入れ。」

(ガチャッ)
???「失礼する。おや、クロエくんではないか。」
クロエ「あなたは、サカイさん!」
カキウチ「なんだよ、サカイ。クロエと知り合いなのかよ。」
サカイ「なるほど、二人が認めた漢とはクロエくんのことでしたか。」
クロエ「ってことは、古い知り合いって」
サカイ「いかにも。私だ。」
カキウチ「さて、全員揃ったところことだし始めるか。」
キオカ「話ってのは他でもねぇ。クロエ、俺等と手ぇ組まねぇか。」
クロエ「えっ!」
キオカ「おめぇらがファントゥームっつぅところで奴らとやり合うってのをサカイから聞いてな。」
カキウチ「さすがにそこまでついて行くわけにもいかねぇが、お前らがそこまでいけるように援護することは出来る。」
サカイ「カメダ軍団も全ての戦力で迎撃してくるでしょう。それならば、護衛が必要でしょう。」
カキウチ「自慢じゃねぇが、うちの会社が作る飛行艇や武器はワギリのおっさんに負けねぇくらい上物だぜ。」
キオカ「俺の巨大飛行艇や戦闘機ならカメダの雑魚を返り討ちにしてやるぜ。」
サカイ「私の部下達も着々と集まっています。」
キオカ「こいつとこいつの部下の操縦技術は俺等が保障するぜ。」
カキウチ「それにうちもこいつんとこも操縦に自信がある奴らばかりだから、ぜってぇお前らの力になる。」
クロエ「カキウチさん...キオカさん...サカイさんも...ありがとうございます。お言葉に甘えて力を貸してもらいます。」

カキウチ「よし、キオカ。クロエにもアレをやろうぜ。」
キオカ「おぉ!アレか。」
サカイ「アレをやって初めてクロエクンも我々の一員です。」
クロエ「アレって何ですか?」
カキウチ「たしかここに...おっ、あったあった。(ペラッ)」
クロエ「書類?」
カキウチ「この紙に名前を書いてくれ。」
キオカ「そんで名前の横に血印を押せ。」
サカイ「私たちはすでに書いてあるから、あとは君だけだ。」
クロエ「わかりました。(サラサラ)

~数分後~
クロエ「(グッ)よっ、と。できました。」
カキウチ「んじゃこれを(カチッ ボァー メラメラ)」
クロエ「ちょっ、何燃やしてるんですか!」
キオカ「燃えていいんだよ。」
(ガチャッ)
カキウチ「おーい、持って来たぞ。」
サカイ「ほう、これはなかなか銘酒ですね。」
クロエ「今から何が始まるんですか?」
サカイ「(トクトク)この酒の中に、」
キオカ「この燃えきった灰を(ドバッ)ぶち込んで、」
カキウチ「飲む!」
クロエ「えぇ!!」
カキウチ「ジパングの伝統で誓いの儀式みてぇなモンだ。」
サカイ「本来は誓約書を書いた後に燃やして灰にし、それを水で溶いてお互いに飲むというのが普通ですが。」
キオカ「俺とこいつが昔、ジパングの発展を誓った時もこの酒だったな。」
カキウチ「ほんじゃあ、みんな盃を持て。」
(カタッ)
カキウチ「俺達は絶対に負けねぇ。カメダのクソ共をぶっ飛ばしてもっかいこのメンツで飲もうぜ!」
キオカ「そんでまたバカみてぇな喧嘩しようぜ」
サカイ「各々まだやり残した事がある。それをやり遂げるまでくたばるわけにはいかん。」
クロエ「皆さんの武運を祈って」

「「「「乾杯!!!!」」」」

クロエ「うっ苦い...」
カキウチ「おいおい、だらしねぇな。」
キオカ「しっかりしろよ兄弟。」
サカイ「まあ、灰ですからね。最初はこんなものかと。」

「「「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」」」



そして、数日後にファントゥームへ突入の際、クロエの仲間と共にカメダ軍団の艦隊と戦う無数の戦闘機や飛行艇が飛んでいた。
それらには蝶や花やタコのエンブレムが描かれていたそうな。彼らが生きて帰ってきたかは定かではない。
しかし、数年後、当時の戦闘の様子を3人の老人が語っていたのはまた別のお話。

(ファントゥームに突入時に彼らの部隊が助けてくれる。)

燃やして灰にして飲むのは日本の仕来りで本当にあります。
予備板で書かれていたタワシさんの漫画を少し便乗しました。
最後のエンブレムは 蝶・・・サカイさんの部隊、花・・・幸花会、タコ・・・オクトカンパニー、を指しています。



No.62
■「乙女の恋と男の決意はスイセンの花のように」 投稿者:トミーズ・ぞいや 投稿日:2012/03/19(月) 23:55

クロマツとティオが出かける模様。そこでこっそり二人を尾行しよう。


クロマツ「おっ、来たか。」
ティオ「スミマセン。待ちましたか?」
クロマツ「いや、オレも今来たところだ。」
ティオ「よかった。じゃあ、行きましょうか。」
クロマツ「おう。」

(スタスタスタ)

ユイ「よし、後を追うわよ。」
クロエ「何で俺までついて行かなきゃいけないんだ。」
ユイ「いいじゃない、たまには。ほら行くわよ。(ガシッ)」
クロエ「うわ、引っ張らないでよー!」

(タッタッタッタッタッ)

~数分後~

ユイ「いたいた、あそこ。」

ティオ「クロマツさん、あれ見てください。」
クロマツ「露店か。」
ティオ「ちょっと見て行きましょうよ。(タッタッタッタッタッ)」
クロマツ「お、おい...ま、いっか。」

ティオ「スミマセン。ちょっと見せてもらってもいいですか?」
チャン「アイヤー、オキャクサンアルカ?イイヨイイヨ。ユックリミテイッテ。」
ティオ「ふ~ん、アクセサリーとか指輪なのね。」
チャン「オジョウチャン カワイイカラ コレガオススメネ」
ティオ「ネックレス?」
チャン「ソウアル。シカモ、タダノネックレス ジャナイネ。シアワセヲハコブ フシギナネックレスアル。」
ティオ「へぇー。花の形をかたどってるのもそのおまじないかな。」
チャン「ココデアッタノモナニカノエンアル。オジョウチャンニアゲルヨ。」
ティオ「えっ!いいんですか。」
チャン「イイヨイイヨ。ドウセ キョウデ ミセジマイアル。ジャアネ、オジョウチャン。」
ティオ「はい、ありがとうございます。」

ティオ「クロマツさん見てくださいよ。これ。」
クロマツ「ほう、なかなか洒落たネックレスだな。それ買ったのか。」
ティオ「いえ、もらったんです。」
クロマツ「もらった!?おいおい、偽モンつかまされたんじゃねぇか。」
ティオ「そんなことないもん。」
クロマツ「だったらいいんだけどな。」


ユイ「いいなぁ、私もあーいうの欲しい。」
クロエ「ユイさんは今でも十分かわいいからネックレスは必要ないよ。」
ユイ「なっ! バカー!! ○><///(バキボコドコッ)」


クロマツ「ん?」
ティオ「どうしました?」
クロマツ「いや、気のせいだろ。ほら、置いてくぞ。(スタスタスタ)」
ティオ「ちょっと、待ってくださいよー!(タッタッタッタッタッ)」


ユイ「あ、二人が行っちゃう。もう!いつまで寝てるの!(ボカッ)」
クロエ「あいたっ。ひどいよユイさん...」
ユイ「泣いてないで早く来なさい。」
クロエ「もー勘弁してよ~(泣)」


~そして夕方~

チーガオ市民広場
クロマツ「...」
ティオ「...クロマツさん。」
クロマツ「あ、あぁ。なんだ。」
ティオ「わたしに何か隠してるんじゃないですか。」
クロマツ「っ!」
ティオ「なぜ急に私を誘ったのか、ずっと考えていました。」
クロマツ「なぜだと思う。」
ティオ「わかりません。でも...今日のクロマツさんはいつもと違います。」
クロマツ「ふっ...お譲ちゃんはやっぱり賢いな。」
ティオ「はぐらかさないでください!」
クロマツ「黙って消えるつもりだったんだが、ここまで言われちゃ黙って消えるわけにもいかねぇな。」
ティオ「消えるってどういうことですか!説明してください!」


クロエ「(小声)なんだか雲行きがおかしくなってきたな。」
ユイ「消えるってどういうこと!?」
クロエ「(小声)しっ!ユイさん静かに。」


クロマツ「少し前に会議で決まったんだが、オレたち幸花会は、あぶねぇ!(ドン)」
ティオ「キャッ!」

(バーン!)

クロマツ「くっ」
ティオ「クロマツさん!」
ティオ「大丈夫、かすっただけだ。それより、」
(ワラワラ)
カメダ軍団戦闘員A「幸花会幹部のクロマツだな。」
カメダ軍団戦闘員B「女連れとは良いご身分なこった。」
カメダ軍団戦闘員C「悪いが、ここで死んでもらうぞ。」
クロマツ「ちっ、予想以上に早く目ぇ付けられたぜ。おい!そこの二人。」
ユイ「ひゃっ!バレてたの。」
ティオ「クロエさん、ユイさんも。」
クロエ「とりあえず、今はクロマツさんたちを援護するぞ。」
カメダ軍団戦闘員B「あ!こいつこないだファイアバグさんをやった連中だ。」
カメダ軍団戦闘員A「こいつは好都合だ。やっちまえ!」
クロマツ「ティオ!お前は下がってろ。」
ティオ「わたしも戦います。」
クロマツ「今は言うことを聞け!」


白兵戦(カメダ軍団戦闘員×3を2回連戦)※クロエ、ユイ、クロマツの3人で戦う。


カメダ軍団戦闘員A「ク、クソッ。一旦退却だ!」
カメダ軍団戦闘員BC「「おぼえてろよ~」」
(ダッダッダッダッダッ)

クロマツ「危なかったぜ。ま、礼は言わねぇがな。」
クロエ「ははは、スイマセン。」
ユイ「というか気づいていたんですね。」
クロマツ「あんな派手な尾行されたら誰でも気づくだろ。」
ティオ「それよりさっきの続きを聞かせてください。」
クロマツ「実はな、オレたち幸花会は、」
ティオ(ゴクリッ)
クロマツ「オレたち幸花会はカメダ軍団と本気で一戦交えることになった。」
ティオ「えっ!」
クロマツ「おそらく、生きて帰ってくることは難しい。」
ティオ「そ、そんな...どうして戦うんですか。」
クロマツ「お前らもカメダ軍団と戦ってるからわかるだろ。奴らのせいでどれだけの人間が死んだ!どれだけのものが悲しんだ!」
ティオ「...」
クロマツ「それに、一度空から降りたアイツだってまた諦めずに空を飛んでいるんだ。オレだって負けてられねぇ。」
ユイ(アイツってもしかして、)
クロエ(たぶんスウォンさんのことだろ。)
クロマツ「なによりこれは仁義を重んじる会長が出した結論だ。他の幹部も異論はない。もちろんおれもだ。」
ティオ「無理ですよ!カメダ軍相手にあなたたちだけで戦うなんて。」
クロマツ「世界に散らばっている構成員、それからブランシェのカキウチさんも加われば可能性はある。そして先週、カキウチさんから返事が来て正式に共闘するになった。」
クロエ「カキウチさんまで加わるのか!」
ユイ「だからちょくちょくカメダ軍団が襲ってきたのね。」
ティオ「どうしても戦うんですか。」
クロマツ「ティオ、これはオレの、オレらの仁義なんだよ。どうしても通さなきゃいけない大事な筋なんだ。」
ティオ「グスッ...いや!クロマツさんがいなくなるなんて絶対にいやだ!」
クロマツ「わかってくれ。」
ティオ「わかりたくないです。だってわたし、あなたのことが好きなんですもん。」

ユイ「(小声)キャ~ここにきての告白って。ティオちゃん勇気ある!(ポカポカポカポカ)」
クロエ「(小声)ユイさん、自重してください。」

クロマツ「薄々そんな気がしていた。お前が俺の事を見る目が違うって。それでもな、元々オレとお前じゃ住む世界が違うんだ。」
ティオ「それでもいや!あなたがいなくなっちゃわたし、わたし...」
クロマツ「ティオ!」
ティオ「!」

(ティオを優しく抱きしめる)

ティオ「う、うぅ、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ」
クロマツ「わかってくれとは言わねぇ。だが、待っていてくれないか。オレなりのけじめをつけたら必ず戻ってくる。」
ティオ「本当、に...戻って...きて、ください。」
クロマツ「あぁ、必ず戻ってくる。」
ティオ「ヒック...やくそく、ですよ。」
クロマツ「約束する。だから、そん時はオレの答えを聞いてくれるか?」
ティオ「クウ...(ゴシゴシ) はい!」

~その夜~

ファッティホエール号 甲板
ティオ「...」
パーシヴァル「何見てるんだ。」
ティオ「うわっ!なんだパーシヴァルさんか。脅かさないでくださいよ。」
パーシヴァル「わりぃわりぃ。ところでそれ、スイセンか。」
ティオ「あ、いや、名前まではわからないんですけど。」
パーシヴァル「ふーん、黄色いスイセンなんて珍しいな。」
ティオ「...あの、」
パーシヴァル「なんだ?」
ティオ「スイセンの花言葉って何ですか?」
パーシヴァル「ちょっと待ってろ。(自分の部屋に走って行き図鑑を調べながら戻ってくる)スイセンは、えーと...あったあった。スイセンの花言葉は、」

『私のもとへ帰って』


No.61
■クロマツ連続イベント(後半) 投稿者:トミーズ・ぞいや 投稿日:2012/03/19(月) 23:55

ランダムイベント
・ティオがクロマツに会いたくなる。

各地(ブランシェorパリヴァールorネグロorジパングorパライソorトゥルーク)うろつきでイベント発生

以下の3パターンからランダムで発生(仲介人に会えるようになるまで繰り返し)
・クロマツを見かけて追いかけてティオが迷子になる(主人公HPが10下がる)
・探し回っている最中にならず者にからまれる(ごろつき×3と戦闘)
・幸花会の仲介人の存在を教えてもらう。

・仲介人からクロマツがチーガオにいると教えてもらう。

チーガオうろつきでイベント発生
・クロマツを探すため聞き込みをするもカメダ軍団に襲われる(カメダ軍団戦闘員×2、カメダ軍団エリート戦闘員×1 負けるまでエンドレス)
経験値のため連戦するのもよいが、いらない人は最初から逃げるなどして戦闘を避けたほうがよい。
→負けるとクロマツが幸花会を引き連れて助けてくれる。
(以降うろつきで幸花会チーガオ支部をうろつけるようになる。)

汎用イベント
・クロマツと共に武器の調達をする。(武器を購入できる)
・カメダ軍団に襲撃される。(カメダ軍団戦闘員×3と戦闘)
・クロマツにコーヒーを入れてもらう。(主人公HP回復)

・クロマツとティオの会話1(クロマツが自分の生い立ちを話す)

・クロマツとティオの会話2(ティオの様子がおかしいことに気づく)


※条件(ファイアバグを倒している&ファントゥームへ行けるようになっている)
・クロマツとティオの会話3(クロマツがティオと出かける約束をする)



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